1934年の夜業(婦人)条約(改正)(第41号)

ILO条約 | 1934/06/19

夜間に於ける婦人使用に関する条約(第41号)
(1934年改正)

(日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、国際労働事務局の理事会によりジュネーヴに招集されて、二千十七年六月五日にその第百六回会期として会合し、本会期の議事日程の第七議題である複数の国際労働条約の廃止及び撤回に関する提案を検討し、二千十七年六月十四日に、千九百三十四年の夜業(婦人)条約(改正)(第四十一号)の廃止を決定する。国際労働事務局長は、この本文書廃止の決定を、国際労働機関の全加盟国及び国際連合事務総長に通知する。この決定の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。

 国際労働機関の総会は、
 国際労働事務局の理事会に依りジユネーヴに招集せられ、千九百三十四年六月四日を以て其の第十八回会議を開催し、
 右会議の会議事項の第七項目たる、総会に依り其の第一回会議に於て採択せられたる夜間に於ける婦人使用に関する条約の一部改正に関する提案の採択を決議し、且
 該提案は国際条約の形式に依るを要することを思ひ、
 千九百三十四年の夜業(婦人)条約(改正)と称せらるべき左の条約を千九百三十四年六月十九日採択す。

第 一 条

1 本条約に於て「工業的企業」と称するは、左に掲ぐるものを特に包含す。
(a) 鉱山業、石切業其の他土地より鉱物を採取する事業
(b) 物品の製造、改造、浄洗、修理、装飾、仕上、販売の為にする仕立、破壊若は解体を為し又は材料の変造を為す工業(造船竝に電気又は各種動力の発生、変更及伝導を含む。)
(c) 建物、鉄道、軌道、港、船渠、棧橋、運河、内地水路、道路、隧道、橋梁、陸橋、下水道、排水道、井、電信電話装置、電気工作物、瓦斯工作物、水道其の他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更又は解体及上記の工作物又は建設物の準備又は基礎工事
2 工業と商業及農業との分界は、各国に於ける権限ある機関之を定むべし。

第 二 条

1 本条約に於て「夜間」と称するは、夜十時より朝五時に至る時間を包含する少くとも十一時間の継続の時間を謂ふ。
2 尤も特定の工業又は地域に於て使用せらるる労働者に影響ある例外の事情存する場合には、権限ある機関は、関係ある使用者団体及労働者団体に諮問の後、当該工業又は地域に於て使用せらるる婦人に付ては夜十一時より朝六時に至る時間を以て夜十時より朝五時に至る時間に代へ得ることを決定することを得。
3 工業的企業に於ける夜間の婦人使用に付未だ公の規則の適用なき国に於ては、「夜間」とは、当分の内且三年を超えざる期間内、政府に依り夜十時より朝五時に至る時間を包含する十時間のみの時間を謂ふと宣せらるることを得。

第 三 条

 婦人は、年齢に拘らず、同一の家に属する者のみを使用する企業を除くの外、一切の公私の工業的企業又は其の各分科に於て夜間使用せらるることを得ず。

第 四 条

 第三条は、左の場合に之を適用せず。
(a) 不可抗力の場合に於て予見すること能はず且回帰性を有せざる作業中絶が或企業に生じたる場合
(b) 原料又は取扱材料にして急に損敗し易きものを作業上処理すべき場合に於て右原料又は材料の損失を防ぐ為夜業を必要とする場合

第 五 条

 印度及暹羅国に於ては、国内の法令に依り定められたる工場を除き、何れの工業的企業に関しても、政府は、本条約第三条の適用を停止することを得。該停止は、総て国際労働事務局に之を通告すべし。

第 六 条

 季節の影響を受くる工業的企業に於て及例外の事情に依り必要ある一切の場合に於て、一年に付六十日間は夜間を十時間に短縮することを得。

第 七 条

 気候の為昼間の作業を特に健康上困難とする国に於ては、夜間は、前数条に規定する所より之を短縮することを得。但し昼間に於て代償休憩を与ふべきものとす。

第 八 条

 本条約は、責任ある管理の地位に在り且通常筋肉労働に従事せざる婦人に之を適用せず。

第 九 条

 この条約の正式の批准書は、登録のため国際労働事務局長に送付するものとする。

第 十 条

1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准を国際労働事務局長が登録したもののみを拘束する。
2 この条約は、二加盟国の批准が事務局長により登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、他のいずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。

第 十 一 条

 国際労働事務局長は、国際労働機関の二加盟国の批准が登録されたときは、この旨を直ちに国際労働機関のすべての加盟国に通告しなければならない。同事務局長は、また他の加盟国からその後通告を受けた批准の登録をすべての加盟国に通告しなければならない。

第 十 二 条

1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年の期間の満了の後は、登録のため国際労働事務局長に通告する文書によつてこの条約を廃棄することができる。廃棄は、その廃棄が登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で前項に掲げる十年の期間の満了の後一年以内にこの条に定める廃棄の権利を行使しないものは、さらに十年の期間この条約の拘束を受けるものとし、その後は、この条に定める条件に基いて、十年の期間が経過するごとにこの条約を廃棄することができる。

第 十 三 条

 国際労働機関の理事会は、この条約が効力を生じた後十年の期間が経過するごとに、この条約の運用に関する報告を総会に提出し、かつ、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を審議しなければならない。

第 十 四 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改める改正条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
(a) 加盟国による改正条約の批准は、改正条約の効力発生を条件として、第十二条の規定にかかわらず、当然この条約の即時の廃棄を伴う。
(b) 加盟国によるこの条約の批准のための開放は、改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第 十 五 条

 この条約のフランス語及び英語による本文は、ともに正文とする。