1946年の有能海員証明条約(第74号)

ILO条約 | 1946/06/29

有能海員の証明に関する条約(第74号)
(日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、国際労働事務局の理事会によりジュネーヴに招集されて、二千二十一年六月十八日にその第百九回会期として会合し、八本の国際労働条約の廃止並びに十本の国際労働条約及び十一本の国際労働勧告の撤回に関する提案を検討し、二千二十一年六月十八日に、千九百四十六年の有能海員証明条約(第七十四号)の廃止を決定する。国際労働事務局長は、この本文書廃止の決定を、国際労働機関の全加盟国及び国際連合事務総長に通知する。この決定の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。

 国際労働機関の総会は、
 国際労働事務局の理事会によつてシアトルに招集され、且つ千九百四十六年六月六日を以てその第二十八回会議を開催し、
 この会議の議事日程の第五議題に含まれている有能海員の証明に関する提案の採択を決議し、且つ
 この提案は国際条約の形式をとるべきであることを決定したので、
 千九百四十六年の有能海員証明条約として引用することができる次の条約を千九百四十六年六月二十九日に採択する。

第 一 条

 何人も、甲板部門に勤務する船員(高級船員、指導船員又は特別船員を除く。)たるに必要な義務を果たす能力があると国内の法令若しくは規則により認められるに非ざれば、及び次の諸条の規定に従つて付与される有能海員としての資格証明書を所持するに非ざれば、有能海員として船舶にこれを雇い入れてはならない。

第 二 条

1 権限ある機関は、試験の開催及び資格証明書の授与について措置を講じなければならない。
2 何人も、次の場合に該当するに非ざれば資格証明書を授与されない。
 (a) 権限ある機関が規定する最低年令に達した場合
 (b) 権限ある機関が規定する最短期間甲板部で海上勤務に服した場合
 (c) 権限ある機関が規定する熟練試験に合格した場合
3 所定の最低年令は、十八歳未満であつてはならない。
4 所定の海上勤務の最短期間は、三十六箇月より少なくてはならない。但し、権限ある機関は、
 (a) 二十四箇月を下らない現実の海上勤務期間を有し且つ公認訓練学校において訓練の課程に合格した者にはかかる訓練において費した期間又はその一部を海上勤務として計算することを許可することができる。
 (b) 公認海洋航行訓練船において訓練され且つかかる船舶において十八箇月勤務した者については、好成績で卒業する際、有能海員としてこれを証明することを許可することができる。
5 所定試験は、航海術に関する知識及び救命艇作業を含む有能海員として必要なすべての義務を有効に遂行する能力についての実地試験を含まなければならない。それは、千九百二十九年の海上における人命の安全のための国際条約第二十二条又は現在関係領域に実施されているその条約を改訂し若しくはそれに代るその後の条約の対当条項に定められる特別救命艇手適任証を合格者に持たせるようなものでなければならない。

第 三 条

 資格証明書は、関係領域に対するこの条約の効力の発生の時において有能海員又は甲板部の指導的属員として充分な任務を遂行しているか、又はかかる任務を遂行した者にこれを授与することができる。

第 四 条

 権限ある機関は、他の領域において発行される資格証明書の承認を規定することができる。

第 五 条

 この条約の正式批准書は、登録のため国際労働事務局長に送付しなければならない。

第 六 条

1 この条約は、事務局長がその批准を登録した国際労働機関の加盟国のみを拘束する。
2 この条約は、二加盟国の批准が事務局長により登録された日から十二箇月後に効力を発生する。
3 爾後この条約は、いかなる加盟国に対しても、その批准が登録された日の六箇月後に効力を発生する。

第 七 条 

1 この条約を批准した加盟国は、この条約の効力発生の日より十年の期間満了後において、国際労働事務局長宛登録のためにする通告によりこれを廃棄することができる。右の廃棄は、その登録があつた日の後一年間は効力を発生しない。
2 この条約を批准した加盟国であつて前項に掲げた十年の期間満了後一年以内に本条に規定する廃棄の権利を行使しないものは、更に十年間拘束を受くべく、又爾後各十年の期間満了毎に本条に定める条件によつてこの条約を廃棄することができる。

第 八 条

1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通告を受けたすべての批准及び廃棄の登録を国際労働機関のすべての加盟国に通告しなければならない。
2 事務局長は、この条約が効力を生ずるに必要な最後の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を発生する日について国際労働機関の加盟国の注意を喚起しなければならない。

第 九 条

 国際労働事務局長は、前各条の規定に従つて登録されたすべての批准及び廃棄の詳細を国際連合憲章第百二条による登録のため国際連合事務総長に通告しなければならない。

第 十 条

 国際労働事務局の理事会は、この条約の効力発生後各十年の期間満了毎に、この条約の運用に関する報告を総会に提出し、且つこの条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に掲ぐべきや否やを審議しなければならない。

第 十 一 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する新条約を採択する場合は、新条約が別段の規定をしない限り、
 (a) 一加盟国による新改正条約の批准は、新改正条約が効力を発生したとき、前記第七条の規定に拘わらず、当然にこの条約の即時の廃棄を生ぜしめる。
 (b) 新改正条約の効力発生の日から、この条約は、加盟国によつて批准され得ないようになる。
2 この条約は、これを批准したるも改正条約を批准しない加盟国に対しては、いかなる場合においても、その現在の形式及び内容において 引き続いて効力を有する。

第 十 二 条

 この条約は、イギリス語及びフランス語の本文を以て共に正文とする。