1947年の労働基準(非本土地域)条約(第83号)

ILO条約 | 1947/07/11

非本土地域に対する国際労働基準の適用に関する条約(第83号)
(日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、
 国際労働事務局の理事会によつてジユネーヴに招集され、且つ千九百四十七年六月十九日にその第三十回会議を開催し、
 この会議の会議事項の第三項目に含まれている非本土地域に対する国際労働基準の適用に関する提案の採択を決議し、且つ、
 この提案は国際条約の形式によるべきものであることを決定したので、
 千九百四十七年の労働基準(非本土地域)条約として引用することができる次の条約を千九百四十七年七月十一日に採択する。

第 一 条

1 この条約を批准する国際労働機関の各加盟国は、その批准と共に千九百四十六年の国際労働機関憲章改正文書によつて改正された国際労働機関憲章第三十五条に掲げられる地域(改正された右の第三十五条4及び5に掲げられる地域を除く。)に関し、この条約の附属書に掲げられる諸条約の規定を右の地域に適用すべきことを約する範囲を述べた宣言を国際労働事務局長に通告しなければならない。
2 上記の宣言には、この条約の附属書に掲げられる各条約に関し次のことを述べなければならない。
 (a) 加盟国が条約の規定を何等の変更なしに適用することを約する地域
 (b) 加盟国が条約の規定を変更して適用することを約する地域及びこの場合には右の変更に関する詳細
 (c) 条約を適用することができない地域及びこの場合には適用できない理由
 (d) 決定を留保する地域
3 本条2(a)及び(b)に掲げた約束は、批准の不可欠な部分とみなさるべく、且つ批准と同一の効力を有するものとする。
4 加盟国は、本条2(b)、(c)又は(d)によつてその最初の宣言中でなした留保を爾後の宣言によつていつでも包括的に又は部分的に取消すことができる。
5 加盟国は、第八条の規定に従いこの条約を廃棄することができる期間中はいつでも、前の宣言中の条項を他の点について変更し、且つ特に指摘する地域についての現状を述べた宣言を事務局長に通告することができる。

第 二 条

1 非本土地域に関しこの条約の義務を受諾する宣言は、この条約の附属書に掲げられる諸条約の主要問題が右の地域の自治権の範囲内に属する場合には、その地域の国際関係について責任を有する加盟国がその地域の政府と合意して国際労働事務局長にこれを通告することができる。
2 この条約の義務を受諾する宣言は、次のようにして国際労働事務局長にこれを通告することができる。
 (a) 国際労働機関の二又はそれ以上の加盟国の共同管理下にある地域については、それらの加盟国によつて
 (b) 国際連合の統治する地域については、国際連合憲章その他によりその地域の統治につき責任を有する国際機関によつて   
3 本条の前項に従い国際労働事務局長に通告される宣言は、この条約の附属書に掲げられる諸条約の規定が関係地域に変更なく適用されるか又は変更を受けて適用されるかの約束を包含しなければならない。右の条約の一又はそれ以上の規定が変更をうけて適用される旨を指摘している場合には、右の宣言は、その変更に関する詳細事項を示さなければならない。
4 関係のある加盟国又は国際機関は、以前の宣言中に指摘した変更を援用する権利を爾後の宣言によつて包括的に又は部分的に何時でも放棄することができる。
5 関係のある加盟国又は国際機関は、第八条の規定に従いこの条約を廃棄することができる期間中は何時でも、以前の宣言中の条項を他の点について変更し、且つこの附属書中に掲げられる諸条約の一又はそれ以上についての現状を述べた宣言を国際労働事務局長に通告することができる。

第 三 条

 権限ある機関は、前以て公布される規則により、ある企業又は船舶であつてその性質及び大きさから充分の監督を実施することができないものを、附属書中に示された条約を実施する規定の適用から除外することができる。

第 四 条

 附属書に掲げられる一又はそれ以上の条約の規定の変更を指摘する宣言が実施されている各地域に関しては、前記の変更を援用する権利を放棄することを可能ならしめる目的を以て、進歩がどの程度なされているかを条約の適用に関する年次報告に指摘しなければならない。

第 五 条

1 国際労働総会は、この条約の附属書に別の条約の規定を挿入し又は附属書中に掲げられる条約の規定を総会が採択する右の条約を改正する条約の規定に代える附属書の改正案を、問題が会議事項に包含された会議において、三分の二の多数決をもつて採択することができる。
2 この条約の拘束を受ける各加盟国及び第二条に従いこの条約の義務を受諾する宣言の拘束を受ける地域は、総会の閉会後一年の期間以内又は例外の事情ある場合においては十八箇月の期間以内に、この問題に付権限ある機関に立法その他の措置のため右の改正案を提出しなければならない。
3 右の改正案は、この条約の拘束を受ける各加盟国がこれを受諾したとき右加盟国に対し効力を生ずべく、且つ第二条に従い条約の義務を受諾する宣言の拘束を受ける各地域に対しては右の地域に関しこれを受諾したとき効力を生ずる。
4 右の改正案が加盟国又は第二条に従いこの条約の義務が受諾された地域に対し有効となるときは、関係ある加盟国又は国際機関は、附属書中に挿入された条約の規定に関し第一条2又は第二条3により要求される詳細事項を示す宣言を国際労働事務局長に通告しなければならない。
5 総会が右の改正案を採択した日以後この条約を批准する加盟国は、改正された条約を批准したものとみなされるべく、且つ第二条に従い右の日以後条約の義務が受諾された地域は改正された条約の義務を受諾したものとみなされる。

第 六 条

 この条約の正式の批准は、登録のため国際労働事務局長に通知しなければならない。

第 七 条

1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が事務局長により登録されたもののみを拘束する。
2 この条約は、二加盟国の批准が事務局長により登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。

第 八 条

1 この条約を批准した各加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年の期間の満了の後は、登録のため国際労働事務局長に通知する文書によってこの条約を廃棄することができる。その廃棄は、それが登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した各加盟国で、1に掲げる十年の期間の満了の後一年以内にこの条に定める廃棄の権利を行使しないものは、さらに十年間拘束を受けるものとし、その後は、この条に定める条件に基づいて、十年の期間が満了するごとにこの条約を廃棄することができる。

第 九 条

1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准、宣言及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告しなければならない。
2 事務局長は、通知を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずる日について加盟国の注意を喚起しなければならない。

第 十 条

 国際労働事務局長は、前諸条の規定に従って登録されたすべての批准、宣言及び廃棄の完全な明細を国際連合憲章第百二条による登録のため国際連合事務総長に通知しなければならない。

第 十 一 条

 国際労働機関の理事会は、この条約の効力発生の後十年の期間が満了するごとに、この条約の運用に関する報告を総会に提出しなければならず、また、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を審議しなければならない。

第 十 二 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
 (a) 加盟国による改正条約の批准は、改正条約の効力発生を条件として、第八条の規定にかかわらず、当然この条約の即時の廃棄を伴う。
 (b) 加盟国によるこの条約の批准のための開放は、改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、この条約を批准した加盟国で改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第 十 三 条

 この条約の英語及びフランス語による本文は、ひとしく正文とする。

附属書(千九百四十八年改正)

千九百三十七年の最低年令(工業)条約(改正)

第 一 条

1 この条約において「工業的企業」と称するのは、左に掲げるものを特に包含する。
 (a) 鉱山業、石切業その他土地より鉱物を採取する事業
 (b) 物品の製造、改造、浄洗、修理、装飾、仕上、販売のための仕立、破壊若しくは解体又は材料の変造をなす工業(造船並びに電気又は各種動力の発生、変更及び伝導を含む。)
 (c) 建物、鉄道、軌道、港、船渠、棧橋、運河、内地水路、道路、隧道、橋梁、陸橋、下水道、排水道、井戸、電信電話装置、電気工作物、瓦斯工作物、水道その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更又は解体及び上記の工作物又は建設物の準備又は基礎工事
 (d) 道路、鉄軌道又は内地水路に依る旅客又は貨物の運送(船渠、岸壁、波止場又は倉庫に於ける貨物の取扱を含むも人力による運送を含まない。)
2 工業と商業及び農業との分界は、各国における権限のある機関がこれを定める。

第 二 条

1 十五歳未満の児童は、すべての公私の工業的企業又はその各分科においてこれを使用し又は労働させることができない。
2 尤も労務であつてその性質又はこれが行われる事情により、これに使用される者の生命、健康又は道徳に危険なものについての外、国内の法令又は規則は、使用者の家に属する者のみが使用される企業において右の児童が使用されることを許可することができる。

第 三 条

 この条約の規定は、工業学校における児童の為す労働にこれを適用しない。但しこの種の労働は、公の機関の承認を得且つその監督をうけるものとする。

第 四 条

 この条約の規定の実行を容易ならしめるため、工業的企業における各使用者は、その使用する十八歳未満のすべての者及びその出生の日を記した帳簿を備付けることを要する。

第 五 条

1 労務であつてその性質又はこれが行われる事情により、これに使用される者の生命、健康又は道徳に危険なものに関しては、国内の法律は、
 (a) 年少者又は青年をかかる労務に使用することを許容するため十五歳を超える年令を規定するか、又は
 (b) 年少者又は青年をかかる労務に使用することを許容するため十五歳を超える年令を規定する権限を適当の機関に与えねばならない。
2 国際労働機関憲章第二十二条により提出される年報には、前項(a)に従い国内の法令に依り規定される年令に関し、又は前項(b)に従い付与される権限の行使により適当の機関が執る措置に関し、十分な情報を包含せしめなければならない。

千九百三十六年の最低年令(海上)条約(改正)

第 一 条

 この条約において、「船舶」とは、その公有であると私有であるとを問わず、海洋航行に従事するすべての種類の船舶及び舟艇をいう。ただし、軍艦を除く。

第 二 条

1 十五歳未満の児童は、同一の家に属する者のみを使用する船舶を除くほか、船舶において使用され、又は労働することができない。
2 尤も、国内の法令又は規則は、十四歳以上の児童が使用されるのを許可する証明書の下付について規定することができる。但し右は、国内の法令又は規則によつて定められた教育機関又は他の適当な機関が児童の健康、身体の状態並びに当該使用が児童にもたらす現在及び将来の利益を十分に考慮した後に当該使用が児童にとつて利益であることを認めた場合に限る。

第 三 条

 第二条の規定は、学校船又は練習船において児童が行う労働には適用しない。但しこの種の労働は、公の機関の承認を得且つその監督をうけるものとする。

第 四 条

 この条約の規定の実施を容易ならしめるため、各船長は、その船舶において使用する十六歳未満のすべての者及びその出生の日を記載した帳簿又は海員名簿を備え付けることを要する。

千九百二十一年ノ最低年齢(石炭夫及火夫)条約

第 一 条

 本条約ニ於テ船舶ト称スルハ其ノ公有タルト私有タルトヲ問ハス海洋航行ニ従事スル各種ノ船舶舟艇ヲ総テ包含ス但シ軍艦ハ之ヲ除ク

第 二 条

 十八歳未満ノ年少者ハ船舶ニ於テ石炭夫又ハ火夫トシテ使用セラレ又ハ労働スルコトヲ得ス

第 三 条

 第二条ノ規定ハ左ニ付之ヲ適用セス
 (a) 学校船又ハ練習船ニ於ケル年少者ノ為ス労働但シコノ種ノ労働ハ公ノ機関ノ承認ヲ得且其ノ監督ヲ受クヘキモノトス
 (b) 蒸気以外ノモノニ依リ主トシテ推進スル船舶ニ於ケル年少者ノ使用
 (c) 十六歳以上ノ年少者ニシテ体格検査ニ合格シ印度及日本ノ沿岸貿易ニ専ラ従事スル船舶ニ石炭夫又ハ火夫トシテ使用セラルルモノ尤モ右二国ニ於ケル最代表的ナル使用者団体及労働者団体ト協議ノ上定メラルル規則ニ従フヘキモノトス

第 四 条

 十八歳未満ノ年少者ニ非サレハ石炭夫又ハ火夫トシテ雇入レ難キ港ニ於テ之ヲ必要トスルトキハ右年少者ト雖使用スルコトヲ得ヘク且右ノ場合ニ於テハ必要ナル石炭夫又ハ火夫一名ニ代ヘテ年少者二名ヲ雇傭スルコトヲ要ス右年少者ハ少ナクトモ十六歳タルヘシ

第 五 条

 本条約ノ規定ノ実施ヲ容易ナラシムル為各船長ハ其ノ船舶ニ於テ使用スル十八歳未満ノ一切ノ者及ヒ其ノ出生ノ日ヲ記載シタル帳簿又ハ海員名簿ヲ備附クルコトヲ要ス

第 六 条

 乗組員ノ雇入契約ニハ本条約ノ規定ノ要綱ヲ記載スヘシ

千九百四十六年の年少者健康検査(工業)条約

第 一 部 総則

第 一 条

1 この条約は、公有であると私有であるとを問わず、工業的企業において又はこれに関連して雇用され又は労働する児童及び年少者に適用する。
2 この条約において「工業的」と称するのは、特に次に掲げるものを含む。
 (a) 鉱山業、石切業その他土地より鉱物を採取する事業
 (b) 物品の製造、改造、浄洗、修理、装飾、仕上、販売のためにする仕立、破壊若しくは解体をなし又は材料の変造を為す工業(造船並びに電気又は各種動力の発生、変更及び伝導に従事する企業を含む。)
 (c) 建築及び土木工事に従事する企業(建設、修理、保存、変更及び解体工事を含む。)
 (d) 道路、鉄軌道、内地水路又は航空による乗客又は貨物の運送(船渠、岸壁、波止場、倉庫又は空港における貨物取扱を含む。)
3 権限ある機関は、工業と農業、商業その他の非工業的業務との分界を定めるものとする。

第 二 条

1 児童及び十八歳未満の年少者は、厳密な健康検査によつて使用されるべき作業に適すると診断されるのでなければ、工業的企業にこれを使用することができない。
2 雇用に対する適格性を診断すべき健康検査は、権限ある機関の承認する有資格の医師によつて行われねばならない。又該検査は、健康証明書により又は労働許可証若しくは労働手帳に裏書することによりこれを証明しなければならない。
3 雇用に対する適格性を証明すべき書類は、次の場合に発行することができる。
 (a) 雇用の特殊の条件に基き、
 (b) 雇用の適格性を診断する健康検査に関する法令の施行につき責任を有する当局が同一の健康上の危険を持つものとして分類した職務若しくは職務群又は職業群に対して
4 国内の法令は、雇用の適格性を証明する書類を発行する権限ある機関を定め、且つ該書類の作成及び発行に関し守るべき諸条件を定めなければならない。

第 三 条

1 児童又は年少者は、十八歳に達するまでその従事する職業における適格性に対し医的監督を受けなければならない。
2 児童又は十八歳未満の者を継続して雇用する場合は、一年を超えない間隔をおいて繰り返し健康検査を受けさせなければならない。
3 国内の法令は、次の規定を含まなければならない。
 (a) 以前の検査に現われたその児童又は年少者の職業における危険及び健康状態に関し有効な監督を行うために、年次検査の外に又は更に頻繁に再検査を必要とする特別の場合の規定を設けること。又は
 (b) 例外的場合において権限ある機関に健康再検査を行わせる権限を与えること。

第 四 条

1 高度の健康上の危険のある職業においては、少くとも二十一歳に達するまで雇用適格の健康検査及び再検査を行わねばならない。
2 国内の法令は、少くとも二十一歳まで雇用適格の健康検査及び再検査を必要とする業務又は業務の範囲を定めるか、又はこれを定める権限を適当な権限ある機関に与えねばならない。

第 五 条

 前諸条に規定された健康検査については、児童若しくは年少者又はその両親に費用を負担させてはならない。

第 六 条

1 権限ある機関は、健康検査によりある種の作業に不適当なること又は身体上に障害若しくは限界をもつことが明かにされた児童及び年少者の職業指導並びに肉体的及び職業的更生について適当な措置を取らねばならない。
2 かかる措置の性質及び範囲は、権限ある機関がこれを決定するものとする。このためには労働、保健、教育及び社会の各関係機関の間において協力を保たねばならず、又かかる措置を実行するためにこれら各機関の間に有効な連絡が保たれねばならない。
3 国内の法令は、雇用に対する適格性が明確に決定されない児童及び年少者に対して次のものの発行を規定することができる。
 (a) 一定期間有効であり、その期間の満了とともに年少者が再検査を受けることを要する如き仮の労働許可証又は健康証明書
 (b) 特別の雇用条件を必要とする許可証又は証明書

第 七 条

1 使用者は、国内の法令により規定される使用に対する医学的反証がないことを示した雇用適格の健康証明書又は労働許可証若しくは労働手帳を備え付け労働監督官に提示し得るようにしておかなければならない。
2 国内の法令は、この条約の厳密な施行を確保するために、その他の監督方法を定めねばならない。

第 二 部 若干の国に対する特別規定

第 八 条

1 人口の稀薄又はその地域の開発の状態のために権限ある機関がこの条約の規定の施行を不可能と認める如き広大な地域をもつた加盟国については、該機関は、かかる地域に対し一般的に又は特定の企業若しくは職業について、その適当と認める如き除外例を設けてこの条約の適用を除外することができる。
2 各加盟国は、国際労働機関憲章第二十二条により提出されるべきこの条約の適用に関するその第一回の年次報告において、本条の規定を援用せんとする地域を指摘することを要し、且つ如何なる加盟国も、その第一回の年次報告の日附後は、指摘された地域についての外本条の規定を援用することはできない。
3 本条の規定を援用する各加盟国は、その後の年次報告において本条の規定を援用する権利を放棄せんとする地域を指摘しなければならない。

第 九 条

1 この条約の批准を許容する法令又は規則の採択の日以前に、児童及び年少者の工業における雇用適格のための健康検査に関する法令又は規則を有しなかつた加盟国は、その批准に附する宣言において、第二条及び第三条に規定する十八歳の代りに十八歳より少い年令を以てすることができるが、如何なる場合にも十六歳よりも少くすることができないし、又第四条に規定する二十一歳の代りに二十一歳より少い年令を以てすることができるが、如何なる場合にも十九歳よりも少くすることはできない。
2 かかる宣言を発した加盟国は、何時でもその後に出す宣言により以前の宣言を取消すことができる。
3 本条第一項による宣言を実施している加盟国は、毎年この条約の適用に関する年次報告において、この条約の条項の完全な適用を目指して如何なる進歩がなされたかについて報告しなくてはならない。

千九百二十一年ノ年少者体格検査(海上)条約

第 一 条

 本条約ニ於テ「船舶」ト称スルハ其ノ公有タルト私有タルトヲ問ハス海洋航行ニ従事スル各種ノ船舶舟艇ヲ総テ包含ス但シ軍艦ハ之ヲ除ク

第 二 条

 同一ノ家ニ属スル者ノミヲ使用スル船舶ニ於ケル場合ヲ除クノ外児童又ハ十八歳未満ノ年少者ハ其ノ船舶内労働ニ適スルコトヲ証明シ且権限アル機関ノ承認スル医師ノ署名シタル健康証明書ノ提出アルニ非サレハ之ヲ斯ル労働ニ使用スルコトヲ得ス

第 三 条

 右ノ児童又ハ年少者ハ一年ヲ超エサル期間内ニ右体格検査ノ更新アリ且新検査毎ニ其ノ海上労働ニ適スルコトヲ証明スル健康証明書ノ提出アルニ非サレハ之ヲ斯ル労働ニ継続使用スルコトヲ得ス健康証明書ノ有効期間カ航海中満了スルトキハ右証明書ハ該航海ノ終了迄効力ヲ存スヘシ

第 四 条

 緊急ナル場合ニ於テハ権限アル機関ハ十八歳未満ノ年少者カ第二条及第三条ノ定ムル検査ヲ受ケスシテ乗組ムコトヲ許容スルコトヲ得但シ当該船舶ノ寄港スル最初ノ港ニ於テ右検査ヲ受クルコトヲ要ス

千九百四十八年の年少者夜業(工業)条約(改正)

第 一 部 総則

第 一 条

1 この条約において「工業的企業」と称するのは、左に掲げるものを特に包含する。
 (a) 鉱山業、石切業その他土地より鉱物を採取する事業
 (b) 物品の製造、改造、浄洗、修理、装飾、仕上、販売のためにする仕立、破壊若しくは解体を為し又は材料の変造を為す企業(造船に従事し又は電気若しくは各種動力の発生、変更若しくは伝導に従事する企業を含む。)
 (c) 建設工事及び土木工事に従事する企業(建設、修理、保存、変更及び解体工事を含む。)
 (d) 道路又は鉄軌道による旅客又は貨物の運送に従事する企業(船渠、岸壁、波止場、倉庫又は空港における貨物の取扱を含む。)
2 工業と農業、商業及びその他の非工業的業務との分界は、権限ある機関がこれを定めなければならない。
3 国内の法令又は規則は、父母、子女又は被後見人のみが使用される家庭企業において年少者に有害又は危険と認められない作業における使用をこの条約の適用より除外することができる。

第 二 条

1 この条約において「夜間」と称するのは、継続する少くとも十二時間の時間を謂う。
2 十六歳未満の年少者については、右の時間は、夜十時より朝六時に至る時間を包含しなければならない。
3 十六歳以上十八歳未満の年少者については、この時間は、権限ある機関の定める夜十時より朝七時に至るまでの間における少くとも七時間の継続する時間を包まなければならない。権限ある機関は、異なる地域、工業、企業又は工業若しくは企業の分科に対し異なる時間を定めることができるが、夜十一時後に始まる時間を定めるに先だち、関係ある使用者団体及び労働者団体と協議しなければならない。

第 三 条

1 十八歳未満の年少者は、次に規定する場合の外、公私一切の工業的企業又はその各分科において夜間これを使用し又は労働することができない。
2 権限ある機関は、継続的に作業するを必要とする特定の工業又は職業における技能者養成又は職業教育のために、関係のある使用者団体又は労働者団体と協議の上、十六歳以上十八歳未満の年少者を夜間使用することを許可することができる。
3 前項により夜業に使用される年少者には、前後二回の労働時間の間において、少くとも十三時間の継続する休憩時間を与えなければならない。
4 パン焼業における夜業をすべての労働者に禁止した所にあつては、権限ある機関は、十六歳以上の年少者の技能者養成又は職業教育のために夜九時より朝四時に至る時間を以て、第二条3に基き権限ある機関により定められる夜十時より朝七時に至るまでの間における少くとも七時間の継続する時間に代えることができる。

第 四 条

1 気候のため昼間の作業を特に困難とする国においては、夜間及び禁止時間は、前数条に規定するところよりこれを短縮することができる。但し昼間において代償休憩を与えなければならない。
2 防止又は予見することができず、回帰性を有せず且つ工業的企業の正常の操業を妨げる緊急事故の場合においては、第二条及び第三条の規定は、十六歳以上十八歳未満の年少者の夜業にこれを適用しない。

第 五 条

 重大な緊急事故の場合において公益のため必要なときは、政府は、十六歳以上十八歳未満の年少者に夜業禁止を停止することができる。

第 六 条

1 この条約の規定を施行する法令又は規則は、左の事項に関する規定を包含しなければならない。
 (a) この条約の規定を関係者に確実に知らしめるに足る規定を設けること。
 (b) この条約の規定を遵守する責任ある者を定めること。
 (c) この条約の規定の違反に対する充分の罰則を設けること。
 (d) 有効な施行を確保するに足る監督制度の維持を規定すること。
 (e) 公私一切の工業的企業における使用者をしてその使用する十八歳未満のすべての者の氏名及び出生の年月日その他権限ある機関の要求する適当な事項を示す帳簿又は公の記録を備え付けしめること。   
2 国際労働機関憲章第二十二条に基き加盟国が提出する年報には、右の法令及び規則に関する詳細な情報及びこれに基いて行われた監督の結果の概要を包含しなければならない。

第 二 部 若干の国に対する特別規定

第 七 条

1 この条約の批准を許容する法令又は規則の採択の日以前十八歳より低い最低年令を規定する工業における年少者の夜業を制限する法令又は規則を有する加盟国は、その批准に添付する宣言により、十八歳より低い最低年令を以て第三条1に規定する最低年令に代えることができる。但しいかなる場合においても十六歳を下ることができない。
2 右の宣言を行つた加盟国は、何時にても後日の宣言を以て右の宣言を取消すことができる。
3 本条1によつて行われた宣言の適用を受ける加盟国は、この条約の適用に関する年報において、この条約の規定の完全な適用の目的を以つて為された改善の程度を毎年明示しなければならない。

千九百十九年の母性保護条約

第 一 条

1 この条約において「工業的企業」と称するのは、次に挙げるものを特に包含する。
 (a) 鉱山業、石切業その他土地より鉱物を採取する事業
 (b) 物品の製造、改造、浄洗、修理、装飾、仕上、販売のための仕立、破壊若しくは解体をなし又は材料の変造をなす工業(造船並びに電気又は各種動力の発生、変更及び伝導を含む。)
 (c) 建物、鉄道、軌道、港、船渠、棧橋、運河、内地水路、道路、隧道、橋梁、陸橋、下水道、排水道、井戸、電信電話装置、電気工作物、ガス工作物、水道その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更又は解体及び上記の工作物又は建設物の準備又は基礎工事
 (d) 道路、鉄軌道、海又は内地水路による旅客又は貨物の運送(船渠、岸壁、波止場又は倉庫における貨物の取扱を含むが人力による運送は含まない。)
2 この条約において「商業的企業」と称するのは、物品を販売し又は商業を経営する一切の場所を包含する。
3 工業及び商業と農業との分界は、各国における権限ある機関がこれを定める。

第 二 条

 この条約において「婦人」と称するのは、年令又は国籍の如何を問わず、既婚者であると未婚者であるとを問わず一切の女性をいい、「生児」と称するのは、嫡出子であると否とを問わず、一切の生児をいう。

第 三 条

 同一の家に属する者のみを使用する企業を除き、一切の公私の工業的若しくは商業的企業又はその各分科において、婦人は、
 (a) その分娩後六週間は之を労働させることができない。
 (b) その分娩が六週間以内に起る予定である旨を記した診断書を提出するときはその仕事を休む権利を有する。
 (c)  (a)及び(b)によつて休業している間は、その婦人及びその生児が十分に又健康を保つて生活し得るに足る給付金が公共基金又は保険制度の方法により支払われねばならない。その定額は、各国における権限ある機関がこれを定めるものとする。更に附加的給付として医師又は免許助産婦の手当を無料で受ける権利を有する。分娩日時の算定を医師又は産婆が誤算しても、該診断書に記載の日から実際の分娩の日に至る迄の間、婦人がこれらの給付を受けることを妨げるものではない。
 (d) その生児に授乳するならば、如何なる場合も、このためにその作業時間中に一日につき二回三十分宛が与えられねばならない。

第 四 条

 婦人がこの条約第三条(a)若しくは(b)によつて休業するか又は病気であつて、妊娠若しくは分娩に基くと医学的に証明され且つ労働に不適当となつた結果としてそれより以上長期に亘つて休業する場合には、その休業が各国の権限ある機関によつて定められた最大限の期間を超えない限り、その婦人の使用者は、その婦人に対してその休業中に解雇の通告をするか又はその休業中にその予告期限が切れるが如き時期に解雇の予告を与えることは違法である。

千九百四十八年の夜業(婦人)条約(改正)

第 一 部 総則

第 一 条

1 この条約において「工業的企業」と称するのは、左に掲げるものを特に包含する。
 (a) 鉱山業、石切業その他土地より鉱物を採取する事業
 (b) 物品の製造、改造、浄洗、修理、装飾、仕上、販売のためにする仕立、破壊若しくは解体を為し又は材料の変造を為す企業(造船に従事し又は電気若しくは各種動力の発生、変更又は伝導に従事する企業を含む。)
 (c) 建設工事及び土木工事に従事する企業(建築、修理、保存、変更及び解体工事を含む。)
2 工業と農業、商業及びその他の非工業的業務との分界は、権限ある機関がこれを定めなければならない。

第 二 条

 この条約において「夜間」と称するのは、権限ある機関の定める夜十時より朝七時に至るまでの間における少くとも七時間の継続する時間を含む少くとも十一時間の継続する時間を謂う。権限ある機関は、異なる地域、工業、企業又は工業若しくは企業の分科に対し異なる時間を定めることができるが、夜十一時後に始まる時間を定めるに先だち、関係のある使用者団体及び労働者団体と協議しなければならない。

第 三 条

 婦人は、年令に拘わらず、同一の家に属する者のみを使用する企業を除くの外、公私一切の工業的企業又はその各分科において夜間これを使用することができない。

第 四 条

 第三条は、左の場合にこれを適用しない。
 (a) 不可抗力の場合において、予見することができず、且つ回帰性を有せざる作業中絶を或る企業に生じた場合
 (b) 原料又は取扱材料であつて急に損敗し易きものを作業上処理すべき場合において右原料の損失を防ぐため夜業を必要とする場合

第 五 条

1 重大な緊急事故の場合において国家の利益のため必要あるときは、関係ある使用者団体及び労働者団体と協議の上、政府は、婦人に対する夜業禁止を停止することができる。
2 右の停止は、この条約の適用に関する年報において、当該政府がこれを国際労働事務局長に通告しなければならない。

第 六 条

 季節の影響を受ける工業的企業において及び例外の事情により必要あるすべての場合において、一年につき六十日間は、夜間を十時間に短縮することができる。

第 七 条

 気候のため昼の作業を特に困難とする国においては、夜間は、前数条に規定するところよりこれを短縮することができる。但し昼間において代償休憩を与えなければならない。

第 八 条

 この条約は、左に掲げる婦人にはこれを適用しない。
 (a) 管理的又は技術的性質の責任ある地位にある婦人
 (b) 保健及び厚生施設に使用される婦人であつて通常筋肉労働に従事しないもの

第 二 部 若干の国に対する特別規定

第 九 条

 工業的企業における夜間の婦人使用につき未だ公の規則の適用のない国においては、「夜間」とは、当分の内且つ三年を超えない期間内、政府は、権限ある機関の定める夜十時より朝七時に至る時間中少くとも連続七時間の時間を包含する十時間のみの時間を謂うと宣言することができる。

千九百三十五年の坑内作業(女子)条約

第 一 条

 この条約の適用上、「鉱山」とは、地下から物質を採取するためのすべての公私の事業場をいう。

第 二 条

 女子は、年令の如何を問わず、鉱山における坑内の作業に使用してはならない。

第 三 条

 次の者は、国内法令の定めるところにより、前条の禁止から除外することができる。
 (a) 管理の地位にあつて筋肉労働をしない女子
 (b) 保健及び福祉の業務に使用される女子
 (c) 実習の過程において坑内で訓練を受けている女子
 (d) その他筋肉労働の性格を有しない職業のため随時坑内に入る必要がある女子

千九百二十五年ノ均等待遇(災害補償)条約

第 一 条

1 本条約ヲ批准スル国際労働機関ノ各締盟国ハ本条約ヲ批准シタル他ノ締盟国ノ国民ニシテ其ノ領域内ニ於テ発生スル産業災害ニ因リ身体ノ傷害ヲ受ケタル者又ハ該労働者ノ被扶養者ニ自国民ニ許与スルト同様ノ労働者補償ニ関スル待遇ヲ許与スルコトヲ約ス
2 右ノ均等待遇ハ居所ノ如何ニ拘ラズ外国人労働者又ハ其ノ被扶養者ニ保障セラルベシ締盟国又ハ其ノ国民ガ右原則ニ基キ該締盟国ノ領域外ニ於テ為スベキ支払ニ関シテ執ルベキ措置ハ必要アルトキハ関係アル締盟国間ノ特別ノ協定ニ依リ之ヲ定ムベシ

第 二 条

 一締盟国ノ領域内ニ於テ他ノ締盟国ノ領域内ニ存在スル企業ノ為一時的又ハ間歇的ニ使用中ノ労働者ニ発生スル産業災害ノ補償ハ右他ノ締盟国ノ国内ノ法令及規則ノ適用ヲ受クベキコトヲ定ムル為関係アル締盟国間ニ於テ特殊ノ取極ヲ為スコトヲ得

第 三 条

 本条約ヲ批准スル締盟国ニシテ保険其ノ他ノ方法ニ依ル労働者災害補償ニ関スル制度ヲ未ダ有セザルモノハ其ノ批准ノ日ヨリ三年以内ニ右ノ制度ヲ設クルコトニ同意ス

第 四 条

 本条約ヲ批准スル締盟国ハ本条約ノ実施並労働者補償ニ関スル各自国ノ法令及規則ノ施行ヲ容易ナラシムル為相互的助力ヲ互ニ与フルコト又労働者補償ニ関スル現行ノ法令及規則ノ変更ニ関シ国際労働事務局ニ通報スルコトヲ尚約ス右事務局ハ他ノ関係アル締盟国ニ之ヲ通報スベシ

千九百二十五年の労働者補償(災害)条約

第 一 条

 この条約を批准する国際労働機関の各加盟国は、産業災害により身体に傷害をうけた労働者又はその被扶養者がこの条約により定められる条件と少くとも均等の条件で補償されることを確保することを約束する。

第 二 条

1 労働者補償に関する法令及び規則は、公私一切の性質の事業、企業又は事業場に使用される労働者、使用人及び徒弟にこれを適用しなければならない。
2 尤も加盟国は、次に挙げる者について、その必要と認める例外を各自国の国内法規において設けることができる。
 (a) 臨時的労働に従事し且つ使用者の職業又は業務の目的以外に使用される者
 (b) 家内労働者
 (c) 使用者の家に属する者であつて専ら使用者のために働き且つその家屋内に居住する者
 (d) 非筋肉労働者であつてその報酬が国内の法令又は規則により定められる限度を超える者

第 三 条

 この条約は、次に挙げる者には適用されない。
1 将来の条約により規定が設けられる海員及び漁夫
2 この条約の条件より不利でない条件を有する特殊制度の適用を受ける者

第 四 条

 この条約は、農業には適用されない。農業に関しては、国際労働総会によつてその第三回会議に於て採択された農業における労働者補償に関する条約がその効力を有する。

第 五 条

 傷害の結果終身の労働不能又は死亡に至つた場合において、労働者又はその被扶養者に支給される補償は、定期金の形式で支払われるものとする。但し右の補償が適当に利用される保障があると権限ある機関が認むるときは、その全部又は一部を一時金で支払うことができる。

第 六 条

 労働不能の場合においては、それに対する補償は、関係ある使用者、災害保険機関又は疾病保険機関のいずれによつて支給されるかを問わず、災害後おそくとも第五日より支払われなければならない。

第 七 条

 傷害の結果、労働者が常時他人の助力を必要とするが如き性質の労働不能に至つた場合においては、割増補償が支給されなければならない。

第 八 条

 国内の法令又は規則は、必要と認められる監督上の措置及び審査の方法を定めなければならない。

第 九 条

 傷害を受けた労働者は、医療上の扶助並びにその災害の結果必要と認められる外科上及び薬剤上の扶助をうける権利を有する。かかる扶助に要する費用は、使用者、災害保険機関又は疾病若しくは廃疾保険機関のいずれかによつて支出されねばならない。

第 十 条

1 傷害をうけた労働者は、使用者又は保険者より必要と認められる義肢及び外科的補助器の支給及びその正常の取替を受ける権利を有する。但し国内の法令又は規則は、特別の事情ある場合においては、傷害をうけた労働者に対しかかる義肢及び外科的補助器の供給及び取替の代りにかかる器具の支給及び取替に要する概算費用に相当する金額を被害労働者に支給することができる。この金額は、補償額が定められ又は改訂される時に決定されるべきものとする。
2 国内の法令又は規則は、補助器の取替に関する濫用を防止するため又は割増補償がこの目的のため利用されることを確保するため、必要な監督上の措置を定めなければならない。

第 十 一 条

 国内の法令又は規則は、使用者又は保険者の支払不能の場合において、産業災害により身体に傷害をうけた労働者に、又はその労働者が死亡の場合にはその被扶養者に、補償の支払をすべての事情の下において確保するため、国内事情を考慮に入れて最も適当と認められる規定を設けなければならない。

千九百二十九年ノ重量標示(船舶運送ノ包装貨物)条約

第 一 条

1 一千キログラム(一メートル式トン)以上ノ総重量ヲ有スル包装貨物又ハ物品ニシテ海又ハ内地水路ニ依リ運送セラルル為本条約ヲ批准スル締盟国ノ領域内ニ於テ発送セラルルモノハ船舶ニ積込マルルニ先チソノ総重量ヲ其ノ外部ニ明瞭ニ且耐久的ニ標示スベシ
2 精確ナル重量ヲ決定スルコト困難ナル例外ノ場合ニ於テハ国内ノ法令又ハ規則ハ近似的重量ガ標示セラルルコトヲ許容スルコトヲ得
3 右ノ要件ガ遵守セラルルコトヲ監視スルノ義務ハ包装貨物又ハ物品ガ発送セラルル国ノ政府ニノミ存シ右ガ其ノ目的地ヘノ途中ニ於テ通過スル国ノ政府ニハ存セザルベシ
4 前記重量標示ノ義務ガ発送者又ハ其ノ他ノ個人若ハ団体ノ何レニ属スベキヤハ各国ノ法令又ハ規則ニ於テ之ヲ決定スルコトヲ得

千九百二十一年の週休(工業)条約

第 一 条

1 この条約において「工業的企業」と称するのは、左に挙げるものを包含する。
 (a) 鉱山業、石切業その他土地より鉱物を採取する事業
 (b) 物品の製造、改造、浄洗、修理、装飾、仕上、販売のためにする仕立、破壊若しくは解体をなし又は材料の変造を為す工業(造船並びに電気又は各種動力の発生、変更及び伝導を含む。)
 (c) 建物、鉄道、軌道、港、船渠、棧橋、運河、内地水路、道路、隧道、橋梁、陸橋、下水道、排水道、井戸、電信電話装置、電気工作物、ガス工作物、水道その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更又は解体及び上記の工作物又は建造物の準備又は基礎工事
 (d) 道路、鉄軌道又は内地水路による旅客又は貨物の運送(船渠、岸壁、波止場又は倉庫における貨物の取扱を含むも人力による運送を含まない。)
2 〔適用不可能〕
3 各加盟国は、右列記の外、必要に応じ工業と商業及び農業との分界を定めることができる。

第 二 条

1 一切の公私の工業的企業又はその分科において使用されるすべての従業者は、次の諸条に別段の定めのない限り、七日の期間毎に一回少くとも継続二十四時間の休暇を享受するものとする。
2 右休暇は、各企業のすべての従業者に対しできる限り同時にこれを与えなければならない。
3 右休暇は、その国又は地方の因襲又は慣習により既に定まつている日と一致するようにこれを定めなければならない。

第 三 条

 各加盟国は、同一の家に属する者のみを使用する工業的企業に使用される者を第二条の規定の適用から除外することができる。

第 四 条

1 各加盟国は、人道的及び経済的の相当な一切の考察を特に参酌し、且つ責任ある使用者団体及び労働者団体が存在するときはこれと協議した上、第二条の規定の全部又は一部の例外(停止又は短縮を含む。)を許可することができる。
2 右の協議は、現行法制の下に例外の既に定まれる場合においてはこれを必要としない。

第 五 条

 各加盟国は、第四条に基く停止又は短縮に対し代償休暇をできる限り設けねばならない。但し協定又は慣習により右休暇の既に設けられている場合はこの限りではない。

第 六 条

1 各加盟国は、第三条及び第四条に基く例外の表を作成し、国際労働事務局にこれを通告し、且つ該表に加えられる変更を爾後二年毎に通告しなければならない。
2 国際労働事務局は、本件に関する報告を国際労働機関の総会に提出しなければならない。

第 七 条

 この条約の規定の適用を容易にする為に、各使用者、理事者又は支配人は、次の義務をもつ。
 (a) 総ての従業者に対して一斉に週休を与える場合には、工場その他の便宜の場所に見易い様に掲示することにより又は政府の承認する他の方法によつて、右の一斉休暇の日及び時を知らさねばならない。
 (b) 総ての従業者に対して一斉に休暇が与えられない場合には、労働者又は使用人であつて特別の休暇制度に服している者をその国の法令又は権限ある機関の規則の承認する方法によつて作成した出勤者名簿によつて知らしめねばならず、又右の制度を指示しなければならない。