1955年の刑罰廃止(土民労働者)条約(第104号)

ILO条約 | 1955/06/21

土民労働者による雇用契約の違反に対する刑罰の廃止に関する条約(第104号)
(日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、国際労働事務局の理事会によりジュネーヴに招集されて、二千十八年五月二十八日にその第百七回会期として会合し、本会期の議事日程の第七議題である六本の国際労働条約の廃止及び三本の国際労働勧告の撤回に関する提案を検討し、二千十八年六月五日に、千九百五十五年の刑罰廃止(土民労働者)条約(第百四号)の廃止を決定する。国際労働事務局長は、本条約廃止の決定を、国際労働機関の全加盟国及び国際連合事務総長に通知する。この決定の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。

 国際労働機関の総会は、
理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百五十五年六月一日にその第三十八回会期として会合し、
この会期の議事日程の第六議題である土民労働者による雇用契約の違反に対する刑罰に関する提案の採択を決定し、
この提案が国際条約の形式をとるべきであることを決定し、また、
前記の刑罰を廃止すべき時期に達したこと及びこの刑罰を国内の法令に維持することが使用者と労働者との間に契約関係に関する近代的概念並びに人格の尊厳及び人権に反することを確信して、
次の条約(引用に際しては、千九百五十五年の刑罰廃止(土民労働者)条約と称することができる。)を千九百五十五年六月二十一日に採択する。

第 一 条

 各国の権限のある機関は、千九百三十九年の刑罰(土民労働者)条約第一条1に掲げる労働者による同条約第一条2に定める雇用契約の違反に対する刑罰が自国内に存在する場合には、すべてのこれらの刑罰を廃止するための措置を執らなければならない。

第 二 条

 前条のすべての刑罰は、直ちに適用される措置によつて廃止しなければならない。

第 三 条

 直ちに適用される措置が実際的でないと考えられるときは、前記の刑罰を漸進的に廃止するための措置をいかなる場合においても執らなければならない。

第 四 条

 第三条の規定に基いて執られる措置は、できる限りすみやかに、かつ、いかなる場合においても、この条約の批准の日からおそくとも一年以内にすべての刑罰を廃止することを確保するものでなければならない。

第 五 条

 土民労働者と非土民労働者との間の差別待遇を除くため、第一条の規定の適用を受けない雇用契約の違反に対する刑罰で非土民労働者に適用されないものは、土民労働者について廃止しなければならない。

第 六 条

 この条約の正式の批准は、登録のため国際労働事務局長に通知する。

第 七 条

1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が事務局長に登録されたもののみを拘束する。
2 この条約は、二の加盟国の批准が事務局長に登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。

第 八 条

1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年を経過した後は、登録のため国際労働事務局長に送付する文書によつてこの条約を廃棄することができる。その廃棄は、登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で、1に定める十年の期間が満了した後一年以内にこの条に規定する廃棄の権利を行使しないものは、更に十年間拘束を受けるものとし、その後は、十年の期間が満了するごとに、この条に定める条件に従つてこの条約を廃棄することができる。

第 九 条

1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告する。
2 事務局長は、通知を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずる日につき加盟国の注意を喚起する。

第 十 条

 国際労働事務局長は、国際連合憲章第百二条の規定による登録のため、前諸条の規定に従つて登録されたすべての批准及び廃棄の完全な明細を国際連合事務総長に通知する。

第 十 一 条

 国際労働機関の理事会は、必要と認めるときは、この条約の運用に関する報告を総会に提出するものとし、また、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を検討する。

第 十 ニ 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
(a) 加盟国によるその改正条約の批准は、その改正条約の効力発生を条件として、第八条の規定にかかわらず、当然にこの条約の即時の廃棄を伴う。
(b) 加盟国による批准のためのこの条約の開放は、その改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で1の改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第 十 三 条

 この条約の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。