1958年の農園条約(第110号)

ILO条約 | 1958/06/24

農園労働者の雇用条件に関する条約(第110号)
(日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百五十八年六月四日にその第四十二回会期として会合し、
 この会期の議事日程の第五議題である農園労働者の雇用条件の問題を審議し、
 現存の諸条約がより一般的に批准されかつその規定がこれらの条約の適用範囲内にあるすべての者に適用されるまでこれらの条約の規定を農園に適用することを促進し、及び現在農園に適用されない条約を農園に適用することについて規定するため、これらの目的のための文書を採択することが例外的措置として望ましいことを決定し、
 この文書が国際条約の形式をとるべきであることを決定したので、
 次の条約(引用に際しては、千九百五十八年の農園条約と称することができる。)を千九百五十八年六月二十四日に採択する。

第 一 部 一般規定

第 一 条

1 この条約の適用上、「農園」とは、雇用労働者を定期的に使用する農業的企業で、熱帯又は亜熱帯にあり、かつ、商業的目的のために、主として、コーヒー、茶、さとうきび、ゴム、バナナ、ココア、ココやし、落花生、綿、タバコ、せんい(サイザル、黄麻及び大麻)、柑きつ類、やし油、キナ又はパイナップルの栽培又は生産に従事するものをいう。地方的消費のために生産し、かつ、定期的に雇用労働者を使用しない家内企業又は小規模な企業は含まない。
2 この条約の適用を受ける加盟国は、関係使用者団体及び関係労働者団体で最も代表的なものがある場合にはそれらと協議の上、次の方法によつてこの条約を他の農園に適用することができる。
 (a) 1に掲げる農作物の表に次の農作物の一又は二以上を追加すること。米、きくにがな、しようずく、ジェラニウム、除虫菊又はその他の農作物
 (b) 1に掲げられない種類の企業で国内法又は国内慣行により農園として分類されるものを1に定める農園に追加すること。
  前記の加盟国は、国際労働機関憲章第二十二条の規定に基いて提出する当該加盟国のこの条約の適用に関する年次報告において、このために執つた措置を記載しなければならない。
3 この条約の適用上、「農園」とは、通常、農園の生産物の第一次的加工を行う作業を含む。

第 二 条

 この条約を批准する加盟国は、人種、皮膚の色、性、宗教、政治的見解、国籍、社会的出身、部族又は労働組合所属のいかんを問わずすべての農園労働者に対し平等にこの条約の規定を適用することを約束する。

第 三 条

1 この条約の適用を受ける加盟国は、
 (a) 次のものを実施しなければならない。
  (i)  第一部
  (ii)  第四部、第九部及び第十一部
  (iii) 第二部、第三部、第五部、第六部、第七部、第八部、第十部、第十二部及び第十三部のうち少くとも二部
  (iv)  第十四部
 (b) この条約に基く義務の受諾から一又は二以上の部を除外する場合には、当該加盟国の批准に付する宣言において、そのようにして除外する部を明記しなければならない。
2 1(b)の規定に基いて宣言を行つた加盟国は、国際労働機関憲章第二十二条の規定に基いて提出する当該加盟国の年次報告において、除外された部を適用するためになされた進歩を記載しなければならない。
3 この条約を批准したが前諸項の規定に基いてこの条約のいずれかの部を除外した加盟国は、その後、国際労働事務局長に対し、そのようにして除外した部についてこの条約の義務を受諾する旨通告することができる。この約束は、批准の不可分の部分とみなされ、かつ、通告の日から批准と同一の効力を有するものとする。

第 四 条

 国際労働機関憲章第十九条8の規定に従つて、この条約のいかなる規定も、この条約が規定する条件よりも関係労働者にとつてより有利な条件を確保しているいかなる法律、裁定、慣行又は協約にも影響を及ぼしてはならない。

第 二 部 雇入、募集及び移住労働者

第 五 条

 この部の規定の適用上、「募集」とは、自発的に自己の労務を提供しない者の労働を労務地、公の移民事務所若しくは職業紹介所又は使用者団体により経営されかつ権限のある機関によつて監督される事務所において獲得し、又は供給する目的をもつて行われるすべての行為を含む。

第 六 条

 家長の募集は、その家族の募集を含むものとみなしてはならない。

第 七 条

 いかなる人又は団体も、その人又は団体が権限のある機関により免許され、かつ、行政庁のため又は特定の使用者若しくは使用者団体のため労働者を募集する場合を除くほか、職業的募集に従事してはならない。

第 八 条

 使用者、使用者の代理人、使用者団体、使用者により補助される団体並びに使用者団体及び使用者により補助される団体の代理人は、権限のある機関により免許される場合を除くほか、募集に従事してはならない。

第 九 条

1 募集された労働者は、公の職員の前に出頭させるものとし、その職員は、募集に関する法令が遵守されたこと及び特に、その労働者が違法な圧迫を受け又は詐欺若しくは錯誤により募集されたものでないことを確認しなければならない。
2 募集された労働者は、募集地に便利なできる限り近くの公の職員の前に、又は異なる行政庁の下にある地域における労務のため一地域において募集される労働者については、おそくとも、募集地域を離れる場所における公の職員の前に出頭させるものとする。

第 十 条

 権限のある機関は、募集された労働者で募集地又はその付近において仕事に従事しないもののそれぞれに対して当該機関が定める事項(たとえば、労働者の身元、将来の雇用条件及び労働者に対してなされる賃金の前貸し)を含む採用証書、労働手帳又は仮契約書のような書類を発行することを要求する措置の採用を実行可能かつ必要ならしめる事情がある場合には、そのことを要求しなければならない。

第 十 一 条

1 すべての募集された労働者は、医学的検査を受けなければならない。
2 労働者が募集地から遠距離の場所における労務のため募集され、又は異なる行政庁の下にある地域における労務のため一地域において募集された場合には、医学的検査は、募集地に便利なできる限り近くの場所において、又は異なる行政庁の下における労務のため一地域において募集される労働者については、おそくとも、募集の地域を離れる場所において行われるものとする。
3 権限のある機関は、公の職員でその前に労働者が第九条の規定に従つて出頭させられたものに対し、その職員が次のことを確認するときは医学的検査に先だちその労働者が出発することを許可する権限を与えることができる。
 (a) 募集地の付近又は出発地において医学的検査を行うことが不可能であつたこと及び不可能であること。
 (b) 労働者が旅行及び将来の労務に適していること。
 (c) 労働者が労務地に到着の際又はその後できる限りすみやかに医学的検査を受けること。
4 権限のある機関は、特に募集された労働者の旅行がその健康を害するおそれのあるような期間及び状態において行われるものであるときは、募集された労働者が出発前及び労務地到着後医学的検査を受けることを要求することができる。
5 権限のある機関は、募集された労働者を風土及び環境に順応させかつ病気に対する免疫を得させるため、すべての必要な措置が執られることを確保するものとする。

第 十 二 条

1 募集者又は使用者は、可能なときはいつでも、募集された労働者を労務地まで輸送するものとする。
2 権限のある機関は、次のことを確保するため、すべての必要な措置を執るものとする。
 (a) 労働者の輸送に使用される船舶又は車両が、前記の輸送に適し、良好な衛生状態にあり、かつ、乗員過剰とならないこと。
 (b) 旅行が夜間にわたる場合には、労働者のために適当な宿泊設備をすること。
 (c) 長距離旅行については労働者の医療及び福利のためすべての必要な施設をすること。
3 募集された労働者が労務地まで徒歩で長距離旅行をしなければならないときは、権限のある機関は、次のことを確保するためすべての必要な措置を執るものとする。
 (a) 日日の旅程が労働者の健康及び体力の保持と両立すること。
 (b) 労働者の移動の程度により必要とされるときは、主要径路の適当な箇所に休けい仮舎又は休けい家屋を設け、適当な衛生状態に保ち、かつ、必要な医療施設を備えさせること。
4 募集された労働者は、集団となつて労務地に長距離旅行をしなければならないときは、責任ある者によつて護衛されるものとする。

第 十 三 条

1 募集された労働者の労務地までの旅費(旅行中その保護のために生ずるすべての費用を含む。)は、募集者又は使用者によつて負担されるものとする。
2 募集者又は使用者は、募集された労働者に対し、労務地への旅行中その福利のため必要なすべての物(特に、地方的事情に従い適当かつ十分な食料品、飲料水、燃料及び炊事道具並びに被服及び毛布を含む。)を供給するものとする。

第 十 四 条

 募集された労働者で次のいずれかに該当するものは、募集者又は使用者の費用で送還されるものとする。
 (a) 労務地への旅行中病気又は災害により労働不能となつた者
 (b) 医学的検査により労務に適しないと認められた者
 (c) 自己の責任に帰すべきでない理由により募集後雇入れられない者
 (d) 詐欺又は錯誤により募集された者と権限のある機関により認められた者

第 十 五 条

 募集された労働者の家族が労務地まで労働者と同行することを許可された場合には、権限のある機関は、旅行中その健康及び福利を保護するためすべての必要な措置を執るものとし、かつ、特に、
 (a) 第十二条及び第十三条の規定は、前記の家族に適用するものとする。
 (b) 労働者が第十四条の規定により送還されるときは、その家族も、また、送還されるものとする。
 (c) 労働者が労務地への旅行中死亡したときは、その家族は、送還されるものとする。

第 十 六 条

 権限のある機関は、賃金の前貸しに関し、募集された労働者に支払われる額を制限し、かつ、その前貸しがなされる条件を規制するものとする。

第 十 七 条

1 この部の規定の適用を受ける加盟国は、国内法令が許す限り、移民に関するあやまつた宣伝に対しすべての適当な措置を執ることを約束する。
2 この目的のため、加盟国は、適当な場合には、他の関係加盟国と協力して行動するものとする。

第 十 八 条

 加盟国は、適当な場合には、その管轄権内において、農園で雇用される移民の出発、旅行及び受入れを容易にするため措置を執らなければならない。

第 十 九 条

 この部の規定の適用を受ける加盟国は、その管轄権内において、次のことについて責任のある適当な医療施設を維持することを約束する。
 (a) 必要な場合には、出発及び到着のときに、農園で雇用される移民及びこれに同行し又は後から加わることを許可されたその家族が満足な健康状態にあることを確かめること。
 (b) 農園で雇用される移民及びその家族がその出発の際、旅行中及び目的の地域への到着の際適当な医療及び良好な衛生状態を享有することを確保すること。

第 三 部 雇用契約及び刑罰の廃止

第 二 十 条

1 関係地域において実施されている法律及び(又は)規則は、文書によると口頭によるとを問わず契約において明示的又は黙示的に定められることのある勤務期間の最大限を定めるものとする。
2 長期かつ費用のかかる旅行を伴わない雇用契約中に明示的又は黙示的に定められることのある勤務期間の最大限は、いかなる場合においても、労働者が家族を同行しない場合においては十二箇月、労働者が家族を同行する場合においては二年をこえないものとする。
3 長期のかつ費用のかかる旅行を伴う雇用契約において明示的又は黙示的に定められることのある勤務期間の最大限は、いかなる場合においても、労働者が家族を同行しない場合においては二年、労働者が家族を同行する場合においては三年をこえないものとする。
4 権限のある機関は、関係利益を代表する使用者団体及び労働者団体がある場合はこれと協議の上、使用者と職業選択の自由が十分保護されている非肉体労働者との間で締結される契約をこの部の規定の適用から除外することができる。この除外は、一地域のすべての農園労働者、特定の農作物の生産に従事する農園労働者、特定の企業の労働者又は特別の種類の農園労働者に適用することができる。

第 二 十 一 条

 農園労働者による雇用契約の違反に対し刑事的制裁を科している各国にある権限のある機関は、すべてのこれらの刑事的制裁を廃止するための措置を執るものとする。

第 二 十 二 条

 前条の措置は、直ちに適用される適当な措置によつて前条のそのような刑事的制裁をすべて廃止することを定めるものでなければならない。

第 二 十 三 条

 この部の規定の適用上、「契約の違反」とは、次のことをいう。
 (a) 労働者が契約に定められた業務を開始し又は遂行することを拒否し、又は怠ること。
 (b) 労働者が義務を怠り又は勤勉を欠くこと。
 (c) 労働者が許可又は正当な理由なしに欠勤すること。
 (d) 労働者が無断で離職すること。

第 四 部 賃金

第 二 十 四 条

1 関係労働者を代表する労働組合と使用者又は使用者団体との間で自由に締結される労働協約により最低賃金を決定することは、奨励されなければならない。
2 労働協約による最低賃金の決定について適当な取極がない場合には、使用者団体及び労働者団体がある場合にはそれらの代表を含む使用者及び労働者の代表者と完全に平等な立場において協議の上、適当な場合には国内法令により、最低賃金率を決定することのできる必要な措置を執るものとする。
3 前項の規定に基いて執られた措置に従つて定められた最低賃金率は、関係使用者及び関係労働者を拘束するものとし、かつ、これを引下げることはできない。

第 二 十 五 条

1 この条約の適用を受ける加盟国は、関係使用者及び関係労働者が現行の最低賃金率について知らされること及び最低賃金率が適用される場合においてこれらの率以下で賃金が支払われないことを確保するため、必要な措置を執るものとする。これらの措置は、当該国の農園のおかれている状態に必要かつ適当な監督、検査及び処罰の規定を含まなければならない。
2 最低賃金率の適用を受ける労働者で最低賃金率以下の賃金を支払われたものは、国内法令の定める期間内に司法又は他の適当な手続によつて支払不足額を回収する権利を有するものとする。

第 二 十 六 条

 金銭で支払う賃金は、法貨によつてのみ支払わなければならず、かつ、約束手形、証書、クーポン又は法貨を表わすものとされるその他の形式による支払は、禁止しなければならない。

第 二 十 七 条

1 現物給与の形式による賃金の支払が慣習となつているか又は望ましい場合には、国内法令、労働協約又は仲裁裁定により、現物給与の形式による賃金の一部支払を認めることができる。アルコール分の高い酒類又は有害な薬品による賃金の支払は、いかなる場合にも許されない。
2 現物給与の形式による賃金の一部支払が認められる場合には、その現物給与が労働者及びその家族の個人的な使用及び利益に適合していることを確保するため、適当な措置を執らなければならない。
3 食料、住居、衣料その他の必要な需品及び役務が報酬の一部をなす場合には、それが十分でありかつその換価が適当に行われていることを確保するため、すべての実行可能な措置を執らなければならない。

第 二 十 八 条

 賃金は、国内法令、労働協約又は仲裁裁定に別段の規定がある場合又は関係労働者が他の方法による支払を認める場合を除くほか、関係労働者に直接支払わなければならない。

第 二 十 九 条

 使用者は、いかなる方法によつても、労働者が自己の賃金を処分する自由を制限してはならない。

第 三 十 条

1 企業に付帯して、労働者に商品を販売するための作業場売店が設けられ、又は役務を提供するための施設が運営されている場合には、関係労働者は、その売店又は施設を利用することを強制されないものとする。
2 他の売店又は施設の利用が不可能である場合には、権限のある機関は、公正かつ妥当な価格で商品が販売され及び施設が提供されること又は使用者が設置する売店及び使用者が運営する施設が利潤を獲得するためではなく関係労働者の利益のために運営されることを確保するため、適当な措置を執るものとする。

第 三 十 一 条

1 賃金からの控除は、国内法令、労働協約又は仲裁裁定で定める条件及び程度においてのみ許されるものとする。
2 労働者に対しては、権限のある機関が最も適当と認める方法で、前記の控除が許される条件及び程度を知らせなければならない。

第 三 十 二 条

 賃金からの控除で、雇用され又は引き続き雇用されるため使用者、その代理人又は仲介人(たとえば労務募集業者)に対して行う直接又は間接の支払を確保するためのものは、禁止される。

第 三 十 三 条

1 賃金は、定期的に支払わなければならない。一定の間隔を置いて行われる賃金の支払を確保する他の適当な措置が存在する場合を除くほか、賃金支払の間隔は、国内法令、労働協約又は仲裁裁定によつて定めるものとする。
2 雇用契約の終了に当つては、支払われるべきすべての賃金の最終的決済は、国内法令、労働協約又は仲裁裁定に従つて行うものとし、適用する法令、協約又は裁定がない場合には、契約の条項を考慮して妥当な期間内に行うものとする。

第 三 十 四 条

 必要がある場合には、適当なかつ容易に理解される方法により労働者に次のことを知らせることを確保するため、有効な措置を執らなければならない。
 (a) 労働者が雇用される賃金に関する条件(この条件は、労働者の雇用関係が生ずる前及び変更が行われる際に知らせるものとする。)
 (b) 関係給与期間に対する労働者の賃金の細目(この細目は、変動のある限り賃金支払のつど知らせるものとする。)

第 三 十 五 条

 第二十六条から第三十四条までの規定を実施する法令は、
 (a) 関係者が知ることができるようにしなければならない。
 (b) その遵守につき責任を負う者を定めなければならない。
 (c) その違反に対し、適当な刑罰又は他の適切な矯正(きょうせい)措置を定めなければならない。
 (d) すべての適当な場合において、承認された様式及び方法による適当な記録の備付について定めなければならない。

第 五 部 年次有給休暇

第 三 十 六 条

 農園で使用される労働者は、同一の使用者に一定の期間継続勤務した後は、年次有給休暇を与えられるものとする。

第 三 十 七 条

1 この部の規定の適用を受ける加盟国は、農園における有給休暇を与える方法を自由に決定することができる。
2 農園における有給休暇は、適当な場合には、労働協約によつて、又は農園における有給休暇の規制を特別の機関に委任することによつて与えることができる。
3 農園における有給休暇を与える方法が許すときは、
 (a) 関係使用者団体及び関係労働者団体の最も代表的なものがある場合には、それらの団体と十分な予備的協議を行わなければならず、また、職業又は職務上特に資格を有するその他の者で権限のある機関が協議することを有益と認めるものとも十分な予備的協議を行わなければならない。
 (b) 関係使用者及び関係労働者は、国内法令が定める方法及び範囲内で、しかしいかなる場合にも完全な平等の立場で、有給休暇の規制に参加し若しくは協議を受けるものとし、又は意見を述べる権利を与えられるものとする。

第 三 十 八 条

 必要な継続勤務の最短期間及び年次有給休暇の最短期間は、国内法令、労働協約、仲裁裁定若しくは農園における有給休暇の規制を委任された特別の機関により、又は権限のある機関が承認する他の方法により決定するものとする。

第 三 十 九 条

 適当な場合には、農園における有給休暇の規制について確立された手続に従い、次のことに関する規定を設けなければならない。
 (a) 成年労働者に与えられる年次有給休暇が年少労働者にとつて適当でないと認められる場合には、年少労働者に対するより有利な待遇
 (b) 勤務期間に応ずる年次有給休暇の期間の増加
 (c) 労働者の継続勤務の期間が、年次有給休暇を受けるには満たないが、確立された手続に従つて決定される最短期間をこえる場合には、勤務の期間に比例した休暇又はその代りとしての賃金の支払
 (d) 公の休日、慣習による休日及び週休期間並びに病気又は事故のような原因による就労の一時的中断で、確立された手続に従つて定められた範囲内のものの年次有給休暇からの除外

第 四 十 条

1 この部の規定によつて休暇をとるすべての者は、休暇の全期間について、その者の通常の報酬を下らない額又は2及び3の規定に従つて定められる報酬を受けるものとする。
2 休暇に関して支払われる報酬は、国内法令、労働協約、仲裁裁定若しくは農園における有給休暇の規制を委任された特別の機関により、又は権限のある機関が承認する他の方法により定められるところに従つて計算するものとする。
3 休暇をとる者の報酬が現物給与を含む場合には、休暇に関してその現物給与と等価の現金を支払うことに関する規定を設けることができる。

第 四 十 一 条

 年次有給休暇を受ける権利を放棄し又はその休暇を廃止する取極は、無効とする。

第 四 十 二 条

 与えられるべき休暇の全部又は一部をとる前に解雇され又は退職した者は、この部の規定によりその者に与えられるべき休暇の各日について、第四十条に定める報酬を受けるものとする。

第 六 部 週休

第 四 十 三 条

1 次の諸条に別段の規定がない限り、農園労働者は、七日の期間ごとに、少くとも連続二十四時間を含む休息期間を享有するものとする。
2 この休息期間は、可能な場合にはいつでも、各農園のすべての労働者に対し同時に与えるものとする。
3 その期間は、可能な場合にはいつでも、当該国又は当該地方の伝統又は慣習によりすでに確立された日と一致するよう定めるものとする。

第 四 十 四 条

1 加盟国は、すべての適当な人道的及び経済的考慮を特に顧慮して、かつ、責任のある使用者団体及び労働者団体がある場合にはそれらの団体と協議の上、第四十三条の規定の全部又は一部の例外(停止又は短縮を含む。)を許可することができる。
2 その協議は、現行の法令によりすでに認められている例外の場合には、必要でないものとする。

第 四 十 五 条

 加盟国は、協約又は慣習によりすでにそのような期間が定められている場合を除き、第四十四条の規定によつて行われる停止又は短縮に対する代償としての休息期間を定める規定をできる限り設けなければならない。

第 七 部 出産に関する保護

第 四 十 六 条

 この部の規定の適用上、「女子」とは、年令、国籍、人種又は信条を問わず、既婚であるか未婚であるかを問わず、すべての女性をいい、また、「子」とは、嫡出であるかどうかを問わず、すべての子をいう。

第 四 十 七 条

1 この部の規定の適用を受ける女子は、出産の予定日に関する適当な証明書を提出するときは、出産休暇を受ける権利を有するものとする。
2 権限のある機関は、使用者団体及び労働者団体の最も代表的なものがある場合にはそれらの団体と協議の上、出産休暇に対する資格期間を定めることができる。この期間は、出産の前の十二箇月間に同一の使用者により雇用されていた場合には、その雇用期間の合計において百五十日をこえてはならない。
3 出産休暇の期間は、少くとも十二週間とし、かつ、出産後の強制的休暇の期間を含むものとする。
4 出産後の強制的休暇の期間は、国内法令で定めなければならない。しかし、いかなる場合にも六週間を下つてはならない。出産休暇の残余期間は、国内法令の定めるところに従つて、出産予定日の前に、強制的休暇の期間が満了した後に、又は一部を出産予定日の前にかつ一部を強制的休暇の期間が満了した後に与えることができる。
5 出産予定日の前の休暇は、出産予定日と実際の出産日との間に経過した期間だけ延長するものとし、かつ、出産後にとるべき強制的休暇の期間は、このため減少してはならない。
6 妊娠に起因するとの相当の証明のある病気については、国内法令は、出産前の追加休暇に関する規定を設けなければならない。その最長期間は、権限のある機関が定めることができる。
7 出産に起因するとの相当の証明のある病気については、女子は、出産後の休暇の延長を受ける権利を有するものとする。その最長期間は、権限のある機関が定めることができる。
8 妊娠している女子に対しては、その出産休暇の前の期間において、有害な種類の作業を行うことを要求してはならない。

第 四 十 八 条

1 第四十七条の規定に従つて出産休暇により休業する期間中、女子は、金銭及び医療の給付を受ける権利を有する。
2 金銭給付の率は、適当な生活水準に従つて本人及びその子が十分かつ健康的な生計を営むに足る給付を確保するよう国内法令により定めなければならない。
3 医療給付は、資格のある助産婦又は医師による出産前、出産及び出産後の手当並びに必要がある場合における入院を含むものとする。医師及び公私の病院の選択の自由は、実行可能な限り尊重しなければならない。
4 出産給付を与える強制的社会保険制度に基いて支払うべき醵出金及び、支払われた賃金を基礎として計算される租税で前記の給付を与えるために徴収されるものは、使用者及び被用者の両者によつて支払われると使用者によつて支払われるとを問わず、また、性別のいかんを問わず、関係企業に使用される男女総数について支払われるものとする。

第 四 十 九 条

1 女子は、その子をほ育している場合には、国内法令の定める条件に基き、そのためにその作業を中断する権利を有するものとする。
2 ほ育のための作業の中断は、国内法令によつて又はそれに従つて規律される場合には、労働時間として計算し、かつ、これに応じて報酬を与えるものとし、また、労働協約により規律される場合には、当該協約により決定するものとする。

第 五 十 条

1 女子が第四十七条の規定に従つて出産休暇によつて休業する期間中にその使用者が解雇の通告を行い、又はその期間中に満期となるような時に解雇の通告を行うことは違法とする。
2 女子が妊娠し又はその子をほ育しているという理由のみによつてこれを解雇してはならない。

第 八 部 労働者補償

第 五 十 一 条

 この部の規定の適用を受ける加盟国は、労働者の使用に基き又は使用中に生じた災害による身体の傷害につき労働者に対する補償を定める当該加盟国の法令をすべての農園労働者に及ぼすことを約束する。

第 五 十 二 条

1 この部の規定の適用を受ける加盟国は、この部の規定の適用を受ける他の加盟国の国民でその加盟国の領域内で発生する産業災害により身体の傷害を受けたもの又はその被扶養者に対し自国民に与えると同一の労働者補償に関する待遇を与えることを約束する。
2 この待遇の均等は、外国人労働者及びその被扶養者に対し、その居所のいかんを問わず保障されるものとする。加盟国又はその国民がこの原則に基いてその加盟国の領域外においてなすべき支払に関して執るべき措置は、必要なときは、関係加盟国間の特別の協定によつて定めるものとする。

第 五 十 三 条

 一加盟国の領域において他の加盟国の領域内にある企業のため一時的又は断続的に使用されている間に労働者に発生する産業災害に対する補償は、前記の他の加盟国の法令によつて規律するものとすることを定めるため、関係加盟国間において特別の取極を行うことができる。

第 九 部 団結権及び団体交渉権

第 五 十 四 条

 使用者及び被用者がすべての合法的な目的のため結社する権利は、適当な手段によつて保障されるものとする。

第 五 十 五 条

 使用者と労働者との間の紛争に関する調査のためのすべての手続は、できる限り簡単かつ迅速でなければならない。

第 五 十 六 条

1 使用者及び労働者に対しては、紛争を避け、かつ、紛争が生じた場合には調停によつて公正な解決に到達するよう奨励しなければならない。
2 この目的のため、調停機関の設置及び運営について使用者団体及び労働者団体の代表者と協議しかつそれらの代表者をこれに参加させるため、すべての実行可能な措置を執るものとする。
3 前記の機関の活動を条件として、公務員は、紛争の調査について責任を負い、また、調停の促進に努力し、かつ、当事者が公正な解決に到達するよう助力することに努めなければならない。
4 実行可能なときは、これらの公務員は、前記の職務のために特に選任されるものとする。

第 五 十 七 条

1 使用者と労働者との間の紛争の解決のための機関をできる限りすみやかに設けるものとする。
2 関係使用者及び関係労働者の代表(それぞれの団体がある場合にはそれらの代表を含む。)は、実行可能なときは、権限のある機関が定める方法及び範囲において、しかし、いかなる場合においても同等の員数によりかつ同等の条件で、前記の機関の運営に参加するものとする。

第 五 十 八 条

1 労働者は、雇用に関する反組合的な差別待遇に対して十分な保護を受けるものとする。
2 前記の保護は、特に次のことを目的とする行為について適用する。
 (a) 労働組合に加入しないこと又は労働組合から脱退することを労働者の雇用条件とすること。
 (b) 組合員であるという理由により、又は労働時間外に若しくは使用者の同意を得て労働時間内に組合活動に参加したという理由により労働者を解雇し、その他その者に対し不利益な取扱をすること。

第 五 十 九 条

1 労働者団体及び使用者団体は、その設立、任務遂行又は管理に関して相互に又は相互の代理人若しくは構成員を通じて行う干渉に対して十分な保護を受けるものとする。
2 特に、使用者若しくは使用者団体に支配される労働者団体の設置を促進し、又は労働者団体を使用者又は使用者団体の支配の下に置くため労働者団体に経理上の援助又は他の援助を与える行為は、この条の意味における干渉となるものとする。

第 六 十 条

 前各条に定める団結権の尊重を確保するため、必要がある場合には、国内事情に適した機関を設けなければならない。

第 六 十 一 条

 労働協約により、雇用条件を規制する目的をもつて使用者又は使用者団体と労働者団体との間の自主的交渉のための機構の十分な発達及び利用を奨励しかつ促進するため、必要がある場合には、国内事情に適した措置を執らなければならない。

第 十 部 結社の自由

第 六 十 二 条

 労働者及び使用者は、いかなる差別もなしに、事前の認可を受けることなしに自己が選択する団体を設立し及び関係団体の規則に従うことを唯一の条件としてその団体に加入する権利を有する。

第 六 十 三 条

1 労働者団体及び使用者団体は、その規約及び規則を作成し、完全な自由の下にその代表者を選び、その管理及び活動を定め、並びにその計画を立案する権利を有する。
2 公の機関は、この権利を制限し又はこの権利の合法的な行使を妨げるようないかなる干渉をも差し控えなければならない。

第 六 十 四 条

 労働者団体及び使用者団体は、行政機関によつて解散され、又はその活動を停止されることはない。

第 六 十 五 条

 労働者団体及び使用者団体は、連合及び総連合を設立し、及びこれに加入する権利を有し、また、これらの団体、連合又は総連合は、労働者の国際的団体及び使用者の国際的団体に加入する権利を有する。

第 六 十 六 条

 第六十二条、第六十三条及び第六十四条の規定は、労働者団体及び使用者団体のそれぞれの連合及び総連合に適用する。

第 六 十 七 条

 労働者団体及び使用者団体並びにそのそれぞれの連合及び総連合による法人格の取得に対しては、第六十二条、第六十三条及び第六十四条の規定の適用を制限するような条件を設けてはならない。

第 六 十 八 条

1 労働者、使用者及びそのそれぞれの団体は、この部に規定する権利を行使するに当つて、他の個人又は組織された集団と同様にその国の法律を尊重するものとする。
2 国の法令は、この部に定める保障を害するようなものであつてはならず、また、それを害するような方法で適用してはならない。

第 六 十 九 条

 この部において、「団体」とは、労働者又は使用者の利益を増進しかつ保護することを目的とするすべての労働者団体又は使用者団体をいう。

第 七 十 条

 この部の規定の適用を受ける加盟国は、労働者及び使用者が自由に団結権を行使することができることを確保するために、すべての必要かつ適当な措置を執ることを約束する。

第 十 一 部 労働監督

第 七 十 一 条

 この条約の適用を受ける加盟国は、労働監督の制度を保持しなければならない。

第 七 十 二 条

 労働監督機関は、適当な訓練を受けた監督官で構成されるものとする。

第 七 十 三 条

 労働者及びその代表者は、監督官と自由に連絡するためすべての便宜を与えられるものとする。

第 七 十 四 条

1 労働監督の制度の機能は、次のとおりとする。
 (a) 労働条件及び作業中の労働者の保護に関する法規、たとえば、労働時間、賃金、安全、健康及び福祉、児童及び年少者の雇用並びに他の関係事項に関する規定の実施を労働監督官の権限の範囲内で確保すること。
 (b) 法規を遵守する最も実効的な方法に関し、使用者及び労働者に専門的な情報及び助言を与えること。
 (c) 現行の法規に明示的規定のない欠陥又は弊害について、権限のある機関の注意を喚起すること。
2 労働監督官に与えられるその他の職務は、労働監督官の本来の職務の実効的な遂行を妨げるものであつてはならず、また、使用者及び労働者との関係において労働監督官が必要とする権威及び公正を少しでも害するようなものであつてはならない。

第 七 十 五 条

 権限のある機関は、次のことを促進するため適当な措置を執らなければならない。
 (a) 労働監督機関とこれと同種の活動に従事する他の政府機関及び公私の施設との間の有効な協力
 (b) 労働監督機関の職員と使用者及び労働者又はそれらの団体との間の協力

第 七 十 六 条

 監督職員は、分限及び勤務条件について身分の安定を保障されかつ政府の更迭及び不当な外部からの影響と無関係である公務員でなければならない。

第 七 十 七 条

1 権限のある機関は、労働監督官に次のものを供与するため必要な措置を執らなければならない。
 (a) 業務の必要に応じて適当な設備を有しかつすべての関係者が利用できる地方の事務所
 (b) 適当な公共の交通施設が存在しない場合には、監督官の職務の遂行に必要な交通上の便益
2 権限のある機関は、労働監督官に対してその職務の遂行に必要な旅費及び雑費を弁償するため必要な措置を執らなければならない。

第 七 十 八 条

1 正当な証明書を所持する労働監督官は、次の権限を有する。
 (a) 監督を受ける事業場に、昼夜いつでも、自由にかつ予告なしに立ち入ること。
 (b) 監督を受けるべきであると認めるに足りる相当の理由があるいずれの場所にも、昼間立ち入ること。
 (c) 法規が厳格に遵守されていることを確認するため必要と認める調査、検査又は尋問を行うこと。特に、
  (i)  法規の適用に関するいかなる事項についても、余人をまじえずに、又は証人の立会の下に使用者又は企業の職員を尋問すること。
  (ii)  労働条件に関する国内の法令の規定により備え付けなければならない帳簿、台帳又は他の書類が法規に適合していることを確かめるため、及びそれらの書類の写をとり又は抜すいを作るため、それらの書類の提出を要求すること。
  (iii) 法規により要求される掲示を行わせること。
  (iv)  使用され又は取り扱われる原料及び材料を分析のため収去すること。ただし、このような目的のために原料又は材料を収去することを使用者又はその代表者に通告しなければならない。
2 監督官は、臨検をする場合には、職務の遂行を妨げるおそれがあると認める場合を除くほか、その臨検を使用者又はその代表者に通告しなければならない。

第 七 十 九 条

 国内法令で定める例外を留保して、労働監督官は、
 (a) その監督の下にある企業に対し直接又は間接の利害関係をもつことを禁ぜられる。
 (b) 職務上知りえた製造上若しくは商業上の秘密又は作業工程をその職を退いた後も漏らしてはならず、これに違反したときは適当な刑罰又は懲戒処分を受ける。
 (c) 施設の欠陥又は法規の違反に関して注意を喚起された苦情については、その出所を極秘として取り扱わなければならず、また、そのような苦情を受理した結果として臨検を行つたことを使用者又はその代表者に知らせてはならない。

第 八 十 条

 産業災害及び職業病については、国内法令で定める場合及びその定める方法により労働監督機関に通告しなければならない。

第 八 十 一 条

 事業場に対しては、関係法規の効果的な適用の確保に必要である限りひんぱんかつ完全に監督を実施しなければならない。

第 八 十 二 条

1 労働監督官によつて実施されるべき法規に違反し又はこれを遵守することを怠る者は、事前の警告なしにすみやかに司法上の手続に付される。ただし、矯正(きょうせい)措置は予防措置を執るべき旨の予告を必要とする場合について、国内の法令で例外を設けることができる。
2 労働監督官は、その裁量により、司法上の手続を開始し又は勧告する代りに、警告及び助言を与えることができる。

第 八 十 三 条

 労働監督官によつて実施されるべき法規の違反及び労働監督官の職務の遂行の妨害については、適当な刑罰を国内法令によつて規定し、かつ、効果的に実施しなければならない。

第 八 十 四 条

1 労働監督官又は地方の監督事務所は、それぞれ、その監督活動の結果に関する定期報告を中央監督機関に提出するものとする。
2 これらの報告は、中央機関が定める様式によつて作成し、かつ、この機関が随時定める事項を取り扱う。これらの報告は、少くとも中央機関が定める回数だけ(いかなる場合にも、少くとも年に一回)提出しなければならない。

第 十 二 部 住居

第 八 十 五 条

 権限のある機関は、関係使用者団体及び関係労働者団体がある場合にはその代表者と協議の上、農園労働者に適当な住居を提供することを奨励するものとする。

第 八 十 六 条

1 権限のある公の機関は、前条の規定に従つて提供される住居の最低基準を定めるものとする。その機関は、実行可能なときは、住居に関する事項について協議するため、使用者及び労働者の代表者からなる諮問機関を設置するものとする。
2 前項の最低基準は、次のものに関する仕様を含まなければならない。
 (a) 使用する建築材料
 (b) 住居の最低の大きさ、設計及び通風並びに室の面積及び高さ
 (c) ヴェランダの面積、料理、洗濯、貯蔵、水道及び衛生のための施設

第 八 十 七 条

 前条の規定に従つて定められる法規の違反については、適当な刑罰を法令によつて規定し、かつ、効果的に実施しなければならない。

第 八 十 八 条

1 使用者によつて住居が提供される場合には、農園労働者に対する居住条件は、国内慣習又は国内法令によつて確立された条件よりも不利であつてはならない。
2 居住労働者が解雇されるときはいつでも、住居を立ちのくため妥当な期間を与えられなければならない。その期間は、法律で定められていない場合には、認められた交渉機関により、又は合意に達しない場合には、民事裁判所の通常の手続により決定されるものとする。

第 十 三 部 医療

第 八 十 九 条

 権限のある機関は、関係使用者団体及び関係労働者団体がある場合にはそれらの代表者と協議の上、農園労働者及びその家族に対する適当な医療施設を提供することを奨励するものとする。

第 九 十 条

1 医療施設の基準は、公の機関が定めるものとする。この施設は、関係のある人の数を考慮の上、適当なものでなければならず、かつ、十分な数の資格のある職員によつて運営されるものとする。
2 この施設は、権限のある公の機関によつて設けられるときは、関係機関の基準、慣習及び慣行に従わなければならない。

第 九 十 一 条

 権限のある機関は、関係使用者団体及び関係労働者団体がある場合にはそれらの代表者と協議の上、農園地域において流行風土病を根絶し又は抑制するために措置を執るものとする。

第 十 四 部 最終規定

第 九 十 二 条

 この条約の正式の批准書は、登録のため国際労働事務局長に送付するものとする。

第 九 十 三 条

1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准を事務局長が登録したもののみを拘束する。
2 この条約は、次の諸国のうち二国の批准が第三条の規定に従つて登録された日の後六箇月で効力を生ずる。
  アルゼンティン、ベルギー、ボリヴィア、ブラジル、ビルマ、セイロン、中国、コロンビア、コスタ・リカ、キューバ、ドミニカ共和国、エクアドル、エティオピア、フランス、ガーナ、グァテマラ、ハイティ、ホンデュラス、インド、インドネシア、イタリア、リベリア、マラヤ連邦、メキシコ、オランダ、ニカラグァ、パキスタン、パナマ、ペルー、フィリピン、ポルトガル、エル・サルヴァドル、スペイン、スーダン、タイ、ソヴィエト社会主義共和国連邦、アラブ連合共和国、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国、アメリカ合衆国及びヴィエトナム
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後六箇月で効力を生ずる。

第 九 十 四 条

1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年の期間の満了の後は、登録のため国際労働事務局長に通知する文書によつてこの条約を廃棄することができる。廃棄は、その廃棄が登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で1に掲げる十年の期間の満了の後一年以内にこの条に定める廃棄の権利を行使しないものは、さらに十年の期間この条約の拘束を受けるものとし、その後は、この条に定める条件に基いて、十年の期間が経過するごとにこの条約を廃棄することができる。

第 九 十 五 条

1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告しなければならない。
2 事務局長は、通告を受けた二番目の批准登録を加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずる日について加盟国の注意を喚起しなければならない。

第 九 十 六 条

 国際労働事務局長は、前条までの規定に従つて登録されたすべての批准書及び廃棄書の完全な明細を国際連合憲章第百二条の規定による登録のため国際連合事務総長に通知しなければならない。

第 九 十 七 条

 国際労働機関の理事会は、必要と認める時にこの条約の運用に関する報告を総会に提出し、かつ、この条約の全部又は一部の改正に関する問題をその総会の議事日程に加えることの可否を審議しなければならない。

第 九 十 八 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改める改正条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
 (a) 加盟国による改正条約の批准は、改正条約の効力発生を条件として、第九十四条の規定にかかわらず、当然この条約の即時の廃棄を伴う。
 (b) 加盟国によるこの条約の批准のための開放は、改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第 九 十 九 条

 この条約の英語及びフランス語による本文は、ひとしく正文とする。