児童労働撤廃国際年

児童労働に終止符を打つために求められている行動の誓い

 2021年1月21日に開かれた児童労働撤廃国際年開幕イベントでは、各国政府、労使団体、国際機関、市民社会の代表が出席し、2025年までに児童労働を根絶する具体的な計画を行動の誓いとして披露しました。

2021年1月21日に開かれた児童労働撤廃国際年開幕イベント模様(1時間19分5秒)

 2021年1月21日に開かれた児童労働撤廃国際年開幕イベントには、国連食糧農業機関(FAO)、国際移住機関(IOM)、国連グローバル・コンパクト、欧州委員会といった国際・地域機関、国際労働組合総連合(ITUC)、国際使用者連盟(IOE)といった労使団体の代表、そして2017年に第4回児童労働世界会議を主催したアルゼンチン、2022年に第5回世界会議を主催する南アフリカに加え、チュニジア、チリ、米国といった国々の政府代表が出席し、2025年までに児童労働を根絶するための具体的な計画を今年取り組む行動の誓いとして披露しました。

 イベントは代々続く債務奴隷の一家に生まれ、自らも児童労働者であったインドの青年弁護士アマル・ラル氏の発表で幕を開けました。両親が教育の大切さを自覚したことをきっかけに、カイラシュ・サティヤルティ氏などの支援も受けて教育を受け、今は児童労働問題に取り組む活動家として活躍しているラル氏は、「児童労働のない世界を夢見るだけでなく、実現のために行動を」と呼びかけました。

 この呼びかけを受けて、ガイ・ライダーILO事務局長は、政府、労働者、使用者が結集したILOは、国連児童基金(UNICEF)やFAO、IOM、8.7連合などと連携して2025年までに児童労働をなくすという公約の実現に向けて努力していることや、現状を知ることの重要性を示すものとして6月に児童労働者数に関する新たな推計を発表する予定であること、来年、南アフリカで第5回児童労働世界会議が開かれることを紹介しました。ヘンリエッタ・フォアUNICEF事務局長は、新型コロナウイルスの影響によって子どもの状況が悪くなっている可能性に注意を喚起した上で、子どもを守るプログラムへのさらなる投資を呼びかけ、遠隔学習を支援するものとして全ての学校のインターネット接続に向けた運動や中退を防ぐ手段としての給食や制服・教科書の無償化プログラムなどを紹介し、安全と教育における子どもの権利を支える、より強い仕組みを備えてコロナ禍から抜け出そうと訴えました。「児童労働に反対するグローバルマーチ」の創立者カイラシュ・サティヤルティ氏は、最後のひとりまで搾取から解放されない限り、誰も自由になったことにはならないと説き、過去数十年間に達成された成果を無に帰さないためにも市民社会の一層の団結が求められていると強調し、「児童労働に公正な分け前を」キャンペーンを開始することを発表しました。そして、知識も手段も資金も技術も十分に存在する今、行動を阻む要素はないとして、ILOの活動支援や国連総会における児童労働問題に関する特別会議の開催などを求め、行動を起こすよう訴えました。

 児童労働、強制労働、人身取引、現代の奴隷制の根絶を目指す持続可能な開発目標(SDG)のターゲット8.7の達成に向けた世界規模のパートナーシップである8.7連合は、行動の誓いの総まとめ役として、ウェブサイトを通じて寄せられた誓いを管理します。アヌーシェ・カルバル8.7連合議長は、パートナーと公約をまとめ、活動を調整し、好事例を共有し、進捗状況を報告し、2021年にはとりわけ、率先して問題に取り組んでいる草分け国との関与を深めるといった8.7連合の活動を紹介し、寄せられた誓いをまとめ、1)活動実施における包摂性の確保、2)モニタリング・評価・説明責任の枠組み設定、3)ILO及びUNICEFとの協力の下での児童労働世界推計の発表、4)根本原因に取り組むことによって児童労働の根絶は可能であることを世界に示すためのさらなる努力といった4本の基本線に沿って行動計画をまとめることを発表しました。