広報動画-新型コロナウイルスと仕事の世界

新型コロナウイルスと仕事の世界-2020年発表分

 新型コロナウイルスに関連して多数の広報動画が制作されています。この一部について日本語訳を作成しました。

より健全でより環境に優しいグリーンな回復をジャンプスタート

 各国政府が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行への対応を図る中、公衆衛生と環境の複層的なつながりが明らかになってきました。環境と保健の両分野で達成された歩みの維持はしたがって、ウイルスの世界的大流行と気候関連危機の今後の発生を予防する助けになり得ます。

2020年12月11日発表・英語・1分7秒

 新型コロナウイルスの世界的大流行は、生産的な経済とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)は健全な環境に依存していることを示しました。経済の再開は、より多くのより良い仕事と、より健全でより強靱な社会を伴う、環境に優しいグリーンな回復をジャンプスタートさせる好機であると言えます。

 現在、保健医療従事者は世界全体で1,800万人不足し、毎年260万人が健康的でない環境で暮らし働いた結果として命を落としています。これは世界の全死亡者のほぼ4人に1人に相当します。環境に優しいグリーン経済はこの課題を克服する助けになり得ます。強靱な企業、安全で健康的な職場、そして全ての人のディーセント・ワークを伴う、より良い立て直しのためには、労働者、使用者、政府の全てに社会対話を通じて果たすべき一定の役割があります。ILOはこのようなグリーンな回復をジャンプスタートさせる方法を示した政策概説資料を作成しました。

持続可能な企業を新型コロナウイルス後の対応活動の一部に含む方法

 新型コロナウイルスの世界的大流行は、中小・零細企業に奥深く破壊的な影響を与えています。より強靱な経済を再建し、人間らしく働きがいのある生産的な就労機会を形成するには、政策策定に携わる人々は特に中小・零細企業の助けになる改革を導入する必要があるでしょう。ILOの概説資料はその手立てを示しています。

2020年11月19日発表・英語・1分25秒

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を抑えるため、企業は事業の縮小あるいは完全な停止を余儀なくされました。これはとりわけ中小・零細企業における大量の失職者の発生につながりました。今は中小・零細企業が持続可能な回復を達成する助けになる中期対応計画を策定すべき時です。

 ILO中小企業ユニットのセブリーヌ・ドブー持続可能な企業を可能にする環境チーム・リーダーは、危機がより良い立て直しを図るまたとない機会を提示しているとして、政府はより持続可能で誰もを包摂するような政策をもって、社会的パートナーである労使と共に、より強く、危機に耐え得る企業部門を形成することができると説いています。

 中小・零細企業の回復を手助けするには、次のような政策改革が必要です。

  1. 事業の開業、成長、そして必要であれば廃業をより容易にすること
  2. 法及び行政上の要件に適合したデジタル技術の導入
  3. 中小・零細企業の金融サービス利用の円滑化
  4. 公式(フォーマル)化を奨励し、新たな産業の育成を刺激するような税制改革の支援
  5. 中小・零細企業の参加を増す方向に向けた公共調達政策の改善
  6. 小企業の地域開発、国内及び国際的な供給網(サプライチェーン)への参加の支援

 中小・零細企業の回復・繁栄を手助けする改革は、全ての人のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を伴いつつ、私たち皆がより強く、より良い立て直しを図る助けになります。

今も新型コロナウイルス後もケア労働者への投資は決定的に重要

 新型コロナウイルスの世界的大流行を理由として在宅介護・施設介護部門は多くの国で深刻な課題に直面しています。危機の時代及びそれ以降にも強靱性と備えを確保するには、保健医療・ソーシャルケアの制度、労働力、人間らしく働きがいのある労働条件に対する持続可能な投資が必要です。

2020年11月5日発表・英語・1分24秒

 在宅あるいは施設で高齢者その他の脆弱な人々に介護を提供しているケア労働者は新型コロナウイルスの世界的大流行の影響を強く受けています。その仕事は患者との密接な接触を必要とするため、新型コロナウイルスへの暴露に特に弱くなっています。

 ILO部門別政策局官民サービス部門ユニットのマレン・ホプフェ技術専門官は、新型コロナウイルスの世界的大流行は、職員不足で過重労働状態にある在宅・施設介護部門におけるしっかりとした訓練を受けた意欲ある十分な数のケア労働者の募集、定着、保護の点で古くから存在する問題にも注意を喚起したと指摘しています。そして、強靱でより愛情ある保健医療及びソーシャルケア部門を築きたいと思うならば、の部門への持続可能な投資が今こそ決定的に重要であり、それにはケア労働者が危機の時代にもそれ以降にも質の高いケアを提供できるよう、人間らしく働きがいのある労働条件が確保された十分な数のケア職従事者に対するものも含まれると、説いています。

 ケア労働者の安全と健康は基本です。その保護は最優先事項でなくてはなりません。

 ILOは在宅介護や施設介護を担うケア労働者への新型コロナウイルスの世界的大流行の影響、各国の対応策、ILOで得られる資料・ツール等をまとめた概説資料を作成しました。

新型コロナウイルスの世界的大流行の中でいかに社会対話が違いをもたらしているか

 新型コロナウイルスの世界的大流行が社会や経済に与えている影響を緩和する緊急措置をまとめるに当たり、ほとんどのILO加盟国が全国的労使団体と政府によるピークレベル社会対話を幅広く活用していることがILOがまとめた調査研究から明らかになりました。この広報動画では著者チームの一員であるILOガバナンス・三者構成原則局のコンスタンティノス・パパダキス上級専門官がこの概説資料『新型コロナウイルスの世界的大流行の中での統治手段としてのピークレベル社会対話:世界及び地域別の動向と政策問題・英語』の内容を紹介しています。

2020年10月23日発表・英語・2分43秒

 この新たな研究結果は187のILO加盟国中133カ国で2020年3月中旬から6月中旬までの間に、新型コロナウイルスの初期の期間の世界的大流行が社会や経済に与えている影響を緩和する緊急措置をまとめるに当たり、ピークレベル社会対話が幅広く活用されたことを示しています。ピークレベル社会対話には政府と全国的な労使団体の間の交渉、協議、情報交換が含まれています。

 133カ国中のほぼ半分で、主として経済を刺激し、雇用を後押しする措置に関する協議を行うためにもっぱら政労使の三者構成による社会対話が用いられました。これには事業体や職を救うための財政・金融政策などが含まれています。労使の二者のみによるピークレベル社会対話が用いられたのは17カ国です。これには時間短縮のような事業の継続性や仕事、収入を支える措置の形成あるいは安全衛生手順に関する合意のような職場の労働者を保護する措置の採用という2通りのものがあります。最後に、同じ期間に50カ国以上が三者構成と二者構成の両方の社会対話に頼りました。

 社会対話は、より多くの情報を得た上での政策形成や関与する当事者による主体性の向上につながります。そういった理由からウイルス流行の初期の期間に世界全体で177にも上る指針、合意その他の成果が達成されたことは、しばしば状況に合わせた特別仕立ての解決策の策定のみならずその効果的な実施にとっても決定的に重要であることが立証されました。

 社会や経済に対する破壊的な影響を伴いながらウイルスの拡大がまだ続く中、政府及び労使団体は社会対話を通じて協働を続け、回復期に至るまで協力を維持する必要があります。新たな日常への移行においては、より良い日常に向かうのが理想的ですが、社会対話の行動主体や制度・機構が効果的に政策策定に参与し、非公式(インフォーマル)経済を含むそれぞれの構成員を代表することを妨げる可能性があるあらゆる法的及び実際の障壁を除去する必要があります。そのような障害を除去し、回復期にも社会対話を活用することは、労働者の権利や労働条件が害され、多くの国で今は脆弱な社会環境がさらに損なわれるのを阻止する重要な保護措置となるでしょう。

新型コロナウイルスの中で鉱山労働者の安全と健康を守るチェックリストをILOが発表

 鉱業はグローバル・サプライチェーン(世界的な供給網)でも経済開発においても決定的に重要な役割を演じています。新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的大流行の中でこの産業を支えるため、ILOは鉱山労働者と鉱山を安全に保つための手引きに関するチェックリストを発表しました。

2020年10月14日発表・英語・1分18秒

 あなたが見ているこのコンピュータの画面も鉱物素材を含んでいます。したがって鉱業はグローバル・サプライチェーン(世界的な供給網)において決定的に重要な役割を演じ、より良い立て直しのカギを握っています。

 カミーラ・ペレイラ・ヘーゴ・メイレレスILO鉱業部門専門官は、新型コロナウイルス危機は需要減や一次産品価格の下落などの負の影響を通じて、鉱業部門の世界的な危機をもたらしたと語っています。現地の鉱業施設は僻地の共同体の人々に職を提供するだけでなく、グローバル・サプライチェーンにおいても決定的に重要な役割を担っています。

 健康と安全は鉱業にとっての基本的な価値です。これを支えるためにILOはこの産業に向けた鉱山労働者と鉱山を安全に保つための手引きのチェックリストを発表しました。これには鉱業における新型コロナウイルスの感染拡大を予防・緩和する実践的な活動が含まれています。

 チェックリストの実施がうまくいくか否かは、鉱業企業の経営陣、現場監督、労働者と労働者代表の間の積極的な協力と社会対話にかかっており、一体となって取り組むことによって感染を防ぎ、命を救うことができるとメイレレス専門官は説いています。

 鉱業における新型コロナウイルスの予防と管理に向けたILOのチェックリストを是非ご利用下さい。

世界全体で3億人分に上る仕事を救うために求められる旅行・観光業の安全な再建

 旅行・観光業は新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的大流行の打撃を最も受けている産業の一つです。9月27日の世界観光デーを機にこの産業の未来を考えてみませんか。

2020年9月25日発表・英語・59秒

 新型コロナウイルスが登場するまで、旅行・観光業は雇用と成長の主な牽引役として機能してきました。しかし、2020年3月以降、ウイルス対策としての地域封鎖で観光業は国際的に壊滅的な状態に陥りました。

 ILO部門別政策局のマリアンジェルス・フォルトゥニー農林・建設・観光部門ユニット長は、観光部門の企業と若い女性が大半を占めるその労働者に対する影響は前代未聞であると指摘し、政府、労働者団体、使用者団体による協議の上、各国内及び国際的な、大規模かつ適時の、そしてとりわけ調整を図った政策努力が求められると説いています。

 関連部門への連鎖的影響により、世界全体で3億人以上の仕事が脅かされています。

 旅行・観光業に関するILOの産業部門別概況資料には世界中から集められた、この産業部門に対するコロナ禍の影響と危機対応から学んだ教訓がまとめられています。

危機時に平和と社会の結束をもたらす助けになるディーセント・ワーク

 既に脆弱性や紛争、気候変動、避難を経験している国々は、新型コロナウイルスの世界的大流行によって多重の負担に直面し続けることでしょう。ILOは雇用とディーセント・ワークの促進を通じて社会をより平和で強靱にすることを呼びかけています。

2020年9月24日発表・英語・1分20秒

 脆弱性、紛争、自然災害を経験している国々は多重の負担に直面しています。基礎的なサービスを利用できる機会が限られているか存在しないため、新型コロナウイルス(COVID-19)への対応力が十分に備わっていません。制度・機構の弱さ、社会対話の不在、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の欠如は脆弱性ともろさの引き金になります。コロナ禍の結果として社会不安が発生するかもしれず、これは脆弱性をさらに高める悪循環につながる可能性があります。

 社会の結束と平和的共存を維持し強化する努力が必要です。ウイルス対応に際しては、資金・資源、生活の糧、保健医療サービスの利用機会を巡る潜在的偏見、差別、苦情に対処する必要があります。「2017年の平和及び強靱性のための雇用及び適切な仕事勧告(第205号)」を通じてILOは新型コロナウイルスのような危機によって特に脆弱になった人口集団や個人に対する特別の注意を呼びかけています。生産的な仕事への従事は人々に力をつけ、一致団結させ、希望を与えるのに効果的であるため、ディーセント・ワークは雇用を中心に据えた危機からの回復のみならず、社会正義や社会の結束、平和、強靱性にも寄与することでしょう。

 ILOは「平和と強靱性のための仕事計画」を通じて、紛争を経験している国や災害に弱い国で雇用創出に焦点を当てた開発協力活動を展開しています。

 新型コロナウイルスの世界的大流行が続く中、ILOは2020年9月28日に開いたイベントで、この危機に際して平和と社会の結束に雇用とディーセント・ワークがいかに寄与し得るかを検討しました。

患者の安全は保健医療従事者の安全から

 保健医療従事者の安全はその看護下にある患者の安全に影響を与えます。「患者の安全のための世界デー(9月17日)」に当たって発表した広報動画で、ILOは自らの健康を日々危険にさらしながら最前線で働く保健医療従事者を守るには、労働者としての権利と働きがいのある人間らしい労働条件の尊重が決定的に重要と訴えています。

2020年9月17日発表・英語・58秒

 世界中で保健医療従事者は自らの健康を危険にさらしながら、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行を抑える日々の戦いに最前線で従事しています。保健医療従事者の安全と健康は基本です。ILOのクリスティアヌ・ウィスコー保健医療業務上級専門官は、新型コロナウイルス危機は多くの国で既に過重負担状態にある公衆衛生制度及び世界的な保健医療従事者不足にも注意を喚起したことを指摘し、持続可能な保健医療制度、そして保健医療従事者が自らの職務を遂行できるような働きがいのある人間らしい労働条件を伴った豊富な保健医療人員のための投資が緊急に必要なことに光を当てたと説いています。

 保健医療従事者に対する新型コロナウイルスの影響に関するILOの部門別概況資料は、保健医療従事者と保健医療制度に対する新型コロナウイルスの世界的大流行の影響、そして世界の幾つかの国で講じられた早期対応策に関する情報を提供しています。ILOの産業部門毎の概況資料にはコロナ禍の影響や対応措置、提案事項が記されています。

ILOが小規模事業の労働者を守る新型コロナウイルス感染防止チェックリストを作成

 ILOは中小企業が新型コロナウイルス(COVID-19)のリスクを評価して労働者の安全と健康を守る措置を導入できるようチェックリストを作成しました。

2020年9月9日発表・英語・1分45秒

 新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的大流行からの回復と安全な職場復帰を確保するには中小企業労働者の安全と健康が必要不可欠です。中小企業を支援するために、ILOは労働者の安全と健康を守る措置に関する情報を含む、新型コロナウイルスのリスク評価・緩和のための行動チェックリストを発表しました。

 グローバル・サプライチェーン(世界的供給網)における深刻な死亡事故や職業病の件数がゼロになることを目指すILOゼロ・ビジョン基金のオッケルト・ダッパー・グローバル計画マネジャーは次のように説明しています。「新型コロナウイルスの世界的大流行は、グローバル・サプライチェーンや地域サプライチェーンに属するものを含み、中小企業に相当の混乱をもたらしました。こういった企業が生き残るためには、業務内容を新たな環境に適応させ、安全衛生措置を強化する必要があります」。

 職場における予防・保護措置の導入を確保する全体的な責任は使用者にありますが、労働者も新型コロナウイルスのリスクを最小化するためにこういった措置の実施に協力すべきです。この行動チェックリストはそれを達成する助けになり得ます。

 ILOの氏田由可労働安全衛生技術専門官は次のように語っています。「このツールは国際労働基準を基にしており、労使間の協力を呼びかけています。すなわち、職場に労働安全衛生委員会が存在する場合にはその関与を、あるいは労働者代表との調整を求めています」。

 ILOの中小企業向け予防・緩和行動チェックリストをどうぞご利用ください。そして忘れないでください。職場における安全と健康は命を救うことを。

宿泊・飲食業の安全な再開のためのILOチェックリストを発表

 多くの国が新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的大流行との戦いにおける次の段階に移行し、宿泊・飲食業の再開を試みています。ILOはそこで、新型コロナウイルスの社会的・経済的影響を緩和しつつ、ウイルスの拡大を防止して企業、労働者、利用客が安全であり続けるための実用的かつ参加型のチェックリストをまとめました。

2020年8月28日発表・英語・1分15秒

 宿泊・飲食業の安全な再開は、新型コロナウイルスの世界的大流行に取り組むカギを握るものです。ILOの予防・制御チェックリストはそれを助けるものとしてまとめられました。これは企業、労働者、利用客が安全であり続けるのを助ける実用的で適応可能なツールです。

 「このチェックリストが素晴らしいのは、企業の規模や立地場所にかかわらず、あらゆる宿泊・飲食業の活動に適用できる点です。コックやウエイターから移動販売車、配達人、受付係、清掃係その他様々な職種において男女を問わず、使用者も労働者も利用できる点です。チェックリストは労使の社会対話を通じて、そしてもちろんのこと国内法規に従って実施された場合、もっともうまく機能します」と、ILOのルーシー・セルボス・ホテル・飲食・観光業専門官は紹介します。チェックリストは衛生や清掃、物理的な距離確保、健康チェックや接触追跡、プランニングやマネジメント・システムの活用、人員研修など、様々な分野を扱っています。様々な職種や各国のニーズに合わせて適応できるようにもなっています。

タイのホテル役員が新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的大流行の影響を語る

 2019年にタイを訪れた外国人観光客数は新記録の3,980万人に達しました。しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)によって2020年の観光客数は8割減を記録しています。

2020年8月25日発表・タイ語・英語字幕付・1分28秒

 タイのホテルで販売営業の役員を務めるコチャポーンさんは、新型コロナウイルスの世界的大流行が確実に影響を与えたと語っています。ホテルが営業を一時休止したため収入はなくなり、従業員の給与も減らさなくてはなりませんでした。できるだけ早い正常への復帰を望むコチャポーンさんですが、全ては新型コロナウイルス次第です。今後は前ほど従業員がいらないと会社が気付き、経費を抑えて会社を継続させるために従業員が減らされるかもしれません。危機の間にコチャポーンさんが気付いたことは、前はたとえ何があろうと人は旅行するからタイの主な収入源である観光業や航空産業の仕事は確実で安定していると考えていたものの、新型コロナウイルスが起こった時に誰もがウイルスの発生を恐れたことから、この産業は最も危険であるということでした。だから、もっと用心し、今までよりもより良い未来に向けて財務計画を立て、貯蓄すべきことを学んだと語っています。

現代の世界に奴隷制度の居場所はないと説くホアキン・フリエル氏

 8月23日の「奴隷貿易とその廃止を記念する国際デー」に合わせて寄せたメッセージで、アルゼンチンの俳優ホアキン・フリエル氏は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で強制労働が増える可能性を指摘し、「1930年の強制労働条約の2014年の議定書」の批准促進キャンペーンである「自由のための50カ国キャンペーン」への参加を呼びかけています。

2020年8月24日発表・西語・英語字幕付・1分7秒

 子どもを含む2,500万人以上の男女がなおも強制労働の被害に遭っています。新型コロナウイルス危機は、とりわけ基礎的な社会的保護を欠く非公式(インフォーマル)経済で働く人々の間で状況を悪化させる可能性があります。こういった人々は暴力、虐待、差別を受け、現代の奴隷労働に陥る危険があります。既に45カ国がILOの「1930年の強制労働条約の2014年の議定書」を批准する決意を示しました。8月23日の「奴隷貿易とその廃止を記念する国際デー」に際し、この批准を促進する「自由のための50カ国キャンペーン」に参加して、2020年までにこの議定書の50カ国による批准という目標の達成に協力してくれることが必要です。奴隷労働は犯罪です。現代の世界にその居場所はありません。ホアキン・フリエル氏は以上のように説いて、現代の奴隷労働の終焉に向けた支持を訴えています。

効果的なテレワーク実践方法

 新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的大流行を契機として急増したテレワークですが、ウイルスの流行が収束してからもこの傾向は続くであろうと予見するジョン・メッセンジャーILO労働条件上級専門官は次のように語って新たに作成した効果的なテレワーク実践方法に関するガイドを紹介しています。

2020年8月14日発表・英語・1分51秒

 新型コロナウイルスが世界的に大流行している今だけでなくそれ以降にも通用する効果的なテレワーク実践方法についてのILOから発表されたばかりのこの新しい実用ガイドについてお知らせします。ウイルスと共に危機対応策としてのテレワークの利用が爆発的に増加したため、これはかつてないほど必要とされているツールです。ガイドは次の八つの主な分野に焦点を当てています。

  1. 労働時間と作業組織
  2. 業績管理
  3. デジタル化
  4. コミュニケーション
  5. 労働安全衛生
  6. テレワークの法律的及び契約上の意味合い
  7. 研修
  8. 仕事と生活の調和

 このガイドはまた、例えば、性差の観点から見たテレワークなど、他の問題も扱っています。新型コロナウイルスの中でのテレワークは一般的に困難ですが、育児や高齢者介護の第一義的な責任を担う場合が多い女性にとっては特にそう言えます。ガイドには家庭内暴力への対処方法とテレワーク環境下でそれをなくす助けになる方法も含み、そのことも少し盛り込まれています。

 前に進むことが決定的に重要です。テレワークは爆発的に増えましたが、状況が変わるとは思えないからです。フルタイムのテレワークやウイルス流行期のような義務的なものではなくなるかもしれませんが、予見可能な未来において以前よりも高い割合でテレワークが行われるようになるでしょう。ですからどうかこのガイドに目を通されることをお勧めします。本ガイドが効果的なテレワークの一助となり、仕事と生活の最善の調和、そして可能な限りの業務成績を達成する助けになれば幸いです。

若者の就労に対する新型コロナウイルスの影響に関するILO調査

 ILOは2020年4月21日から5月21日までの4週間にわたり、「若者のための働きがいのある人間らしい仕事グローバル・イニシアチブ」のパートナーと共に、雇用、教育・訓練、精神の良好な状態、権利と発言力の四つの分野に焦点を当てて若者と新型コロナウイルスに関するグローバルな調査を実施しました。調査結果は、新型コロナウイルスの世界的な大流行が若者の暮らしにどんな影響を与えているかに関する決定的に重要な情報を提供しています。

2020年8月11日発表・英語・1分19秒

 新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な大流行は私たちの暮らしのあらゆる側面に前代未聞の影響を与えています。ILOは「若者のための働きがいのある人間らしい仕事グローバル・イニシアチブ」のパートナーと共にコロナ禍が若者に与えている影響を理解するためにグローバルなオンライン調査を実施しました。

 結果は若者の6人に1人がウイルスの流行が始まってから仕事をしなくなったことを示しています。教育に関しては、若者の6割が学業の遅れや留年を危惧しており、18~29歳の若者の2人に1人が不安や鬱状態を懸念しています。これは精神的に良好な状態と教育の成功、働きがいのある人間らしい仕事の機会のつながりを強調するものです。若者の3人に1人が公的活動に参加する権利が相当の影響を受けていると報告する一方で、同じく3人に1人がボランティア活動の活発化を報告しています。

 より包摂的な対応を提供する上で決定的に重要なのは若者の発言が傾聴されるよう確保することです。政府、社会的パートナーである労使、その他の官民の機関は、この危機のみならず、将来的な危機に立ち向かえる強靱な社会を確保するために、若者と協働することが望まれます。

最悪の形態の児童労働に終止符を打つことを全世界が公約

 2020年8月4日、トンガの批准によって「1999年の最悪の形態の児童労働条約(第182号)」のILO全187加盟国による批准が達成されました。これは世界中の子どもを守るというILOのすべての加盟国による地球規模の公約を反映しています。新型コロナウイルスが20年間の歩みを無にする脅威が存在する中、条約の実施がかつてないほど求められています。

2020年8月7日発表・英語・1分14秒

 新型コロナウイルス(COVID-19)の深刻な衝撃波は個人世帯や社会に前代未聞の圧力をかけています。ウイルス流行以前にも、世界全体でなおも1億5,200万人の児童労働者が存在しましたが、今はその年齢にふさわしくなく、命や健康に有害である仕事を始める子どもが増える危険性があります。休校に加え、収入減や突然の失業などのショックに直面し、脆弱な人々が対処戦略として児童労働に頼る可能性が高まっています。

 ILOはこのような複雑な危機に社会全体で取り組む必要性を指摘し、危機の管理とそこからの回復に際し、脆弱な子どものニーズを最優先事項とすることの確保に向けて実効性のある政労使三者による社会対話と協力を呼びかけています。2021年は児童労働撤廃国際年です。これは全てのパートナーが児童労働に取り組む努力に加わる機会、2025年までに全ての形態の児童労働をなくすことを目指す持続可能な開発目標(SDG)のターゲット8.7の達成に向けて全てのパートナーが結集する機会を提示しています。

縫製作業によって命を救い、新型コロナウイルスと戦うモーリタニアの仕立て職人

 マリにおける暴力の激化によってモーリタニアには多数の難民が流入しています。同国南東部のバシクヌ町にあるムベラ難民キャンプで、ILOは日本の外務省からも任意資金協力を受けて、マリ難民と受入共同体の両方の若者の雇用機会を促進するプロジェクトを実施しています。今、この町の仕立て職人は、ILOの支援を受けて、新型コロナウイルスの感染拡大予防用の製品を作ることによって事業を継続できています。

2020年7月28日発表・英語・1分17秒

 新型コロナウイルス(COVID-19)はマリの難民キャンプと周辺地域の活動に多大な影響を与えています。地元の職人の経済活動もウイルスの感染拡大予防措置の影響を受けています。これに対応するものとして、ILOは地域の小規模縫製作業場を対象とした訓練・支援計画を開始しました。プロジェクトの目標は仕立て職人に新たな技能のための訓練を提供し、習得した能力を用いてウイルスの感染拡大を予防する助けになる製品を生産できるようにすることによって勤労収入を得て商売を続けられるようにすることです。

 モーリタニアに駐在するフェデリコ・バロエッタILO担当官は、職業訓練、雇用、起業機会が必要なこれらの人々をILOは放置せず、この危機の中でも働き続けられるよう新たな方向に活動を導く試みを行っていると説明します。

 ILOのチーム起業計画の一部であるこのプロジェクトを通じて、既に5万枚以上のマスクと1,000枚の手術着が生産されました。プロジェクトを通じて仕立て職人の技術スキルや経営能力の向上も達成されました。市場ニーズを満たし、新型コロナウイルスの感染拡大予防において積極的な役割を演じられるよう仕立て職人に新たな方向性が示されました。

 「労働者の権利を保障し、ウイルスの危険にさらされないよう確保することによって、雇用の維持・強化を図っています」とバロエッタ担当官は語っています。

新型コロナウイルスと仕事の世界グローバルサミット・ハイライト

 ILOは2020年7月1~2日と7~9日に、仕事の世界に対する新型コロナウイルスの影響に対処し、ウイルスの世界的大流行が去った後により良い仕事の未来を構築する方法に関して話し合うため、政労使代表が参加するILO史上最大規模のオンラインサミットを開催しました。

2020年7月22日発表・英語・1分

 五つの地域イベント、三つのグローバルなイベントで構成された新型コロナウイルスと仕事の世界に関するグローバルサミットには世界中から政労使代表が集結しました。演説者は54人の国家元首・政府首脳、5人の機関トップを含み、98カ国275人に上りました。サミットからは、「新型コロナウイルスの世界的大流行後には、全ての人にディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)が確保された、より良い仕事の未来が必要であり、私たちは結束することによってこれを達成できる」との統一したメッセージが発せられました。

新型コロナウイルス対応における協同組合と社会的経済・連帯経済企業の役割

 新型コロナウイルスの世界的大流行は、世界中の協同組合その他の社会的経済・連帯経済の事業体にも影響を与えています。危機に対応してこれらの組織は、組合員に必要不可欠な援助を提供し、サービスの適応を図り、支援を必要としている人々を地元の自治体や社会的パートナーである労使に結びつけていることを2020年の協同組合の国際デー(7月第1土曜日、今年は7月4日)に合わせて制作された広報動画は示しています。

2020年7月3日発表・英語・1分6秒

 協同組合その他の社会的経済・連帯経済企業は新型コロナウイルス危機の影響を受け、これに対応しています。地元の零細・小企業を支援する金融措置を導入し、多くが保護具や社会的ケアに対する地元の緊急ニーズに応えるために製品やサービスを転換しました。非公式(インフォーマル)経済で活動する人々の協同組合その他の社会的経済・連帯経済企業は必要不可欠な援助を提供し、政府に支援を訴えかけ、組合員に仕事が流れ続けるように手助けしました。社会的協同組合はその基盤構造を用いて、支援ニーズを抱えている人々を地元の自治体やボランティアにつないでいます。協力の影響と利益を組合員、労働者、利用者に広めるだけでなく、世界中でより強靱な共同体と経済を構築する際の効果的なパートナーともなっています。ILOは政府、社会的パートナーである労使、協同組合、より幅広い社会的経済・連帯経済組織に向けて協働を呼びかけています。これによって私たちにはより良い立て直しの機会が開けるのです。

新型コロナウイルスと労働力移動

 新型コロナウイルスの世界的大流行の中、数千万人の移民労働者が失業と貧困に直面しています。女性を中心に多くの移民労働者が保健医療などの受入国社会のために必要不可欠な仕事に従事している一方で、仕事を失ったり、非公式(インフォーマル)な仕事を行っている者も多く存在します。封じ込め措置が緩和される中、数百万人の移民労働者が既に高い失業率と事業活動混乱の重圧にあえぐ労働市場を擁する国々に帰国するよう求められるかもしれません。

2020年6月24日発表・英語・59秒

 世界全体で移民労働者は1億6,400万人を数えると推定されます。この半分近くを女性が占めています。新型コロナウイルス危機の中、保健医療の最前線や農業部門の女性労働者など、多くの移民労働者が必要不可欠な職に就いています。その貴重な貢献にもかかわらず、多くの移民労働者が低賃金や社会的保護の欠如を特徴とする保護されていない非公式(インフォーマル)な仕事や臨時雇用に就いています。多くの移民労働者が職を失ったり、インフォーマル経済に押しやられており、ウイルス感染のリスクにさらされながら基本的なニーズも満たされずに受入国に封じ込められている人もいます。仕事を失った移民労働者は既に高失業の問題に直面している母国に帰国するよう強いられるかもしれません。ILOは移民労働者のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を確保し、帰国した移民労働者が自らの技能と才能を用いて母国のより良い立て直しを手助けできるよう、権利を基盤とした帰国と再統合に向けて協力し合うことを各国政府に呼びかけています。

新型コロナウイルスの世界的大流行の打撃を最も受けている集団の一つは移民労働者と説くガイ・ライダーILO事務局長

 新型コロナウイルスの世界的大流行は世界中で数百万人の移民労働者に深刻な影響を与えていると指摘するガイ・ライダーILO事務局長は、その多くが社会的保護も何らかの種類の経済的支援を受ける機会もないと訴えています。

2020年6月24日発表・英語・2分40秒

 新型コロナウイルスの世界的大流行は労働者、経済、企業に前代未聞の犠牲を強いています。影響は22億人近い労働者に及び、3億500万人分の仕事が失われたとILOでは推定しています。とりわけ4億3,600万社の企業が深刻な活動途絶の高い危険に直面しています。労働市場に参加している難民と移民労働者はウイルスの流行が最も深刻な集団の中に含まれています。多くが非公式(インフォーマル)な就労形態であったり、低賃金の臨時雇用に就いており、しばしば社会的保護を欠いています。労働現場に位置することが多い過密な住宅施設で暮らす人々は、一層高いウイルス暴露の危険に直面しています。にもかかわらず、検査や治療の機会が開かれていない人々も多く、さらにまた新型コロナウイルスの世界的大流行の中、保健医療や介護などのケア、農業などの産業部門で必要不可欠な業務を遂行し、最前線に立っている移民労働者も存在します。こういった労働者もまた、しばしば社会的保護や何らかの種類の経済的支援から除外されています。ますます多くの数の移民労働者が帰国を強いられ、既にウイルス流行の結果、高い失業率で相当の負荷がかかっている労働市場に直面することにもなっています。

 私たちはこういった労働者のためにもっと多くのことを行うべきであり、それができると思います。諸国がこの危機から抜け出し、国土封鎖が解除される中、私たちにはより良い立て直しという実に重要な機会が与えられています。そしてそれは移民労働者にとっても同じでなくてはなりません。移民労働者は私たちの社会にとても貢献してくれているのですから。私たちは労働力移動に関する政策や手法のグレードアップを図り、より公正かつより安全でより包摂的なものにしなくてはなりません。それは移民労働者を守り、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会を開き、社会的パートナーの積極的な関与を募る政策枠組みの採用を意味します。これはまた企業の回復を手助けし、企業がより強く、より持続可能になり、自国民、移民労働者を問わず、ディーセント・ワークの確保に貢献できるよう手を貸すことも意味します。

 ILOはこの実現に向けて、そして移民労働者とその家族を含む全ての人々にプラスの未来を確保するために政府及び労使団体その他のパートナーと協働することを公約します。

新型コロナウイルスの世界的大流行の中で企業と移民を共に助けるには持続可能な移住政策が必要と説くIOE事務局長

 移民労働者は、多くの仕事や企業を脅かしている経済・社会危機の影響を特に強く受けていると指摘するロベルト・スアレス・サントス国際使用者連盟(IOE)事務局長は、持続可能な移住政策を求め、正しい解決策を見出すカギを握るのは社会対話と説いています。

2020年6月23日発表・英語・1分35秒

 私たちは経済・社会危機の時代を目撃しています。多くの仕事が脅かされており、多くの事業体、中小企業も脅威にさらされています。移民労働者は足、つまり移動手段の欠如の影響を特に受けています。新型コロナウイルスがもたらした移動制限は、移民労働者の収入に影響を与えています。今こそ、労働力移動政策の新たな基盤を定めるべき時です。持続可能な移住政策のためには労働市場のニーズをより良く観察し、集団として効率的な形で技能を先取りする必要があります。さらにまた、労働市場に関わる様々な機構、労使のより良い調整も必要です。私たちがその使い方を理解し、責任をもって行動し、期待に添うよう努力すれば、社会対話はこのための決定的に重要な手段となり得ます。使用者及び使用者団体、労働者団体、政府は今こそ誠心から社会対話に従事すべきです。IOEは140カ国以上1,500社超の会員企業を代表する独立した会員制企業団体を通じてその意欲を示すものであります。物事の実現に向けた私たちの尽力をどうか期待していて下さい。

新型コロナウイルスの世界的大流行の中で移民労働者は平等な待遇に値すると説くITUC書記長

 新型コロナウイルスの世界的大流行の期間ほど、移民労働者の権利に焦点を当てることが重要な時はないと、シャラン・バロウ国際労働組合総連合(ITUC)書記長は説いています。

2020年6月22日発表・英語・1分54秒

 1週間にわたって移民労働者の権利と苦境に焦点を当てるのはとても大切なことです。実際、このウイルスの世界的大流行の中ではかつてないほど重要です。

 世界がこの危機に対処する中、数百万人の移民労働者がただ忘れ去られているのは確実です。実際、仕事の希望もなく、未払いの賃金も受け取れずに受入国で身動きが取れないか帰国を強いられています。移民労働者は平等な待遇に値します。だからポルトガルがごく早期に実際に示したような、導入された所得保障の仕組みにおいて移民労働者に平等の待遇と支援を提供するような手立てが必要です。移民労働者を特定し、支援し、自発的な帰国を可能にするか雇用・所得の保障を提供する必要があります。これは古くからの課題であり、既にあまりにも多くの移民労働者が可能なあらゆる方法を使って生き残りを図るよう強いられています。

 移民労働者は私たちの社会に大きな貢献をしてくれています。にもかかわらず、依然としてあまりにも多くの国で人種関連の不正義を被っているのは許容できません。米国の人種関連不正義に対する抗議が世界中で爆発するのを私たちは目撃しましたが、実際のところ、これはどこからもなくす必要があります。新型コロナウイルスの健康危機は、保健医療制度や最前線で働く人々、運輸、小売業、サービス業にどれだけの移民が存在するかを明らかにしました。私たちはこういった人々に感謝の言葉を述べなくてはなりません。その仕事の価値を評価しなくてはなりません。しかし何よりも必要なのは移民労働者の平等待遇に向けて戦うことです。必要なのは連帯です!

暴力とハラスメントのない仕事の世界

 ILO加盟国の政府及び労使団体は1年前に、暴力及びハラスメント条約(第190号)と付随する同名の勧告(第206号)を採択することによって、仕事の世界における暴力とハラスメントに終止符を打つための行動を起こしました。今は全ての国がこの国際条約を批准し、暴力とハラスメントのない仕事の世界を作ることによって、この権利をあらゆる人にとっての現実にすべき時です。

2020年6月19日発表・英語・1分7秒

 仕事の世界における暴力とハラスメントはなくさなくてはなりません。2019年6月にILOは正にそのために世界初の国際条約を採択しました。第190号条約は性差に基づくものを含み、暴力とハラスメントについての共通の定義を示し、それを予防・撤廃する方法に関する明確な枠組みを含んでいます。

 危機の中では暴力とハラスメントの危険性は一層高くなります。新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的大流行はその事実を暗鬱な形で思い起こさせました。第190号条約と第206号勧告は暴力とハラスメントを予防し、なくす手段として有用であり、新型コロナウイルス危機の課題に対応し、より良い日常を構築し得ることが示されています。暴力とハラスメントのない仕事の世界は一人ひとりの権利です。そしてそれは私たち皆の助けによって構築できるものです。第190号条約と第206号勧告が全ての人の現実となるよう行動を起こしましょう。#RatifyC190を用いて声を上げようではありませんか。

新型コロナウイルスの感染拡大の中でヨルダンの農業部門を支援するILO

 ヨルダンにおける新型コロナウイルス(COVID-19)対応の一環として、ILOは自営農家及び労働委員会と協力して農業労働者の保護及び啓発活動に従事しています。

 ILOは新型コロナウイルスと仕事の世界に関するトピックページを通じて、新型コロナウイルスに関連したILOのプロジェクトや開発協力活動を紹介しています。

2020年6月15日発表・英語字幕・54秒

 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大し始めてからILOはヨルダンの農家及び農業労働者が直面している課題についてオンラインで相談に乗り、支援を提供し、安全衛生措置に関する視聴覚教材を支給してきました。搾乳場で働くモハメッド・ダーウィッシュさんは労働者同士が4メートルの距離を取って働いていると紹介しています。労働委員会の委員であるモハメッド・ジアド・ハリリさんは地元市場で農産物が入手でき、食の安全保障が保たれるよう農業部門の生産者が責任をもって働いていると報告します。農業を営むユセフ・アブ・マスードさんは安全具を用いるだけでなく、労働者の宿舎内外も清掃・消毒していると報告します。

 農業部門で働く人々の多くが国土封鎖中も食料サプライチェーン(供給網)が途絶えないよう働き続けたために、この産業は真っ先に変化に適応しなくてはならなかった産業の一つに数えられます。

新型コロナウイルスと戦うための生産転換:モルドバからの報告

 モルドバ南部で小さな商いを行っているミハイ・バランさんは、ILOが通常予算補足勘定を通じて実施して若年者就業促進プロジェクトの受益者です。通常は装飾土産品を生産していますが、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行を受けて最前線の保健医療従事者向けのバイザー製造に生産をシフトしました。

 ILOは新型コロナウイルスと仕事の世界に関するトピックページを通じて、新型コロナウイルスに関連したILOのプロジェクトや開発協力活動を紹介しています。

2020年6月15日発表・英語字幕・1分10秒

 ミハイ・バランさんはモルドバで装飾土産品を生産する小規模な事業を営んでいましたが、今は新型コロナウイルス(COVID-19)と戦う保健医療従事者向けのバイザーを生産しています。適正な技能と設備があったので、この危機の中でウイルスと戦う最前線の医師向けにバイザー製造を開始したと、バランさんは語っています。バランさんは2019年に通常予算補足勘定を財源としてILOがモルドバ国家雇用安定局と共同で実施した雇用創出計画に参加し、それを通じてレーザー裁断機を購入しました。事業の適応を図ったことによってバランさんはこの危機の時代に従業員に部分的でも給与を支払うことができています。営利目的ではなく、会社を潰さず、進行中の事態を支援するために商品を販売しているとバランさんは説明します。かつては支援を必要とする側にいたバランさんが、今は最前線でコロナウイルスと戦っている人々に支援を提供する側に回っています。

ILOの新型コロナウイルス対応

 新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な大流行は仕事の世界に奥深い影響を与えています。ILOは加盟国政労使と共にウイルスの影響と戦い、全ての人に社会正義が確保された、より安全かつ健康的で人間を中心に据えた仕事の未来の構築に向けて決定的に重要な役割を演じています。

2020年6月10日発表・英語・59秒

 仕事の世界は新型コロナウイルス(COVID-19)に屈しました。労働者や企業、女性、移民労働者その他の脆弱な集団に対する影響の測定とそれへの対処、職場における安全衛生の強化促進、使用者に対しては事業継続性計画や安全な職場復帰における手助け、労働者に対しては職場で安全であり続ける方法についての発言力支援、政府に対する最新の政策助言の提供、国連による多国間対応の調整支援、そしてより良い日常に向けた活動といったように、ILOは国際的な対応において中心的な役割を担っています。

新型コロナウイルスによる若者の雇用危機に対する政策解決策とは

 最善の時代においても若者の労働市場における状況は厳しく、新型コロナウイルスの世界的大流行以前から若者の失業の可能性は、より年長の人々の約3倍に達していました。危機は今や、国内及び国家間に従来より存在していた不平等を拡大する危険があります。

2020年6月8日発表・英語・1分3秒

 新型コロナウイルス(COVID-19)危機は若者に不均衡に大きな影響を与えています。

 スクチ・ダスグプタILO雇用・労働市場政策部長は、若者は常に景気後退の影響を強く受けてきたことを指摘しつつ、今回は若者が三重のショックにさいなまれ、さらにひどい状態であると説いています。この三つとは、1)教育・訓練の中断、2)1億7,800万人の若者が危機の影響が特に激しい職種や産業部門に集中していることから、より年長の人々よりも事業や仕事を失う可能性が高いこと、3)新規に労働市場に加わる人々にとっては、競争が熾烈で機会がほとんどないこと、です。また、女性は特に激しい影響を受けています。したがって大きな危険は、若者の労働市場からの長期にわたる排除と長く残る傷跡であると部長は指摘しています。

 ILOはこの度、新型コロナウイルスによる若者の雇用危機に取り組む方策に関する政策概説資料(英語)を発表しました。この資料はこのような課題を克服するための大規模かつ緊急の政策対応を求め、その手法を説明しています。

十分な疾病給付を全ての人に

 新型コロナウイルス(COVID-19)のもたらした保健危機は、疾病時に保護を受ける資格の点で重要なギャップが存在することを明らかにしました。保健医療を受ける機会と所得保障を確保する点で疾病給付は社会的保護による保健の重要部分を構成しています。

2020年5月14日発表・英語・58秒

 新型コロナウイルスの世界的大流行は社会的保護としての疾病給付の重要性に光を当てました。これは人々が病気にかかっている時や隔離期間中に、安全に自宅に留まり、ウイルスが他の人に広がるのを防ぐことができるように、安定した所得を確保することを意味します。疾病給付は労働者の健康、所得、福祉に、即時のそして長く続く影響を与えます。政府は緊急に十分な疾病給付を全ての人に提供する必要があります。この方策としては、1)適用対象となる労働者の拡大、2)隔離や病気の家族の世話を支給事由に含むこと、3)十分な所得保障が確保されるよう給付水準を引き上げること、4)科学技術などを用いて迅速な支給を確保すること、を挙げることができます。疾病給付は保健医療の利用と所得保障を確保する上で、社会的保護による保健の重要な一部です。

インフォーマル経済に対する新型コロナウイルスの影響

 新型コロナウイルス(COVID-19)の突然の流行は、収入が6割減になるなど、非公式(インフォーマル)経済で働く人々20億人中約16億人に深刻な影響を与えています。こういった労働者には、働かないことや自宅で遠隔就労する選択肢はなく、自宅に留まることは仕事を失うことを、そして多くの者にとっては同時に、生活の糧を失うことを意味するのです。

2020年5月8日発表・英語・1分7秒

 新型コロナウイルスの影響は、インフォーマル経済で働く20億人中約16億人に及んでいます。これは世界の就労者の半分近くが生計手段を失う目前の危険に直面していることを意味します。働かないで自宅にこもることは、収入を失うことを意味するため、都市封鎖措置はインフォーマル経済で働く人々に一層厳しい影響を与えています。インフォーマルな就労者は飢えで死ぬかウイルスで死ぬかのジレンマに直面しています。既に保護具を得る機会や病気になった時に医療を受ける機会が限られていたインフォーマルな就労者の状況は新型コロナウイルスによって一層悪くなりました。世界的に見ると10社中8社はインフォーマル企業ですが、新型コロナウイルスはこの多くの閉鎖を余儀なくし、貧困に突き落とすことになります。同時に、移動制限によって公式(フォーマル)経済で仕事を失った労働者は、ただ生き続けるためにインフォーマルな仕事を求めざるを得ないかもしれません。新型コロナウイルス危機はインフォーマル経済からフォーマル経済への移行を確保する決定的に重要なニーズに光を当てるものとなっています。

新型コロナウイルスとアフリカのインフォーマル経済

 新型コロナウイルスの大流行はアフリカ、とりわけ3億2,500万人が生計を頼っているインフォーマル経済に壊滅的な影響を与えています。国土封鎖措置は人々の暮らしに大きな影響を与えており、多くのインフォーマル企業が閉鎖の危機に瀕しています。

2020年5月7日発表・英語・1分5秒

 新型コロナウイルスの大流行による国土封鎖措置はアフリカ、とりわけ3億2,500万人が生計を頼っているインフォーマル経済に壊滅的な影響を与えています。仕事がなければ収入がないことを意味するため、インフォーマル経済で働く人々は飢えか感染かという選択できないジレンマに直面しています。病気になった場合に保健医療費を支払えば、多くの人々がさらに重い貧困に陥ります。アフリカの企業は10社中9社までがインフォーマル企業であり、事業閉鎖の危機に瀕しています。所得支援なしに移動制限措置を成功させることはできないでしょう。

新型コロナウイルス危機を生き抜くために中小企業に必要な五つのこと

 新型コロナウイルス(COVID-19)の突然の流行は中小企業とそこで働く人々にも打撃を与えています。この危機を生き抜くために中小企業は緊急の支援を必要としています。

2020年4月3日発表・英語・1分12秒

 過去の災禍で何が生き残りの助けになったかを参考にして、中小企業の経営と労働者を守る助けになるものとして提案できる政策選択肢のトップ5は以下の通りです。

  1. 金融及び運転資本へのアクセス改善。助成金や負担可能な融資、一時的免税を通じて短期的な資金の流れを助ける必要があります。
  2. 商品及びサービスに対する需要の後押し。生産を一時的に新型コロナウイルス関連の必要物資に転換するための支援などが考えられます。
  3. 社会的保護と雇用の保護。労働者が仕事を維持する助けになる補助金や訓練プログラムなどが挙げられます。
  4. ウイルスが抑制された後の企業の再活性化支援。事業環境が通常に戻るわけではないため、企業が新たな市場環境に適応する助けが必要になります。
  5. 社会対話と社会の結束。労使が一丸となって危機に立ち向かう時、国家の強靱性は高まります。

 新型コロナウイルスの世界的大流行に際しても事業とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を維持することはできます。必要な支援は届いているでしょうか。

新型コロナウイルスに関連した職場の労働安全衛生留意事項

 職場における適切な安全衛生措置は疾病の拡大を抑え、労働者そして広く社会全体を守る上で決定的に重要な役割を演じ得ます。新型コロナウイルス危機への取り組みにおいては、政府、使用者、労働者それぞれに演じるべき役割があり、協力体制がカギを握っています。新型コロナウイルスの拡大に応え、ILOは労働安全衛生の観点からこの問題に取り組む広報動画を制作しました。

2020年4月2日発表・英語・日本語字幕付・1分23秒

人間工学の観点から見たテレワーク時の留意事項

 新型コロナウイルスに対する最善の安全策はウイルスに接触しないことです。そのために在宅勤務が推奨されていますが、ILOのエロイ・アロンソ=マエストレ労働安全衛生調整官はテレワークに慣れていない場合が多い人々に向けて効率的かつ生産的にテレワークを進めるための留意事項を次のように説いています。

2020年3月30日発表・英語・1分19秒

 家族と過ごす自宅で仕事をする際には、仕事と家庭責任の両立が困難です。静かな部屋を見つけるか、どこかに即興のオフィス環境を作り上げることを試みてみましょう。

 人間工学的には、両足を床につけ、膝が床と平行になるよう座席の高さを調節してみます。高さが調節できない場合にはクッションを使っても良いでしょう。また、膝と椅子の間には間隔が必要です。背中は背もたれにもたせかけ、上腕は床と平行になるようにし、手首を休めるためにリストレストを使いましょう。

 最適の環境ではないかもしれませんし、ラップトップの画面が小さすぎると感じるかもしれません。定期的に休憩を取って運動をし、遠くを見て目を休めたり、水分補給を忘れないようにしましょう。十分な照明も新鮮な空気も大切です。可能であれば、頻繁に窓を開けて換気をしましょう。そして最も大切なことは、外出せず、安全性を保つことです。

公衆衛生の危機において国際労働基準が重要な理由

 ILO国際労働基準局は、新型コロナウイルス危機に対応して雇用喪失の回避や危機対応、所得水準の維持、労働安全衛生、差別の防止や差別からの保護、プライバシーの保護、休暇資格や特別の就労取り決め、非常時の柔軟性、保健医療労働者や家事労働者といった特定の労働者や産業部門に関連する基準など、危機に関連した国際労働基準についてまとめた資料を作成しました。

2020年3月27日発表・英語・1分16秒

 ILOは人々が自由、公平、安全保障、尊厳といった状況下で生産的なディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を得る機会を促進するために、主として条約と勧告からなる国際労働基準体系を維持しています。これは新型コロナウイルス危機に際しても意味があるものです。国際労働基準は187のILO加盟国の政労使の交渉によって生み出された、働く上での基本的な原則と権利を定める法的文書です。仕事の世界における課題を克服する対話を促進することによって信頼の風土を形成し、平時のみならず例外的な状況下における就労取り決めも規制し、失業を回避して所得水準を維持するのを助け、危機によって仕事を失った人々に起こる事態を規制し、受給資格のある給付や扶助の設計を助け、労働者の安全性を保つ労働安全衛生基準、保健医療労働者、家事労働者、移民労働者、船員などの特定の種類の労働者の保護を定めています。国際労働基準は、持続可能で公平な、人間を中心に据えた取り組みに焦点を当てた、試行を経て信頼を勝ち得た危機対応のための基盤を提供しています。

効果的なテレワークのために知っておくべき五つのこと

 労働時間の専門家として長くテレワーク問題の研究に携わり、『21世紀のテレワーク』などの著作物があるジョン・メッセンジャーILO労働条件上級専門官が新型肺炎コロナウイルス危機に際し、効果的なテレワークに向けた五つのヒントをお伝えします。

2020年3月16日発表・英語・1分52秒

 新型肺炎コロナウイルスの世界的大流行によって多くの人がテレワークを求められているかと思います。これは様々な課題を提起しますが、あらゆる場合に通用する重要なポイントが幾つか存在します。もしかすると今は、この重要性が一層高まっているかもしれません。

 一つ目はマネジメントによるサポートです。トップから最前線の現場監督に至る経営陣・管理職による支援。これが効果的なテレワークの絶対的なカギを握るものです。

 二つ目は適切なツールと研修です。これは同僚との連絡を保つために必要不可欠です。適当なアプリ、十分な技術サポート、そしてテレワークに従事する人とマネジャーの両方を対象としたトレーニングが必要です。

 3番目として、必要な結果について管理部門の期待を明確に示す必要もあります。どんな条件のどんな成果が必要か、労働者に何回連絡を取るか、連絡を取ってはいけない時間など。こういった全てのことを前もって明らかにしておく必要があります。

 4番目は時間を司る権利です。労働者ができるだけ生産的になれるよう、それぞれが最も都合の良い時間と場所で働ける力を与える必要があります。

 5番目として、誰もが自分自身の個人的な境界を管理できる戦略が必要です。これには専用の仕事場のような有償労働と個人の生活の境を確実に保てるための様々な仕組みが含まれます。とりわけ、例えば自宅のように、テレワークをしようとしている場に複数の人がいる場合は、これが不可欠です。でも同時に仕事から離れられなくてはなりません。接続を切り、実際に休息しリラックスする時間が取れる必要があります。

 最後の一つとして信頼があります。これは以上の全てを結びつける接着剤です。テレワークを行う労働者本人とマネジャーの間に、そして同僚全ての間に信頼が必要です。これが一緒になって効果的なテレワーク戦略につながります。