ILOなどが共同報告書

職場での暴力・ハラスメント 5人に1人が被害

記者発表 | 2022/12/06
ILOは5日、ロイドレジスター財団、ギャラップ社と、職場における暴力とハラスメントについて分析した共同報告書 Experiences of Violence and Harassment at Work: A global first survey を発表しました。被雇用者の男女のうち約23%(約5人に1人)が、身体的、心理的、性的な暴力やハラスメントを経験していることがわかりました。

職場の暴力やハラスメントについて世界規模の調査が行われたのは初めて。調査は2021年、121の国と地域の15歳以上の被雇用者約7万5千人を対象にインタビュー形式で行われました。心理的な暴力やハラスメントにあったことがあるのは、被雇用者の男女のうち17.9%。身体的な暴力やハラスメントは8.5%で、女性よりも男性の被害が多いことがわかりました。性的な暴力やハラスメントにあったことがあると回答したのは6.3%で、特に女性の被害が多いことがわかりました。

職場における暴力やハラスメントは計測が困難で、被害を誰かに打ち明けるケースはわずか半数しかなく、多くの場合は複数の形態の暴力やハラスメントを受けてようやく話すようになることなどもわかりました。被害を話さない理由として最も多かったのは、「時間の無駄だと思う」「評判が落ちるのが怖い」で、女性(60.7%)は男性(50.1%)に比べて被害を話す傾向が見られました。

報告書は、人々が自分の被害にあった経験を話すのを妨げる要因として、恥や罪悪感、制度に対する信頼の欠如、容認すべきでない(暴力やハラスメントなどの)行動が「普通」ととらえられていること―などを挙げています。

また、種類を問わず暴力やハラスメントの影響を受ける可能性が最も高いグループは、若者、移民労働者、賃金労働者の男女でした。報告書によると、性的な暴力やハラスメントについては、若い女性が被害にあう数は若い男性の2倍に、移民女性は非移民女性の2倍近くに上ると述べています。被害者の5人に3人以上が、職場で暴力やハラスメントを複数回経験したと答え、その多くが過去5年以内に被害を受けていると回答しています。

ILO条約の2019年の「暴力及びハラスメント条約」(第190号)と勧告(第206号)は、ジェンダーに基づくものを含む、仕事の世界における暴力とハラスメントを防止、是正、排除するための国際労働基準で、国際法上初めて、暴力とハラスメントのない仕事の世界に対する全ての人々の権利を尊重、促進、実現することを批准国に求めています。

※以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。