世界賃金報告2022/23年版

実質賃金が下落 インフレ高進で

記者発表 | 2022/12/02
ILOは11月30日、世界の賃金についてのレポート Global Wage Report 2022-2023: The Impact of inflation and COVID-19 on wages and purchasing power を発表しました。報告書によると2022年上半期(1~6月)の世界の実質月額賃金は0.9%低下しました。世界の実質賃金上昇率がマイナスとなったのは2000年代では初めてです。

報告書の推定では、G20(主要20の国・地域)のうち先進国で、2022年上半期の実質賃金は2.2%減。G20 新興国では実質賃金は0.8%増となったものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)大流行前年の2019年と比較すると2.6%の減少です。

同書は、深刻なインフレ危機と、ウクライナでの戦争やエネルギー危機が世界的な経済成長の鈍化と結びつき、多くの国で実質月額賃金が著しく下落したと報告。中間層の購買力を低下させ、特に低所得世帯が大きな打撃を受けているとしています。また、貧困、不平等、社会不安の深刻化を防ぐには、政策的措置が早急に必要だとしています。

事務局長のジルベール・F・ウングボは「私たちが直面している複数の世界的な危機は、実質賃金の低下を招いている。数千万人もの労働者が増幅する不確実性に直面し、悲惨な状況にある」と述べています。

※以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。報告書の概要(エグゼクティブサマリー)日本語版はこちらからご覧いただけます。