ILO、日本政府の人権尊重指針発表を歓迎

記者発表 | 2022/09/30
日本政府による、日本企業の労働慣行の強化を後押しし、強じんで持続可能なサプライチェーン構築を支援する新たなガイドライン

ILOは、日本政府による、サプライチェーンにおける人権尊重に向けたガイドラインが、日本国内のみならず国際的にもプラスの影響を与えるものであることに着目し、その発表を歓迎しました。

日本政府は9月13日、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を発表しました。このガイドラインは、日本企業による、「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」をはじめとする、国際的に認められた人権の尊重の促進を目的として策定されています。

麻田千穂子ILOアジア太平洋地域総局長は「ILOは、人権および労働における基本的原則と権利を尊重し、持続可能で責任ある企業行動を目指す日本政府の今回の新たな取組みを歓迎しています」とコメント。「本ガイドラインを通して、日本政府は国際基準へのコミットメントを強化し、日本企業が従事する国内および海外事業で、人権尊重責任が推進されることへの期待を明確に示しています」と付け加えました。

このガイドラインは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」、経済協力開発機構(OECD)の「多国籍企業行動指針」と共に、ILOの「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」(多国籍企業宣言)を、国内外における責任ある企業行動の指針を示す主要文書として明示しています。

麻田総局長はさらに「私たちは日本企業に対し、このガイドラインを活用して、デュー・ディリジェンスの実施とステークホルダーの対話の促進に向けた具体的な措置の実施、企業行動の改善、持続可能で強じんなサプライチェーン、バリューチェーンの構築への貢献を期待します。また、日本政府に対しては、社会対話の強化を図り、政府、労働者、使用者(政労使)がこのガイドラインの推進に向けて共に取り組み、必要な政策手段を策定し、多国籍企業宣言や国連指導原則に規定された、事業活動における人権・労働の権利の保護義務に則した、ガイドラインの効果的な実施・促進を期待します」と述べました。

高﨑真一ILO駐日代表は、「ガイドラインの効果的な実施に向けて、ILOは日本政府、日本企業、労使団体等を含む全てのステークホルダーを支援する用意があります」と話しています。

ILOは、経済産業省が設置した「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン検討会」に委員として参加し、日本の政労使と共にガイドラインの策定を支援しました。