日本政府からの資金拠出事業

干ばつ被害のマダガスカルで雇用創出事業 日本が支援

記者発表 | 2022/09/02
ILOとマダガスカルの水・衛生省は2022年4月から、干ばつによる飢饉が発生している同国のアンボアサリー、ベキリ両地区でプロジェクトを開始しました。農業インフラに関連する雇用の創出を通じて社会経済の早期回復をサポートします。このプロジェクトには日本政府による支援およそ74万米ドルが充てられます。

マダガスカル南部にある両地区では気候変動によるとみられる深刻な干ばつが3年連続で発生し、作物の収穫ができなくなるなどの被害が出ました。住民は食料や生計を失い、100万人以上が飢餓などの人道危機に直面しています。また、COVID-19の流行で社会経済の状況はさらに悪化し、雇用に大きな影響が出ています。

日本政府の支援によって行われるプロジェクトでは、基礎インフラの修復を通じてすぐに収入を得られる機会をつくる、雇用集約型アプローチ(EIIP)を用います。食料安全保障と栄養状態を改善し、環境に配慮したグリーン・ワークを行うことで気候変動への適応力を高めつつ、最もぜい弱なコミュニティを支援します。

6月24日にはプロジェクト発足式があり、Fidiniavo Ravokatra 水・衛生相、樋口義広・駐マダガスカル日本大使、Coffi Agossou ILOマダガスカル事務所代表をはじめ、労働者、使用者の各団体が出席しました。

Agossou 代表はあいさつで、地元の労働力と材料という「地域資源」を活用し、コミュニティの自律性を最大限に高めるため非政府組織(NGO)と協働する点を強調し、プロジェクトを通じてディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の創出に努めたい、と意気込みを語りました。

樋口大使は「日本が資金提供するこのプロジェクトを通じ、食料安全保障と栄養改善の観点から、被災地区のために雇用を促進し、不可欠な農業インフラを提供するとともに、グリーン・ワークの実施を通じて環境保護を図りながら社会経済復興を支援します。南部のコミュニティの災害に対する回復力を強化することを目的としています」と話しました。

このプロジェクトは、マダガスカル創生計画の「全ての人にディーセント・ワークを」と「食料自給自足」の目標、また、国連の持続可能な開発目標(SDGs)8「働きがいも経済成長も」、14「気候変動に具体的な対策を」、第7回アフリカ開発会議(TICAD7)の「横浜宣言」、「質の高いインフラ投資に関する G20 原則」に沿うものでもあります。

以上はマダガスカル・アンタナナリボ発の英文記者発表の抄訳です。