1957年の強制労働の廃止に関する条約(第105号)

日本、強制労働廃止条約を批准

記者発表 | 2022/07/20
日本政府は7月19日、1957年の強制労働の廃止に関する条約(第105号)の批准書をILOに寄託しました。日本はILO加盟国の中で177番目の批准国となりました。同条約の日本での発効は1年後の2023年7月19日です。

強制労働廃止条約は全加盟国が最低限守るべき中核的労働基準です。この条約を批准した国は全ての種類の強制労働を廃止し、利用しないことが求められます。今回の批准は、あらゆる形態の強制労働の撲滅をはじめ、中核的労働基準を遵守していくという日本政府の強固な決意の表れでもあります。

最新の推計(2017 Global Estimates of Modern Slavery)によれば、世界では2490万人が強制労働を課されています。そのうち、1600万人は企業など民間での強制労働、480万人は強制的な性的搾取、400万人は国家による強制労働―の状態に置かれています。強制労働の被害者の割合はアジア・太平洋地域が世界で最も高く、1000人当たり4人が被害にあっています。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって、多くの労働者が強制労働に陥る危険があります。

批准書の寄託に臨んだ在ジュネーブ国際機関日本政府代表部の山﨑和之常駐代表・特命全権大使は「強制労働の廃止に関する条約の批准書を渡すことができて大変うれしく思います。日本の批准には、公務員に関する法律をはじめ、関連国内法の改正の必要がありました。昨年の国会で関連法の改正が行われ、批准に向けた環境を整備しました。日本政府は、労働問題について社会的パートナーとの協力関係強化にも努めました。今回の批准は、国際労働基準遵守に対する日本政府の固い決意を示すものです」と話し、「この批准は、強制労働の撤廃に向けた国際的な取り組みの推進に貢献すると考えています。近年、日本政府は国際労働基準遵守のためのフィールドでの活動に任意拠出を倍増しており、今年はさらに1510万米ドルを拠出予定です」と続けました。

批准書を受け取った事務局長のガイ・ライダーは「日本は、特にアジア・太平洋地域において、社会正義とディーセント・ワークの実現における重要なパートナーです。この強制労働廃止条約の批准は、中核的労働基準を遵守し、促進するという日本の継続的な決意を再確認するものです」と話し、「ILOの世界推計が示すように強制労働の廃止は特に緊急性が高く、強制労働廃止条約は重要な国際労働基準の1つです。強制労働廃止条約の普遍的批准(全加盟国による批准)と、国連の持続可能な開発目標、具体的にはSDGsターゲット8.7の実現に向け、日本の批准は重要であり、非常にうれしく思います」とコメントしました。

日本はこれまでに49条約を批准しています(うち33条約が発効)。

以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。