「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」

策定に向け初の労使対話を開催

記者発表 | 2022/06/24
労使対話の前に記念写真に納まる出席者。(左から)山田美和ジェトロ・アジア経済研究所主任調査研究員、松浦勝治UAゼンセン政策局長、後藤健太関西大教授、富𠮷賢一JTF副会長、高﨑真一ILO駐日代表=2022年6月13日、東京・日本橋
日本繊維産業連盟(JTF)と全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟(UAゼンセン)は13日、繊維会館(東京・日本橋)で行われた労使対話に臨み、人権デューディリジェンス(DD)の実践を進めるために労使双方がどのように協力できるか意見を交わしました。人権DDに関する業界ガイドラインの策定にあたって産業別労働組合と業界団体が意見交換を行うのは初めてです。

この労使対話は、JTFがILOやオブザーバーとして参加する経済産業省と作成中の「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」で明らかになった課題を共有するために開催されました。国際基準では、このような労使協議自体が「エンゲージメント」と呼ばれる利害関係者との有意義な協議と位置付けられており、企業が人権尊重責任を果たす環境をつくるための取り組みの一つとされています。今回の協議でILO駐日事務所は、協議をファシリテートする(促す)役割として参加しました。

冒頭でJTFの富𠮷賢一副会長は「国際的な流れの中で日本でも人権DDに対応しなければならない」とあいさつし、続いてUAゼンセンの松浦勝治政策局長が「経営者からは安心できる対話(の姿勢)を強く打ち出してほしい」と話しました。

会議には専門家として、関西大学の後藤健太教授と日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所の山田美和主任調査研究員も参加。後藤教授は「賃金や生産性に投資する企業は人が定着し、好循環を生み出す」と述べ、山田氏は「労働者に対する企業からの負の影響をなくすのがビジネスと人権の取り組み。その覚悟を経営者にしっかり持ってもらうのが重要」と強調しました。

ILO駐日代表の高﨑真一は閉会のあいさつで「人権尊重の責任を果たすため、企業は組合の役割を再認識しつつある。取り組みの客観性と正当性の担保のためにも労使双方は継続的に協働を」と締めくくりました。