海事労働条約、8改正項目案を採択 特別三者委

ニュース記事 | 2022/05/16


船員の生活・労働条件を改善するため、2006年の海上の労働に関する条約(MLC、2006)特別三者委員会第 4 回会合第2部 が5月5日から同13日まで開かれ、世界の海運業関係者の代表 500人超が出席しました。

委員会はオンラインと対面の会議の組み合わせで行われ、同条約の改正項目案を採択しました。この改正は新型コロナウイルス感染症の流行で得た教訓を生かすもので、旗国(船籍がある国)の政府、船員、船舶所有者が次の8項目案に合意しました。
  • 特に増加している女性船員に適したサイズの個人用保護具を備える
  • 船員が良質な飲料水を無料で利用できるようにする
  • 各国は、遺棄(置き去り、立ち往生など)された船員が迅速に帰還できるようにする
  • 各国は、緊急援助が必要な船員に医療を提供し、航海中に死亡した船員の送還を円滑に行う
  • 船舶所有者は、社会とのつながりを保つための適切な情報インフラを船員に提供し、各国は港湾におけるインターネット環境を整備する
  • 船員派遣・船員職業紹介事業が船員の金銭的損失を補償する義務について、船員の権利を周知する
  • 船員の死亡は全て記録され、ILOは年1回の報告を受ける。関連するデータは公表される
この改正項目案は2022年5月から同年6月にかけて開催されるILO総会で承認される見通しで、承認された場合は2024年12月までに発効する見込みです。

特別三者委員会では、改正案のほか、
  • 性的暴行や性的嫌がらせ(セクハラ)を含む、船員に対するいじめや嫌がらせ
  • 船員が遺棄された場合の金銭保証制度
  • 全ての船員が船舶所有者に対し、契約上の救済の適切な手段が保障されるための措置を採用する必要性
などに関連する多数の決議も採択しました。

以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。