お知らせ:ILO総会

第109回ILO総会第2部間もなく開催(2021年11月25日~12月11日)

記者発表 | 2021/11/18
ILO総会で不平等にスポットライトが当てられる理由(英語・2分21秒)
 ILO総会第2部では不平等と仕事の世界の問題が検討されます。この討議は、各国が新型コロナウイルス危機からの人間を中心に据えた回復に向けて活動するという決定的に重要な時期に行われます。不平等への取り組みは創設以来、ILOに付託された任務の中心に位置してきました。
 ではなぜ今、総会で一般討議が行われるのでしょうか。
 既に数十年前から世界中で不平等が拡大し、社会と経済の前進を脅かしています。貧困層と富裕層、男女間、若者とより年長の人々の間で、機会と報酬の点で甚だしい不平等が存在することが目撃されています。そこで諸国は国連の持続可能な開発目標(SDGs)を通じて2030年までに極度の貧困をなくし、不平等を縮小することに合意しました。
 コロナ禍はこういった以前より存在する不平等を露わにし、さらに悪化させました。これは数百万の人々、家族、企業、社会の福祉と強靱性に破壊的な影響を及ぼしています。不平等を縮小することなしに、新型コロナウイルスからの強靱かつ包摂的で持続可能な回復に向けた人間を中心に据えた回復はあり得ません。そして私たちは仕事の世界が解決策の一部であることを知っています。
 仕事の世界はどのようにして不平等の縮小を助けることができるでしょうか。
 仕事は世界中ほとんどの人にとって中心的な収入源です。仕事の世界の不平等は、現在進行中の科学技術や人口動態、環境の変動やコロナ禍など多数の要素によって形作られています。不平等の縮小には、こういった問題を理解する必要があります。全ての状況に通用するたった一つの解決策というものは存在しません。
 何が機能するかと言えば、整合の取れた政策の組み合わせです。仕事を豊かに生む成長、生産性向上、持続可能な企業、公式(フォーマル)経済への移行に向けた政策などが含まれます。
 同時に、差別に取り組み、平等を促進する、うまく機能する制度・機構、十分な賃金と勤労所得、全ての人の社会的保護も必要です。
 ではなぜ今、ILO総会で一般討議が行われるのでしょうか。
 その目的は、仕事の世界における不平等に対抗するためにILOが諸国内及び国際的に取るべき行動を導くためです。

 187のILO加盟国から政労使代表が出席して開かれるILO総会は、仕事の世界の問題を扱う最大の国際会議です。新型コロナウイルスの世界的大流行の影響を受けて2020年から延期になった第109回ILO総会はバーチャル形式で開催されている関係上、今年5月に開幕した後、2022/23年の事業計画・予算社会的保護に関する反復討議労働基準の適用などについて審議を行い、「人間を中心に据えた回復に向けた行動に対するグローバルな呼びかけ」などを採択していったん6月19日に幕を下ろしましたが、第2部として、来る11月25日~12月11日に審議が再開されます。

技能と生涯学習:ILO総会で検討される四つの問い(英語・2分21秒)
 ILO総会第2部の議題の一つとして技能と生涯学習の問題が検討されます。この討議は、各国が新型コロナウイルス危機からの人間を中心に据えた回復に向けて活動するという決定的に重要な時期に行われます。総会出席者は四つの主な質問を巡って議論を展開します。
 第1の問いは、今日及び明日の課題に対応するにはどんな技能が必要かということです。
 急速に変化する仕事の世界において技能は「貴重な通貨」と言えますが、これは「移動する標的」でもあります。今日の技能の多くが明日の仕事には合わず、急速に陳腐化するかもしれないからです。
 デジタル経済やグリーン経済、介護などのケア経済におけるものを含み、この変化するニーズに対応する正しい技能集合を人々に備える必要があります。
 2番目の問いは、技能や生涯学習の仕組みが時代に即したものとなるよう近代化を図るにはどうすればいいかという点です。
 男女平等や脆弱な集団のニーズなどといった現下の優先事項を反映するよう、技能に関する政策と事業計画を更新する必要があります。
 例えば、コロナ禍を理由としてオンライン学習や遠隔学習がかつてないほどに重要になってきています。しかしながら、インターネットを利用できない何億人もの人々にはオンライン学習の機会が閉ざされています。
 第3の問いは、技能と生涯学習を通じて人々の暮らしを改善するために政府、労使団体にできることは何かということです。
 社会対話を通じて政府、労働者、使用者が協働した場合、技能と生涯学習を促進し、技能ミスマッチの縮小を助けることができます。
 総会では技能の統治と財源、そして社会の一人ひとりが教育・技能政策から受益するよう確保する方法に関する話し合いが行われます。
 最後の問いは、ILOの技能・生涯学習戦略の策定に必要な要素は何かというものです。
 総会ではILOが革新を図り、サービスの規模を拡大し、技能・生涯学習に関する世界的指導者として自らを位置づける方法に関する話し合いが行われ、手引きが示されるでしょう。

 主な議題は、不平等と仕事の世界、そして技能と生涯学習の二つの一般討議議題です。12月11日に1日だけの本会議が開かれ、作業部会及び委員会の報告書を検討し、総会役員及び事務局長の閉会の辞をもって正式に閉幕します。本会議の模様はILO総会のウェブサイト経由でオンライン中継されます。11月25、29日、12月6、13日には日本時間の翌日1時から日替わりテーマで30分間の仕事の世界ショー(英仏西露中アラビア語)のオンライン配信を行います。ショーには質問を送ることもできます。各日の予定は以下の通りです。

  • 11月26日午前1時~1時半:「第109回ILO総会第2部に期待されること」と題し、中南米・カリブ地域に焦点を当てて、総会第2部で検討されている議題の一つである不平等と仕事の世界のテーマに加え、「女性に対する暴力撤廃の国際デー(11月25日)」及び女性に対する暴力撤廃に向けた16日間のキャンペーン期間(11月25日~12月10日)初日に当たることから女性に対する暴力の問題を取り上げます。
  • 11月30日午前1時~1時半:「誰も置き去りにしない方法」と題し、アジア太平洋地域に焦点を当てて、世界エイズ・デー(12月1日)、奴隷制度廃止国際デー(12月2日)、国際障害者デー(12月3日)といった12月第1週に迎える国際デーに合わせ、HIV/エイズ、強制労働、障害といったテーマを取り上げます。
  • 12月7日午前1時~1時半:「技能と生涯学習、より良い未来に至るカギ」と題し、アラブ諸国及びアフリカ地域に焦点を当てて、総会第2部で検討されている議題の一つである技能と生涯学習のテーマに加え、人権デー(12月10日)に合わせて仕事の世界における人権の役割も検討されます。
  • 12月14日午前1時~1時半:「人間を中心に据えた回復を確保する方法」と題し、欧州・中央アジア地域に焦点を当てて、総会で採択された「人間を中心に据えた回復に向けた行動に対するグローバルな呼びかけ」に基づく今後の取り組みを中心に、12月11日に閉幕した第109回総会の主な成果を報告します。

 総会の取材をご希望の報道機関の方々はILO本部広報局(E-mail: newsroom@ilo.org)までご連絡下さい。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。