COP26

COP26の公正移行宣言をILOは歓迎

記者発表 | 2021/11/05
国連気候変動枠組条約第26回締約国会議 © COP26

 2021年10月31日~11月12日の日程でグラスゴーで開かれている国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)において、石炭生産国や多国間機関、非政府組織の代表などが参加した4日のイベントの中で発表された公正移行宣言は、炭素排出量を正味でゼロにする経済への移行に際し、炭素集約的な産業や生産に依存する地域や都市、産業部門で働く人々を中心に、誰も置き去りにしないよう確保する必要性を認めています。

 首脳会合で40カ国以上から表明された石炭離脱の誓約を受けて、米国、英国、欧州連合(EU)全加盟国27カ国、ノルウェー、カナダ、ニュージーランドといった中核的な石炭生産国を含む30カ国以上が署名し、よりグリーンな経済に諸国が移行するに当たり、労働者、企業、地域社会に対する支援を確保する戦略に対する公約を示すこの宣言は、2015年にILOで採択された「環境面から見て持続可能な経済とすべての人のための社会に向かう公正な移行を達成するための指針」を反映しています。この指針は、巧みに管理された、環境面から見て持続可能な経済と社会、全ての人のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)、社会的包摂、貧困根絶へと向かうのに必要な措置の大枠を示しています。ILOはCOP26のエネルギー移行評議会の枠内で、宣言の起草において重要な役割を演じました。

公正な移行についてシンプルな言葉で説明(英語・1分40秒)

 宣言に署名した各国は以下のような事項を公約しています。

  • 炭素集約的な経済からの離脱の影響に特に脆弱な労働者、地域社会、地域を支援
  • 政労使代表と、環境に優しいグリーン経済への移行の影響を受けるその他の集団との社会対話や関与を促進
  • クリーン・エネルギーを支援し、資源効率的な経済成長を育み、収入と働きがいのある人間らしい仕事を生み、貧困と不平等を減らす経済戦略の実行
  • 必要を感じている人々への社会的保護、技能再取得、訓練と合わせ、地元の人々に働きがいのある人間らしい仕事を創出
  • 既存のサプライチェーン(供給網)も新たなサプライチェーンも、最も疎外されている人々を含む全ての人に人権尊重を伴うディーセント・ワークを創出することを確保

 ILOは国際労働基準の促進及び適用を通じて宣言の実施を支援していきます。
 フィック・ファン・フーレンILO企業局長は、公正な移行について、「経済、科学技術、社会の変革に伴うリスクを効果的に管理しつつ、経済と社会の利益を最大化すること」と説明した上で、公正なエネルギー移行はILOにとって、「急務で不可欠で可能なもの」と説き、「経済と人々が失うものよりも得るものの方が大きいことを示す明確な証拠が存在しますが、この宣言は、よりグリーンな経済への移行によって誰も不利な立場に置かれないよう、包括的で整合性のある政策枠組みの実行を確保する助けになるでしょう」と評価しています。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。