教育と学術界の児童労働撤廃に向けた7つの取組み

児童労働の撤廃は教育からはじまる



2021年アクション・プレッジの一部をご紹介します。政府、国連機関、NGO、大学、団体、政労使パートナーなどが、子どもたちのためのグローバルな活動にどのように加わっているのか、短いストーリーで紹介していますので、ぜひご覧ください。

児童労働と教育の関係

働いている子どもたちは学校に行くことができません。学校に行ったとしても、勉強と児童労働とのバランスをとるのに苦労し、教育と余暇の権利の両方を犠牲にしています。最新の世界推計によると、児童労働をしている子どもの3分の1以上が学校に通えていません。このことは、彼らの人生の可能性を著しく狭めることになります。
参照:「ILO/UNICEF発表:児童労働:2020年の世界推計、動向、前途 - (概要・日本語)」 ) 


地域差について

サハラ以南アフリカとその他の地域との間では、教育における排除の割合に依然として大きな差があります。GDPに占める教育への公的支出の割合は増加傾向にありますが、世界平均を下回っています。一方、近年すべての地域で、初等教育を受けられない子どもの数は全体的に減少しています。


大学や学術界の役割とは?


大学やその他の学術機関は、児童労働撤廃への取組みにおいて重要な役割を果たしています。児童労働の背景にある理由を考察し、政策立案者や一般市民に対して、撤廃に向けた効果的な戦略について情報提供します。さらに、機関が有する国・地域別の問題のパターンに関する独自のデータベースを用いて、人々の意識啓発に役立てています。

今回の7機関のアクション・プレッジの多様性と世界的な広がりから、高等教育機関が児童労働撤廃に対する取組みを強化し、証拠に基づいた、必要な解決策の提供をしていることが分かります。

それでは7機関のアクション・プレッジを紹介します。


ベトナム国家大学ハノイ校


ベトナム国家大学ハノイ校を紹介します。

2021アクション・プレッジでは、東南アジアにおける児童労働撤廃に向けた会議の開催や、大学で新たな教科課程の新設を目指しています。新たに開発する教材は、同大学の人権分野の修士プログラムで扱われる予定です。

「児童労働をなくすため、達成可能な中間目標の設定やリソースの配分をし、ASEANロードマップの策定と実施に貢献します。」

年間を通じて同大学は、アセアン各国に対し、児童労働撤廃の手段として公共調達を促進するための法律や指針の作成に協力していきます。

ベトナム国家大学ハノイ校のアクション・プレッジはこちらです。
 
 
トリニダード・トバゴ

トリニダード・トバゴ労働省について紹介します。 

2021アクション・プレッジでは、6ステップモデルを用いた労働監督官向けプログラムの開発、児童労働に関するプロトコルの設定、部門別の危険有害な作業リストの作成など、一連の連携、啓発、制度強化活動を通じて、子どもたちを支援し、保護することを目的としています。

「政府機関と非政府機関との連携により、トリニダード・トバゴにおける児童労働の防止・撤廃に向けて、児童労働問題について啓発するために必要な情報提供を行うことを目的としています。」

労働省は、年間を通じて、教育省をはじめとする各省庁や主要パートナーと協力して、このテーマに関する一般市民への教育を充実させていきます。

トリニダード・トバゴ労働省のアクション・プレッジについてはこちら


The Institute of Social Opportunity

The Institute of Social Opportunity(社会的機会インスティチュート)はブラジルの訓練機関です。

2021アクション・プレッジは、ブラジルや世界の児童労働をなくす必要性を、インスティチュートの全てのパートナー機関に伝え、普及することを目指しています。

「パートナー機関、職員、学生を対象に、コミュニケーションや対話を活用して、児童労働に関する誤った情報を減らすため努めます。」

同インスティチュートは、年間を通じて、人権と児童労働に関する講義を実施、児童労働問題について掲載した小冊子を配布し、一般の人々の知識に関する調査を行います。

同インスティチュートのアクション・プレッジについてはこちら


アルガルヴェ大学

ポルトガルのアルガルヴェ大学について紹介します。 

2021アクション・プレッジでは、Alliance 8.7のパートナー機関として、児童労働プラットフォームに参加することで、アルガルヴェの児童労働の問題に取り組むため、地域のパートナー機関を結集させることを目指しています。

「中学・高校生の退学を減らすことを目的としています。ポルトガル南部のアルガルヴェ地方は、全国の中退率が最も高い地域(21.6%)です。」

大学では1年を通して、SNSを活用した普及戦略を立て、#endchildlabor2021の取組みを推進するとともに、国や地域メディアに記事を掲載して、この問題について意識啓発を行っていきます。

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プリシュティナ大学


コソボのプリシュティナ大学を紹介します。

2021アクション・プレッジでは、将来教師や教育専門家を目指す学生が、児童労働に従事する子どもたちを見つけ、支援できるようになることを目指します。

「大学のコースで学ぶことで、学生、教師、一般教育の専門家が、児童労働を含む子どもへの虐待の兆候や症状を見つけられるようになります。」

年間を通じて、大学は、リスク要因を有する子どもたちへの支援団体の一員として、子どもたちの社会復帰を支援します。

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フィジ―国立大学

スバにあるフィジー国立大学を紹介します。

2021アクション・プレッジでは、児童の権利を保護し、児童労働声明を通じて児童労働の撤廃に貢献することを目指しています。

「FNUのアクション・プレッジでは、大学と契約している企業が、適切な監督の下で承認された工業用アタッチメントを使用する場合を除き、いかなる子どもも雇わないことを約束します。」

年間を通して、大学は調達における児童労働防止の好事例を学びます。

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現代の奴隷制ジャーナル

アメリカの「現代の奴隷制ジャーナル」を紹介します。

2021アクション・プレッジでは、児童労働に焦点を当てた雑誌を発行し、ポッドキャストやジャーナル発行記念ウェビナーを通じて情報を発信することを目標としています。

「私たちは、児童労働を終わらせる鍵は、質の高い研究を行い、良質で、証拠に基づいた研究と知識を、最前線で活動する人や政策立案者、一般市民に届けることだと考えています。」

本ジャーナルは、年間を通じて、児童労働撤廃に向けた取組みの複雑さと多面性に関する論文を収集します。証拠に基づいた研究や好事例の不足、及びそれにアクセスできないという問題の解決につなげるためです。

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児童労働撤廃国際年のウェブサイト(英文)オリジナル記事はこちら