児童労働

児童労働反対音楽コンクール受賞者はアフリカのミュージシャン

記者発表 | 2021/06/12

 2021年の児童労働撤廃国際年の活動の一環として、ILOがジュネス・ムジカール・アンテルナシオナル(JMインターナショナル)と共催した児童労働反対音楽コンクールの受賞者としてブルキナファソのシンガーソングライターとジンバブエの学生バンドが選ばれました。児童労働について啓発し、人々にこの問題に対する立場の表明を奨励するような歌をプロ・アマチュアを問わず幅広く募集したコンクールには、世界50カ国以上から200点以上の応募がありました。

 受賞者は2021年6月10日に開かれた児童労働反対世界デーのバーチャル・イベントの中で発表されました。グローバル部門の受賞者は、ブルキナファソの首都ワガドゥグに住み、作曲・実演も行う歌手のベルニス・ピトロイパさんで、受賞作品は「Mpa koss yé (J'ai pas demandé)(頼んでなんかいない)」です。草の根部門の受賞者は、ジンバブエの首都ハラレで活動するミュージック・クロスロード・アカデミー・ジンバブエ(MCAZ)スチューデンツ・バンドで、受賞作品は「Vana Ava(子どもたち)」です。どちらの作品も児童労働とそれが世界中数百万人の子どもと家族に与えている影響について啓発するものとなっています。

 ステージ名「ベルニス」として知られるピトロイパさんは、独学で作曲も手がける歌手としてワガドゥグで最も人気のある幾つかのバンドでリードボーカルを務めてきました。「この賞の受賞はとても栄誉なこと」と語るピトロイパさんは、「コンクールのお知らせを見た時、躊躇なく応募することにしました。子どもの福祉に触れることは何でも気がかりですから。どの分野にいようと、私たちには皆、何かしら貢献できることがあると思います」と述べています。ハラレにあるMCAZの学生で構成されるMCAZスチューデンツ・バンドは、地元社会に力強いメッセージを伝える音楽制作に打ち込んでいます。「児童労働はバンドとしての私たちにとっても重要な問題です。アフリカの子どもとして、私たち自身、年端もいかないうちから過酷な労働に従事し、それによって学校を中退することになるのを目にしていますから、これは本当に私たちのバンドにとって重要なテーマでした」と、メンバーの1人であるパナシェ・アルンデル・マトイさんはコメントを寄せてくれました。

 オペラ歌手であり、シンフォニーア・ポル・エル・ペルーの団長を務めるフアン・ディエゴ・フロレスさん、アース・ウィンド&ファイアーのボーカルとしてグラミー賞受賞歴のあるラルフ・ジョンソンさん、歌手、シンガーソングライター、作曲家、プロデューサーとして数々の賞を受賞しているロクア・カンザさん、オスカーにもノミネートされ、グラミー賞、ラテン・グラミー賞、ゴールデン・グローブ賞の受賞歴があるラウラ・パウジーニさん、作曲家及びシンガーソングライターとして、グラミー賞、オスカー、ゴールデン・グローブ賞受賞歴のあるA.R.ラフマーンさんといった音楽界のそうそうたるメンバーで構成された審査員団は、受賞作品を発表する動画の中で言葉を超える音楽の力を語っています。

コンクール審査員団による受賞者発表(英語・2分5秒)

 コンクールには特別部門として、欧州連合(EU)の共同資金協力の下、ILOが国際連合食糧農業機関(FAO)と協力してブルキナファソ、マリ、パキスタン、ペルーの4カ国で実施している「木綿、繊維、衣料品のバリューチェーン(価値連鎖)における強制労働・児童労働撤廃に向けた総合アプローチ・プロジェクト(クリア・コットン・プロジェクト)」の実施国で活動するアーティストを対象としたクリア・コットン・プロジェクト部門も設けられていました。それぞれの国の木綿生産に関連した問題に光を当てた歌を募集したこの部門の受賞者は、ブルキナファソがベネ・スター(ベネウェンド)さん、マリがバージニー・デンベレさん、パキスタンがアフメド・ファラズさん、ペルーがホセ・フリオ・セバジョス・デル・カルピオさんです。受賞者はそれぞれの国の児童労働反対国際デーのイベントにおいて演奏することになっています。

 クリア・コットン・プロジェクトは、各国の政府、社会的パートナーである労使団体、木綿産業部門の行動主体の取り組みを支援し、地域社会や利害関係者に力を付けることによって児童労働の撲滅に取り組んでいます。

 受賞者の詳しいプロフィールは、児童労働反対音楽イニシアチブのウェブサイト内に掲載されています。このサイトでは、受賞作品の動画を視聴することもできます。


 以上は児童労働撤廃国際計画(IPEC)によるジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。