鉱山における児童労働撤廃に向けた取組み~5機関のプレッジをご紹介


鉱業は、地下での長時間の作業、負担の大きい肉体労働、有害な化学物質を使用することもある危険有害な産業です。

2021年アクション・プレッジの一部をご紹介します。政府、国連機関、NGO、大学、団体、政労使パートナーなどが、子どもたちのためのグローバルな活動にどのように加わっているのか、短いストーリーで紹介していますので、ぜひご覧ください。

なぜ採掘は危険な仕事なのか?


世界で児童労働に従事している1億6,000万人の子どもたちのうち、7,900万人が危険有害な仕事に従事しています。鉱業は、ILOが採石業や建設業などと並んで危険有害な仕事と指定している産業のひとつです。

2021年に発表された児童労働に関する世界推計によると、手掘り小規模採掘の現場では、子どもたちは地下深くの坑道での作業、重い岩石の運搬、鉱石から鉱物や貴金属を分離するための有毒な化学物質の使用などを強いられています。

鉱業における児童労働の例

ILOの調査によると、ブルキナファソとニジェールでは、金鉱で働く労働者の30~50%が子どもで、その多くが15歳未満で、中には強制労働を強いられている人もいます。そのほか、マリ、ガーナ、コンゴ民主共和国でも見られます。

彼らは何を採掘しているのか?

金鉱山だけでなく、コバルトやコルタンの鉱山でも子どもたちが働いています。これらの鉱物は、電気自動車をはじめとする携帯型電子機器や充電池に使われています。

世界のコバルト供給量の半分以上は、コンゴ民主共和国で産出されています。ここでは、7歳の子どもたちが、暴力、恐喝、脅迫を受けながら、生命の危険にさらされて働いています。このコバルトは、大手多国籍企業が販売するリチウム電池に使用されています。

ここで、鉱業における児童労働問題に取り組む5つの機関のアクション・プレッジをご紹介します。
 
コバルト・フォー・デベロップメント(C4D)

コバルト・フォー・デベロップメント(C4D)は、BASF社、BMW社、サムスン電子、サムスンSDI、フォルクスワーゲンの各企業が、ドイツ国際協力公社(GIZ)の協力を得て、業界を超えて取り組んでいます。

彼らの2021アクション・プレッジは、コンゴ民主共和国のコミュニティで「児童労働ゼロ」に向けた行動を実施し、その根本原因に対処するために、コバルト鉱山労働者の協同組合を支援することを目的としています。これらの行動には、最新の採掘者登録、採掘者ID、アクセスコントロール、啓発キャンペーンなどが含まれます。

「アクション・プレッジでは、少なくとも3つの鉱山労働者の協同組合で児童労働ゼロ政策の実施を支援します。そうすることで、プロジェクトを実施するコミュニティの児童労働の根本原因に対処できるでしょう。」

C4Dは年間を通して、コルウェジ周辺のコミュニティで、教育へのアクセスを促進し、貧困を削減し、金融に関する知識と収入を向上させるための活動を行います。

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国際労働組合総連合(ITUC)

国際労働組合総連合(ITUC)は、ベルギーに本部を置く組織です。ITUCのサプライチェーンに関する活動は、鉱業、農業、製造業の分野に焦点を当てています。

ITUCの2021アクション・プレッジは、親が質の高い仕事、社会的保護、人権・労働権を享受できるような新しい社会契約への機運を高めることを目的としています。彼らは、特に鉱業分野において、サプライチェーンを通じて企業が責任を負うためのデューデリジェンスを提唱しています。

「私たちは、資金ギャップを解消し、最貧国の家族が、子供が生きるために働かざるを得ないという悲痛な選択に直面しないようにするために、世界的な社会的保護基金による普遍的社会的保護を強く求めていきます。」

ITUCは、この1年を通して、子どもたちが充実した幼少期を過ごし、質の高い教育を受け、明るい未来を手に入れることができるよう、世界的な連帯責任の構築を支援していきます。

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Global Battery Alliance


Global Battery Alliance  は米国に拠点を置く団体です。

彼らの2021アクション・プレッジは、コバルトの事業活動における児童労働を追跡するためのデジタル「バッテリーパスポート」の開発や、コンゴ民主共和国(DRC)における鉛蓄電池のリサイクル好事例の採用について、政策立案者に働きかけることなどを目的としています。

「鉛のリサイクル業を公式化することで、子どもたちがリサイクルの仕事を行うことも、子どもたちが鉛に直接、あるいは間接的にさらされることもなくなります。」

この1年を通して、アライアンスは、新たな行動の枠組みの構築、ニュースレターやウェビナーを通じたステークホルダーへの呼びかけ、独自の調査結果の発表、コンゴ民主共和国の銅の産出地域における社会サービスの強化、実習やインターンシップのプログラムの作成、モニタリングシステムの導入などを行っていきます。

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Fundación Obra Social Montepío

Fundación Obra Social Montepío はスペインに拠点を置く団体です。

2021アクション・プレッジでは、スペインのアストゥリアス地方で巡回展を開催し、鉱山での児童労働についての認識を高めることを目指しています。

「この展覧会#GuajesMinerosは、鉱山労働者の記憶に敬意を表し、この産業の歴史の一部に光を当てるだけでなく、新しい世代の意識を高めることを目的としています。」

この展覧会は、年間を通じて、カストリヨンのValey 博物館、アビレスのウルバナ歴史博物館、ナビアのリセオ文化会館で見ることができます。

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コンゴ民主共和国(DRC)

コンゴ民主共和国(DRC)の鉱山省は政府機関です。

彼らの2021アクション・プレッジは、小規模鉱山における児童労働の監視・監督制度の構築を目指しています。この行動は、アライアンス8.7パスファインダー国になるための1つのステップです。政府は、小規模鉱山で働く子どもの数を特定し、データベースを作成し、鉱山の現場から子どもたちを学校に移し、通わせるまでを監視することなどを目指しています。

「この監視制度を構築するために、コンゴ民主共和国政府は、管轄機関を通じて、参加型のマルチステークホルダー・アプローチを用いて、制度の構築プロセスを実施します。」

年間を通して、DRCは訓練と能力構築のワークショップを開催し、最悪の形態の児童労働撤廃に向けた新たな労働計画を作成し、人的・財政的資源を調達します。
 
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