サプライチェーンにおける児童労働の撤廃に向けた4つのステークホルダーの取組み



児童労働とグローバル・サプライチェーンの関係は間接的であることが多いのです。だからこそ、マルチステークホルダーによる解決策が必要です。

今回は、児童労働撤廃国際年アクション・プレッジの一部を紹介します。各国政府、国連機関、NGO、大学、企業、労使団体などが、子どもたちのためにどのようにグローバルな活動に参加しているのか、これらのショートストーリーからヒントを得られます。

どうずればサプライチェーンにおける児童労働をなくすことができるのか?

2021年児童労働に関する世界推計は、国内および世界のサプライチェーンにおいて、児童労働のリスクが依然として高い状態にあるという事実を強調しています。それは、原材料の採取や農業など最下層の活動で発生する可能性が高く、そのため、トレーサビリティーが難しくなっています。

しかし、政府や非政府のステークホルダーが協力することで、問題の根本に迫ることができます。調査を行い、知識を共有し、リソースを活用するなど、行動の機会は無限にあります。

ここでは、アクション・プレッジに参加する4つのステークホルダーがどのように行動しているかをご紹介します。
 
 
Inter IKEA Group

インター・イケア・グループは、オランダに本拠地を置く企業です。

同社の2021年アクション・プレッジは、イケアのサプライチェーン・マネジメントシステムに子どもの権利をさらに組み込むことを目的としています。具体的には、サプライチェーンに関連して、子どもの権利を分析し、若者の失業や教育機会の欠如などのリスクを検討していきます。

「COVID-19の危機により、世界のサプライチェーンにおける子どもたちの脆弱な状況が悪化していることを認識しており、このことが私たちの行動の責任をより一層緊急なものにしています。」

1年を通して同企業は、その取組みを加速させ、規模を拡大するために他の機関と連携します。例えば、ILO児童労働プラットフォームにメンバーとして参加するなどです。

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オランダ

オランダの社会・雇用省と外務省の政府機関によるアクション・プレッジです。このプレッジは、オランダの社会的パートナーやNGOからも支持されています。

2021年アクション・プレッジは、特にサプライチェーンにおける児童労働の撲滅を目指しています。アライアンス8.7の取組みに参加するパスファインダー国(ターゲット8.7の達成に向けて、より一層の取組みの強化を図る国々)として、政府は子どもの権利を守ることを義務と考えています。政府は、2021年初頭に特別なコミュニティアプリを立ち上げ、この問題についての認識を高め、経験や優れた事例を共有することで、企業がサプライチェーンにおいてデューデリジェンスを適用することを支援しています。

「児童労働への取組みは複雑な課題であり、持続可能な解決策を達成するためには、共同で取組むことが絶対的な鍵となります。そのためには、相互に補強するさまざまな制度を用いる必要があります。」と述べています。

政府、社会的パートナー、NGOは、知識の共有、マッチングの促進、ビジネスの活性化を目的とした一連の会合を1年を通して開催します。

また、政府は児童労働防止基金を通じて、マルチステークホルダーによる新たな取り組みを展開していきます。

オランダのアクション・プレッジについてはこちら
 
 
Assent Compliance  

アセント・コンプライアンスは、カナダに拠点を置く企業です。

彼らの2021年アクション・プレッジは、サプライチェーンにおける児童労働のリスクデータを収集・共有するため調査を無料で公開することで、サプライチェーンにおける児童労働問題に対する企業の取組みを支援することを目的としています。
この使いやすいツールは、こちらからダウンロードできます。 

「私たちは、サプライチェーンにおける児童労働はビジネス上の問題であり、企業には、児童労働を含む、事業活動やサプライチェーンにおけるあらゆる人権上の悪影響を特定、防止し、対応策を策定し、説明する責任があると認識しています。」

同企業は1年を通して、デューデリジェンスの本質的な側面から、企業を支援するためのツールの設計、公開、促進をしていきます。

Assent Compliance のアクション・プレッジについてはこちら


OLAM International Limited  
 
オーラム・インターナショナルはシンガポールを拠点とする企業です。

彼らの2021年アクション・プレッジは、同企業が管理するサプライチェーンにおける児童労働に対処するために、オーダーメイドの行動計画を実施することを目的としています。その計画とは、この問題に対する従業員とサプライヤーの理解を深め、リスクの高い地域にいる移民の子どもたちに安全なスペースを提供し、家族の児童労働への依存度をなくすための持続可能な労働慣行を育成することです。

「私たちは、企業、NGO、政府、地域社会とともに、事業活動やサプライチェーンにおいて、世界で最も脆弱な立場にある人々の生活を向上させ、プラスの影響を与えていきます。」と述べています。

1年を通して、児童労働プラットフォームの他のメンバーと取組みの歩みを共有し、児童労働の撤廃に向けてより戦略的に貢献していきます。

OLAM International のアクション・プレッジについてはこちら

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