児童労働撤廃国際年

児童労働啓発音楽コンクールの応募受付を開始(締切:2021年4月12日)

記者発表 | 2021/02/03
 音楽家諸氏よ、今までに人生を変えるような歌曲を書いたことはありますか? あなたがこれを見ているこの瞬間にも、世界の子どもの10人に1人は児童労働に従事しています。このうち10人中7人は農林漁業、20人中1人は危険有害労働に従事しています。児童労働に完全に終止符を打つ行動を考えつくきっかけを与えることによって、あなたの音楽はこの子どもたちを児童労働から抜け出させる助けになるかもしれません。「児童労働に反対する音楽コンクール」に参加しませんか。最優秀賞には賞金と2021年6月12日の児童労働反対世界デーに脚光を浴びる機会が与えられます。応募締切:2021年4月12日。詳細は https://www.musicagainstchildlabour.com まで。 #ENDCHILDLABOUR2021

 2021年は国連の定める児童労働撤廃国際年であることから、ILOは音楽関係者の取り組みである「児童労働に反対する音楽イニシアチブ」の枠内で2021年2月3日に音楽コンクールを開始しました。青少年に音楽を通じた育成の機会を与える国際的な非政府組織(NGO)ネットワークのジュネス・ムジカール・アンテルナシオナル(JMインターナショナル)、国際音楽家連盟(FIM)を始め、音楽界の主要なパートナーや有名なミュージシャンらと共に2013年に開始した「児童労働に反対する音楽イニシアチブ」は、音楽を通じて児童労働問題について啓発すると共に、元児童労働者を含む子どもたちに音楽を通じて力を付けることを目指しています。

 この20年間で児童労働は約4割減りましたが、それでもなお世界の子どものほぼ10人に1人が従事しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な大流行がこの進展を逆戻りさせることが危惧されています。イニシアチブの下でJMインターナショナルがILOと協力して主催するコンクールでは、ジャンルを問わず、全てのミュージシャンを対象に、政府や利害関係者による児童労働撤廃に向けた行動を喚起するようなオリジナルソングの応募を呼びかけています。

 2021年4月12日を応募締切とするコンクール第一弾は、欧州連合(EU)の共同資金協力の下、ILOが国際連合食糧農業機関(FAO)と協力して実施している、「木綿、繊維、衣料品のバリューチェーン(価値連鎖)における強制労働・児童労働撤廃に向けた総合アプローチ・プロジェクト(クリア・コットン・プロジェクト)」の後援を受けて開催されます。クリア・コットン・プロジェクトは、各国の政府、社会的パートナーである労使団体、綿花部門の行動主体の取り組みを支援し、地域社会や利害関係者に力を付けることによって児童労働の撲滅に取り組んでいます。

 募集部門は次の三つです。

  1. 全てのアーティストが対象のグローバル部門
  2. 児童労働に関係する子どもが関与する音楽プロジェクトを対象とする草の根部門
  3. クリア・コットン・プロジェクトが実施されているブルキナファソ、マリ、パキスタン、ペルーの各国で実施されるクリア・コットン・プロジェクト部門

 技術専門家や音楽の専門家からなる審査員団が、音楽の質、メッセージの妥当性、歌のオリジナリティー、含まれている行動の呼びかけを基準として応募作品を審査します。審査員団はアカデミー賞など多数の受賞歴のあるインドの作曲家A.R.ラフマーン氏を始めとする音楽業界の複数のアーティストで構成されています。ラフマーン氏は、「人々にある種の感動を呼び覚まし、私たちをつなぎ、結束させる能力」を音楽の力であると語っています。

 優勝作品には賞金に加え、プロによるミュージックビデオ制作の機会、2021年6月に開かれる児童労働反対世界デー(6月12日)の世界的なイベントに参加する機会が与えられます。

コンクール審査員のコメント

 コンクールの審査員らが児童労働についての思いを語り、コンクールへの参加を呼びかける広報動画も制作されています。

 グラミー賞とアカデミー賞の受賞歴があるA.R.ラフマーンさんは音楽の力を用いて児童労働と戦おうと呼びかけています。

A.R.ラフマーンさんのコメント

 児童労働撤廃国際年におけるILOのソング・コンクールの審査員を務める栄誉を授かり、光栄に感じております。音楽の力は、人々にある種の感動を呼び覚まし、私たちをつなぎ、結束させる能力にあると思います。この重要なキャンペーンに声と才能を貸したいと考えていらっしゃる、大志を抱き、才能にあふれた世界中の作詞作曲家やミュージシャンの方々から寄せられる歌曲を聞くのを楽しみにしています。私ことA.R.ラフマーンはILOの児童労働に対する戦いの努力を支持するものであります。

 グラミー賞やゴールデン・グローブ賞などの受賞歴があるラウラ・パウジーニさんは、教育と音楽は子どもに力をつけると説き、皆で力を合わせて児童労働をなくそうと呼びかけています。

ラウラ・パウジーニさんのコメント

 ILOの「児童労働に反対する音楽イニシアチブ」がJMインターナショナルと共催する音楽コンクールの審査員に加わるよう招待を受けたことを光栄に思っています。音楽の力は、音楽がなかったら私たちが気付いていなったかもしれない問題に注意を集められる点にあります。教育と音楽は子どもの技能を育み、さらに決定的に重要なこととして、学校に行き、通い続け、学校で成功を収めることを奨励し、子どもに力をつけさせることによって違いをもたらす可能性があります。

 私はラウラ・パウジーニです。児童労働撤廃国際年に際し、児童労働に終止符を打つ手助けを目指すこのILOの企てに参加することを世界中の人々に呼びかけるものです。

 アース・ウィンド&ファイアーのボーカルとしてグラミー賞受賞歴のあるラルフ・ジョンソンさんは、子どもたちを守るために今行動を起こそうと訴えています。

ラルフ・ジョンソンさんのコメント

 推定1億5,200万人の子どもが児童労働に従事しています。児童労働は最も弱く、最も保護されていない人々に影響を与えています。私たちが直ちに行動を起こさない限り、新型コロナウイルスによる失業、家族の病気によって、進められてきた多くの取り組みが無に帰す可能性があります。この児童労働撤廃国際年に当たり、ILOはジュネス・ミュージカル・インターナショナル(JMI)と共に、音楽・アート教育を通じて私たちの子どもたちに影響を与えている窮状について意識喚起を図っています。このコンクールは何千人ものアーティストを動員し、世界中の何千人もの人々に到達することでしょう。

 アース・ウィンド&ファイアーのラルフ・ジョンソンです。私は児童労働という災いに終止符を打とうとしているILOの取り組みを全面的に支援します。

 子どもオーケストラのシンフォニーア・ポル・エル・ペルーの団長を務めるオペラ歌手のフアン・ディエゴ・フロレスさんは、音楽は子どもに未来を与えると語っています。

フアン・ディエゴ・フロレスさんのコメント

 ILOとJMインターナショナルのために、児童労働反対音楽コンクールの審査員を務めることができて光栄に思います。音楽は子どもに希望に満ちた未来を与えることによってその人生を変えることができます。私はそのことを自分の団体である「シンフォニーア・ポル・エル・ペルー」を通じて直接目撃してきました。子どもとの活動を通じて、音楽を学び、オーケストラや合唱団として共に舞台に立つことがいかに自信と自尊心を築くことになるかを目撃してきました。それは教育を続けて将来のために力と価値を育むことを子どもたちに奨励し、社会の危険から子どもたちを守る助けになります。音楽は心を癒し、児童労働を減らす助けになり得ます。

 ILOと国連児童基金(UNICEF)によれば、貧困増や学校閉鎖などの新型コロナウイルスの結果は、世界中で数百万人の子どもたちを児童労働の危険にさらし、その教育、健康、人権に対する悪影響を増大させる可能性があるとされます。

 私はフアン・ディエゴ・フロレスです。この児童労働撤廃国際年に際し、児童労働に終止符を打つことを誓おうではありませんか。どうぞコンクールに参加して下さい。

 コンゴ民主共和国のシンガーソングライターとして「児童労働に反対する音楽イニシアチブ」に参加するロクア・カンザさんは、今こそ子どもたちに、より良い未来を確保するために行動する時と説き、コンクールに参加して児童労働問題に対する啓発を行うことを世界のミュージシャンに呼びかけています。

ロクア・カンザさんのコメント

 ILOとJMインターナショナルが共催する児童労働反対音楽コンクールの審査員団に参加できてとてもうれしいです。私が音楽について最も愛しているのは、私たちの上で輝き、私たちの存在を超え、高める太陽のようなその力、その魔力です。このテーマについて作られる全ての曲を聴くこと、とりわけより良い暮らしに値する子どもたちを助けられることを楽しみにしています。私はロクア・カンザです。宜しくお願いします。

 これらの動画は「児童労働に反対する音楽コンクール」用の歌を作ることによって人々に行動を起こさせることを全てのミュージシャンに呼びかけています。応募及び詳細については、「児童労働に反対する音楽イニシアチブ」のウェブサイトをご覧ください


 以上は児童労働撤廃国際計画(IPEC)によるジュネーブ発英文記者発表の抄訳に関連動画を挿入したものです。