ILOマルチメディア・プラットフォーム「声」:児童労働

刑務所からより良い暮らしへ

 16歳の時にバニラを盗んで投獄されたマダガスカルのセルジオ・ラザフィンドラマナナ君(18歳)は刑務所内で訓練を受けて今は煉瓦職人となり、祖父と暮らしています。

バニラを盗んで投獄された刑務所で訓練を受けて今は煉瓦職人となり、祖父と叔父と暮らすマダガスカルのセルジオ君(マダガスカル語/英語字幕付・1分16秒)

 ILOは米国労働省の任意資金協力を受けてマダガスカルのサバ地域圏アンタラハ郡でバニラ産業における元児童労働者に職業訓練を提供してサバのバニラ栽培共同体に児童労働のない持続可能な暮らしがもたらされるよう支援するSAVABEプロジェクトを展開しています。国家教育・技術指導・職業訓練地域局及びアンタラハ刑務機関地域局との協力で地元の刑務所内に設置されているアンタラハの訓練センターでは、バニラを盗んで捕まった14~17歳の子ども80人に予算4万600ドルで6カ月間の訓練が提供されています。

 その1人であるセルジオ・ラザフィンドラマナナ君(18歳)は16歳の時に2人組でバニラを盗んで投獄されました。刑務所で訓練を受けて今は煉瓦職人になり、祖父と暮らしています。

 刑務所内ではシンダーブロックの製造法、それを使って壁や基礎、枠組みや柱を作る方法を学びました。小さな家や台所を作るなど、多くのことを学び、免状を取得しました。

 訓練を終えて村に戻ったセルジオ君は、学んだことを応用してシリンダーブロックを作り始めました。煉瓦職人として経験豊かなおじさんも材料入手の手助けなど、できる限り支援してくれています。しかし、新型コロナウイルスの流行によって売上は正に地に落ち、商売はうまくいかず、もはや建築業者から注文が入らないため、生きるのにも苦労しています。

 でも、「本当にしたいのは働いて金を稼ぎ、自分で生きていくこと」と語るセルジオ君は、刑務所暮らしでは未来がないため、働きたいとの意欲を示し、「二度と他人から盗まない」と誓っています。「友を助けたい」と語るセルジオ君は、「自分のようなことをしないように助言する義務がある」ように感じており、ウイルスの流行が終わり次第、シリンダーブロックの製造を再開する意欲を示しています。


 以上はマルチメディア・プラットフォーム「声」に掲載されている2021年1月10日付の英文広報記事の抄訳です。