ILOマルチメディア・プラットフォーム「声」:児童労働

ミャンマーの翡翠鉱山における児童労働は命を賭けたギャンブル

 ミン・ミン君(13歳)はミャンマー北部の翡翠原産地で翡翠のくず石を拾い集める児童労働者です。翡翠探しは危険な仕事です。2020年に近くの翡翠採掘場で起こった土砂崩れによって200人近くが命を落としました。ILOの新しいマルチメディア・プラットフォーム「声」に掲載された彼の物語を読んでみて下さい。

ミャンマーの児童労働者ミン・ミン君の物語(ミャンマー語・英語字幕付・1分32秒)

 翡翠の産地として知られるミャンマーのカチン州フパカント地域で翡翠のくず石を拾い集めるミン・ミン君(13歳)は教師になる夢を持っていましたが、第3学年の時に学校を退学しました。昨年の夏から両親と離れて叔父夫婦のところで暮らしています。父親も同じようにくず翡翠を拾っています。母親は家で家事をして6人の弟妹の面倒を見ています。まだ学校に通っている弟には退学せずに教育を受けた人になって欲しいとミン・ミン君は願っています。

 翡翠探しはとても疲れる仕事です。朝起きて探しに行った後、一旦戻って夜10時頃から再び探し始めます。値段は石の大きさによりますが、見つかるのは小さいものばかりです。これまでに見つけた最も高価なものは約10万ミャンマー・チャット(約7,800円)になりましたが、売り上げの半分は鉱業会社の取り分になります。

 鉱山の労働は命がけです。翡翠探しは危険な仕事で、2020年7月2日にフパカントで起こった翡翠採掘場の土砂崩れでは200人近くが命を落としました。ミン・ミン君自身、昨晩、1人の労働者が亡くなるのを目撃しました。

 仲間の中には薬物中毒になる人もいます。ミン・ミン君自身は薬物を嫌い、午後には時々、好きなサッカーやミャンマーの国技であるチンロンをしています。

 ミン・ミン君は今はお金を貯めています。大きくなったら家を買って両親の面倒を見るつもりと語っています。

 ミャンマーには113万人の児童労働者が存在すると推定されます。つまり、ミャンマーの子ども(5~17歳)の11人に1人が子ども時代、健康、教育を奪われていることを意味します。ILOミャンマー連絡事務所が米国労働省などのパートナーと共に支援してきた三つのパイロット共同体では過去3年で児童労働が55%減りました。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は脆弱な家族に対する圧力を増しており、ILOミャンマー連絡事務所は対象地域の共同体と緊密に協力してコロナ禍による減収に人々が対処するのを手助けし、子どもが働かされないよう確保しています。

 2021年は国連の児童労働撤廃国際年です。児童労働に関する第138号条約第182号条約の両方を批准しているミャンマー政府は、ILO及び労使団体と密接に協力して児童労働撤廃に向けた国内行動計画の強化を図る予定です。誰もがそれぞれの役割を演じれば、ミン・ミン君のような子どもが保護される現実的な機会が存在します。


 以上はマルチメディア・プラットフォーム「声」に掲載されている2021年1月11日付の英文広報記事の抄訳です。