仕事のための気候行動イニシアチブ

仕事のための気候行動諮問委員会初会合:新型コロナウイルス危機からの持続可能な回復を呼びかけ

記者発表 | 2020/09/09

 アントニオ・グテーレス国連事務総長が主催して2019年9月に開かれた国連気候行動サミットの成果物の一つとして、事務総長とガイ・ライダーILO事務局長が、複数の政府指導者、国際労働組合総連合(ITUC)、国際使用者連盟(IOE)と共に2019年12月にマドリードで開かれた気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)で発表した「仕事のための気候行動イニシアチブ」の国際諮問委員会が2020年9月4日に初会合を開き、気候変動に取り組みつつ、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を創出する決然とした行動を呼びかけました。

 本会合では、1)働きがいのある人間らしい仕事を実現しつつ、社会正義の前進を図るような気候変動対策の実施、2)諸国の持続可能な未来に向けた移行の支援、3)新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的大流行からの持続可能で包摂的な回復を確保する行動を通じて、二酸化炭素の排出量と吸収量のバランスが取れたカーボンニュートラルで気候変動に対して強靱な経済への移行の中心に人々の仕事と福祉を据える10年間の戦略が承認されました。

 会合では新型コロナウイルス危機の経済、社会、環境の諸面に対処する、調整を図った整合的な緊急行動の必要性が強調され、グテーレス事務総長が気候に配慮した回復を目指すために提案した六つの行動分野を通じて、将来のショックに対して、より強靱で、より良く、より持続可能で包摂的な経済と社会を立て直す、またとない機会の存在が指摘されました。

 「仕事のための気候行動イニシアチブ」は、持続可能な経済への移行と仕事に焦点を当てた回復のための政策選択肢及び投資を評価するツールを各国に提供すると同時に、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた行動の十年」に沿って、ILOの「環境面から見て持続可能な経済とすべての人のための社会に向かう公正な移行を達成するための指針」や「2017年の平和及び強靱性のための雇用及び適切な仕事勧告(第205号)」に導かれた持続可能な未来に向けた計画立案、政策策定、市場開発、知識構築、革新的取り組みを支援するものです。このカギを握るものとして新設された「公正移行イノベーション・ファシリティー」は、革新的なアイデアを調達し、それを気候変動に対する効果的で伸縮自在の解決策と化す余地を提供するものとして、特定の課題への対処、各国の介入モデルの強化、パイロット事業の支援、学んだ教訓の国際的な共有に向けて高い潜在力を秘めた解決策を特定するよう設計されています。

 気候行動サミットでは46カ国から、ILOの公正移行指針を利用して、全ての人のためのディーセント・ワークと公正な移行を気候変動対策の中心に据える公正移行国内計画を策定する公約が表明されています。

 ガイ・ライダーILO事務局長は、「私たちは『持続可能な開発のための2030アジェンダ』の目標追求における決定的に重要な瞬間に立っています。『仕事のための気候行動イニシアチブ』をSDGsに向けたレースのこの最後の一区間における有意義な貢献とする必要があります。私たちは皆、この点での自分たちの責任を認識しています」と説いて、「決然とした十年間の行動」を呼びかけています。

 「仕事のための気候行動イニシアチブ」の国際諮問委員会は、アルゼンチン、コスタリカ、フランス、ガーナ、インドネシア、サモア、セネガル、スペインの環境、労働、開発計画を担当する諸大臣、労使団体リーダー、国連諸機関や開発金融機関の上級職員で構成されています。委員会は共同委員長として、スペインのテレサ・リベラ第四副首相兼環境移行・人口問題大臣及びサモアのラウタフィ・フィオ・セラフィ・プルセル商工労働大臣兼公企業大臣を選出しました。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。