公共職業安定機関

新着資料:デジタル技術によって雇用支援サービスへのアクセスが改善

記者発表 | 2020/08/26

 新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的大流行が始まって以来、各国の公共職業安定機関は労働市場に対する影響緩和に努め、各種現金給付や企業支援策と組み合わせた場合も多い失業給付などの措置が、雇用や技能の維持、必要不可欠な業務や生産における雇用の支援、非公式(インフォーマル)経済で働く人々を中心とした不利な立場の労働者の保護において中心的な役割を演じてきました。

 各国の公共職業安定機関では職場環境の安全性を保ちながら需要の急増に対処するため、様々な措置が講じられています。公共職業安定機関に対する新型コロナウイルスの影響を調べるために今年4月にILOが世界公共雇用サービス協会(WAPES)などと共同で実施した地球規模の調査の結果をもとに作成された資料『COVID-19: Public employment services and labour market policy responses(公共職業安定機関及び労働市場政策の新型コロナウイルス対応・英語)』からは、新型コロナウイルス危機の中での労働者支援においてデジタル技術がますます重要な役割を演じていることが判明しました。

 完全なあるいは部分的な国土封鎖の中でのサービス継続を確保するために遠隔サービス提供手段を用いたり、デジタル技術を用いてオンライン登録、自動ジョブ・マッチング、チャットによる職業指導やオンラインセミナーなどのサービス提供が継続されるなど、ウイルスの流行以前から労働者支援サービスのコンピューター化を進め、明確なデジタル変革戦略を有する国の方が新型コロナウイルスのもたらした課題に、より効果的に対応できているように見えます。ますます増大する新型コロナウイルスによる失業者の再就職や新たな職業、産業部門、地域への再配置を支援するものとして、各国政府は良質の労働市場情報と技能開発選択肢への容易なアクセスを保障する必要がありますが、これを迅速かつ効率的に行うのを確保する上で科学技術は決定的な役割を演じています。

 デジタル技術は、より多くの人々による通常の業務時間外における支援サービスへのアクセスを可能にし、求人企業と求職者をマッチングする仕組みの透明化にも寄与しています。各国で講じられている措置の例としては以下のようなものを挙げることができます。

  • スペインでは国土封鎖期間中に各地の雇用局は、新型コロナウイルスに基づく制限にサービスを適応させるために発動されたバーチャル窓口や求職者用フリーダイヤル、オンライン・ジョブ・ポータルを大いに活用しました。
  • 中国の公共職業安定機関はウイルスの流行以前に導入されたオンライン・チャット・システムの「WeChat公式アカウント」を用いた相談員と利用者の遠隔対話方式を採用しました。
  • インドとウルグアイの公共職業安定機関は、オンライン・ジョブ・ポータルを用いた求職者登録、求人広告の掲示を奨励しています。ポータルサイトは訓練やオンライン就職説明会の窓口にもなっています。
  • オランダの公共職業安定機関は、ウイルスによる国土封鎖期間中、利用者とのオンライン会合やオンラインセミナーを開催しました。
  • モロッコの公共職業安定機関では、都市部のみならず非都市部の僻地の利用者にもサービスを届けるために、遠隔サービスを利用できない人口集団に対応する特別の訓練を受けた相談員を配備した移動式ユニットが用いられました。

 新型コロナウイルス危機は雇用、企業、技能に長く影響を与える可能性が高く、予想される景気後退によって、大規模なインフォーマル労働市場を擁する経済では特に、労働市場における活動が労使共に、より困難になる可能性が高いと考えられます。このような状況下では、最も支援を必要としている人々を助ける手段として科学技術の重要性がますます高まる可能性があると、この資料は結論づけています。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。