アジアのサプライチェーンで一段と高まる建設的な労使関係の重要性(2020年1月28日開催セミナー報告)
国際労働機関(ILO)と全日本金属産業労働組合協議会(金属労協)は、アジアのサプライチェーンで建設的な労使関係を促進するためのセミナーを開催

【写真1.髙倉明議長(金属労協)による主催者挨拶の模様)】

【写真2.アン・ポンスル氏(ILO)】
また、アン氏の発表では、ILO多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言(多国籍企業宣言)(2017年改定)が、サプライチェーンにおける企業の社会的責任(CSR)と建設的な労使関係の構築に向けて、多国籍企業と政労使のそれぞれが果たす役割を規定していることが示されました。さらに、あらゆるステークホルダーが参加する調停プロセスを経て解決に導いた、インドネシアでの労使紛争の事例等、アジアでのこれまでの経験が紹介されました。

【写真3.郷野晶子氏(ILO労働者側理事)】

【写真4.岩井伸哉氏(金属労協)】
金属労協ではこうした関係構築実現に向け、国内外で労使向けのセミナーやワークショップを定期的に開催しています。また、岩井氏は各国の労使紛争の事例をその原因ごとにまとめた調査を発表しました。1999年から現在までに金属労協に連絡のあった142件の海外日系企業での労使紛争を地域別に分析すると、101件が東南アジア各国で発生しており、アジアにおける日本の本社企業労使に対する期待の高さが数字に現れています。
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「アジアにおける責任あるサプライチェーン」プログラムは、EUが資金拠出してILO、OECDと連携して立ち上げられました。アジアの6ヵ国(中国、日本、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム)で実施され、政労使が企業の社会的責任(CSR)と責任ある企業行動(RBC)に関する課題や機会を話し合う場を提供しています。プログラムでは、国際的に認められた指針であるILOの多国籍企業宣言とOECDの多国籍企業行動指針に基づいて、調査、普及、政策アドボカシー、セミナー開催等の活動に取り組んでいます。