ILO新刊:ビジネスにおける女性

ILO新刊:中米では女性経営者が急増

記者発表 | 2019/12/16
ビジネスと管理職における女性(英語・3分5秒)

 このたび発表されたILOの新刊書は、中米では女性経営者比率が急上昇し、1991年(13.9%)から2018年(24.5%)の期間で約1.6倍になったことを示しています。

 今年5月に出された刊行物『Women in business and management: The business case for change(ビジネスと管理職における女性:変化すべき事業上の根拠・英語)』を補足するものとして、コスタリカ、エルサルバドル、メキシコ(チワワ州)、パナマの中米4カ所の事例研究をもとにしてまとめられた報告書『Women in business and management: Women in business in Central America(ビジネスと管理職における女性:中米のビジネスにおける女性・英語)』は、コスタリカでは企業オーナーの平均22.3%、エルサルバドルでは29%、メキシコ国チワワ州では15.3%、パナマでは22.4%を女性が占めることを明らかにしています。

 このように多くの女性を起業に駆り立てる要因としては、不安定な経済事情、企業内におけるキャリア展望の欠如、賃金が高い雇用機会の欠如が挙げられています。報告書はまた、女性が企業経営者や事業オーナーとして成功するか否かに影響する可能性がある要素として、企業規模、当該事業が属する経済部門、教育、職業経験を挙げています。

 男女の企業家を比較して、事例研究は、コスタリカ、チワワ州、パナマでは女性の方が教育水準が高く、エルサルバドルでは同程度であることを示しています。にもかかわらず、事業収益の平均水準はどの地域でも女性が経営する事業の方が男性の事業よりも低くなっています。パナマの例を挙げると、男女の個人事業主の間では78%以上、男女の使用者の間では40%以上、それぞれ男性の方が月当たりの平均収益が高くなっています。この差は収入が高くなるほど大きくなり、収入水準上位1割の層では女性の収入が平均663ドル男性を下回っています。

 コスタリカの事例研究からは、女性は経験を積むと成功確率が上がることが示されています。創業10年未満の比較的若い企業では男性が経営する企業の方が収益が高いものの、教育水準の高い女性が経営する成熟した企業の場合は男性が経営する企業と同じくらい、あるいは時には相当により高い収益を生んでいることが判明しています。

 報告書をまとめたILO使用者活動局のデボラ・フランス=マッサン局長は、女性の起業を支援し、成長期にもっと成功を収められるようにするために決定的に重要な一歩として、「女性のための育成銀行業務を通じて手頃な資本コストや金融を得られる機会を拡大すること」を挙げています。

 報告書は基礎的な生存戦略よりもむしろ事業成功機会に基づき女性の起業家精神に拍車をかける包括的な政策の必要性に光を当てています。そして、技能向上に加えて、教育の質、対象範囲、受ける機会の改善が女性企業家の成功確率を大幅に改善する可能性を指摘しています。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。