アフリカの協同組合リーダーたちが第10回ILO・JCCU共催視察研修 で得た知見、経験を発表しました!

ニュース記事 | 2019/11/15
アフリカの協同組合のリーダーたちは日本の協同組合を訪問し、組合員の生計を向上させるため、そして変化の激しい仕事の世界におけるさまざまな開発課題を解決するための知識や経験を交換しました。


ILOと日本生協連(JCCU)が共催する第10回視察研修は2019年9月5日~14日、東京とその周辺で行われました。視察研修は協同組合第六原則である「協同組合間の協力」に合致するものであり、協力に向けアフリカと日本の協同組合の間での情報交換促進を目指すものです。第1回目の視察研修は、2010年に、東・南アフリカの9か国の協同組合育成を促進するために実施されていたILOのアフリカ協同組合プロジェクトの枠組みの中で行われました。2010年から2018年にかけ、視察研修は9回行われ、アフリカ16か国から38名の協同組合のリーダーたちが参加しました。

 農業協同組合のファーマーズマーケットにて

今年は以下の5名の協同組合のリーダーたちがケニア、タンザニア、ウガンダ、ナイジェリアからこの視察研修に参加し、異なる分野(例:農業、エネルギー、金融・保険、ヘルスケア、保育・介護、小売り、その他サービス)のさまざまな協同組合を訪問しました。
  • ジョアン・スーザン・アトゥウラ氏(ケニア)
アフリカ貯蓄信用協同組合連合会・財政運営局長
  • ウルスラ・ブワリ・ギゼンベ氏(ケニア)
協同組合コンサルタント・保険代理機構 ・協同組合アドバイザー
  • オラディポ・オランレワジュ・ショブル氏(ナイジェリア)
ラゴス・メインランド多目的協同組合・代表、ラゴス地方自治体多目的協同組合 ・理事、ラゴス州協同組合連合・副代表
  • ソモエ・イスメリ・ングヘ氏(タンザニア)
タネスコ貯蓄信用組合・会長、タンザニア貯蓄信用組合連盟・理事
  • アウグスト・アーネスト・キマリオ氏(タンザニア)
キリマンジャロ乳製品協同合弁企業・コーディネーター

視察研修10回目の開催を記念し、またILOが創設100周年を迎えたこともあり、今回のプログラムは人口動態の変動や技術革新、気候変動といった仕事の世界の大きな変化に対し日本の協同組合がどのように対処しているかに焦点を当てました。プログラムの詳細はこちら()。

CO-OPデリのリサイクルセンターにて



CO-OPデリ店舗の屋上に設置された太陽光パネル

例えば、500万人の組合員を抱える東京と近隣県の7つの消費者協同組合の連合であるCO-OPデリでは、研修生は屋上設置の太陽光発電装置で稼働する店舗や、CO-OPデリの物流経路を通して消費者から集められた資源ごみを処理するためのリサイクルセンターを訪れました。リサイクルセンターは障がいのある人を雇用していて、地域の福祉団体と協力して彼らの社会への包摂を促進しています。CO-OPデリは売上予測や音声注文アプリにおける人工知能(AI)の活用についても紹介しました。

公開セミナーでのギ―・チャミ氏

視察研修の最後には協同組合と仕事の未来についての公開セミナー()()が東京の国連大学においてILO駐日事務所と日本生協連(JCA)によって共催されました。セミナーには在京ナイジェリア大使のH.E. Mohammad Gana Yisa氏、ケニア・タンザニア・ウガンダの大使館公使・関係者、労働組合リーダー、研究者、協同組合の実務家を含む約80名の参加者が集まりました。ILO協同組合ユニットの政策・調査専門官のギー・チャミ氏が仕事の未来を形作る大きな変化、またそうした変化への対処における協同組合やその他の社会的連帯経済(SSE)が持つ潜在能力について基調講演(英)を行いました。それに引き続き、視察研修に参加した5人のアフリカの協同組合リーダーたちがそれぞれの国における協同組合運動と彼らの協同組合の取り組みについて発表しました。発表の後には仕事の未来における課題を解決するためにどのようにして協同組合の潜在能力を活用するのかについて、発表者、大使館関係者、参加者の活発な議論が行われました。本セミナーのレポートはこちら。()()。

研修生は視察研修で得た知見を共有するとともに、研修を通じて学んだことを自分たちの協同組合で活かす次のステップについて語り、成功裏にイベントを終えました。(

公開セミナーでの集合写真