母性保護

お知らせ-母性保護の100年:全ての人のために変える休暇・ケア政策

記者発表 | 2019/11/06
母性保護の100年(英語・2分38秒)

 100年前の10~11月に開かれた第1回ILO総会では6本の条約が採択されましたが、その一つは母性保護に関するものです。1919年11月28日に採択された「1919年の母性保護条約(第3号)」は、出産に関連した雇用保護と有給休暇の権利を認めた最初の条約です。男女平等の問題に焦点を当てた最初の条約でもあります。

 ジュネーブのILO本部では、2019年11月8日午前9時~午後5時半に、第3号条約の採択100周年を記念するイベントを開催します。国連児童基金(UNICEF)、国連女性機関(UN Women)、休暇政策・調査研究国際ネットワーク(INLPR)の協力を得て、欧州委員会と共催する「母性保護の100年:全ての人のより良い仕事の未来に向けた休暇・ケア政策の転換」と題するイベントでは、全ての人への母性保護とジェンダー概念を変えるようなケア政策を達成する必要性について政界の注意を喚起し、普遍的社会的保護の利点について啓発し、公式(フォーマル)経済・非公式(インフォーマル)経済で効果的な好事例についての経験交流・情報普及を図ります。

 母性保護の100年を記念して制作された上の広報動画は100年前に第3号条約が採択されて以来、母性保護の定義は拡大され、その重要性はより幅広く評価されるようになったものの、いまだに多くの母親や妊産婦が深刻な課題に直面していることを明らかにしています。

 妊娠中及び出産後に健康と安全保障のために母子の保護が必要なことはILOで最初の母性保護条約が採択された100年前も現在も変わっていません。この分野に関してはその後、男女双方による育児責任の分担を促進する基準が採択されています。この画期的な条約は、働く母親には産前産後休暇中に解雇されない保障や金銭的な支援を受ける権利が必要なことを認めています。その後、ILOの基準は広げられ、全ての女性に最低14週間の有給出産休暇が確保されるべきこと、健康保護や所得保障、有給の授乳時間が与えられるべきこと、安全で健康的な職場が確保されるべきことなどが定められました。この重要な時期における母子にとっての利益は家族や地域共同体、社会全体のためにもなります。母性保護の権利は世界中で認められているものの、女性が直面している現実は違います。母性に関連した多くの女性の健康や経済保障は依然として脅かされており、世界全体で出産に関連した現金給付を受給できる女性はいまだに10人中4人に過ぎず、多くが十分な有給休暇や産休明けに職場復帰できる約束も得られず、解雇や差別、暴力、嫌がらせ、職場における敵意に直面している女性も多くなっています。

 100年間の進歩があったものの、手を付けるべきことはまだ多くあります。世界中全ての女性の母性保護は健康、富、安定、そして家庭内や職場、世界における平等のカギを握っています。全ての人の母性保護は2030年までに健康、男女平等、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)と経済成長といった持続可能な開発目標を達成するために必要不可欠な一歩です。母性保護に関する最新のILO条約である「2000年の母性保護条約(第183号)」を批准し適用しましょう。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。