責任ある企業行動

経団連・ILO・OECD共催シンポジウム:「アジアにおける責任あるサプライチェーン」プロジェクト

ニュース記事 | 2018/12/06
日本経済団体連合会(経団連)、国際労働機関(ILO)及び経済協力開発機構(OECD)は、2018年10月15日、経団連の会員企業向けに、シンポジウム「アジアのサプライチェーンにおける責任ある企業行動」を東京で開催しました。アジアで事業活動を行う日本企業のサプライチェーンにおけるビジネスと人権の問題に関して、意識を高めることがその目的です。この会合は、経団連、ILO及びOECDの三者が共催した初めてのシンポジウムで、ビジネスと人権に関する経団連と日本企業の取り組みが議論されました。そして、EU、ILO及びOECDによる共同プロジェクト「アジアにおける責任あるサプライチェーン」が紹介されました。

冒頭で、経団連の二宮雅也企業行動・CSR委員会委員長から「SDGsを達成するための経団連の取り組み-Society 5.0 for SDGs」に関する説明があり、次に、ILOジュネーブ本部多国籍企業ユニットチーフのギータ・ローランス氏が「ディーセント・ワークを通じた責任あるビジネスの促進-ILOと日本企業の関わり」について発表を行いました。

この発表では、今日の経済において社会的責任ある慣行が重要である理由、また、企業活動においてディーセント・ワークを推進するためのこれまでの取り組みを中心に、ディーセント・ワークと持続可能な企業の関連性が説明されました。さらに、SDGsの達成における政策の一貫性や民間部門の関わりについても、その重要性が強調されました。多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言(多国籍企業宣言)の紹介では、政府、多国籍企業、国内企業、及び社会的パートナーにそれぞれ異なる役割と責任があることが示されました。また、国連のビジネスと人権に関する指導原則などの他のガイドラインがILOの多国籍企業宣言を参照していることに加えて、ILOのビジネスのためのヘルプデスクの内容にも触れました。発表の終盤では、ILOが世界各地の企業や経団連と取り組んできた活動を取り上げたほか、日本政府の資金提供を受け、日本の電子企業の協力のもと、ベトナムで行っているILOのプロジェクトについて、日本企業への感謝の意が表明されました。

次に、OECDのRBCユニット長であるクリスティーナ・テバル・レス 氏が「日本企業とそのサプライチェーンにおける責任ある企業行動」とのテーマでOECDの活動を紹介しました。続いて、味の素株式会社人事部人財開発グループの中尾洋三氏及び富士通株式会社環境・CSR本部CSR・SD戦略統括部レスポンシブル・マネジメント推進部の成岡剛氏から、サプライチェーンにおけるビジネスと人権に関する取り組みの事例についての発表がありました。

シンポジウムの後半では、経団連の企業行動憲章タスクフォース座長である関正雄氏をモデレーターとし、二宮氏以外の上記のスピーカーをパネリストとして、パネルディスカッションが行われました。パネルディスカッションでは、日本企業と、ILO及びOECDの双方に対し、サプライチェーンにおいて社会的責任ある慣行を実践するために日本企業が直面する課題、及びその取り組みにおいてどのように国際的に採用されている基準を取り入れるかについて、質問がなされ、議論を深めました。また、複数の企業に共通する課題に取り組むためには、政府や経団連のような使用者団体の役割が重要であると同時に、情報共有とコミュニケーションも重要であることが示されました。