児童労働反対世界デー

児童労働の根本原因に取り組む必要があると説くライダーILO事務局長

記者発表 | 2018/06/04
2018年児童労働反対世界デー及びグローバルマーチ誕生20周年記念イベント・ハイライト(英/仏語・5分48秒)

 現在ジュネーブで開かれている第107回ILO総会のサイドイベントとして、児童労働反対世界デー(6月12日)に先立つ6月4日に開かれたパネル討議でガイ・ライダーILO事務局長は、「地球規模で取引されている衣料品やたばこ、カカオなどに留まらず、サトウモロコシや雑穀、レンガといった地元市場向けの品や家事労働も課題」と説き、グローバル・サプライチェーン(世界的な供給網)だけでなく、農業における無償の家族労働にも注意を払う必要性を指摘して、児童労働の経済的な根本原因に取り組む緊急の行動を呼びかけました。5~17歳の児童労働者数は現在、世界全体で1億5,200万人あまりと推定されますが、事務局長は、2012~16年の間に5~11歳の児童労働者数はほとんど減少しておらず、危険有害労働に従事する最も脆弱で最も幼い子ども達は実際には増えてさえいることを指摘し、この理由の一つとして、ほとんどが無償の家族労働でまかなわれている農業における児童労働の増大を挙げました。さらに、こういった子ども達は典型的に6~7歳ぐらいから働き始め、年齢が上がるにつれて一般に危険有害労働に従事するようになることも指摘しました。

 最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃を求める第182号条約は1999年のILO総会で採択されましたが、この条約の第1次討議が行われた1998年の総会議場を目指し、子どもを含む数百人の人々が「児童労働に反対するグローバルマーチ」として行進してきました。その20周年を記念する意味もあった今回のイベントにマーチの主導者として参加したカイラシュ・サティアルティ氏は2014年にノーベル平和賞を受賞したインドの児童の権利活動家ですが、「国際的なサプライチェーンに捕らえられている子ども達、奴隷状態にある子ども達、畑や農場、店舗や工場、あるいは一般世帯で家事労働者として働かすために時には動物よりも安い値段で動物のように売り買いされる子ども達がいまだにいるとしたら、これは人類の汚点」と訴えて、やるべきことがまだ多く残されている現状に参加者の注意を喚起しました。

 元児童労働者の報告も行われました。行進に参加してジュネーブまでやってきた子どものうちでは最も幼かったネパールのバス・ライさんは、いまだに1億5,200万人の子どもが一種の奴隷状態で惨めな生活を送っている現状に注意を喚起し、「今こそ集団的な行動を」と呼びかけました。米国で児童労働者として働いていた日々を振り返ったズレマ・ロペスさんの話は参加者の目に涙を浮かべさせました。「7歳で私にとって普通だったのは、朝5時に起き、Tシャツを着て靴を履き、燃えるような照りつける太陽の下、9キロから14キロくらいのキュウリの入ったバケツを抱えて暮らしを成り立たせるために働きに行くことでした」と彼女は語りました。

 国際食品労連(IUF)のスー・ロングレー書記長は、児童労働の約7割が見られる農業に強く焦点を当て続けることの重要性を強調し、ビジネス・ユニティー・サウスアフリカ(BASU)のナズリーン・マニー理事は、しばしば一般の人々の視界から隠されて家族企業や農家で行われている児童労働に取り組むことの難しさに注意を喚起しました。今年の児童労働反対世界デーでは、若年労働者の安全と健康の促進にも光が当てられており、このテーマについて報告したコートジボワール社会保障基金のミリアム・カミソコ職員は、より年長の労働者よりも若年労働者の災害率が高い現状を指摘しました。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。