仕事の未来世界委員会

ILO仕事の未来世界委員会第3回会合(ジュネーブ・2018年5月15~17日):最終報告に向けた枠組みの形成を開始

記者発表 | 2018/05/18

 仕事の世界を変容させつつある変化を評価し、進むべき前途に関する提案を行うことを任務として2017年に設置された仕事の未来世界委員会がジュネーブのILO本部で2018年5月15~17日に3回目の会合を開き、11月の最終会合に向けた今後の作業について合意に達し、来年発表される最終報告の枠組みとそこに含まれる提案の具体化に向けた作業を開始しました。

 清家篤・慶應義塾大学教授を含む28人の委員は、報告書の内容に資する可能性が高い事項として、新たな労働形態、世界的な人口構造の変化が仕事に与える影響、デジタル化とそれがもつ意味合い、生涯学習、包摂性と男女平等、人間の安寧と仕事の測定、持続可能な開発の達成といった幅広いテーマを取り上げ、若者の就労、技能、所得不平等、経済の非公式性、農山漁村経済、デジタル・デバイド(情報技術の利用機会における格差)、男女平等などといった論点に加え、仕事の未来の制度機構的影響についても検討を行いました。委員会は3回目の会合に先立ち、数週間にわたって様々な専門家や機関、組織との政策対話の機会を持ち、これらの事項の多くについて掘り下げた議論を行いました。

仕事の未来世界委員会第3回会合の検討事項と今後の予定について語るライダーILO事務局長(英語)

 世界委員会は3回目の会合に先立つ2カ月間、知識を深めることを目指して特定のテーマに関する専門家を囲んだ政策対話を複数行いました。

 2018年4月12日には「生涯学習:誰が支払い、誰が提供するか」と題し、生涯学習の統治、生涯学習提供の実務モデル、潜在的な財源メカニズムなど、仕事の未来のニーズを満たすために適応が望まれる生涯学習の仕組みの主な要素について検討を行いました。

 4月16日には、「農山漁村経済における仕事の未来」と題し、インドの女性自営者協会(SEWA)の創設者であるエラ・ラメシュ・バットさんを迎え、農山漁村労働者の組織化とエンパワーメントに関する女史の経験を聞きつつ、農山漁村経済の持続可能な開発に向けた選択肢、生計改善の手段、農産物の収穫を増し、地元経済をグローバル市場と結びつける上で新技術が提示する機会について検討を行いました。

 4月27日には、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)と持続可能な企業のためのビッグデータ、アルゴリズム、人工知能(AI)、ブロックチェーン、その他のデジタル技術のてこ入れ」と題し、科学技術が仕事や作業組織に与える影響、ディーセント・ワークに向けて科学技術にてこ入れするための政策選択肢について検討を行いました。

 5月10日には、「国内総生産(GDP)を越えて:仕事と安寧の価値と測定」と題し、GDPのような現行の測定方法で十分であるか否か、仕事と安寧を測定するその他の手段について話し合いを行いました。

 5月14日には、「包摂的な成長と開発:民間セクターの慣行と2030開発アジェンダの整合」と題し、包摂的な開発とディーセント・ワークを目指す企業や金融手段の具体的な戦略例についての発表を聞きつつ、企業の慣行を2030開発アジェンダの諸目標とより良く整合させるための戦略や政策を検討しました。

 11月15~17日に開かれる委員会の最終会合では、2019年1月に発表される予定の報告書の最終原案をもとに話し合いが行われます。ILO加盟国政労使には同年6月に開かれる100周年記念総会に先立ち、その内容を検討する機会が与えられます。ガイ・ライダーILO事務局長は、この報告書について、誰も置き去りにせず、公正で公平な世界という、私たちの望む仕事の世界に向けて進むための文書を総会でまとめるためのたたき台として、具体的な提案を含み、行動指向型の短く戦略的な文書になるであろうとの期待を述べています。

 委員会の活動は、ライダー事務局長が2013年に開始した仕事の未来100周年記念イニシアチブの第2段階に当たります。第1段階では、ILO加盟国における国内対話や小地域対話が行われ、仕事の未来に関する幅広い見解が示されました。


 以上は次の2点のジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。