ウズベキスタンの児童・強制労働

児童労働の組織的な利用に終止符を打ち、強制労働撲滅に向けた措置を講じるウズベキスタン

記者発表 | 2017/12/12

 成人人口の4分の1近い300万人以上が毎年綿花収穫に従事するウズベキスタンで、ILOは2013年からこの収穫作業における児童労働の監視を行っています。世界銀行との協定によって2015年からこの対象には強制労働も加えられています。

 ILOモニタリングチームは2017年11月30日に首都タシケントで開かれた円卓会議に向けて、この数年来、綿花収穫における児童労働の組織的な利用は見られず、強制労働の利用を完全になくすための具体的な措置も講じられているとの報告を行いました。ウズベキスタンの政府代表、使用者、労働組合、開発パートナー、外交使節代表、ILO、世界銀行などで構成されるウズベキスタン児童労働・強制労働調整評議会のメンバーが出席したこの会議で見出された事項は報告書にして正式に世界銀行に提出され、2018年初めに発表されます。

 最も強力な変化の兆しは、シャフカット・ミルジヨーエフ大統領が今年9月に国連総会で行った演説、そしてその後全国的に講じられた綿花収穫作業への自発的従事政策実施のための措置に見られます。ウズベキスタンはまた、2017年11月14~16日にアルゼンチンで開かれた第4回児童労働の持続的な撤廃世界会議でも独立市民団体と関与することを約束し、円卓会議に先立って既に市民活動家との会合をもっています。

 ILOの専門家らは収穫期に国内全州で地方自治体や教育・保健医療職員を含む、収穫作業員その他の収穫に関与する人々計3,000人に独立した聞き取り調査を行ったほか、無作為に抽出した1,000人を対象に電話世論調査を行いました。さらに、収穫期前には、収穫作業員の募集に直接関与する約6,300人に研修を提供しました。この結果からは児童労働、強制労働は許容できないとの意識の高さが確認されています。児童労働の組織的な使用は見られず、収穫作業員の募集に際しては自発性を確保するよう指示が出され、そのための措置が講じられました。学生生徒や教育・保健医療職員などといった特定のリスク集団は早期に作業から引き離されました。

 このように募集における自発性を確保する取り組みの強化が全体的に見られ、監視と評価からもこの年1回行われる綿花収穫に従事する人の大半が自発的に行っていることが確認されています。今年の作業員が受け取る賃金は、ILOと世界銀行の提案に沿って引き上げられたものの、生産性は過去の収穫と比べても遜色ないものでした。

 局所的に観測された幾つかの問題点は、州や地区によって幾分ばらつきがある啓発活動と能力構築をさらに進める必要性を示しています。収穫作業への従事が国際労働基準に沿って行われるよう確保するためには、募集に関わるすべての人が必要な情報と手段を有する必要があります。学生生徒や教育・保健医療職員の強制的な募集の禁止はよく知られているように見えますが、作業を代わってもらった場合に様々な手数料を請求する慣行がまだなくなっていない問題が局所的に観測されたため、近い将来に求められる重要事項として、そのような支払いを請求する募集員がなくなり、そのような支払いを行う義務があるように誰も感じないように確保する必要があります。

 フィードバックの仕組みの周知も進み、利用も増えており、報告された案件のうち一定数については既に解決が図られています。この仕組みが利用しやすく、即時の対応が必要な問題から制度機構や司法によるフォローアップが求められる具体的な違反事例まで、提起された様々な問題に適時に対応できるよう整備していくことが大切です。

 2017年の綿花収穫は高い透明性と増大する対話の中で実施されました。批判的な声を上げる個々の活動家を含む市民社会のあらゆる集団が対話の中に含まれていることは、将来に向けた元気づけられる兆候です。すべての人を包摂した情報交換は農業だけでなく経済全体に及ぶ雇用・労働市場政策の堅固な基盤を形成するもととなります。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。