第4回児童労働の持続的な撤廃世界会議

なおも残る1億5,200万人の児童労働被害者の存在に注意を喚起するILO事務局長

記者発表 | 2017/11/14
第4回児童労働の持続的な撤廃世界会議の開会式で挨拶するライダーILO事務局長

 ILOの支援を受けてアルゼンチンの労働・雇用・社会保障省が主催する「第4回児童労働の持続的な撤廃世界会議」が首都ブエノスアイレスで2017年11月14日に3日間の日程の幕を開けました。開会式で挨拶したガイ・ライダーILO事務局長は、「今でもなお、世界の子どものほぼ10人に1人に相当する1億5,200万人の児童労働被害者がおり、このうち約半数が危険有害労働に従事しています。私たちは進展に非常に大きなばらつきがあることを認めなくてはなりません」として、過去20年間にこの分野で達成された進歩を認めつつも、あらゆる形態の児童労働をなくすにはまだ長い道のりが残されていることに警鐘を発し、2025年までに児童労働を完全になくすという目標の達成に向けて協働することを国際社会に呼びかけました。

 2015年に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の17の持続可能な開発目標の一つである「持続可能で包摂的かつ持続的な経済成長、生産的な完全雇用及びすべての人々のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の促進(目標8)」の達成目標であるターゲット8.7は「強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための即時の効果的な措置の実施、児童兵士の募集と使用を含む最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃の確保」、そして「2025年までにあらゆる形態の児童労働を撲滅する」ことを目指しています。

 2017年9月に国連総会で発表された推計値によれば、児童労働者は現在、世界全体で1億5,200万人、強制労働被害者は2,500万人(うち子どもは570万人)を数えると見られます。ライダー事務局長は、「目標も、そしてより多くのことをより良く行わない限り、それを達成できないであろうとの居心地の悪い現実もこれ以上ないほど明確」であることに注意を喚起した上で、児童労働の持続的な撤廃には、単なる対症療法に焦点を当てるのではなく、深く沈潜し、全体に広がる児童労働の原因に対処する総合的な取り組みが求められると訴えました。この総合的な取り組みに含まれる要素として、児童労働関連国際基準の適用、農山漁村経済や非公式性といったほとんどの児童労働が見られる分野に焦点を当てた労働市場政策、貧困と不安定性対策としての社会的保護、そして万民に開かれた良質の普遍教育を挙げることができます。


 以上はブエノスアイレス発英文記者発表の抄訳です。