第4回児童労働の持続的な撤廃世界会議

ILO新刊:2025年までに児童労働に終止符を打つ政策を提案

記者発表 | 2017/11/13

 2015年に国連で「持続可能な開発目標(SDGs)」を採択することによって国際社会は2025年までにあらゆる形態の児童労働を撤廃することを公約しました。来る2017年11月14~16日にブエノスアイレスで「第4回児童労働の持続的な撤廃世界会議」が開かれるのに合わせて発表されたILOの新刊は、この活動のカギを握るものとして、法的保護の引き上げ、労働市場と家族企業の統治の改善、社会的保護の強化、良質の無償教育への投資の四つの政策の柱を示しています。

 2017年9月に発表された世界推計は、児童労働に従事している子ども(5~17歳)は現在、世界全体で1億5,200万人(子どもの約10人に1人)に上ることを示しています。児童労働の数は2000年より減ってきていますが、2012~16年の減少速度は鈍化しており、現在の傾向のままでは、2025年になってもまだ1億2,100万人の子どもが児童労働に従事していると予想されます。

 『Ending child labour by 2025: A review of policies and programmes(2025年までに児童労働に終止符を打つ:政策及び事業計画の点検・英語)』と題する報告書は、「私たちは正しい方向に向かっているものの、その速度をもっとずっと速めなくてはならない」と説き、取り組みの増強を呼びかけています。

 法律だけでは児童労働を根絶できませんが、有効な法律なしに児童労働をなくすこともできないでしょう。「1999年の最悪の形態の児童労働条約(第182号)」の批准国は187のILO加盟国中181カ国に及び、5~17歳の世界の子どもの99.9%以上にこの条約が適用されています。「1973年の最低年齢条約(第138号)」の批准国も170カ国に達しています。しかし、依然として残る大きな課題は、これらのILO基準を国内法に転化すること、そして今ある児童労働関連法の効果的な監視と執行を確保することです。大半の児童労働が見出される非公式(インフォーマル)経済の職場に労働監督の目が届くことはほとんどないため、この制度の強化も必要です。

 合法的に働ける年齢の成人や若者の仕事が公正な収入と安全保障を提供するならば、家族は基本的なニーズを満足したり、経済的不確実性に対処するために児童労働に頼る必要はないでしょう。農山漁村経済や非公式経済といったほとんどの児童労働が残っている分野に焦点を当て、上手に設計された労働市場政策は、児童労働に対する需要の抑制を助ける可能性があります。また、サプライチェーン(供給網)における児童労働を取り上げた規制枠組みを設けることも決定的に重要です。

 児童労働に対する戦いが進行し続けるには、世帯の経済的脆弱性を緩和する助けになる政策が必要です。社会的保護は貧困世帯が対処策として児童労働に頼らざるを得ないのを防止する助けになるため、普遍的社会的保護に向けた歩みの加速化がカギを握っています。

 学齢期の子どもが児童労働に流れるのを阻止する際立って最も効果的な方法は学業の質とその機会を高めることである点については幅広い合意が見られます。適切な幼児開発、ケア、初等教育前プログラムを通じて子どもに好スタートを切らせることは、幼児期からの移行が職場よりもむしろ学校へ向かうことに成功するのを確保する最も重要な戦略の一つです。

 報告書はこのような政策を列挙した上で、「改めてなされたこの公約を今こそ加速された行動へと変え、児童労働を完全に歴史のゴミ箱に委ねなくてはならない」と説いています。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。