若者の就労

北アフリカの若者の就労を後押しする世界的な行動を呼びかけるILO

記者発表 | 2017/09/27

 若者が失業する可能性は、より年長の労働者の3倍になりますが、北アフリカでは若者の失業率が世界平均の2倍に相当する28.8%に達しています。その上、労働市場の参加には大きな男女格差が存在し、若者の労働力率は男性が46.8%であるのに対して女性は16.6%に過ぎず、失業率は男性が24.1%であるのに対して女性は44.4%に達しています。また、働いている若者の約25%が貧しい暮らしを送っていると見られます。若者の失業率の高さと女性労働力率の低さの影響を強く受け、北アフリカでは仕事の質が損なわれ、非公式経済が拡大し、不完全就業が増え、生産性の伸びは低迷しています。それでもなお域内諸国は非常事態を乗り越え、短期的な対応から抜け出して、より包摂的で仕事を豊かに生む成長を促進するような大規模な改革に乗り出しています。

 「若者の就労のための活動のスケールアップ」をテーマに、北アフリカ7カ国のハイレベル政労使代表、その他の主要な利害関係者、開発パートナーが参加して2017年9月26~27日にジュネーブのILO本部で開かれた「北アフリカの若者と就労ハイレベル会議」では、地域の若者のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に係わる最も急を要する問題に関する議論を経て、地域の若者の就労危機に取り組む、より協調的な世界規模の対応策が求められました。

 「若者のための働きがいのある人間らしい仕事グローバル・イニシアチブ」や持続可能な開発目標、各国の計画その他の既存の枠組みを基盤として新たに採択された「北アフリカの若者の就労のための行程表」は、若者の就労に関する根拠に根ざした今後5年間の戦略を形作ることが期待されます。初日に開かれた「北アフリカの若者の就労に係わる機会と課題に関するハイレベル・パネル討議」に参加したアルジェリア、エジプト、モロッコ、スーダン、チュニジアの大臣及び副大臣は、若者の就労に関する政策課題に取り組むには戦略の調整を図る必要があることを再確認しました。26日には他に、「北アフリカの若者の就労ギャップを縮小する方法」に関するパネル討議や、「若者のディーセント・ワークの柱」、に関するハイレベル対話も開かれました。

 開会式で挨拶したデボラ・グリーンフィールドILO政策担当副事務局長は、「根拠、社会対話、グローバルなパートナーシップを基盤とした、包括的で調整の取れた政策対応、その実行、行動は、若者の高失業・不完全就業率、非公式経済の膨張、低い生産性の伸びに対応した、より先行対策的な国際行動を率いることだろう」として、地域の若者の就労問題を是正するために、若者の就労に向けた公約を新たにし、活動を再活性化させることを呼びかけ、「この趨勢を反転させるには、力強い政策対応が必要」と訴えました。ガイ・ライダーILO事務局長も会議に出席し、「今後数十年間の世界の開発における最大の課題は、おそらく数千万人の若者を労働市場に組み込む必要性になろう」と指摘しました。

* * *

 以上は次の2点のジュネーブ/アルジェ/カイロ/アビジャン発英文記者発表の抄訳です。