インフォーマル経済と男女平等

インフォーマル性の打破に向けてアフリカ女性のエンパワーメントを提唱するチュマILOアフリカ総局長

記者発表 | 2014/09/16
チュマILOアフリカ総局長

 ケニアの首都ナイロビにおいて9月17日まで2日間の日程で開かれているアフリカ労働組合統一機構(OATUU)の女性大会に出席したアエネアス・チャピンガ・チュマILOアフリカ総局長は、16日に行った講演で、女性がより質の低い仕事に集中しているインフォーマル経済において男女不平等がより広く見られることを指摘して、労働組合には女性労働者を組織化し、その権益を守り、代表するという、果たすべき重要な役割があると説きました。「インフォーマル経済労働者の労働組合への組織化」をテーマとするこの大会では、インフォーマル性と貧困の悪循環を打破するにはインフォーマル経済の労働者を組織化し、仕事の世界における男女平等を促進する政策環境が必要なことに光が当てられました。

 インフォーマル経済は相当量の雇用を提供しています。例えば、南アフリカでは農業外就労人口の32.7%、タンザニアでは76.2%がインフォーマル経済で働いていると見られます。男性よりも女性の方がインフォーマル経済に集中する傾向があり、例えば、ブラジルでは6.7ポイント、メキシコや南アフリカでは最大7.0ポイント、インフォーマル経済就労比率は女性の方が高くなっています。経済、社会、文化の様々な要因が女性のフォーマル経済における就労の障害になっていると見られます。

 労働組合は多くの国で、法的権利に関する情報、教育や権利擁護の事業、法律扶助、医療保険、融資やローン制度、協同組合の設立などの特別のサービスをインフォーマル経済の労働者に提供しています。チュマ総局長は、加えて、インフォーマル経済の労働者が特に影響を受けやすい、あらゆる形態の差別をなくす積極的な戦略を開発する必要性を指摘しました。

インフォーマル経済からフォーマル経済への移行について語るアフリカからの2014年ILO総会参加者(英語)

 フォーマル化への移行を円滑化するために、主要20カ国・地域(G20)の一部では、従来除外されていた労働者群を社会保障法制の適用対象に加える動きが見られます。例えば、南アフリカは2003年から家事労働者を失業保険基金の対象に含んでおり、2013年現在、女性がほとんどを占める家事労働者65万4,000人が保険に加入して出産や失業時の所得保障を得ています。ILOは来年6月に開かれる第104回総会で今年の総会における第一次討議を受けて、インフォーマル経済からフォーマル経済への移行を円滑化する行動の枠組みとなる勧告の採択に向けた話し合いを行います。提案されている文書案は男女平等に特別の注意を払って機会の平等を促進しています。

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 以上はILOアフリカ総局によるナイロビ発英文記者発表の抄訳です。