海上の労働に関する条約

特別三者委員会で船員を保護する新たな措置を採択

記者発表 | 2014/04/11

 2013年8月20日に発効した「2006年の海上の労働に関する条約」には、同条約の運用を継続的に検討する特別三者委員会の設置が規定されています。4月7~11日にジュネーブのILO本部で開催されたこの第1回会合では、船員の遺棄と船員の死亡または長期的な障害発生時における補償請求の問題に係わる同条約の改正提案が採択されました。日本を含む現在57カ国の批准国政府並びに船員及び船舶所有者の代表300人以上の出席者が反対票なしで採択した改正案は、1)遺棄された船員の保護並びに2)職業上の負傷、疾病、危険を原因とする船員の長期障害または死亡時の補償のための金銭的な保証の提供を船舶所有者に義務づけるものです。船舶は新たな規定に基づき、船上で働く船員を保護する金銭的な保証の存在を示す証明書その他の書類を備えることを求められます。改正規定は5月28日に開幕する第103回ILO総会に承認を求めて提出されます。

会合模様(英語)

 ILOの船員の遺棄データベースに現在登録されている159件の遺棄事件の中には、いまだ解決に至っていない2006年発生のものもあります。クレオパトラ・ドゥンビア=ヘンリーILO国際労働基準局長は、今回採択された基準は、「たとえどこにいようと、遺棄された船員とその家族に救済と安心を与え」、さらにまた、この条約改正を採択することによって、「船舶所有者と政府は、世界中で質の高い海運業に向けた公正な地歩が確保されるようその規定の強化に踏み出した」と評価しました。ガイ・ライダーILO事務局長も、発効すれば、船員が遺棄された場合または職業上の負傷、疾病、危険を原因とする死亡または長期的な障害が発生した場合に世界中の船員とその家族の福祉を確保することになるこれらの措置は「確実に船員の労働・生活条件の改善を助けることになるだろう」として歓迎しました。

 会議初日の4月7日にはまた、船員の福利厚生に対して優れた功績を示し、他の人々の活動を鼓舞するような人々、組織、港湾に送られる2014年国際船員福利厚生賞の授賞式典がILOで開かれました。港湾賞を受賞したベルギーのアントワープ港などの受賞者を歓迎する挨拶において、ガイ・ライダーILO事務局長は、海上の孤立した環境で働くことは、船員を非常に脆弱な立場に置く可能性があり、実際にそうなっている現状を指摘して、世界全体で150万人を数える船員の福利厚生の確保に向けて努力を倍加する必要性を唱えました。

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 以上はジュネーブ発の次の英文記者発表2点の抄訳です。