社会的保護 Q&A

Q1:あるサプライヤーは、法定労災保険の保険料の労働者負担分を労働者の賃金から控除しています。しかし、このサプライヤーは、移民労働者を多く雇用し、これらの労働者は払い込まれた保険料に基づく社会給付を受けることができません。ILOの観点から見て、サプライヤーはこの場合、どのような対策を講じるべきでしょうか。

Q2:退職金の支払いを受けて退職した人が、退職後も工場で働くケースが散見されます。工場の経営者は、このような人を賃金台帳に載せると、その人が受け取る年金が減額されるという理由で、従業員として取り扱っていません。この労働者はすべての退職者と同様、病院での治療を無償で受けられます。しかしこのような退職後の労働は認められるのでしょうか。賃金台帳に載らないまま働いてもよいのでしょうか。労災事故が起きた場合、退職者が無償で治療を受けられるというだけで十分なのでしょうか。



Q1:あるサプライヤーは、法定労災保険の保険料の労働者負担分を労働者の賃金から控除しています。しかし、このサプライヤーは、移民労働者を多く雇用し、これらの労働者は払い込まれた保険料に基づく社会給付を受けることができません。ILOの観点から見て、サプライヤーはこの場合、どのような対策を講じるべきでしょうか。

A1:同社は、労働者の社会保険料の徴収と納付を要求するものを含め、法令に従うべきです。これは透明な形で行うべきであり、労働者は社会保障制度における自らの権利を認識すべきです。

ILO「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」(多国籍企業宣言)は、関係のあるすべての当事者が国家の主権を尊重し、国家の法令に従い、地域の慣行を十分考慮し、関係のある国際基準を尊重することの重要性を強調しています。その中には、社会保障に関する法的義務も含まれます。

労働者の法定社会保険料を賃金から控除することは、国際労働基準の規定にも合致していますが、その場合には、労働者が控除額について知らされていることが条件となります。

社会保障制度が包括的であれば、移民労働者は医療、疾病手当、失業手当、出産手当など、給付の多くを直接受けることができます。年金給付に関しては、出身国に帰国する移民労働者が自らの年金積立分の還付を受けるか、国外で年金給付を受けるための仕組みが存在することもあります。同様の制度は、出身地に帰る国内移民についても存在することがあります。これは社会保障制度を政府がどのように運営するかに関する問題であり、特定の企業が取り組める能力を越えています。1962年の均等待遇(社会保障)条約(第118号)や、1949年の賃金保護条約(第95号)をご覧ください。

Q2:退職金の支払いを受けて退職した人が、退職後も工場で働くケースが散見されます。工場の経営者は、このような人を賃金台帳に載せると、その人が受け取る年金が減額されるという理由で、従業員として取り扱っていません。この労働者はすべての退職者と同様、病院での治療を無償で受けられます。しかしこのような退職後の労働は認められるのでしょうか。賃金台帳に載らないまま働いてもよいのでしょうか。労災事故が起きた場合、退職者が無償で治療を受けられるというだけで十分なのでしょうか。

A2:ILOの基準によると、退職後の労働は原則として制限されていません。しかし、国内法令で制限が定められることもあります。

年金に関する限り、1952年のILO社会保障条約(第102号)は、年金受給資格者が所定の有給業務に就いている場合に、年金の支給を停止したり、受給者の所得が所定の金額を越えた場合に、年金を減額したりできることを定めています。

企業は、国内法令に従い、承認された様式及び方法による適当な賃金支払記録を維持すべきです。1949年の賃金保護条約(第95号)をご覧ください。企業退職者を賃金支払名簿に載せずに働かせることは、それを適法に行う手段が法律上与えられていない限り違法となる可能性があります。いくつかの国は、特に社会保障と税務上の不正の関連で、企業による労働者の申告漏れと不法就労を罰する法律を採択しています。これらの法律に故意に違反した労働者は民事上、刑事上の制裁をともに受けることがあります。保護対象者が不当な請求を行った場合には、本来受けられるはずの給付を停止されるおそれもあります。

ILO「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」(多国籍企業宣言)は、関係のあるすべての当事者が、国家の主権を尊重し、国家の法令に従い、地域の慣行を十分考慮し、関係のある国際基準を尊重することの重要性を強調しています。その中には、社会保障に関する法的義務も含まれます。

医療保障の問題に関し、労働者が病院で退職者として無償で治療を受けられるという事実は、保護という点で必ずしも十分でない可能性があります。労災事故や、労災事故の結果としての長期の療養が対象とされていないおそれもあるからです。