先住民族 Q&A


Q1:1989年のILO先住民及び種族民条約(第169号)の対象となる権利が国により保護されていない場合、石油・ガス部門の多国籍企業はどのような手段とツール(手法)を用いるべきか、説明してください。例えば、政府が以下の条文を遵守していない場合には、どうなりますか。

第15条第1項:関係人民の土地に属する天然資源に関する関係人民の権利は、特別に保護される。これらの権利には、当該資源の使用、管理及び保存に参加するこれらの人民の権利を含む。

第14条第1項:関係人民が伝統的に占有する土地の所有権及び占有権を認める。更に、適切な場合には、排他的に占有していない土地で、関係人民の生存及び伝統的な活動のために伝統的に出入りしてきた土地を利用するこれらの人民の権利を保証するための措置をとる。このため、遊牧民及び移動農耕者の状況について特別な注意を払う。

第14条第2項:政府は、必要な場合には、関係人民が伝統的に占有する土地を確認し並びにその所有権及び占有権の効果的な保護を保証するための措置をとる。

A1:条約勧告適用専門家委員会(CEACR)は実際、要請に応じ、この条文の意味を次のように説明しています。

委員会は長年にわたり、協議と参加のための制度的メカニズムを確立する必要性に言及してきたことを想起する。

協議の権利は、前もって行使されるべきであり、単なる情報提供で終わらせず、合意の達成をねらいとした当事者間の真摯な対話とすべきである。協議は、当事者が信頼し、かつ、先住民を代表する権威者を含む手続きの枠内で、誠実に行わなければならない。

先住民が直接影響を受けかねない措置について、常に協議を受ける権利は、国内の具体的な法規制の条文に反映されているか否かに関係なく、条約それ自体に直接起因する。委員会は、実効的な協議メカニズムの確立が、対話を通じた紛争の予防と解決、及び、社会的緊張の緩和に資すると考える。委員会は、このメカニズムを確立し、あらゆる具体的な問い合わせに応じるためには、相互信頼の風土が欠かせないことを想起する。委員会はまた、条約に基づき、先住民との協議を確保する義務が、政府にあることも強調する(2010年の一般的意見を参照)。また、協議に関する条約規定は、自らの開発優先課題を決定し、自らに直接影響するおそれのある計画及びプログラムの作成、実施及び評価に参加する先住民の権利を規定した(1989年の先住民・種族民条約(第169号))第7条との関連で解釈すべきことも強調する。

上述の文言は、グアテマラにおけるセメント工場と鉱山の建設に関する事案から抜粋したものです。

また、ブラジルにおける水力発電所建設に関する別の意見で、CEACRは「単なる説明会で、条約の規定が遵守されたとみなすことはできず、影響を受ける地域社会は、環境影響調査の準備にも関与すべきである。同様に、石油・ガス採掘により影響を受ける先住民は、影響調査の策定を含め、プロジェクトの当初から議論に関与すべきである」ことも明確にしています。「1989年の先住民・種族民条約(第169号)の理解“Understanding the Indigenous and Tribal People Convention, 1989 (No. 169)”」もご覧ください。この資料は主として政府向けですが、企業に関係する情報もいくつか盛り込んでいます。

Q2:「地域社会」という言葉に定義があるように、「種族民」という言葉には実質上、どのような意味があり、ある集団が種族民とみなされるためには、どのような特徴を備えていなければならないのか、教えてください。

A2:1989年の先住民・種族民条約(第169号)第1条(a) は、同条約が「独立国における種族民で、その社会的、文化的及び経済的状態によりその国の共同社会の他の部類の者と区別され、かつ、その地位が、自己の慣習若しくは伝統により又は特別の法令によって全部又は一部規制されているもの」に適用されることを定めています。

また、第1条第2項は「先住民又は種族民であるという自己認識は、この条約を適用する集団を決定する基本的な基準とみなされる」と付け加えています。

さらに詳しい情報については「1989年の先住民・種族民条約(第169号)の理解“Understanding the Indigenous and Tribal People Convention, 1989 (No. 169)”」をご覧ください。