ILOヘルプデスク:労働時間に関するQ&A 

Q1:労働時間に関するILOの規定にはどのようなものがありますか。
Q2:第116号勧告第12(2)項の基準となる「期間」とはどのような意味ですか。
Q3:交替制勤務の労働者についてILO基準で認められる週の最長労働時間はどれくらいですか。
Q4:24時間のシフト勤務は国際労働基準に合致しますか。
Q5:世界の農作物及び園芸作物の生産者の労働時間に関する指針を定めたILO条約は何かありますか。

労働時間-超過勤務

Q6:当社は週48時間、最長で12時間の不定期の超過勤務という労働時間規制を尊重していますが、当社の従業員(主に移民労働者)の唯一の関心事は帰国前にできる限りお金を稼ぐことであるため、もっと働きたいと常に要求してきます。さらなる仕事を求めて他の職場を探す労働者もいます。当社にとってはまさにジレンマです。何かよい解決策はありませんか。
Q7:義務的な超過勤務は強制労働に当たりますか。
Q8:超過勤務について国の権限ある機関が限度を設けていない場合、超過勤務の限度に関する指針はありますか。
Q9:工場の規則に義務的超過勤務方針が含まれている場合、これはどのような状況で強制労働になりますか、あるいはなりませんか。

休憩時間-週休

Q10:休憩時間の長さに関する基準はありますか。
Q11:宗教上の少数派は一般的な休日とは違う日に休日を享受する権利を有しますか。

有給休暇

Q12:有給休暇に関する国際労働基準の条項はどのようなものがありますか。
Q13:新規従業員に3週間未満の有給休暇しか認めない国の法制にはどのように対処すればよいのでしょうか。有給休暇の日数が年次に従って増えていく仕組みになっています。
Q14:疾病休暇と関連して有給休暇はどのように計算すべきですか。
Q15:公的な祝日や慣習上の休日との関係で有給休暇はどのように計算すればよいのでしょうか。
Q16:年少者(16歳以上18歳未満)の労働時間と超過勤務に関するILO労働基準はどのようなものですか。

回答

Q1:労働時間に関するILOの規定にはどのようなものがありますか。

A1. 一般的に開発途上国において事業を行う多国籍企業は(政府の政策の枠内で)労働時間を含め、できる限りよい労働条件を提供することが奨励されています。[1]
多国籍企業は、賃金減少を回避するため、国内の実情及び慣行並びに各産業の実情を考慮に入れた上で、通常の労働時間を48時間から40時間に段階的に短縮することが奨励されています[2]。段階的に労働時間を短縮する中で、以下の事項を考慮する必要があります。
  • 達成されている経済発展の水準並びに当該国が、総生産高又は生産性を低下させることなく、また経済成長、新産業の発展又は国際貿易における競争的地位を危うくすることなく、かつ、労働者の実質所得を結局減少させることとなるインフレーションの圧力を発生させることなく、労働時間を短縮する
  • 最新の産業技術、オートメーション及び経営技術の適用により生産性の向上について達成された進歩及び達成される進歩
  • 発展の途上にある国については、国民の生活水準の向上の必要
  • 労働時間を短縮する方法について当該活動の各分野の使用者団体及び労働者団体が行う選択[3]
超過勤務によりこの限度を48時間にまで延長することができますが、こうした超過勤務は事業所の承認規則や慣習の例外とすべきです[4]。超過勤務については通常の勤務より増額された報酬を提供する必要があります[5]。超過勤務を行わせる場合、18歳未満の者、妊娠中の女性、授乳中の母、及び障がいを持つ人には十分な配慮をする必要があります[6]。
労働者との間で、特にその代表者を通じて、労働時間をどのように段階的に減らすかを協議する必要があります[7]。国の使用者団体と労働者団体も、労働時間に関する法令及び慣行に関係して、国内法令、労働協約などに関する良い情報源となります。

[1]多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言(多国籍企業宣言)第41項
[2]1962年の労働時間短縮勧告(第116号)第 1項、第2項及び第4項。第116号勧告は、多国籍企業宣言で参照されている。
[3]第116号勧告第7項
[4]第116号勧告第11項
[5]第116号勧告第19(1)項
[6]第116号勧告第18 項
[7]第116号勧告第20(1)項


Q2:第116号勧告第12(2)項の基準となる「期間」とはどのような意味ですか。

A2. 1962年の労働時間短縮勧告(第116号)第12(2)項では、平均労働時間を算定する基準となる期間の最長限度について述べています。最長限度は、より柔軟なやり方で週の最長労働時間を決められるようにするため、労働時間を平均する際の基準となります。労働時間を平均することは以下を条件として認められます。
  • 例外的ケースであること
  • 労働者団体と使用者団体の間で協定が存在すること、かつ
  • その協定が権限ある機関により規則となっていること[1]
基準期間は3か月、6か月、または12か月にすることもできます。

[1]1919年の労働時間(工業)条約(第1号)第5条、1930年の労働時間(商業・事業所)条約(第30号)第6条にも同様の規定

Q3:交替制勤務の労働者についてILO基準で認められる週の最長労働時間はどれくらいですか。

A3. 関連の国際労働基準では、通常勤務時間(超過勤務前)として1日8時間、週48時間[1]、又は週40時間[2]の限度を定めています。各国政府は通常勤務時間を週48時間から40時間に段階的に短縮することが奨励されており、その際には賃金の減少を避けるため国内の状況及び慣行に配慮することが求められます[3]。

3週間の平均労働時間が1日8時間週48時間を超えない場合に限り、この限度を超えることができます[4]。交替制労働の場合、3週間の期間にわたり労働時間を平均することが認められます[5]。また交替制により働く継続工程の労働の場合には1日8時間週48時間の限度を超えることができ、週最大56時間の限度が適用されます[6]。専門家委員会は2005年の労働時間に関する総合調査において、「労働時間に関する国際基準は労働者の有効な保護を提供することが求められているが、政府報告、及び社会パートナーから提供された情報によると、第1号条約第30号条約は労働時間の規制における現代の実情を十分反映していないことがわかる。事実、条約には明らかに時代遅れの要素が含まれている。おそらく最も分かりやすいのは、第1号条約第4条に定められた継続的な交替制労働の56時間という限度であろう。調査に回答した国の中で、継続的交替制労働にこのような限度を設けている国は一つもなかった。同時に、多くの国では、労働時間に適用される一般的な制限より労働者に有利な法的限度が導入されている。例えばノルウェーでは、継続的交替制労働者には40時間の限度が36時間にまで短縮されており、パラグアイでは通常が48時間であるのに対して同様に36時間の限度を適用している[7]」と指摘しています。

また交替制の労働者は、繁忙期、災害、不可抗力、緊急の修理作業などの例外的ケースにおいて、一時的例外が適用されることがあります[8]。例外的ケースに限り、また労働者団体と使用者団体の間に合意が存在し、それが権限ある機関による規則となっている場合には、さらに長い期間で労働時間を平均することが認められます[9]。

最後に、「本質的に間歇(断続)的」な労働は一般的な1日8時間週48時間の限度の恒久的例外として認められ[10]、権限ある機関が使用者団体及び労働者団体との協議の後、1日当たりで認められる追加労働時間数を決める規則を定めていることを条件として許容されます。

[1]1919年の労働時間(工業)条約(第1号)第2条、1930年の労働時間(商業・事業所)条約(第30号)第3条
[2]1935年の40時間制条約(第47号)第1条(a)は、週40時間労働の導入は、労働者の生活標準の低下をきたさないようにすべきとしている。
[3]1962年の労働時間短縮勧告(第116号)第1項、第2項及び第4項
[4]第1号条約第2条(c)
[5]第1号条約第2条(c)
[6]第1号条約第4条
[7]労働時間に関する総合調査(2005年)、第322項
[8]第1号条約第3条及び第6条
[9]第1号条約第5条
[10]1930年の労働時間(商業・事務所)条約(第30号)第7条第1(a)項

Q4:24時間のシフト勤務は国際労働基準に合致しますか。

A4. 1回のシフトにつき24時間働くことは労働時間に関連する国際労働基準の原則と合致しません。

関連の国際労働基準では、通常(超過勤務前)の労働時間に1日8時間、週48時間の限度を定めています[1]。交替制労働の場合には1日8時間の限度を延長することができますが[2]、3週間の平均労働時間が1日8時間週48時間を超えない場合に限られます[3]。生産工程の性質上、交替制により継続的に行うことが必要である場合、平均して週56時間の限度を適用することができます[4]。しかし、通常の労働時間を適用できないことが認められる例外的ケースに限られます。

「本質的に間歇(断続)的」な労働は一般的な1日8時間週48時間の限度の恒久的例外として認められますが[5]、権限ある機関が使用者団体及び労働者団体との協議の後、1日当たり認められる追加労働時間数を決める規則を定めていることを条件とします。

また関連する条約では、繁忙期、災害、不可抗力、緊急の修理作業などの例外的ケースにおいて、一時的例外が適用されることがあります[6]。例外的ケースに限り、また労働者と使用者団体の間に合意が存在し、それが権限ある機関による規則となっている場合には、1週を超える期間にわたり労働時間を平均することが認められます[7]。そのため交替制勤務の労働時間に関する国内法の規定を確認することが重要です。

事業を行う国の使用者団体と労働者団体も詳細情報を提供できると思われます。

[1]1919年の労働時間(工業)条約(第1号)第2条、1930年の労働時間(商業・事務所)条約(第30号)第3条
[2]第1号条約第2条(c)
[3]第1号条約第2条(c)
[4]第1号条約第4条
[5]1930年の労働時間(商業・事務所)条約(第30号)第7条第1項(a)
[6]第30号条約第3条及び第6条
[7]第30号条約第6条

Q5:世界の農作物及び園芸作物の生産者の労働時間に関する指針を定めたILO条約は何かありますか。

A5. 国際労働基準には農業労働の時間について具体的に定めた指針はありません。その代わり、国内の使用者団体及び労働者団体との協議の上、適切な限度を定めることが各国の権限ある機関に委ねられています[1]。そのため、事業を行う国の国内法令や労働協約を確認することが重要です。

ILOの農業安全衛生実務規程には労働時間に関する条項があり、以下の指針が示されています。
  • 19.2労働時間
  • 19.2.1. 農業労働の速度は出来高制や個数労働の使用とともに増加している。長時間の労働、特にきつい肉体労働は労働者を疲労させ、労働災害につながる。
  • 19.2.2. 適切な休憩時間を提供できるよう1日及び週の労働時間を取り決めるべきである。国内の法令に基づき、また該当するものがある場合には労働基準監督当局や労働協約の認めるところにより、かかる休憩時間には以下を含むものとする。
(a)    特に労働が激しい、危険、又は単調である場合、労働者が集中力と体力を回復できるようにするための作業中の短い休憩
(b)    食事のための十分な休憩
(c)    24時間のうち少なくとも8時間以上の日中又は夜間の休憩
(d)    丸1日以上の週休

  • 19.2.3. 労働時間の延長(8時間超)は以下の場合にのみ認められる。
(a)    仕事の性質と作業量が安全衛生リスクを増やすことなく行えるものであること
(b)    疲労の蓄積を最小化するよう作られた交替制であること

事業を行う国の使用者団体と労働者団体からさらに詳細な情報を得ることができます。農業部門労働者の国際産業別労働組合組織は、国際食品関連産業労働組合連合会(IUF)(食品、農業、ホテル、レストラン、ケータリング、たばこ)です。

[1]1919年の労働時間(工業)条約(第1号) 第1条第3項は、「工業と商業及農業との分界は、各国に於ける権限ある機関之を定むべし。」と規定している。2001年の農業における安全健康条約(第184号)第20条は、「農業労働者の労働時間、夜間労働及び休息期間については、国内法令又は労働協約に従う。 」と定めている。


労働時間-超過勤務

Q6:当社は週48時間、最長で12時間の不定期の超過勤務という労働時間規制を尊重していますが、当社の従業員(主に移民労働者)の唯一の関心事は帰国前にできる限りお金を稼ぐことであるため、もっと働きたいと常に要求してきます。さらなる仕事を求めて他の職場を探す労働者もいます。当社にとってはまさにジレンマです。何かよい解決策はありませんか。

A6:長時間労働の問題と適切な休息の必要性は労働者と経営者双方にとってきわめて重要です。過度の労働時間は睡眠障害と疲労、心血管疾患、胃腸病、精神衛生上の障害などの原因となります。疲労は事故発生や労働災害を増加させ、生産性を落とし、品質を低下させる一因となります。

どの企業も、その主な責任は国内法を守ることです。ILOは国際労働基準に定められた原則に従うことを奨励しています。労働者と対話することで、彼らがより長い労働時間を求める真の動機を知ることができます。話し合いの中で、長時間労働に伴う安全衛生リスクに関する企業側の懸念を労働者に伝えることもできます[1]。

以下に労働者が長い労働時間を求める動機となるいくつかの要因を挙げます。貴社の状況に最も適した解決策について考えるヒントになると思われます。

労働者が本当に十分な収入を得たいと思っていることはあります。彼らは期待した所得水準に達すると、より多くの娯楽を求めるようになります。このような場合、少ない時間で生産性と時給を引き上げることにより、総所得を増やすことが考えられます。優れた技術と作業組織を持つ使用者は、時給を引き上げて労働時間を減らすことに成功し、なおかつ競争力を維持することができます。しかしどの企業も競争のプレッシャーにさらされていることから、労働時間を増やしてほしいという労働者の要求を抑えるため賃金を上げるという難題には、業界全体又は国全体で立ち向かう必要があります。

場合により、長時間労働の要求が労働者からではなく、むしろ国内の経営側から主に出ることもあります。この場合、経営側に超過勤務が費用効率的であるという認識があります。たとえ10~12時間働いた後に労働者の生産性が大幅に下落したとしても、機械を止めておくよりはまだ生産性があるという考えです。継続生産を維持したいという場合、考えられる方法は交替制にして機械の稼働停止時間を減らすことです。しかしそのような変更は労働者との緊密な協議のもとで行う必要があります。夜のシフトに当たる労働者は大きな影響を受けるからです。労働協約を定め、交替制勤務のローテーション、休憩時間、補償、労働安全衛生などの事項を決めることが奨励されます。またいかなる場合でも変更開始前に労働者と良いコミュニケーションを取り、すべての当事者が適応できるよう効果的な変更管理プロセスを定めることが必要です。


最後に労働者の動機に影響するもう一つの要因は彼らの選択肢です。多くの移民労働者はきわめて貧しい状況にあり、実質的に娯楽はありません。労働者に適切な住宅を提供することにより、彼らは長い労働時間を求めないようになり、他の工場でアルバイトをしようとすることもなくなります。

あなたの会社の状況がこのどれにも関係しないこともあります。だからこそ、動機を推測するよりもあらかじめ労働者と対話し、効果的対策を探すことが重要なのです。

[1]参考書籍「Working time: Its impact on safety and health」A. Spurgeon(2003年)

Q7:義務的な超過勤務は強制労働に当たりますか。

A7:超過勤務の義務付けは、国内法制又は労働協約により認められている限度内であれば強制労働にはなりません。この限度を超えた場合は、超過勤務を行う義務が強制労働に対する保護に抵触する状況があるか調査することが望ましいといえます[1]。

罰則、解雇、最低水準以下の賃金支払などの脅しのもとで労働者の脆弱性を利用することにより労働やサービスを義務付ける場合、このような搾取はもはや単なる劣悪な雇用条件の問題ではなく、処罰の脅威のもとでの労働の強制の問題であり、保護が必要です。

[1]「1930年の強制労働条約(第29号)及び1957年の強制労働廃止条約(第105号)に関する総合調査」(2007年)第132項

Q8:超過勤務について国の権限ある機関が限度を設けていない場合、超過勤務の限度に関する指針はありますか。

A8:1962年ILO労働時間短縮勧告(第116号)の前文には、賃金を減らすことなく週40時間の基準まで労働時間を段階的に短縮することの全体的な目的が示されています[1]。また、所定労働時間の斬新的短縮の原則の適用に際しては、経済的及び社会的条件の差異[2]並びに国内慣行の多様性が考慮され、国別及び産業別慣行が認められ[3]、生活水準を引き上げる必要性が考慮されるべきとされています[4]。他方、通常労働時間が48時間を超えた場合、「労働者の賃金を減少させることなく労働時間をその水準まで短縮するための措置をすみやかに執るべきである」と規定されいます[5]。

専門家委員会は恒久的又は一時的例外を認める規定のもとで許可される最大超過勤務の問題を取り上げています[6]。
  • 第1号条約第30号条約も、恒久的又は一時的例外の場合に定められた期間に働くことができる増加時間数について具体的限度を定めていません。第1号条約は、例外状況ごとの増加時間の最大限度は公の機関が定める規則により決められるとしか定めていません。同様に第30号条約のもとでは、災害、不可抗力、又は緊急作業の場合の一時的例外を除き、公の機関が定める規則により1日に認められる増加労働時間数を、また一時的例外については1年間に認められる増加労働時間数を決定するとされています。
  • どちらの条約でも増加労働時間総数に対する具体的限度は権限ある機関に委ねられていますが、権限ある機関がこれに関して無制限の裁量を認められるわけではありません。条約の精神を考慮し、また策定作業の観点では、この限度は「合理的」でなければならず、両文書の全体目標、すなわち労働者を不当な疲労から保護し、合理的娯楽とレクリエーションと社会生活の機会を確保するため、1日8時間週48時間を法的基準として確立するという目標に沿って規定されなければなりません。
  • 上記に照らして、公の機関が特定の例外の場合に何が増加労働時間数に対する「合理的」限度とみなされるのかを決定するときには、当該労働の強度、それが身体的又は精神的疲労を生み出す度合い、並びに疲労が各従業員及び社会全般にもたらす可能性のある悪影響を徹底的に評価する必要があります。労働の強度が高いほど、疲労を生み出す度合いは高くなります。また、その疲労の悪影響が深刻であるほど、特定の例外について認められる「合理的」限度は低くなります。
[1]第116号勧告第4項
[2]第116号勧告前文
[3]第116号勧告第1項
[4]第116号勧告第7項(c)
[5]第116号勧告第5項
[6]「労働時間に関する総合調査」(2005年)ILO、ジュネーブ、第143項~第145項


Q9:工場の規則に義務的超過勤務方針が含まれている場合、これはどのような状況で強制労働になりますか、あるいはなりませんか。

A9:工場の超過勤務方針については国内法及び適用される労働協約を遵守する必要があります。超過勤務を行う義務は、国内法制により許可されている、あるいは関連の労働協約に規定されている限度内である限りは強制労働とはみなされません。超過勤務が法令で認められている週又は月当たりの限度を超え、処罰の脅威のもとで強制される場合には、超過勤務の理由の如何に関わらず強制労働となります。

超過勤務の拒否に罰金を科すという脅しにより労働者が法定限度を超えて超過勤務を拒否することを実質的に妨げることも問題になります。労働者が法定限度を超えて超過勤務を行わないことに対して罰金を科す会社の方針を脅威とみなしている場合、これは強制労働とみなされる可能性があります。またILO条約勧告適用専門家委員会によると、さらに狡猾な方法で脅しが行われるケースもあるということです。解雇の恐れから労働者が国内法に定められている限度を超えて超過勤務を行わざるを得ないことがあります。別のケースでは、労働者が最低賃金を得る唯一の方法であるという理由で法定限度を超えて働かなくてはならないと感じていることもあります(例えば報酬が生産性目標に基づいている場合など)。このような場合、理論上、労働者は超過勤務を拒否することができるにも関わらず、その脆弱性により他に選択肢がなく、最低賃金を得るためや職を失わないため、限度を超えて働くことを強制されることになります。これは処罰の脅威のもとで労働を強制する状況であり、強制労働とみなすことができます。

休憩時間-週休

Q10:休憩時間の長さに関する基準はありますか。

A10:国際労働基準は休憩時間に関してごく少数の規定しか定めていません。休憩時間とは、雇用されている者が使用者の指揮に服しない時間と定義されます[1]。使用者は施設において労働時間の中に含まれない休憩時間を見やすく掲示しておく必要があります[2]。与えられる休憩時間について差別があってはなりません[3]。家族の世話をする責任のある労働者に対しては、使用者は休憩時間に関して一層弾力的な措置を考える必要があります[4]。

国内の使用者団体と労働者団体も、休憩時間に関する国内法令、並びに国内法及び慣行における休憩時間に関する労働協約についての良い情報源となります。

[1]1930年の労働時間(商業・事務所)条約(第30号)第2条
[2]第30号条約第11条第2項(b)
[3]1958年の差別待遇(雇用及び職業)条約(第111号)第1条第3 項及び1958年の差別待遇(雇用及び職業)勧告(第111号)第2項(b)(vi)
[4]1981年の家族的責任を有する労働者勧告(第165号)第18項(b)

Q11:宗教上の少数派は一般的な休日とは違う日に休日を享受する権利を有しますか。

A11:休日は国又は地方の伝統又は慣習により休日とされている日と一致するようできる限り固定すべきです[1]。但し、宗教上の少数派の伝統及び慣習もできる限り尊重しなければなりません[2]。

国の使用者団体と労働者団体は、会社が事業を行う地域社会においてどのように宗教的少数者を受け入れるかについて参考になる提言を提供できる可能性があります。

[1]1921年の週休(工業)条約(第14号)第2条第3項では、週休は「当該の国又は地方の因習又は慣習により既に定まれる日と可能な限り一致するよう定められるべし」としています。1957年の週休(商業及び事務所)条約(第106号)第6条第3項では、「週休は、国又は地方の伝統又は慣習により休日として定められた日と、できる限り一致させなければならない。」としています。
[2]第106号条約第6条第4項

有給休暇

Q12:有給休暇に関する国際労働基準の条項はどのようなものがありますか。


A12:ILO多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言は有給休暇に関して具体的に言及せず、手当や労働条件一般についてのみ述べています。多国籍企業に対しては、受入国における類似の使用者が提供するものに比較して、労働者にとって不利でないものにするよう奨励しています[1]。類似の使用者が存在していないところでは、多国籍企業は(政府の政策の枠内で)労働者及びその家族の経済的ニーズなどを考慮して、できる限りよい給付と労働条件を提供するよう奨励されています[2]。

1970年の有給休暇(改正)条約(第132号)では、少なくとも1年の勤務につき3労働週を下回ってはならないと明記しています[3]。これは労働週の長さにより15日又は18日に相当します。

有給休暇取得の資格を得るには最低勤務期間を要求できますが、6か月を超えてはなりません[4]。勤務期間が1年未満(暦年又はこれに相当するもの)の従業員はその長さに比例した有給休暇を認められなければなりません[5]。

従業員はその休暇の全期間につき、少なくとも通常又は平均の報酬を受ける必要があります(現物又は現金相当額を含む)[6]。

休暇を分割することはできますが、その一部は少なくとも連続2週以上である必要があります[7]。

[1]多国籍企業宣言第41項
[2]多国籍企業宣言第41項
[3]1970年の有給休暇条約(改正)(第132号)第3条第3項
[4]第132号条約第5条第2項
[5]第132号条約第4条
[6]第132号条約第7条
[7]第132号条約第8条第2項


Q13:新規従業員に3週間未満の有給休暇しか認めない国の法制にはどのように対処すればよいのでしょうか。有給休暇の日数が年次に従って増えていく仕組みになっています。

A13:1970年有給休暇条約(改正)(第132号)では1年の勤務期間について少なくとも3労働週の有給休暇を定めています[1]。これは労働週の長さにより15日又は18日に相当します。

この最低限度は勤務期間の長さに関係なく、すべての被用者[2]に適用されます。有給休暇は単に業務に対する報奨ではありません。労働者の健康と福祉を促進する重要な手段の一つであり、多くの国では労働者が家族に対する責任を果たすのに役立っています。したがって、条約に定められた最低3週間という期間はすべての労働者に適用されます。有給休暇取得の資格として最低勤務期間は要求できますが、6か月を超えてはなりません[3]。

ILO多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言では、多国籍企業に対し、受入国における類似の使用者が提供するものに比較して、労働者にとって不利でないものにするよう奨励しています[4]。類似の使用者が存在していないところでは、多国籍企業は(政府の政策の枠内で)労働者及びその家族のニーズなどを考慮して、できる限りよい給付と労働条件を提供するよう奨励されています[5]。

[1]第132号条約第3条第3項
[2]第132号条約第2条第1項
[3]第132号条約第5条第2項
[4]多国籍企業宣言第41項
[5]多国籍企業宣言第41項

Q14:疾病休暇と関連して有給休暇はどのように計算すべきですか。

A14:ILO多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言は有給休暇に関して具体的に言及せず、手当や労働条件一般についてのみ述べています。多国籍企業に対して、受入国における類似の使用者が提供するものに比較して、労働者にとって不利でないものにするよう奨励しています[1]。類似の使用者が存在していないところでは、多国籍企業は(政府の政策の枠内で)労働者及びその家族のニーズなどを考慮して、できる限りよい給付と労働条件を提供するよう奨励されています[2]。

1970年有給休暇条約(改正)(第132号では、少なくとも1年の勤務につき3労働週を下回ってはならないと明記しています[3]。これは労働週の長さにより15日又は18日に相当します。

疾病、傷害、出産による欠勤は勤務期間の一部として計算すべきです[4]。
疾病や傷害の期間は通常、有給休暇の一部に数えるべきではありませんが、条約は条件を定める裁量の余地を残しています[5]。3週間の最小限度を超える有給休暇の場合、すべての労働者に規定の3週間が毎年認められている限りにおいて、疾病休暇を含めることができます。

疾病休暇又はその他病気や事故による欠勤は、権限ある機関により定められる条件の下で、年次休暇の一部として数えることができます。企業レベルでは、労働者団体の代表者との協議によりこの条件を明確に定めることが適切です。


[1]多国籍企業宣言第41項
[2]多国籍企業宣言第41項
[3]1970年の有給休暇条約(改正)(第132号)第3条第3項
[4]第132号条約第5条第4項
[5]第132号条約第6条第2項

Q15:公的な祝日や慣習上の休日との関係で有給休暇はどのように計算すればよいのでしょうか。

A15:1970年有給休暇条約(改正)(第132号)では、少なくとも1年の勤務につき3労働週を下回ってはならないと明記しています[1]。これは労働週の長さにより15日又は18日に相当します。

公的な祝日や慣習上の休日は1年につき最低3週間の年次有給休暇の一部として計算されるべきではありません[2]。3週間の最低限度を超える有給休暇の場合、すべての労働者に規定の3週間が毎年認められている限りにおいて、祝日や慣習上の休日、又は疾病休暇を含めることができます。

ILO多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言は多国籍企業に対して、受入国における類似の使用者が提供するものに比較して、労働者にとって不利でないものにするよう奨励しています[3]。類似の使用者が存在していないところでは、多国籍企業は(政府の政策の枠内で)労働者及びその家族のニーズなどを考慮して、できる限りよい給付と労働条件を提供するよう奨励されています[4]。

[1]第132号条約第 3条第3項
[2]第132号条約第6条第1項
[3]多国籍企業宣言第41項
[4]多国籍企業宣言第41項


Q16:年少者(16歳以上18歳未満)の労働時間と超過勤務に関するILO労働基準はどのようなものですか。

A16:18歳未満の若年労働者の雇用条件は厳しく監督されるよう対策を取る必要があります。これには以下のものがあります。
  • 「教育及び訓練(家庭における学習に必要な時間を含む)、労働日における休息並びに余暇活動のために十分な時間がとれるような1日及び1週間の労働時間に対する厳格な制限並びに時間外労働の禁止」[1]
  • 「真に緊急な場合を除き、夜間における継続12時間以上の休息及び慣例的な週休日の付与」[2]
労働が有害危険であるかどうかを判断する場合、それが「長時間の業務のような特に困難な条件の下で」[3]行われるかどうかを考慮する必要があります。危険労働に従事できる最低年齢は18歳です。

[1] 1973年の最低年齢勧告(第146号)第13項(1)(b)
[2]第146号勧告第13項(1)(c)
[3]1999年の最悪の形態の児童労働勧告(第190号)第3項(e)