パートナーシップ

政策の国際的一貫性を保つため、ILOは他の国際機関と緊密に協調、パートナーシップを組み、多国籍企業宣言が提供する指針の認知度と遵守の向上を目指しています。ILO理事会はこの協調ないしパートナーシップを定期的に審査しています。

経済協力開発機構(OECD)

ILOはOECD多国籍企業行動指針が2011年に改定される際、またOECD責任ある企業行動のためのデューディリジェンス・ガイダンス及び農業、衣料・履物、鉱物・採取産業の各個別セクター別デューディリジェンス・ガイダンスの策定にあたって、OECDに対する技術支援を行いました。またILOは、OECDの上記指針に定める各国のナショナル・コンタクト・ポイントに対しても、要請に応じて知見を提供しており、OECDが開催するイベントにも参加しています。改定版ILO多国籍企業宣言は、2011年改訂版OECD多国籍企業行動指針を参照してます。このほか、ILOとOECDはEU-ILO-OECD「アジアにおける責任あるサプライチェーンプロジェクト」においても協調しています。

ビジネスと人権

ILOは、国連人権高等弁務官事務所及びビジネスと人権に関するワーキンググループと定期的に会合を持ち、ビジネスと人権に関する指導原則「保護、尊重及び救済」枠組について協議を行っています。また、同ワーキンググループの国別訪問や国連総会及び人権理事会へのテーマ別レポートに関してもインプットを行っています。さらに、年次開催されている国連ビジネスと人権フォーラムの特定のセッションにパネルスピーカーとして参加しています。ワーキンググループは、多国籍企業宣言の改定を歓迎し、「労働諸権利が国境を越えたビジネスの中で保護、尊重されることを確保するための共同の取組みに関して国際的に重要な参考文書となるものであり、今改定は関連領域における基準の一貫性の向上に大いに資するものである」と述べています。
さらにILOは、要請に応じ、国際人権法の分野で多国籍企業その他の企業の活動を規制する国際的に法的拘束力のある文書の作成を目指す、多国籍企業、ビジネスと人権に関する政府間オープンエンド・ワーキンググループに対しても技術的なインプットを行った。

国連グローバルコンパクト(UNGC)

ILOは国連グローバルコンパクト(UNGC)と1999年の立ち上げ当初から積極的に協力を行ってきました。このUNGCは、人権、労働、環境及び腐敗防止の分野における普遍的に認容された10原則についてビジネスにコミットメントを促すものです。UNGCに対するILOの協力は、労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言に根ざした4つの労働原則の促進に焦点を当ててきました(国連グローバル・コンパクト労働原則 ビジネスのためのガイド)。

UNGCは近時、10原則に関わる活動の拡大と持続可能な開発目標(SDGs)を支援するビジネス行動の活発化などを含む新たな方策に向けた新しい戦略を採択しました。ILOはグローバルサプライチェーンにおけるディーセント・ワーク促進のための時限的アクションプラットフォームのパートナーであり、ILO事務局長はUNGCのグローバルサプライチェーンにおけるディーセント・ワーク促進に関する学術セッションに参加しました。また、UNGC専門家ネットワークについても中核的団体として共同議長の役割を担っています。

国連貿易開発会議(UNCTAD)

ILOとUNCTADは、貿易と雇用に関する共同研究と政策助言の促進ならびに各国及び地域レベルでにおけるよりよい政策一貫性とインパクトの増大に向けた組織間協調の拡大について、覚書(Memorandum of Understanding)を締結しています。2014年のUNCTAD世界投資フォーラムにおいて、ILOとUNCTADは「投資を通じたより多くのよりよい仕事の創出」と題するセッションを共同開催しました。2018年の世界投資フォーラムにおいては、世界投資促進機関協会(WAIPA)ともタイアップして類似のセッションを開催しました。ILOは、UNCTADの投資政策レビューに対しても技術的インプットを行っています。これらのILOとの協調は、UNCTADの持続可能な開発に向けた投資政策枠組みに基づくもので、同枠組みはILOの基準及び多国籍企業宣言を参照しています。

世界投資促進機関協会(WAIPA)

ILOとWAIPAは、投資促進機関による、特に開発途上国における質の高いディーセントな仕事の創出、持続可能な企業とより包摂的な成長を牽引する外国直接投資を促進する取組みを支援するため覚書(Memorandum of Understanding)を締結しています。覚書は、国の政策や戦略にSDGs、特に目標8その他仕事に関連する目標を取り入れることの重要性について政府の意識向上を図るための、共同のコミットメントを規定しています。ILOは、WAIPA諮問委員会の委員であり、WAIPA世界投資会議に出席して、ILO多国籍企業宣言の原則の促進について投資促進機関向けのトレーニング支援を行っています。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(Tokyo 2020)
ILOとTokyo 2020は、大会の準備運営の過程におけるディーセント・ワークの促進のため、覚書(Memorandum of Understanding)を締結しています。ILO多国籍企業宣言の指針に従い、社会的責任ある労働慣行が促進されることが期待されています。

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