人権と労働者の権利に関する基準を推進する6機関の取組み


―児童労働に関する法的境界を定め、児童労働撤廃に向けた国内及び国際的行動の根拠を示すー

2021年アクション・プレッジの一部をご紹介します。政府、国連機関、NGO、大学、団体、政労使パートナーなどが、子どもたちのためのグローバルな活動にどのように加わっているのか、短いストーリーで紹介していますので、ぜひご覧ください。

児童労働撤廃に向けたILOの取組みについて

ILOは100年の歴史を通じて、最悪の形態の児童労働を終わらせるための緊急行動を起こし、より良い未来を待ち望む何百万人もの子どもたちに希望を与えることを約束してきました。どのように行ってきたのでしょうか。数多くの活動の中で、ILOは2つの条約を採択しました。

1973年の最低年齢条約(第138号)1973年の最低年齢勧告(第146号)
この条約では、各国が就業のための最低年齢を定め、児童労働撤廃のための国家政策を策定することが求められています。

1999年の最悪の形態の児童労働条約(第182号)1999年の最悪の形態の児童労働勧告(第190号)
この条約は、緊急に最悪の形態の児童労働を撤廃するために、各国が即時かつ効果的で期限付きの措置をとることを求めています。この条約は、史上初めてILO全加盟国による批准を達成した条約です。この条約を全加盟国が批准したことで、すべての子どもたちが最悪の形態の児童労働から自由になる権利を得ることができますが、ILOは、まだ最低年齢条約を批准していない14カ国に対し、ターゲット8.7を達成し、あらゆる形態の児童労働を撤廃するために必要な法的基盤を構築するため、条約を批准するよう呼びかけています。

これらの条約はILOの基本条約です。

これらのILO条約が、人権と労働者の権利に関する基準の推進に与える影響


第182号条約と最低年齢に関する第138号条約の批准により、子どもたちは、奴隷や債務労働、人身売買、紛争への参加の強制、商業的性的搾取や違法行為への利用、危険有害な仕事への従事など、最悪の形態の児童労働からの極めて重要な法的保護を受けられることになりました。

現在、多くの国では、子どもの雇用や労働を禁止したり、厳しい制限を設けたりする法律が採択されており、教育や社会的保護、生産年齢人口の大人、若年者のためのディーセント・ワーク(働きがいのある、人間らしい仕事)など、児童労働問題の解決に向けた様々なプログラムが開始されています。

2000年以降、児童労働者の数は1億人近く減少しているものの、この複雑な問題は依然として大きな問題であり続けています。しかし、児童労働を完全になくすという最終目標は、各国政府、国連機関、NGO、大学、団体、政労使パートナーなど、多くの人々のたゆまぬ努力によって支えられています。

それでは、それぞれの機関の取組みついて紹介します。

ソマリア 

ソマリア連邦共和国は、労働社会問題省を通じて、ILOの最低年齢条約(第138号)を批准することを目的とした、2021年アクション・プレッジを実施しています。

「ソマリアの所轄官庁から批准に関する同意を得て、政労使三者構成の協議を行い、ILO事務局長に条約の正式な批准を伝え、条約の規定を有効にするために連邦レベルと州レベルで行動を起こします。」

ソマリアは、子どもを保護するだけでなく、子どもを危害や搾取から守るための法律を整備することを約束します。これを達成するために、連邦政府は、政労使パートナーや州政府と協力して、子どもたちを搾取や児童労働から守るための政策や法律に関連する条項を実施します。

もしあなたの国がこの条約をまだ批准していないのであれば、ソマリアの批准に向けた進展から、ヒントを得られるでしょう。

ソマリアのアクション・プレッジについてはこちら
 
 
児童労働対策国内委員会とILO東ティモールの共同開催

東ティモールの児童労働対策国内委員会は、政府機関です。

委員会は、政労使の三者組織と共同で、児童労働撤廃国際年に際して、東ティモールにおける児童労働をなくすための取組みを公約しました。

「私たちは、政府が2021年の児童労働撤廃に向けた国家行動計画を直ちに承認することを支持及び要請し、ILO第138号条約の批准と東ティモールで就業が認められる最低年齢との調整のための法的分析を行うことを支持します。東ティモールの児童労働対策の一環として、労働基準監督官の業務強化を図るため、危険有害な仕事リストの草案を承認するよう、政府に働きかけます。」

このアクション・プレッジにより、東ティモールの児童労働をなくし、終焉させるための政府機関の活動を導き、強化することができます。

東ティモールのアクション・プレッジについてはこちら


サモア商業産業労働省 

サモア商業産業労働省は、サモアの政府機関です。

2021アクション・プレッジでは、サモアにおける、子どもが行う危険有害な路上販売をなくすための取組みを加速することを目的としています。

「私たちは、第138号条約に沿って就業のための最低年齢を改正するための主な労働法案の通過を完了し、2021年に子どもの路上販売に関するフォローアップのための迅速評価を実施、完了させます。また、児童労働の撤廃に関するサモア国内会議を開催し、児童労働撤廃のための国家行動計画を策定します。」

これにより、サモアではデータを更新・精査することができ、結果的にそれは、子どもによる危険な路上販売対策、排除のための戦略の基礎となります。

第138号条約の批准に向けて努力するソマリアとサモアを、私たちも応援しましょう。

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~批准から実践に向けて~

子どもと武力紛争担当事務総長特別代表

子どもと武力紛争に関する国連事務総長特別代表事務所は、国連の組織です。

その2021アクション・プレッジは、「武力紛争における子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書(OPAC)」の全加盟国による批准と実施、ILO条約第182号の実施を促進することを目的としています。

「私たちは、武力紛争の影響を受け、保護を必要とする子どもたちの声を増幅させます。私たちは、国連が主導する子どもに対する深刻な侵害に関する監視・報告メカニズムや、OPACなど、子どもに対する重大な侵害を終わらせ、防止するための強固な手段を備えています。」

彼らは、加盟国が学んだ教訓や好事例を共有し、OPACとILO第182号条約の批准と実施を奨励し、指導します。このことにより、国際社会はSDGsターゲット8.7の達成に向けて近づくことができるでしょう。

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コートジボワール企業総連合

コートジボワール企業総連合は、農業や金鉱業の分野の会員企業を含む3500の会員企業を有する使用者団体です。

その2021アクション・プレッジは、コートジボワールの児童労働対策に取り組む企業のネットワークを構築することを目的としています。

「このネットワークにより、CGECIは企業とのより良い対話を確保し、ILOの条約・勧告の適用監視メカニズムに、より効果的に貢献することができます。」
彼らのプレッジは、セクター別メンバー企業の、サプライチェーンにおけるデューデリジェンスの強化に貢献します。また、知識や好事例の共有、対話の促進、報告システムの改善にも貢献していきます。

CGICIのアクション・プレッジはこちら

エジプト労働力省 

エジプト労働省は、政府機関です。

2021アクション・プレッジでは、児童労働の監視・保護・防止の強化と、危険有害な児童労働リストの更新を目指しています。

「労働安全衛生(OSH)と労働基準監督官の能力と訓練の必要性を評価するため、試験的にエジプトの5つの県でニーズ評価調査を実施する予定です。ILOの指針「The tripartite process of determining danger child labour(危険な児童労働を判断するための三者間プロセス)」に従って、子どもの身体的、心理的、道徳的な健康に害を及ぼすため禁止されるべき仕事を定めたリストを更新する予定です。

また、同省はILO第182号条約に基づき、危険有害な児童労働リスト(HCL)を更新し、子どもができる仕事の内容を規定する予定です。

同省のアクション・プレッジはこちら

児童労働撤廃国際年特設サイトのオリジナル記事(英)はこちら