COVID-19が児童労働撤廃に向けた取組みに与える影響
感染症の世界的流行がもたらした負の影響を低減し、「2025年までに児童労働をなくす」という最終目標達成に向けた機関の取組みを紹介します。
2021年アクション・プレッジの一部をご紹介します。政府、国連機関、NGO、大学、団体、政労使パートナーなどが、子どもたちのためのグローバルな活動にどのように加わっているのか、短いストーリーで紹介していますので、ぜひご覧ください。
COVID-19が児童労働に与えた影響とは
2020年、推計で1億4200万人の子どもたちが貧困に陥り、2019年までの貧困状態にある5億8200万人の子どもの数に新たに加わったことになります。COVID-19は、仕事や所得の喪失、送金の減少など、多くの影響を及ぼしています。
2021年に発表された最新の児童労働に関する世界推計によると、多くの家庭は、失われた収入を補うために児童労働に頼る可能性があることが示されています。ロックダウン中の学校閉鎖は、特に脆弱な状況にある子どもたちにとって、児童労働のリスクを高めるものです。子どもたちが学校をやめ、有給の仕事に就くと、再び学校に戻ることが非常に難しくなります。(参照:「ILO/UNICEF発表:児童労働:2020年の世界推計、動向、前途 - (概要・日本語)」)
危機が子どもたちに与える影響とは
パンデミックが続く中、子どもたちの生活がどのように変化しているかを示す話として、ガーナ、ネパール、ウガンダで児童労働を強いられた81人の子どもたちは、家族に十分な食料がなく、食べるために働いていたと証言しました。多くの子どもたちは、1日に16時間もの長時間にわたる過酷な労働を強いられていました。
エクアドルのデータによると、パンデミック以降、児童労働の発生率が3分の1以上上昇しました。エジプトでは、綿花栽培などの農作業に子どもたちが従事していることが報告されています。ブラジルのサンパウロでは、2020年5月から7月にかけて、家事労働での児童労働が26%増加しました。
ここからどのようにして進めばよいのか?
今、行動を起こさなければ、2022年末までに推定890万人の子どもたちが児童労働に陥る可能性があります。
COVID-19の影響を低減し、児童労働撤廃に向けた歩みを加速させるためには、普遍的な児童手当などを通じて、子どもたちへの社会的保護を拡充する必要があります。適切な社会的保護は、子どもの社会・経済的な脆弱性を緩和し、幼少期の貧困を減らし、男女格差を是正し、窮状を和らげます。
今こそ、より大きな視点で、子どもの貧困や児童労働のない世界を思い描く時です。
それでは各機関の取組みをご紹介します。
JICA国際協力機構
JICAは日本の機関です。
2021アクション・プレッジでは、COVID-19に直面している開発途上国の児童労働撤廃の取組みを支援することを目指しています。
「ラオスでは、児童労働に関する調査結果を政府が児童労働撤廃に向けた政策の策定・見直しに活用しています。JICAはその活動を支援しています。」
JICAは年間を通して、ガーナでの児童労働フリーゾーンに関する活動、ラオスでの児童労働に関する全国調査の実施を支援し、サステイナブル・カカオ・プラットフォームのメンバーと協力して児童労働に関する啓発イベントを開催します。
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西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)
ECOWASは準地域機関です。
2021アクション・プレッジでは、西アフリカにおける児童労働撤廃のための地域行動計画を採択し、ステークホルダーの参加を増やすことを目指しています。
「総合的な使命は、特にCOVID-19パンデミックの状況下で、すべての脆弱な人々の保護に関する意識の啓発、協調、コミットメントを高めることで、加盟国の関連するステークホルダーの能力を高めることにより、地域における人間の安全保障の向上に貢献する活動を行うことです。」
ECOWASは1年を通して、草案を作成し、内部で検討し、児童労働撤廃のための測定可能な指標を伴った具体的な行動を含む地域行動計画を採択するための会議を開催します。また、意識啓発や能力構築に関する取組みも予定されています。
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ウガンダ
ジェンダー労働社会開発省はウガンダの政府機関です。
2021アクション・プレッジでは、児童労働撤廃のためのウガンダ行動計画(NAP)の策定・実施及びCOVID-19への対応を目指しています。
「ウガンダのすべての家庭、コミュニティ、産業部門が児童労働から解放されるよう、児童労働から子どもたちを守り、解放するための、またリハビリや再統合に向けた枠組を提供します。」
年間を通じて、ウガンダ政府は児童労働撤廃のための取組みについてヒアリングを行い、すべてのセクターで児童労働に関する労働監督を実施し、啓発キャンペーンを行います。
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モロッコ
モロッコ労働省は政府機関です。
アクション・プレッジでは、児童労働撤廃に向けて、モロッコのステークホルダーが今年さらに取組みに参加することを目指しています。
「COVID-19の世界的流行という特殊な状況ですが、児童労働撤廃のための対策として労働・職業統合省によるNGOへの助成金は、2021年も維持されます。」
モロッコでは、1年を通して、児童労働撤廃に向けた取組みの進捗状況と課題を示すドキュメンタリー映画を作成します。この映画は、この問題に対する意識啓発のために制作され、全国的に上映される予定です。また、ステークホルダーの活動支援のためのマニュアルを作成する予定です。
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IOI Corporation Berhad
IOI Corporation Berhad はマレーシアを拠点とする組織です。
2021アクション・プレッジでは、COVID-19がもたらす課題に沿って、教育を通じた児童労働撤廃に向けた取組みを目指しています。
「われわれの事業内部で、また教育事業や教育機関など外部のステークホルダーと協調し、協力して取り組んでいきます。実施においては様々なデジタル学習プラットフォームを活用して、より広範に実施していきます。」
IOIは、今年中に国内の4つの地域でこの取組みを開始します。また、子どもたちが学習プラットフォームに慣れ親しむことができるよう、啓発活動や訓練プログラムを実施します。
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児童労働撤廃国際年特設サイト、英文記事はこちら