ILOの活動分野

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と仕事の世界:産業部門毎の影響、対応、提案事項

 ILOは世界、各国、産業、地域の加盟国政労使、国際機関その他のパートナーによる特定の社会・経済部門のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)促進の取り組みを支援するものとして、特定の社会・経済部門や産業に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を暫定的に評価した産業部門毎の概括資料を作成しています。随時改訂されるこの資料には、ILO加盟国政労使が執っている措置や政策対応、当該産業部門に関してILO内で得られるツールや対応策に関する情報も含まれています。ILO駐日事務所ではこの日本語版を作成しています。この資料がウイルスの世界的大流行後の未来における「より良い再建」に寄与する好事例や学んだ教訓の集大成となるよう、皆様のご意見や情報提供を募っています(E-mail: covidresponsesector@ilo.org)。

 このページは英語ページの簡易版です。最新情報は英語ページをご覧ください。

  1. 新型コロナウイルスと港湾部門(英語)  

    2021年7月5日

     港湾は国際貿易と世界経済を支える重要な基盤構造を提供しています。年間せいぜい2、300トンの貨物を取り扱う埠頭から、倉庫保管からサプライチェーン(供給網)全体の管理に至る幅広い物流サービスを組み合わせた大規模な国際港やマルチモーダル・ハブ港に至るまでその規模は様々です。新型コロナウイルスの世界的大流行の中で港湾は取扱量の減少、労働者不足、港湾労働者及び陸揚げ要員向けの労働安全衛生措置の実施、オフィスワーカーのテレワーク勤務や遠隔操作の採用などといった現実に合わせた調整を迫られています。クルーズ船の寄港が停止されている国もあります。この政策概括資料は港湾部門が直面しているディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に係わる課題と新型コロナウイルスに関連した問題をまとめています。

  2. 新型コロナウイルスと食肉加工部門(英語)  

    2021年2月9日

     新型コロナウイルスの世界的大流行は企業と労働者の両面から農業食品産業に圧迫を加え続けており、一部の産業部門は特に重い負担を担わされています。その一つが食肉加工部門です。食品体系に対するコロナ禍の影響が続く中、複数の主要食肉加工国の加工工場で発生した集団感染から学んだ教訓が触媒となって引き起こされた改革は、この部門の持続可能な開発に寄与することが期待されます。

  3. 新型コロナウイルスと建設部門(英語)  

    2021年1月25日

     新型コロナウイルスの世界的大流行は、景気循環に敏感な建設部門に相当の影響を与えています。しかしながら、利点として、雇用創出の潜在力を秘めた建設業は回復を刺激する大きな潜在力を擁しており、さらに転じて、回復措置はこの産業部門の持続可能性とデジタル化に向けた転換を支える可能性があります。建設部門の「人間を中心に据えた危機からの回復」を促進するカギを握るのは、国際労働基準と共に、政労使三者による協力と社会対話であると言えます。

  4. 新型コロナウイルスと在宅または施設を拠点として介護・看護などのケアを提供するケア労働者  

    2020年10月16日

     新型コロナウイルスの世界的大流行は多くの国で在宅及び施設を拠点として介護・看護などのケアを提供する既に過度の負担と人員不足を抱えた産業部門に注意を喚起することになりました。この概括資料は十分な訓練を受け、やる気のある十分な数のケア労働者を採用、配置、定着、保護する上で直面している課題に光を当てています。危機時及びそれ以後におけるこの部門の備えと強靱性を確保するには、人員自体を含む保健医療やソーシャルケアの仕組み、そして働きがいのある人間らしい労働条件に対する持続可能な投資が必要です。ケア労働者が新型コロナウイルスの世界的大流行に対する地球規模の対応において十分かつ活発な役割を演じるには、ケア労働者がその使用者及び関連するその他の利害関係者と共に声を届ける機会を確保することが決定的に重要です。

  5. 新型コロナウイルスと都市旅客輸送サービス  

    2020年10月5日

     新型コロナウイルスの世界的大流行の中で保健医療従事者などの必要不可欠な労働者に貴重な足を提供している都市交通部門で働く人々は自身の感染の高い危険に直面しています。新型コロナウイルスと都市旅客輸送サービスの労働者に関連した事項をまとめたこの概括資料は、ウイルスの世界的大流行がこの産業部門に与えている様々な影響を論じています。各国政府及び労使がこの産業部門とその労働者を支えるために講じている政労使三者によるあるいは産業特有の措置に関する情報、国際労働基準を含むILOの諸原則やツールに関する情報も含まれています。

  6. 林業部門に対する新型コロナウイルスの影響  

    2020年7月14日

     新型コロナウイルスの世界的大流行は公衆衛生に影響を与え、林業部門の労働者や企業も含み、経済や労働市場に前代未聞の混乱を引き起こしています。ウイルスの流行は以前よりあった課題を深刻化させ、多くの企業や労働者を苦しめています。これに対応するものとして、各国政府及び労使団体、そして世界中のその他の森林関係者が協力し合い、社会対話や国際労働基準の促進などを通じて企業及び生計手段の保護を目的としてウイルス流行の影響緩和に努めています。

  7. 新型コロナウイルスとメディア・文化教養部門  

    2020年7月10日

     この概括資料は失業と各種製作プロダクション閉鎖の深刻な打撃を受けているメディア・文化教養部門に対する新型コロナウイルスの影響に光を当てています。この産業部門の特徴である多様な契約種別と職種がいかに、社会的保護、安全衛生、経済救済計画の機会における課題の形成に寄与しているかを分析しています。また、諸国の事例や労使団体のイニシアチブを参考にして、この産業部門に対するウイルスの世界的大流行の経済的影響を緩和する政策選択肢を示しています。

  8. 新型コロナウイルスと保健医療部門  

    2020年6月26日

     新型コロナウイルス危機は多くの国で既に負担過剰になっている公衆保健医療制度、そしてしっかりとした訓練と支援を受け、意欲ある十分な数の保健医療労働者を採用、配置、定着、保護する上で直面している課題に注目を集めることとなりました。保健医療人員を含む保健医療制度に対する持続可能な投資、そしてとりわけ個人用保護具や労働衛生に関連した働きがいのある人間らしい労働条件や訓練、装備の強い必要性に光を当てています。強靱な保健医療制度の構築には社会対話が必要不可欠であり、したがってこれは危機対応と保健医療緊急事態に備えた未来の構築の双方にとって決定的に重要な役割を有しています。

  9. 新型コロナウイルスと旅行・観光業  

    2020年6月18日

     旅行・観光業は雇用と成長の主な牽引役の一つですが、新型コロナウイルスによって状況は劇的に変わりました。若い女性が大半を占める旅行・観光業の労働者や企業に対する影響は前代未聞の規模に達しています。ILOの関連する国際労働基準を考慮に入れ、政府及び労使団体との協議を経た上での、国際的及び国内的な迅速かつ大規模、そしてとりわけ調整を図った政策取り組みが求められています。

  10. 新型コロナウイルスと公務  

    2020年6月17日

     保健医療従事者や教育部門従事者に留まらず、全ての公務員が新型コロナウイルスの拡大を食い止め、この危機から回復する上で一定の役割を演じています。これは徴税官や警察官、刑務所員などの国の行政に関与する公務員であろうと、労働監督官のような経済・社会政策の実施に携わる公務員であろうと、ゴミ収集員のような地域社会に直接サービスを提供している公務員であろうと、ソーシャルワーカーのような強制社会保障制度を支えている公務員であろうと、職種にかかわらず通用する事実です。公共財の管理者として、公務員は回復を導く上で不可欠です。新型コロナウイルスの世界的大流行は災害対策としての事前準備の決定的な重要性、そして民間セクターのパートナーだけでは現在求められている規模の介入を管理運営できない事実を表すことになりました。

  11. 新型コロナウイルスと教育部門  

    2020年6月15日

     学習者全体の94%近くが学校閉鎖に直面している中、教員はほぼ全世界的に遠隔教育の世界に適応しなくてはなりません。ほとんどの教員と教員団体がこの課題を受け入れていますが、多くの途上国で教員は遠隔教育を効果的に提供する技能も機材も欠いています。政府が封じ込め措置の緩和に伴い、学校再開を検討する際には、学習者と教員の安全性が最優先事項とされるべきです。カギを握るのは、学習者間の社会的距離の保持、個人用保護具の入手確保、定期的なウイルス検査となるでしょう。

  12. 新型コロナウイルスと陸運業  

    2020年6月3日

     陸運業は社会・経済の発展に必要不可欠であり、管轄区や国を越えた移動を保障します。しかし、新型コロナウイルスの拡大を抑制するために世界中多くの国が国内の移動に制限を課し、道路貨物運送業による国境横断を封鎖しました。危機に効果的に対処するためには、政府、労使の社会的パートナー、そして荷送り人、荷受人、輸送品の購買者、仲介業者などの陸運サプライチェーン(供給網)の当事者が、この基幹労働者が直面しているディーセント・ワークの課題に対処する緊急の行動が決定的に重要になるでしょう。

  13. 新型コロナウイルスと食品小売業者  

    2020年6月2日

     このウイルスの世界的大流行の中で最前線業務として新たに浮上したのが食品小売業です。この産業で働く人々は、食の安全保障を保障する上で必須である一方、感染の高いリスクにさらされつつ、食の安全性において重要な役割を担っています。この産業に十分な数の労働者を確保するには、個人用保護具や衛生手順に関する訓練やその入手確保に加え、有給疾病休暇などの社会的保護の機会、十分な賃金が提供される労働条件が必要です。

  14. 新型コロナウイルスと海運・漁業  

    2020年5月15日

     海運は世界貿易の大半を運搬し、漁業は必要不可欠な食料を供給しています。ウイルスの世界的大流行は船員及び漁船員の安全と福祉、乗船・帰国の可能性、仕事の将来性に影響を与えています。しばしば入港を拒否されているクルーズ船の船員は特に深刻な打撃を受けています。世界が公衆衛生の保護に努める中、ILOはこういった重要な海事労働者の保護に尽力しています。

  15. 新型コロナウイルスと救急公務  

    2020年5月11日

     この概括資料は、しばしば制定法に必要不可欠業務と記され、国家の名の下で新型コロナウイルス危機に立ち向かう最前線業務を担っている公務労働者に関連した問題を取り上げています。危機に対処する上での役割、その活動を支援するために政府が講じている措置、国際労働基準などのそういった人々を守るためのILOの原則やツールが示されています。

  16. 新型コロナウイルスと自動車産業  

    2020年5月7日

     自動車産業は、工場閉鎖、サプライチェーンの分断、需要激減といった三つの打撃を被っています。ジャストインタイム製造方式によって影響は世界中に拡散しました。とりわけ中小企業は深刻な影響を被り、数百万人の雇用が危機に瀕しています。自動車メーカーは世界経済をキックスタートするカギを握っています。それは救命用の人工呼吸器やマスクの生産によってだけではありません。持続可能な産業政策と対象を定めた支援は、より多くの人々のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を伴った長く続く回復、つまりより良い再建を達成する上でのカギを握っているのです。

  17. 新型コロナウイルスと農業及び食の安全保障に対する影響  

    2020年4月20日

     世界の台所に食を供給する仕事に従事しながら、多くの農業労働者が食の不安定性や貧困から抜け出せないでいます。ウイルスの世界的大流行が広がる中、食料危機を予防し、世界経済に対する悪影響を縮小するには、食料供給網が機能し続けることが決定的に重要です。関連する国際労働基準に沿って、農業関連企業と数百万人に及ぶ農業労働者の生計と労働条件を支えるには、調整を図った政策対応が求められています。

  18. 新型コロナウイルスと民間航空部門  

    2020年4月12日

     新型コロナウイルスの拡大を抑えるための渡航制限と航空便キャンセルの組み合わせによって国際的な移動はほぼ完全に停止状態になっています。ウイルスの世界的大流行は雇用に即時かつ相当の影響を与えました。講じられるコスト削減戦略は民間航空部門の雇用とディーセント・ワークに影響を与える幅広い政策が含まれる可能性があります。ILOは過去の危機的状況から、この産業部門がこのようなショックから復活するのを助ける経験を蓄積しています。

  19. 新型コロナウイルスと繊維・衣料・皮革・履物産業  

    2020年4月9日

     労働者が外出を禁じられ、工場が閉鎖され、グローバル・サプライチェーンがゆっくりと活動を停止する中、繊維・衣料・皮革・履物産業の採算性がほころび始めています。注文取消は数千の工場と数百万人の労働者に特に深刻な打撃を与えています。産業サプライチェーン全体にわたる連帯と共同行動が緊急に求められています。ILOは政府がこの産業の労働者と企業の健康と経済的に良好な状態を守る活動を支援する用意があります。

主要資料:指針、手引き等(英語)

  1. 職場における手指の衛生:新型コロナウイルス対策として必要不可欠な労働安全衛生予防・管理措置  

    2020年9月8日

     職場、とりわけ移民労働者を受け入れている職場や非公式(インフォーマル)経済の職場は新型コロナウイルス抑制の中心舞台となっています。2019年の第108回ILO総会で採択された「仕事の未来に向けたILO創設100周年記念宣言」でも安全で健康的な労働条件はディーセント・ワークの基本であると強調されています。そこで作成された職場における手指の衛生に焦点を当てた政策概説資料の中心的なメッセージは、新型コロナウイルスの拡大を予防あるいは低減するためには、全ての労働者が職場で手指を安全かつ適切に洗浄する設備が確保されているべきというものです。

  2. 新型コロナウイルスと宿泊・飲食サービス活動:予防・管理チェックリスト  

    2020年8月26日

     多くの国が新型コロナウイルスの感染拡大と戦いつつ、宿泊・飲食サービス産業の再開を管理するという新たな段階に歩を進めています。このチェックリストは新型コロナウイルスの社会・経済的影響を緩和しつつ、宿泊・飲食サービスの企業、労働者、そして利用者が新型コロナウイルスの拡大を予防し、安全であり続ける助けになるための実践的かつ参加型のツールとなることを目指しています。

  3. 職場における新型コロナウイルス予防  

     職場における新型コロナウイルスの予防と影響緩和のための行動チェックリスト、安全で健康的な職場復帰のための政策概説、安全な職場復帰のための行動ポイント、使用者向け新型コロナウイルス予防のための手引きなど、ウイルスの予防と管理に向けた産業毎の手引きとツールを集めました。

  4. 産業毎のツールと文書  

     看護職員や農業、鉱業、建設業、宿泊・飲食業など、ILOには特定産業部門の労働安全衛生に関する基準や手引き、指針、実務規程など、多数のツールや文書が存在します。

  5. 新型コロナウイルスと戦う共同声明と行動の呼びかけ  

     海運、運輸、金融、商業、公務、宿泊・飲食・観光業、建設業、メディア・スポーツ・文化教養・グラフィックス、繊維・衣料・皮革・履物、郵便・電気通信、木工・家具製造、電力、保健医療など、国際使用者連盟(IOE)と国際労働組合総連合(ITUC)に倣い、様々な産業の労使が労働者を守り、企業を支援する行動の呼びかけや共同声明を発表しています。

  6. 新型コロナウイルスと戦うILOの産業別パートナーシップ  

     保健医療部門の投資拡大を推進するILOと世界保健機関(WHO)、経済協力開発機構(OECD)の共同計画である「保健医療のために働く(W4H)計画」、衣料品部門の政労使を支援するILOと国際金融公社(IFC)の共同事業である「ベターワーク(より良い仕事)計画」、ILOが143のメンバーと共に新型コロナウイルス危機の影響を受けている教員に対する支援の増大を呼びかけている「2030教育のための教員国際タスクフォース」など、ILOは様々な国際機関と共に多くの産業部門でディーセント・ワークの前進に向けた活動に取り組んでいます。

  7. 衣料品部門と新型コロナウイルス:ILO/IFCベターワーク計画資料集  

     随時更新されるこのウェブサイトでは、ベターワーク計画が活動を展開中の世界9カ国の現状、革新的な対応策、共通の問題、政策対応、その他情報源が紹介されています。

特定地域・諸国における産業別影響評価、提案事項(英語)

  1. © Mladen ANTONOV / AFP 2020

    観光部門における雇用と新型コロナウイルス:アジア太平洋における影響と対応  

    2020年4月24日

     この概括資料はアジア太平洋地域の観光部門の雇用に対する新型コロナウイルスの可能な影響に関する暫定評価を示しており、この影響を緩和し、迅速で力強い回復を円滑化するような一連の政策選択肢を提案しています。