世界社会正義の日

より平等な世界を

 2月20日の世界社会正義の日に向けて前日の19日に発表した動画メッセージで、ガイ・ライダーILO事務局長はワクチンの投与と新型コロナウイルス危機からの経済と社会の回復を支える全世界的な連帯を呼びかけました。

声明 | 2021/02/19

 2月20日の世界社会正義の日に向けて前日の19日に発表した動画メッセージで、ガイ・ライダーILO事務局長はワクチンの投与と新型コロナウイルス危機からの経済と社会の回復を支える全世界的な連帯を呼びかけました。

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 2月20日の世界社会正義の日は、世界がより平等になり、男女を問わずすべての人々が自由と平等の条件下で自らの社会的・経済的目標を達成する機会が与えられる行動に向けた呼びかけを増強する機会であると言えます。新型コロナウイルスの世界的な大流行は世界がこの目標からどれだけ隔たっているかを明らかにし、国内、そして国家間の厳しい不平等を露わにしました。

 あまりにも多くの人々が質の高い教育、人間らしく働きがいのある仕事、保健医療、社会的保護、尊厳をもって暮らせる資力への機会を欠いています。さらに悪いことに、コロナ禍はこの不平等をさらに広げました。金融市場の高騰によって、既に豊かだった人々はしばしばさらに利益を得ましたが、最も不利な立場にある脆弱な人々は仕事と企業の破壊の結果を身をもって体感しています。

 被った損害は多大ですが、ワクチンが前途への展望を開いています。コロナ禍を制御下に置き、私たちの経済を再始動させる望みがあります。

 ウイルスが襲来する以前に私たちが存在していたお馴染みの場所へと戻る道をたどりたいとの誘惑に駆られるかもしれませんが、それを選ぶことは間違いでしょう。国際社会は真の変化に向けた信念と共に前進しなくてはなりません。コロナ禍は新たな日常をより良い日常と化す余地を与えてくれたのです。これは私たちが行う決定の問題です。

 20世紀の二つの大戦の後、社会・経済政策の策定においては社会正義に強く焦点が当てられました。この地球規模の大きな危機から立ち上がるに当たり、政策策定に携わる人々は今、同じことをしなくてはなりません。これは不平等を縮小し、貧困に終止符を打つ国際協力に改めて注力することを意味します。つまり、機会を拡大し、人権を尊重し、この惑星を守り、持続可能な開発目標(SDGs)に向けた歩みを加速させる政策が求められています。

 最も脆弱な人々を守り、低・中所得国の財源難を打開するには地球規模の連帯が必要です。これはワクチンの投与と経済・社会の回復の両方を支えることを意味します。

 貧困と不平等、世界全体の保健、気候変動、技術変革、人口動態の変化といった21世紀の大きな課題は全て相互につながっており、調整を図った地球規模の対応が求められます。これこそ人間の安全保障が真に意味するものです。

 求められているのは、人々にとっての社会正義、そして私たち皆を維持してくれているこの惑星の保護を促進する、人間を中心に据えた対応です。私たちILOでは、政府、使用者、労働者の結束を図って全ての人のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)と社会正義を伴ったより良い、より環境に優しい仕事の未来に向けた道を築くよう努めたいと思います。