持続可能な開発目標

2020年の持続可能な開発に関する国連ハイレベル政治フォーラムのサイドイベントに向けたガイ・ライダーILO事務局長の演説動画

 2020年の持続可能な開発に関する国連のハイレベル政治フォーラム(7月7~16日)では、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な大流行に照らし合わせて持続可能な開発目標(SDGs)の達成状況について話し合いが行われました。ガイ・ライダーILO事務局長は、フォーラムの枠内で開かれたグリーン経済と社会的保護に関するサイドイベントにオンライン動画で参加し、新型コロナウイルス対応におけるその重要性を強調しました。

声明 | 2020/07/15

 「行動の加速化と変容の道:持続可能な開発に向けた行動と活動遂行の10年間の実現」をテーマとした2020年の持続可能な開発に関する国連のハイレベル政治フォーラム(7月7~16日)では、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な大流行に照らし合わせて持続可能な開発目標(SDGs)の達成状況について話し合いが行われました。ガイ・ライダーILO事務局長は、フォーラムの枠内で開かれた以下のサイドイベントにオンライン動画で参加しました。

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PAGE主催イベント-グリーン経済と新型コロナウイルスからの回復:SDGsに関する10年間の行動にとっての意味合い(2020年7月13日)

 ILOもその一員であるグリーン経済行動パートナーシップ(PAGE)が主催したこのイベントに向けたメッセージ動画で、ガイ・ライダーILO事務局長は環境に優しいグリーン経済は新型コロナウイルスからの回復プロセスにおいて決定的に重要と主張しました。

英語・3分25秒

 事務局長は今年のハイレベル政治フォーラムを取り巻く前代未聞の保健、社会、経済の危機はその根源において人類と自然が敬意ある適正な関係を維持する絶対的な必要性に改めて注意を喚起したとして、健康な生活も安全な職場も生産的な経済もディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)も全てが持続可能な環境に依存していることを危機は明らかにしたと指摘しました。そして、コロナ禍とその社会・経済的影響のただ中にある国もあれば、回復に向けて注力している国もあるものの、気候変動と環境の持続可能性という既に存在している課題に今、取り組むことが至上命題と唱え、新型コロナウイルスからの回復を環境に優しいグリーンな回復、すなわち、人々と地球の両方にとってより良い世界を構築するような回復にしようと訴えました。さらに、持続可能な開発目標に関する国連の行動の十年の出発点に立つに当たり、政策策定に携わる人々、企業、労働者、個人が今行う決定が2030年アジェンダに向けた歩みを成功させるか否かを決定しようとして、不平等が拡大し、雇用喪失が記録的な水準に達し、世界的な景気後退が前途に立ちはだかり、近年達成された持続可能な開発に向けた歩みの一部が失われ、国内及び国家間のなかなか解消されない不均衡がさらに進む深刻なリスクに直面している困難な今こそ、生産・消費の仕組みを環境に優しく強靱な経済・社会に変える行動路線を設定するような大胆なリーダーシップ、大胆な公約が求められると説きました。

 また、政府が今日提起している新型コロナウイルスからの回復計画は、明日のより良い日常とされるべきものの基礎とすべきことも提案しました。

 さらに、SDGsを追求する諸国に支援を提供する独特の構造及び態様として国連機関の結束力を証明したPAGEは、包摂的かつ持続可能な成長、貧困撲滅、ディーセント・ワークと社会正義の促進、環境の持続可能性の確保に向けた包括的かつ総合的な解決策を提供していることを挙げ、新型コロナウイルスに対する即時の経済的・社会的対応のための国連の枠組みの重要な要素の一つを表しているとして、その2030年戦略に含まれる幅広い野望とビジョンの更新を通じて、PAGEはSDGsに向けた変化の拡大、複製、加速化を図る新たな機会を特定する用意があるとした上で、ILOはその一員として、加盟国政労使の動員を図り、「仕事の未来に向けた創設100周年記念宣言」を基盤として、皆でより良くよりグリーンな立て直しを図るため、自らの役割を十分に演じるつもりであると述べました。

UNDP主催イベント-世界の半分:社会的保護の多くの顔(2020年7月14日)

 国連開発計画(UNDP)が主催した新型コロナウイルスと社会的保護に関するイベントに向けたメッセージ動画でガイ・ライダー事務局長は、社会的保護は新型コロナウイルスの世界的大流行への対応策の重要な一部をなすと強調しました。

英語・3分8秒

 コロナ禍が世界に発した一つのメッセージは、私たちの安全性は最も脆弱な人々の安全性レベルに過ぎないという点です。その認識に立ち、世界中の国が危機対応策の動員を図っており、社会的保護に関するILOの最新のモニタリング資料によれば、疾病給付や失業給付、雇用保護にも寄与する社会扶助などを通じた、緊急に必要とされている保健医療と所得保障の迅速な利用を許すような、新たに採用された社会的保護措置は世界全体で1,200を超えると見られます。

 コロナ禍のドラマはまた、より良い立て直しに向けた公約の幅広い表明ももたらしました。真剣にそう思うならば、まず全ての人に社会的保護の機会を確保して全ての人を不安から解き放つという未完の事業から手をつけなくてはなりません、とライダー事務局長は訴えています。

 しかし、新型コロナウイルス危機はまた、社会的保護の財源におけるギャップも拡大しました。より大きな財政力のある先進国は自国の社会的保護制度に大いに必要とされている投資を行うことによって危機に対応しています。先進国はまた、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の下で、途上国が危機を乗り越え、より良い立て直し、より力強い立て直しを図るために社会的保護制度に関する支援を提供するとの国際的な公約も行っています。7月初めに開かれたILOの仕事の世界と新型コロナウイルスに関するグローバル・サミットでも、得られるあらゆる手段を用いて人々の健康と生活の糧を守る対応を行っているとの各国からの報告に加え、全ての国に持続可能な回復を達成するために必要な財政的な余地と柔軟性を確保する緊急かつ具体的で調整を図った措置を求める声も聞かれました。国連副事務総長の下で現在進められている新型コロナウイルスの時代及びその後における開発財源に関する議論は、私たち皆が共有する連帯の価値に根ざし、公平かつ公正であるような地球規模の対応を確保する上で決定的に重要なものとなるでしょう、と事務局長は説いています。