女性に対する暴力撤廃の国際デー

ILO事務局長声明-仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶を

声明 | 2019/11/25

 2019年の「女性に対する暴力撤廃の国際デー(11月25日)」に際し、ガイ・ライダーILO事務局長は、暴力とハラスメント(嫌がらせ)をディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に対する最大の脅威の一つに位置づけ、「もはや言い訳など通用しない」として、今年のILO総会で採択された暴力・ハラスメント条約(第190号)の約束を全ての人の現実とするために共に取り組むことを呼びかける以下の英文声明を発表しました。

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 11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に際し、世界は強姦などの女性に対するあらゆる形態の暴力とハラスメント(嫌がらせ)に反対する姿勢を明らかにしています。女性に対する暴力は最も広く見られる形態の差別、そして女性の尊厳、自主性、独立を損なう最も油断のならない手段の一つです。

 仕事の世界における暴力とハラスメントには職業や地位は関係がなく、被害が及ばない国家も産業部門も職業も存在しません。

 暴力とハラスメントはなくすことができますし、なくさなくてはなりません。世界中から集った政府、使用者団体、労働者団体は、2019年6月に開かれた第108回ILO総会で暴力・ハラスメント条約(第190号)と付随する同名の勧告(第206号)を採択しました。このたび初めて、暴力とハラスメントのない仕事の世界に向けた各人の権利を定め、その権利を実現する方法を示す国際条約が誕生したのです。

 今度はこの公約を具体的かつ実際的な行動に変える必要があります。そこで、この「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に際し、ILOはこの画期的な条約のできるだけ幅広い批准を呼びかけるものです。批准は国内法の制定や執行、予防のための仕組み、効果的な是正手段などの現場における活動を加速させることになるでしょう。

 仕事の世界における暴力とハラスメントは、人的、社会的、経済的に膨大な代価を伴います。暴力とハラスメントはディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に対する最大の脅威の一つです。もはや言い訳は通用しません。第190号条約の約束を全ての人の現実とするために共に取り組もうではありませんか。