2019年8月-2020年2月 ILO駐日事務所インターンシップ修了者の声

Name: MS
Career direction: Finance
Internship period: August 2019- February 2020 (Seven months)

インターンシップを始めたきっかけ

ILO駐日事務所でのインターンシップに応募した理由としては二つが挙げられます。一つ目は労働を専門とするILOについてその業務や職員の方の考えを間近で学びたいと思っていたこと、二つ目はILOや労働問題への関心をより多くの人に持ってもらいたいと考えていたことです。

私がILOについて興味を持ち始めたのは大学の学部1回生の時に労働問題について学んだことがきっかけでした。日本の長時間労働や過労死の問題、派遣切りや外国人技能実習生の問題などを学ぶうちにILOの国際労働基準を調べるようになりました。そこで感じたのは、労働問題は状況は違えど世界共通の課題であり、その解決には多くの関係者の継続的な努力が必要である、ということでした。例えば日本の長時間労働の問題一つをとっても、原因としては人手不足や労働生産性の低さといった企業単位の課題がある一方で、日本型雇用システムや労働監督、労働者の技能育成といった政策の課題、産業での慣行、国際的なルールがない中での人的資本の豊富な国との過度な国際競争等複数の要因が影響していると考えられ、その解決には企業・産業と政府、労働者の協力が国内においても国際平面においても重要であることがわかります。

そう考えていた私にとって政労使の協調による国際的なルール作りを行っているILOは興味深い機関であり、大学院で労働政策を勉強する傍ら、ILOについての理解を深めたいと思うようになりました。また、昨今日本では労働問題への関心が高まっている一方で、国際的な視点や専門的な知見が議論に用いられていないと感じることも多く、広報業務も担えるインターンシップとしてILOの持つ知見を世間に発信したいとも考えていました。

インターンシップでの業務内容

ほぼ半年にわたるインターンシップの期間中は、かねてから希望していた広報業務に加えてイベントの運営サポートやリサーチ業務、会議への出席等様々なILOの現場を体験させていただきました。

広報業務では日々のツイッターに加え、新たに開設したブログやFacebookの更新を通してより幅広い層の人々にILOについて知ってもらえるよう努力しました。投稿の記事を作成する過程ではILOの発刊物を入念に調べたり、代表からのフィードバックを受けて内容を考え直したりするなど、大変ながらも自身の興味を深堀できる楽しい業務でした。

インターンシップ期間中に関わらせていただいたイベントや会議のテーマは若年雇用と開発協力、協同組合、責任あるサプライチェーン、暴力とハラスメント条約等多岐にわたり、ILOの業務範囲・ステークホルダーの多様さを実感することができました。国際機関であるILOが国内のステークホルダーと対話しているのを間近で見ることで、政策形成における国際機関の役割を具体的に認識することができたように思います。
【写真:アフリカ協同組合スタディーツアーの一環として訪れたワーカーズコープの運営する子育て応援施設にて(9月)】

インターンシップを通じて学んだこと

インターンを通じて得た最大の学びは、ILOという国際機関を身近に感じることができたことだと考えています。インターンをする中で職員の方はどういったバックグラウンドを持っているのか、ILOの労働基準や政策はどのようにして国内で捉えられているのか、といったことを学び、経験することで自身のキャリアパスやファーストキャリアである金融セクターにおいて「仕事の世界」にいかに貢献することができるのかを考えることができました。

また、職員の方々だけでなく様々な専門分野を持つ他のインターンと交流することができたことも大きな経験でした。司法修習生や次年度のインターンの方を合わせるとインターン期間中に10名もの同年代の方と一緒に業務に携わることができました。自身とは違う専門分野のお話を聞いたり、社会人経験のある方のキャリア観を学ぶことは非常に刺激的なものでした。
【写真:インターン期間中に大学院のプログラムで訪問させていただいたILOジュネーブ本部(1月)】

インターンとして過ごさせていただいた半年間は非常に勉強になるものでした。ILO駐日事務所の職員の皆様には貴重な機会を与えていただいた他インターンにも大きな裁量を与えてくださいました。またインタビューや訪問などを快く受け入れてくださったILOジュネーブ本部の職員の皆様、現地オフィスの職員の皆様にもこの場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。
【写真:駐日事務所代表よりインターン修了証をいただく(2月)】