2001年新聞発表概要(全文は英語)
2001年12月発表分
危機的状況にある東欧諸国の保健医療(英語原文)
2001年12月10日(月)発表ILO/01/53
ILOは12月6〜7日の日程で、ジュネーブで中・東欧諸国の労組活動家と専門家を招き、民営化が保健医療産業労働者にもたらした状況を検討する会議を開催しました。会議に提出された二つの調査報告(チェコ、リトアニア、ルーマニア、ウクライナの保健医療産業労働者に関するものと中・東欧諸国全体の保健医療産業労働者を代表する組合に関するもの)は、厳しい経済状態の中、複数の東欧諸国では保健医療制度が崩壊に瀕しており、労働者は高ストレス、劣悪な労働条件、低賃金(あるいは賃金不払い)といった状態にあることを明らかにします。
政府の公共支出削減は医療機関の質の低下を招き、エイズや結核といった疾病が蔓延し、平均余命は低下しています。保健医療産業労働者の雇用は不安定になり、例えばルーマニアでは5人に2人が月30ドル未満で生活しているなど、途上国に等しい状況になっています。一方で、医師は闇診療やアルバイトによって収入を増やしており、例えばポーランドではアルバイト収入が医師の収入の半分を超えています。労組組織率も低下し、例えば、ポーランドでは組合員数が半減し、組織率は20%に低下しています。
建設産業における求人慣行の問題(英語原文)
2001年12月6日(木)発表ILO/01/52
12月10〜15日の日程で、ジュネーブで開かれている21世紀の建設業のイメージ、雇用展望、技能要件に関する政労使三者構成の会議に提出された討議資料は、建設業の仕事は低く見られがちで、新規人材確保が難しくなっているとします。イメージが良くない真の理由として、ILOは、一般的に言われているような3K労働(きつい、汚い、危険)のせいではなく、求人条件に関係することの方が大きいと分析し、特に労働力の外注構造が建設業の労働を一時的で不安定なものと化し、これがしばしば労働安全衛生、賃金、訓練、技能水準を低下させる要因となっているとします。
このような労働力外注慣行の拡大により、大企業は実質的に物理的な作業から手を引き、サービス的機能に専念することとなり、例えばスペインでは1999年に150万人の建設業労働者の61%が臨時雇いであるといった状態になっています。英国では、若い男性労働力の確保が難しくなったため、企業は女性や少数民族といった他の集団に労働力を求めるようになりました。世界の建設産業総売上高の4分の3以上が欧米、日本といった高所得国に集中する一方で、これらの国で働く建設業労働者数は全体の約4分の1に過ぎません。
会議出席者は下請け業者に雇用されている労働者や臨時労働者が直接雇用の正規労働者と同じ程度の労働に関わる権利、社会的保護、訓練機会を享受できる方法に関し、話し合いを行う予定です。
2001年11月発表分
ILO、障害者の雇用展望改善を期待して実施基準を発表(英語原文)
2001年11月30日(金)発表ILO/01/51
12月3日の国際障害者の日に際し、ILOは11月1〜16日に開催された理事会で採択された「職場における障害の管理に関する実施基準」に世界の関心を喚起します。実施基準は、10月に開かれた政労使三者構成の専門家会合で起草されたものです。
現在、障害を有する方々は世界全体で6億1千万人近くに達しますが、このうち3億8,600万人が生産年齢人口です。障害を有する方々の失業率は高く、障害を有する労働力人口の8割が失業している国もあり、貧困と社会的排除の問題が引き起こされています。
実施基準は、障害を有する方々の採用、障害者となった労働者の雇用を維持する方法に関し、企業を導く初の基準として、障害を有する労働者の潜在力実現に向けた環境整備に関する具体的な方策を列挙します。
カンボジア衣料産業に関する初のILO報告(英語原文)
2001年11月30日(金)発表ILO/01/50
ILOが11月30日に発表したカンボジア衣料産業の労働条件に関する報告書は、同産業においては、児童労働、強制労働、セクシュアル・ハラスメントが存在する証拠は見られないが、賃金支払いにおける不正、残業強制、反組合的差別行為が見られると指摘します。報告書は、カンボジアが米国と締結している貿易協定に基づく工場労働モニタリングの過程で作成されたものです。
カンボジアの総輸出高に占める衣料品の割合は7割に達しますが、1999年1月に締結された貿易協定は、カンボジアの繊維・アパレル産業がILOの中核的労働基準を遵守している限り、米国向け輸出高を年14%増大させることを認めるものです。
ILO第282回理事会、基本権を取り上げる(英語原文)
2001年11月20日(火)発表ILO/01/49
11月1〜16日にジュネーブのILO本部で開かれた第282回ILO理事会では、以下のような事項が決定されました。
- ミャンマーの強制労働
- ミャンマー政府の講じている強制労働対策の実施状況と現実的な影響を調査したハイレベルチームの報告書をもとにした討議が行われ、問題解決に向けた政府の努力は認めながら、措置の影響が限定的として、同国の努力を監視するオンブズマンの任命、ILO代表の同国常駐を含む技術協力の提供をILO事務局長に求める結論に達しました。
- グローバル化世界委員会
- 理事会のグローバル化の社会的側面作業部会は事務局長の提案に基づき、グローバル化の社会的側面に関する権威ある報告書を作成するため、18名の著名人からなる世界委員会を設置することに決定しました。委員は事務局長が任命し、顔ぶれは来年早々に発表される予定です。報告書は2003年3月の理事会に提出されます。
- 結社の自由
- 設立50周年を迎えた結社の自由委員会では、16件の案件が審議され、このうち7件について最終結論に達しました。特に、労働組合の自由が厳しく制約されているベラルーシとベネズエラに関しては、早急の対処が求められました。
日本の案件も3件(新規2件、継続1件)提出されていますが、いずれも検討は次期会合に見送られました。
- コロンビア
- 労働組合リーダーの殺害等、結社の自由の深刻な侵害が問題となっているコロンビアに関しては、労働組合リーダーやビジネスリーダーの生命を保護するメカニズムの創設、結社の自由尊重の強化、企業の自由、労働条件、社会的保護の向上等を目指した技術協力計画の大枠について合意が達成されました。
ILO調査団、新法制がミャンマーの強制労働に与える影響の限界を指摘し、さらなる進歩のための活動を提案(英語原文)
2001年11月7日(水)発表ILO/01/48
去る9月17日〜10月13日にミャンマーとタイにおいて、ミャンマー政府の講じている強制労働対策の実施状況と現実的な影響を調査したハイレベルチーム(団長:ニニアン・スティーブン元オーストラリア総督)は、ほぼ1年前の新法施行にもかかわらず、軍の影響がある場所、特に紛争が続く国境地帯では、依然、荷物運び、軍事キャンプの設置、農作業などの強制労働が見られると結論づける報告書を発表しました。
新法施行の影響が限られている理由として、報告書は、
- 軍の独立独行政策
- 新法の存在にも関わらず、軍が実質的に刑事訴追を受けない事実
- 強制労働が用いられている公共事業を実施するためのほかの財政的・実践的方策を当局が考案できないこと
をあげます。
ハイレベルチームは、問題を解決に導き得る方法に関し、今後もガイダンスを提供し続けるとし、経済の近代化、強制労働廃絶に向けた当局の政治意思の継続的な実施、国際社会の熱意を三つのパラメーターと指摘し、オンブズマンの設置とILO駐ミャンマー代表の同国による受け入れを一つの方策として提案します。
報告書は現在開かれているILOの第282回理事会で審議されます。
貿易自由化の好機を逃す途上国(英語原文)
2001年11月6日(火)発表ILO/01/47
「途上国の多くは、世界経済の隅に追いやられ、貿易自由化の利益を逃し続けている」と、現在、ジュネーブで開かれているILO第282回理事会のグローバル化の社会的側面作業部会に提出されている討議資料「貿易自由化と雇用」は記します。討議資料は来週開かれる作業部会の会合で検討されます。
貿易自由化が雇用に与える影響を吟味するこの討議資料は、貿易自由化は経済成長率と生産構造を変化させることによって雇用水準と雇用の質に大きな影響を与えるとし、貿易自由化が雇用創出を最大化するよう国内の経済社会政策・機構を適切に整備する必要性を強調します。
ジンバブエでは急激な貿易自由化が生産高と雇用の縮小をもたらした一方で、モーリシャスでは輸入品目との競合業種における雇用縮小を伴わずに、輸出産業で雇用拡大が達成されるなど、途上国における貿易自由化の影響は様々です。標準的な経済理論のもとでは、貿易自由化は途上国にとって良いものと見なされていますが、現実世界にこの理論を適用することはなかなか難しく、生産の縮小、高失業率、貿易赤字の拡大といった多大な調整費用が科される場合も多いとし、討議資料は、第一次産品主流の輸出品目構成を急成長する製品輸出需要に対応するよう転換し、製造業の開発に必要な基盤構造を形成し、技能を開発することに失敗した多くの途上国が貿易自由化の利益を享受できなかった事実を明らかにします。
ILO雇用フォーラム、国際的な雇用救済包括案を求める(英語原文)
2001年11月3日(土)発表ILO/01/46
本日、幕を閉じた世界雇用フォーラムでは、深刻化しつつある世界的な雇用危機に緊急に対処する必要性が強調され、世界的な景気後退と9月11日のテロ攻撃の二重の影響によって深刻化しつつある失業問題と貧困問題の状況改善に向けた包括的な雇用戦略形成において前進が見られました。雇用戦略は、国際貿易、情報技術、起業家精神、環境持続性、財政金融政策、教育訓練、健康と安全、労働市場政策、社会的保護、社会対話の10項目を中心要素に、雇用を創出し、貧困を緩和する枠組みを提示するものです。この戦略は、来週から開始されるILOの理事会に提出され、さらに審議されます。
フォーラムではさらに、雇用増大、貧困軽減をめざした国際的な景気刺激策の必要性が唱えられ、11月9〜13日にかけて、ドーハで開かれる世界貿易機関(WTO)閣僚会議に対し、途上国に国際貿易参画の道を開くことによって雇用創出に向けた共同の戦いに参加するよう呼びかけました。
本日はこのほかに、リクペロ国連貿易開発会議(UNCTAD)事務局長ほかの参加を見て、「貿易と投資による雇用便益極大化」に関するパネル討議が行われ、WTOの次期交渉では、国際市場への参加に関する途上国の懸念に対処する具体的な対応が必要との意見が出されました。
ノーベル経済学者、ディーセント・ワークと基本的労働権を求める(英語原文)
2001年11月2日(金)発表ILO/01/45
3日間にわたる世界雇用フォーラム2日目の本日、基調講演を行ったスティグリッツ・ノーベル経済学者はILOの目標である「ディーセント・ワーク、完全雇用、より良い労働条件」を支援するよう世界の政界、経済界のリーダーに向かって呼びかけ、開発には「基本的労働権」が必要と主張しました。
本日はこのほかに、「教育と訓練:雇用を可能にするための技能(若者の失業問題を含む)」、「世界統治と国際政策調整」といったテーマでパネル討議が行われました。前者では、ディーセント・ワークを中心とした開発戦略を効果的に支援する教育訓練政策の中心事項、民間部門の役割、適切な資金調達メカニズム、若者の失業問題といった事項が討議され、有給雇用が創出されるよう若者向けの職場内訓練や見習い制度を見直す必要性に関し、合意が達成されました。
国連事務総長、ILO事務局長、雇用のための世界の同盟を求める(英語原文)
2001年11月1日(木)発表ILO/01/44
ILOは、本日、忍び寄る景気後退と9月11日の事件が経済に与えた打撃に取り組むため、3日間にわたる雇用サミットを開幕しました。
約700人の政界、経済界のリーダーを前にした開会演説で、アナン国連事務総長は、ILOの失業者予測(2,400万人)、世界銀行の貧困人口予測(新たに1,500万人)をあげ、9月11日の事件の影響が平和と安全の問題を遙かに超え、全世界的に人間の安全保障に深刻かつ多様な影響が生じていることに警告を発しました。
続いて、ソマビアILO事務局長は、事態をグローバル化時代の初の世界同時景気後退期と呼び、危機に対応する景気拡大への道を開く手だてとして国際的な景気刺激策の必要性を唱えました。(演説全文)
フォーラム初日の本日は、このほかに、ラスムセン・デンマーク首相、オンケリンクス欧州連合(EU)労相理事会議長(ベルギー副首相兼雇用・機会平等大臣)、ビル・ジョーダン国際自由労連(ICFTU)書記長、フランソワ・ペリゴ国際使用者連盟(IOE)会長などの演説が行われました。
2001年10月発表分
ILO、世界の雇用危機に取り組む(英語原文)
2001年10月31日(水)発表ILO/01/43
政府、企業、労働者の代表が、9月の事件以降初めて世界の雇用情勢を吟味する会合として、11月1〜3日にジュネーブのILO本部で開催される世界雇用フォーラムには700人以上の政界、経済界のリーダーが参加する予定です。アナン国連事務総長、スティグリッツ・ノーベル経済学者を初め、多数の労働大臣の演説も予定されています。
景気後退が続けば、来年新たに2,400万人の人々が職を失うとILOは推計します。これにホテル・観光産業労働者900万人近くが加わると考えられます。
ソマビアILO事務局長は、この危機を打開するには国際的な景気刺激策が必要と唱え、各国の、そして国際的な雇用創出政策を統合するため、国連機関、世界銀行、国際通貨基金(IMF)との調整を図っていることを明らかにし、景気刺激における先進国の優位に触れ、先進国は景気拡大策を追求しながら、途上国には緊縮策や制約的な構造調整策を適用することの危険性を指摘します。
航空業界が9月11日の影響から回復するには「何年もかかる」とILO(英語原文)
2001年10月30日(火)発表ILO/01/42
航空業界の就業者数は世界全体で約400万人と推計されますが、このうち、既に職を失ったか、近い将来、失うおそれがある人々の数は20万人を超えると考えられます。
9月11日の事件が民間航空業界に与えた影響を検討するシンクタンク会合は、航空業界再建に向けた一連の実践的な措置を求める声明を発表して今日、2日間の会合を終えました。声明は、危機対策として、以下のような実践的な措置の推進を求めています。
- 業界全域にわたる経済・規制枠組みの見直し
- 安全・保安問題に取り組む上での人的要素の役割と安全文化に焦点を当てること
- 技術と投資は安全・保安面の改善に貢献し、新しい雇用機会の創出に寄与しうること
- 雇用・所得の喪失を緩和し、技能を保持するため、政府、使用者、労働者による即時の行動が必要なこと
- 危機の中・長期的影響に一貫性のある姿勢で取り組むため、国際機関同士の協力を緊密化すること
ILOはこの問題をさらに、来年1月21〜25日にジュネーブで開催する民間航空業の三者構成会合で検討します。
ILOホテル・観光産業会合、危機対策活動を承認(英語原文)
2001年10月26日(金)発表ILO/01/41
ILOは10月25〜26日に、ジュネーブのILO本部で、政府、労働者、使用者代表の出席を得て、世界のホテル・観光産業が直面している苦境を打開する方策について話し合う専門家会合を開催しました。会合では、- 対立ではなく、協力が必要なこと
- 国内及び世界経済にとっての観光業の重要性を認識する必要があること
- 既存の社会的安全網を補完する補足的な措置を講じる必要があること
といった内容を含む、業界の危機打開に向けた実際的な方策に関し、合意が達成されました。
労使から出された提言には、このほかに、- 人々の観光機会拡大に向けた措置を講じること
- 政府は労使の一時的なコスト削減策に、観光関連税の引き下げといった政策で協力すること
- 観光産業の従業員を維持するための教育訓練計画が、労働者の出費を伴わないものとすること
- 緊急措置を講じる国内予算が不足している諸国に必要な資金を優遇条件で提供するよう国際金融機関に働きかけること
といったものが含まれます。
観光産業の労働者数は世界の総雇用人口の8%を占めますが、全世界的な失業者総数は880万人を超えるものと予測されます。
ILO世界雇用フォーラム−取材手続き(英語原文)
2001年10月26日(金)発表ILO/01/40
ILOは11月1〜3日の日程で、ジュネーブのILO本部において、世界の雇用情勢を検討し、国際的に通用する雇用戦略の枠組み形成をめぐり意見交換を行う世界雇用フォーラムを開催します。
11月1日10時から開かれる開会式には、アナン国連事務総長、ラスムセン・デンマーク首相、ビル・ジョーダン国際自由労連(ICFTU)書記長、フランソワ・ペリゴ国際使用者連盟(IOE)会長等の出席が予定されています。
ILO、国連エイズ合同計画(UNAIDS)に正式参加(英語原文)
2001年10月25日(木)発表ILO/01/39
ILOは本日、ユニセフ、国連開発計画(UNDP)等7国際機関が、共同でエイズ/エイズウイルス(HIV)に対する戦いを行っているUNAIDSに正式な一員として加わりました。
ILOは既に昨年11月からHIV/エイズと労働の世界に関する計画を開始し、政府及び労使が全国レベル、産業レベル、企業レベルでエイズ対策を行う努力を支援する活動をアフリカ、アジア、東欧、中南米・カリブ等で実施しています。今年6月の国連エイズ特別総会では、「労働の世界とHIV/エイズに関する実施基準」を発表しています。実施基準は、各国政府が国内の実施基準や企業レベルの方針・活動計画を立案する際の基礎として用いることができるものです。
「ILOの参加は、働く世界に関わる理解と専門知識をUNAIDSにもたらすもの」と、UNAIDSのピオット事務局長は評価します。
ホテル・観光産業大量失業の危機(英語原文)
2001年10月24日(水)発表ILO/01/38
ILOは10月25〜26日に、フランス、米国等の政府、国内・国際労使団体の代表を招き、9月11日のテロ攻撃後にホテル・観光産業が直面している危機を評価し、影響を緩和する手段を話し合う非公式の会合を開催します。
作成された討議資料は、テロ事件以前から既に景気低迷の影響を被っていたホテル・観光産業における世界的な失業者数は900万人近くに達すると予測し、長期的な影響は、未曾有の業績低下と9月11日の影響からいかに早く回復できるかにかかっているとします。
観光・航空産業の危機に関するILO会合開催(英語原文)
2001年10月19日(金)発表ILO/01/37
ILOは9月11日のテロ攻撃以後、観光・航空産業を襲っている経済危機を評価する一連の会合をジュネーブのILO本部で開催します。
10月25〜26日には観光業の危機を評価し、影響を緩和する手段を話し合う政府、労働者、使用者代表による三者構成会合を、10月29〜30日には専門家と航空会社及び組合代表が集い、民間航空に対する9月11日の事件の影響を話し合うシンクタンク会合を開催します。また、来年1月21〜25日に開催されることになっている民間航空業の三者構成会合には、9月11日の事件後の危機が社会と安全面に与えている影響が新たな議題として加えられました。
観光・航空産業にはすでに多数のレイオフが見られ、10年前の湾岸戦争時よりも危機の影響は深刻と見られます。ソマビアILO事務局長は社会対話を通じ、危機の緩和を目指します。
ILO世界雇用フォーラム、労働市場の縮小に取り組む(英語原文)
2001年10月19日(金)発表ILO/01/36
11月1〜3日にジュネーブのILO本部で開催される世界雇用フォーラムは、アナン国連事務総長、スティグリッツ・ノーベル経済学者など、国連諸機関の長、政治・経済界のリーダー、組合代表、学者などが世界各地より集い、9月11日の影響による世界経済低迷の打撃を受けている世界の労働市場を危機から救うための適切な対応策を探ります。
討議資料として作成された報告書(英語原文)は、2010年までの経済成長率及び生産性の伸びが90年代と変わらなければ、少なくとも1億6,000万人が職を失い、3億人以上が不完全就業状態となり、10億人以上が1日1ドルの貧困水準以下の生活を余儀なくされるとし、適切な雇用対策の重要性を強調します。欧米諸国や日本でも経済・雇用情勢は、一層厳しくなるものと思われます。
フォーラムは、経済・社会政策の中心に雇用をおくこと、女性が経済・社会開発に貢献できるよう女性の労働が十分認知され、報酬を受けることの確保、世界全体の雇用の質と水準引き上げに向けた国際活動の考案、雇用問題に対する統合的な取り組みを確保するため、国連諸機関、国際金融機関との連携を強化することといった政策の立案を目指します。
地方公務部門に対する民営化と分権化の影響(英語原文)
2001年10月12日(金)発表ILO/01/35
10月15〜19日の日程でジュネーブのILO本部で開催されている分権化と民営化が教育、保健、交通、電気・ガス・水道といった地方公務部門に与える影響に関する政労使三者構成の専門家会合に提出された討議資料(英語原文)は、ある種のサービス提供においては、民間部門の能力も関心も限られているとし、はっきりとした傾向は得られていないものの、民営化や分権化を通じて達成された費用効率の向上や柔軟化は、休みの短縮や労働量・労働強度の増加といった労働条件の低下による場合が多いと指摘します。この問題に関するILOの専門家は、ディーセント・ワークと効率性、サービスの質の間には正の相関関係があるとします。
ILO事務局長、米州労働大臣会合出席のため、カナダを訪問(英語原文)
2001年10月12日(金)発表ILO/01/34
10月17〜19日にオタワで開かれる第12回米州労働大臣会合出席のため、10月14日よりカナダを訪れているソマビア事務局長は、ブラッドショー・カナダ労働大臣を初め、カナダ政労使、国会議員と会談し、9月11日のテロ攻撃によって悪化した世界経済の低迷が働く人々の不安定さを増している状況に対し、ディーセント・ワーク確保(自由、安全、平等、人間の尊厳の条件の下で男女の別なく、生産的な仕事が与えられること)の目標を掲げて取り組むことの重要性を訴えています。
11月1〜3日にジュネーブで開かれるILOの世界雇用フォーラムでは、調整の取れた国際的な雇用戦略の開発に向けた話し合いが行われ、このディーセント・ワークの達成に向けたキャンペーンは新たな段階を迎える予定です。フォーラムにはアナン国連事務総長を初め、世界各国の政労使リーダーの出席が見込まれています。
職場における障害の管理に関するILO会議(英語原文)
2001年10月2日(火)発表ILO/01/33
ILOは10月3〜12日の日程で、ジュネーブのILO本部で、「職場における障害の管理に関する実施基準」の採択をめざし、政労使三者構成の専門家会議を開催します。日本からも使用者側の専門家が出席されています。
世界で3億8,600万人にのぼる障害を有する生産年齢労働者人口の失業率は健常者よりも高く、国によっては80%に達します。会議で検討される実施基準は、障害を有する方々を効果的に職場に組み込むための措置を示したもので、障害を有する方々の募集、雇用、昇進、雇用保持、職場復帰の際の手引きとなることをめざします。
カカオ農園の児童労働撲滅に向けて合意(英語原文)
2001年10月1日(月)発表ILO/01/32
米国のトム・ハーキン上院議員、エリオット・エンゲル下院議員が、チョコレート製造業者協会(CMA)、世界カカオ基金(WCF)と、西アフリカのカカオ農園における児童奴隷を撲滅し、世界のココア・チョコレート産業から最悪の形態の児童労働をなくすことを目的とした「ハーキン・エンゲル議定書」を締結したことに対し、ILOは歓迎の意を表しました。
ワシントンで調印されたこの議定書は、カカオ豆の生育・加工における最悪の形態の児童労働の利用を把握し、なくすため、独立した監視・報告システムを伴う、信頼性があり、相互に許容可能な全産業レベルの国際基準の開発を規定します。チョコレートまたは関連製品が強制的な児童労働を用いずに生育・加工されたことを示す公的認証システムについても規定します。
ILOは、国際食品関連産業労働組合連合会(IUF)、反奴隷運動「フリー・ザ・スレイブス」、全米消費者連盟(NCL)と共に、今後4年間にわたり、米国政府と共に議定書の実施を担当していくことになります。
2001年9月発表分
最悪の形態の児童労働反対キャンペーンに画期的進展(英語原文)
2001年9月26日(水)発表ILO/01/31
ILOが1999年の総会で全会一致で採択した最悪の形態の児童労働条約(第182号)は、非常に速いスピードで批准が進み、9月26日のエストニアの批准をもって100カ国の批准が達成されました。
第182号条約は、18歳未満の子どもが、奴隷労働、児童売春、薬物密売、子どもの道徳や健康を損なうような労働といった最悪の児童労働に従事することを禁止し、即座に撤廃するための効果的な措置を取るよう批准国に求めるものです。日本も今年6月に批准しています。
世界銀行と国際通貨基金における社会的懸念事項の推進に向けたILOシンポジウム開催(英語原文)
2001年9月21日(金)発表ILO/01/30
ILOは9月24〜28日の日程で、ジュネーブで国連システムへの労働者の参加と国際金融機関への影響の強化に向けた国際シンポジウムを開催しています。国際自由労連(ICFTU)、国際労連(WCL)、世界労連(WFTU)等の国際労働組合組織の代表及び世界約50カ国の組合指導者が出席し、世界銀行、国際通貨基金(IMF)、国際貿易機関(WTO)の代表と、国際金融機関の政策と運営に、社会的懸念事項と中核的労働基準を組み込むことをめざして討議する初めてのシンポジウムとして、労働組合と国際金融機関の話し合いを通じ、労働組合が国際金融機関とWTOが行う改革に影響を与え、両者の建設的な対話が推進される戦略の策定をめざします。11月の第4回閣僚会議を前に、WTOが労働者のニーズと要求にもっと応えたものとなるよう求めることにも重点が置かれます。
討議資料として準備されたILOの文書「労働組合とグローバル経済:未完の物語(英語)」は、国際金融機関の政策が団体交渉権や社会的保護といったILOの中核的条約に逆行してきた数々の事例を指摘します。ICFTUは「80年代、90年代に途上国に課された統一的な構造調整モデルは、経済を支援するのではなく、破壊してきたことを示す明確な証拠がある」との声明を発表しています。
ILOハイレベル・ミッション、ミャンマーへ出発:強制労働に関する政府の行動を評価(英語原文)
2001年9月17日(月)発表ILO/01/29
ILOはミャンマーによる強制労働条約(第29号)履行確保に向けた一連の措置の一環として、今年5月に同国と達成された合意に基づき、ミャンマーにミッションを派遣することになっていましたが、ニニアン・スティーブン元オーストラリア総督を団長とする4名のハイレベル・ミッションが9月17日、ミャンマーに向かってバンコクを出発しました。
ミッションは最初の数日間を首都ヤンゴンで過ごした後、3週間にわたり、ミャンマー各地を自由に訪れ、政府が過去のILOの活動に対応して講じたとされる各種立法、行政措置の実際的な影響とそれが現実に実施されているかどうかを評価することとなります。
ミッションの報告書は、11月にジュネーブで開かれるILOの理事会で検討されます。
林業はグローバル化議論の「テストケース」(英語原文)
2001年9月14日(金)発表ILO/01/28
9月17〜21日の日程でジュネーブで開かれる「変化する林業・木材産業の社会及び労働的側面三者構成会議」に提出された討議資料「グローバル化と持続可能性:変化する林業・木材産業(英文)」は、林業・木材産業では全世界的に今後大幅な雇用減が見込まれるとします。
林業・木材産業が、グローバル化の課題に対処できず、持続性を保てなかった場合、全世界的に産業労働力の5%以上、約4,700万人が職を失う見込みがあると報告書は推計します。例えば、中国では森林伐採制限で、約90万人が職を失う可能性があり、インドネシアでは原材料不足を原因とする製材所の閉鎖で既に4万人以上が失業し、米国では公共林内の道路建設禁止によって1万2千人が職を失うといわれています。雇用を脅かしている要因には、森林伐採制限、合併・買収の影響、構造変化、林業・木材産業・家具製造業・製紙業界における資源不足があげられます。
このような課題に対処するため、林業はほかのどの産業よりも持続的な開発の目標に真剣に取り組み、産業のみならず、地域社会と一般市民の利益のために森林を管理する新しい方法など、持続性の概念を産業慣行に組み込む措置を先に立って講じてきています。
「この産業はまさにグローバルなテストケース」と、報告書の共同執筆者ピーター・ポッシェンILO林業・木材産業専門家は語ります。
2001年8月発表分
独立10年後のウクライナで労働者の不安定な状況、貧困が深刻化−ILO調査によれば、数百万人が賃金を受け取っていないか、休暇取得を強制されている(英語原文)
2001年8月23日(木)発表ILO/01/27
去る5月31日〜6月1日にキエフで開かれた国際会議にILOが提出したウクライナの雇用事情に関する調査報告書によれば、1991年の独立から10年が経過した同国では、数百万人の労働者が「管理休暇」の取得を強いられているか、働いても賃金が支払われない状態にあるとされます。
報告書はこの他に、次のような点を明らかにします。
- 実際の失業率は公式発表の3倍を上回る約40%
- 実際の労組組織率は発表を遙かに下回る43%で急激に低下中
- 調査回答者の83%以上が貧困を実感
- 失業給付受給者は失業者のわずか22%余り
- 全世帯の約3分の1が家賃を滞納
- 独立後、人口は200万人近く減少、就業人口は約3分の1に
- 就業人口の過半数が女性であるが、女性産業労働者の12人に1人が「出産休暇」中
- 工業生産高全体の4分の1が企業間バーター取引
- 調査企業の3分の1以上が生産高を減らすことなく労働力を削減できると回答、可能とした平均削減率は23%
- 3社に1社が労働者に無給休暇を付与
- 調査対象企業の3分の2以上が契約賃金額の支払いを困難とし、5社に3社が契約賃金額を支払っていないと回答
報告書は、ウクライナの失業問題の更なる深刻化を警告し、国際社会の注意を喚起しています。
ILOハイレベルチーム、9月にミャンマー訪問−強制労働廃絶に向けた政府の行動を評価(英語原文)
2001年8月21日(火)発表ILO/01/26
ILOは今年5月の決定、6月のILO総会における審議を経て、強制労働が問題になっているミャンマーに対し、ハイレベルのミッションを派遣することになっていましたが、ソマビアILO事務局長は8月21日にこのミッションのメンバーを発表しました。ニニアン・スティーブン元オーストラリア総督(団長)、ニエベス・ロルダン=コンフェソル元フィリピン労働・雇用長官(副団長)、クラティラカ・A・P・ラナシンゲ元スリランカ最高裁判所長官、ジャージー・マカルチク欧州人権裁判所判事の4名からなるハイレベル・ミッションは、9月中旬より約3週間ミャンマーを訪れ、同国政府が過去のILOの活動に対応して講じたとされる各種立法、行政措置の実施の有無と実際の影響を客観的に評価し、これらの措置が強制労働をなくす上で効果的であったかどうかを吟味することとなります。ミッションの報告書は、11月に開かれるILOの理事会に提出されます。
2001年6月発表分
ブルキナファソのアラン・ルドビック・トゥ雇用・労働・社会保障相を2001〜02年のILO理事会議長に選出(英語原文)
2001年6月22日(金)発表ILO/01/25
6月22日にジュネーブで開催された第281回ILO理事会では、2001〜02年の新役員の選出が行われ、議長として、ブルキナファソのアラン・ルドビック・トゥ雇用・労働・社会保障相が選出されました。使用者側副議長としては、ダニエル・フネス・デ・リオハ・アルゼンチン産業連合社会政策部会長が選出されました。労働者側副議長は、ウィリアム・ブレット英国労働組合会議総評議員が再任されました。役員の任期は1年で、毎年、6月に改選されます。
ILO、HIV/エイズと労働の世界に関する新実施規準発表:新データは世界全体で約2,300万人の労働者がHIVに感染している事実を示す(英語原文)
2001年6月22日(金)発表ILO/01/24
ILOは去る5月、国家、地域社会、企業レベルでエイズウイルス(HIV)/エイズに取り組むための新しい国際的なガイドラインとして、「HIV/エイズと労働の世界に関する実施規準(英文)」を作成しました。ソマビアILO事務局長は、6月25〜27日の日程でニューヨークで開催される国連エイズ特別総会においてこの実施規準を発表し、アナン国連事務総長、国連加盟国、労使その他の代表とこの世界的な実施に向け、話し合いを行う予定です。
ソマビア事務局長は、「世界全体でHIV感染者数は3,600万人に達するが、この少なくとも4分の3の2,300万人が15〜49歳の労働力人口」に相当するため、「エイズ問題は、世界全体の開発に対する挑戦」であるとします。
実施規準は、HIV/エイズは他の深刻な病気と同等に扱われるべきこと、政労使は協力して予防を推進すること、HIVに感染した労働者の差別禁止、ジェンダー問題の認識、特定の場合を除いた労働者及び就職希望者の検査禁止、HIV関連個人情報開示請求の禁止、HIV感染は雇用終了の正当な理由でないことといった原則を盛り込み、職場におけるHIV/エイズ政策の広範かつ包括的な青写真を提供します。
ILOのウェブサイトには、実施規準の原文を含み、労働の世界とHIV/エイズに関する様々な情報が含まれています。
コンゴ民主共和国7条約を一挙に批准(英語原文)
2001年6月21日(木)発表ILO/01/22
6月20日、コンゴ民主共和国のムフワンコロ労働・社会福祉相は、結社の自由・団結権保護条約(第87号)、強制労働廃止条約(第105号)、差別待遇(雇用及び職業)条約(第111号)、労働者代表条約(第135号)、最低年齢条約(第138号)、三者協議(国際労働基準)条約(第144号)、最悪の形態の児童労働条約(第182号)の7つのILO条約の批准書をILOに寄託しました。これによって同国は中核的8条約を全て批准したこととなります。
ムフワンコロ労働・社会福祉相はこの批准について、「コンゴ民主共和国政府及び大統領によるコンゴ国民の労働条件改善に向けた願いを示すもの」とします。
第89回ILO総会、ディーセント・ワークの課題推進:農業の安全衛生に関する初の国際基準を採択(英語原文)
2001年6月21日(木)発表ILO/01/23
6月5〜21 日にジュネーブで開催された今年のILO総会の主な成果は次の通りです。
- @事務局長報告その他
- ソマビアILO事務局長が提出した報告書に基づき、ディーセント・ワーク(権利が保護され、十分な収入が得られ、適切な社会的保護が与えられた生産的な仕事)の課題を各国で現実のものとしていく方策に関し、幅広い議論が交わされました。
また、2002/03年度の次期事業計画の審議が行われ、総額4億3,404万ドルの予算が全会一致で承認されました。新事業計画は、基本的には現行路線を継承し、労働における権利と原則、雇用、社会的保護、社会対話の4戦略目標を軸にディーセント・ワークの確保に向けて編成されています。
- A基準適用
- 日本(結社の自由、団結権に関する第87号条約に関連した消防職員の団結権と公務員のスト権の問題)を含む24カ国の案件が取り上げられ、ベラルーシ、コロンビア、エチオピア、ミャンマー、ベネズエラ(以上、第87号条約関連)、スーダン(強制労働に関する第29号条約関連)の問題がスペシャル・パラグラフに特記されました。ミャンマーの強制労働条約違反に関しては、ハイレベルチームを同国に派遣して、状況の客観的な評価を行い、11月のILO理事会に結果を報告することとなり、ミャンマー政府はこの調査団の活動の自由、証人の保護を約束しました。
- Bイスラエル占領地
- 国境の封鎖や治安情勢の悪化に伴い、パレスチナその他イスラエル占領地の労働者が失業増等深刻な状況にあることを記した事務局長の報告書をもとに話し合いが行われ、労使に対する技術協力の増強や労働者及びその家族の日常生活を改善する実際的な措置に焦点を当てた対話の復活を求める声が相次ぎました。ソマビア事務局長は、雇用推進及び労働者の権利の尊重においてILOが地域で積極的な役割を演じ続けることを保障しました。
- C農業の安全衛生(第2次討議)
- 鉱業、建設業と並び、3大危険産業の一つにあげられる農業の労働安全衛生に関する初の包括的な国際基準として、国内政策の枠組みとなるような条約(第184号)と付随する同名の勧告(第192号)がほぼ全会一致で採択されました。条約は、自給農業、アグロインダストリー、林業、そして政労使の協議によって除外される事業体または労働者の一部を適用除外としながら、農業における安全衛生を確保するための各種の措置(リスク評価、機械の安全、原材料や動物の取り扱い、化学物質管理、社会保障、福祉施設等)を規定します。児童労働、季節労働者、女性労働者に関する規定も盛り込まれています。勧告は国内政策を実行する上での指針となる具体的な規定を含み、条約の保護を漸進的に自営農家にも拡張するよう求めています。
- D児童労働
- 児童労働撲滅国際計画(IPEC)の枠内で、今後10年以内に、まず、タンザニア、ネパール、エルサルバドルの3カ国において、ゴミ拾い、荷物運搬、家事労働、奴隷労働、商業的性搾取など最悪の形態の児童労働をなくすための努力を加速させる時限計画が正式に開始されました。
- E協同組合(第1次討議)
- 協同組合の振興に関する新しい国際労働基準の採択に向けた討議を来年の総会で行うこととなりました。協同組合の組合員は世界全体で8億人に達し、農業、金融、小売、保健、住宅、保険といった伝統的な分野に加え、情報通信技術など新しい分野への進出も盛んで、雇用創出を促進する役割の重要性がますます高まってきています。新しい協同組合の定義は、その自律性と企業家的性格を強調し、国家はその運営を導く環境を形成するため、規範を定め、振興する役割に限定されるとします。
- F社会保障(一般討議)
- 社会保障は社会の全ての人々のためのものであり、保護対象から漏れている人々に拡張する政策やイニシアチブを最優先するということ、社会保障は男女の平等待遇を確保するだけでなく、男女平等を推進する上で肯定的な役割を演じるべきであること、年金制度は賦課方式でも事前積立方式でも高齢化の影響を受けることといった諸点で意見の一致を見ました。財源については、先進国では人口の高齢化が、途上国ではエイズ問題が最大の懸念事項としてあげられました。経済学の観点から、正しく管理された社会保障は生産性を高め、経済開発を支援することが強調されました。
この他に、理事会のグローバル化の社会的側面作業部会が総会会期中に会合をもち、11月の理事会で貿易自由化と雇用の問題を吟味すること、作業部会を恒常的な意見交換・対話の場とすること、グローバル化の社会的側面に関する報告書を事務局長の責任で作成すること等が決定されました。
6月16日「アフリカの子どもの日」−ILO、西・中部アフリカの児童人身売買に関する報告書発表(英語原文)
2001年6月15日(金)発表ILO/01/21
6月16日のアフリカの子どもの日に先立つ15日、ILOはアフリカの児童人身売買に関する報告書、「西・中部アフリカにおける労働搾取のための児童人身売買撲滅総合報告(Combating Trafficking in Children for Labour Exploitation in West and Central Africa, Synthesis Report・英文)」を発表しました。報告書は、米国労働省の資金協力を得て、西・中部アフリカ9カ国(ベニン、ブルキナファソ、カメルーン、コートジボワール、ガボン、ガーナ、マリ、ナイジェリア、トーゴ)で進められている労働搾取のための児童人身売買をなくすためのプロジェクトの第1期の所産ですが、児童人身売買の増大を指摘し、関係諸国の社会全体をあげた協調努力を求めています。
人身売買が用いられる労働形態として最も重要なのは家事労働で、そのほかにプランテーション、小規模の商売、物乞いといったものがあげられます。人身売買の広がりを説明するものとして、地域全域における拡大家族制度、それに関連した伝統的な連帯形態の衰退といったものがあげられます。
業者は通常、親にも子どもにも約束の代金を渡さず、売られた子どもは水も食料も十分に与えられず、1日10〜20時間、重い荷物を運んだり、危険な道具を扱うといった過酷な労働条件を強いられます。ナイジェリアの報告によると売られた子どもの5人に1人が病気や事故で死亡します。この他にHIV/エイズへ感染したり、人間の尊厳を失い、犯罪や薬物乱用に走ったり、長期的な精神障害を来す場合もあります。
被害者の本国送還と人身売買業者の本国引き渡しにおける2国間協力の重要性が認識され、既にコートジボワールとマリの間のように幾つかの国同士で児童人身売買をなくすための計画を開始する協定が結ばれています。報告書をフォローするものとして、米国政府から450万ドルの資金協力を受け、上記9カ国それぞれにおいて、児童人身売買を予防し、被害者の社会復帰を行うプロジェクトが開始されます。
ILO、最悪の形態の児童労働に取り組む新時限計画を発進(英語原文)
2001年6月12日(火)発表ILO/01/20
ILOは1992年から児童労働撲滅国際計画(IPEC)という技術協力計画を実施し、児童労働の撲滅に向けて活動しています。1999年には最悪の形態の児童労働条約(第182号)がILO総会において全会一致で採択され、奴隷労働、児童売春等最悪の形態の児童労働を最優先でなくしていこうとの国際社会の総意が表明されました。この条約実施に向けた大きな一歩として、6月12日より、IPECの枠内でタンザニア、ネパール、エルサルバドルにおける最悪の形態の児童労働を10年以内になくすことをめざした時限計画が開始されました。
時限計画は、ゴミ拾い、荷物の運搬、鉱山、家事労働、債務奴隷、商用農業、漁業、商業的性搾取、人身売買といった状況における子どもの利用をなくすことに焦点を当てた活動を行っていきます。IPECは現在、米国、ドイツ、日本を初め、約25の国・団体より資金協力を得、70を超える諸国で活動を進めています。
ILO事務局長、ディーセント・ワークの欠損にねらいを定め、国際社会と諸団体にディーセント・ワークの課題を組み込むよう求める(英語原文)
2001年6月11日(月)発表ILO/01/19
今年の第89回ILO総会に提出されている事務局長報告は、21世紀のILOの目標である「ディーセント・ワーク(権利が保護され、十分な収入が得られ、適切な社会的保護が与えられた生産的な仕事)の確保」を、加盟国で実現していくための方策を提案したものとなっています。本会議で演説したソマビア事務局長は、各国政府は予算赤字の削減に努力するのと同様、ディーセント・ワークの欠損削減に向けて努力すべきではないかと提案し、ディーセント・ワークの枠組みは、@労働における基本的な権利の擁護政策と同時に企業と雇用を推進すること、A労使の社会的パートナーを強化し、ディーセント・ワークの目標をめぐる対話を補強すること、B社会的保護制度の範囲を拡大し、男女平等を推進する政策を策定することといったような実践的な政策課題に転化できるとします。
第89回ILO総会開会:フィリピン労働雇用長官を議長に選出(英語原文)
2001年6月5日(火)発表ILO/01/18
6月5日に開会した第89回ILO総会議長には、パトリシア・サント・トーマス・フィリピン労働雇用長官、副議長にはアルトゥール・ジョン・ドナト・ブラジル全国産業連盟副会長(使用者側)、ジャン=クロード・パロ・カナダ労組会議執行副会長(労働者側)、セシリア・バナーマン・ガーナ労働力開発・雇用大臣(政府側)がそれぞれ選出されました。
トーマス長官は就任の挨拶で、グローバル化を「新千年紀のマントラ」と呼び、グローバル化においてもゴルフのように、新しい参加者がキャッチアップできるようハンディキャップを与えるシステムの必要性を訴えました。
第89回ILO総会:ディーセント・ワークの欠損、強制労働、農業における安全衛生、協同組合、社会保障を討議(英語原文)
2001年6月5日(火)発表ILO/01/17
6月5〜21日にジュネーブで開かれる第89回ILO総会では、次のような事項が討議されます。
- @事務局長報告
- 2年前の総会で、ソマビア事務局長は、21世紀におけるILOの活動目標をディーセント・ワーク(権利が保護され、十分な収入が得られ、適切な社会的保護が与えられた生産的な仕事)の推進とするとの提案を行い、支持を得ました。今年はこの課題を各国レベルで現実のものとしていくための方策を提示した事務局長報告が提出され、討議されます。
- A強制労働
- 1998年に採択された「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」のフォローアップ活動の一環として、今年は世界の強制労働の現状を概観した報告書が提出され、討議されます。明らかな奴隷制はほとんど見られなくなっていますが、報告書は、特に女性と子どもを対象とした強制労働、債務奴隷、人身売買(trafficking)、子どもを兵士とするための強制徴用は全世界的に増加し、組織的に行われているとし、世界各国の現状と取り組みを紹介します。
- B農業の安全衛生(第2次討議)
- 昨年の第1次討議を経て、今年は3大危険産業の一つにあげられる農業の労働安全衛生に関する国内政策の枠組みとなるような条約・勧告の採択に向けた話し合いが行われます。自営農家を含む全ての農業労働者を対象とすること、環境に対する農業の影響にも配慮した内容とすること等が検討される予定です。適切なリスク・アセスメント手段、機械の安全といった防護措置、化学物質の管理等に関する規定を盛り込むことが予定されています。
- C協同組合の振興(第1次討議)
- 現在、協同組合の組合員は世界全体で8億人に達します。雇用創出、経済成長、社会開発における協同組合の役割の重要性に配慮し、1966年に採択された協同組合(発展途上国)勧告を改正し、全ての国の協同組合を対象とする新しい基準の策定に向け、第1次討議が行われます。
- D社会保障(一般討議)
- 社会保障はディーセント・ワークの基本要素の一つですが、この恩恵を享受することのできるのは世界の労働者のわずか2割に過ぎません。このような問題に加え、グローバル化によって登場した新たな課題、社会保障における男女平等、高齢化と財源問題といった今日的な問題が幅広く討議されます。
- E事業計画・予算
- ILOの予算は2暦年制となっており、今年は2002/03年度の事業計画と予算案(提案額4億7,248万8,505ドル)が討議されます。基本的な戦略目標は、雇用創出、労働における権利の推進、社会的保護、社会対話で現行と変わりません。
この他にミャンマーの強制労働、加盟国における条約・勧告の適用状況、イスラエル占領地の労働者の状況(6月14日)についても話し合いが行われます。また、最悪の形態の児童労働撲滅時限計画を公式に開始する催しも行われます(6月12日)。
ILO総会で「ディーセント・ワークの欠損」を究明(英語原文)
2001年6月1日(金)発表ILO/01/16
2年前の総会で、ソマビア事務局長は、21世紀におけるILOの活動目標をディーセント・ワーク(権利が保護され、十分な収入が得られ、適切な社会的保護が与えられた生産的な仕事)の推進とするとの提案を行い、支持を得ました。6月5〜21日の日程で、ジュネーブにおいて開催される第89回ILO総会には、このディーセント・ワークの欠損をなくすために世界各国が取るべき方策に関する事務局長報告が提出され、討議されます。
ディーセント・ワークの欠損は、十分な雇用機会の不足(世界全体の失業者数は1億6千万人、不完全就業者数も含めるとこの数は最低10億人)、労働における権利の否定(約2億5千万人という働く子どもの存在や強制労働、差別の存在)、不適切な社会的保護(世界の労働者の約8割が社会保障の恩恵を受けておらず、毎日3千人が労働関連の災害または疾病で死亡)、社会対話における欠陥(十分な声が伝わる仕組みのない約2,700万人の輸出加工区の労働者の存在)といった形で表されています。
事務局長はこのような欠損の削減に向け、加盟国の協力を呼びかけます。
2001年5月発表分
ILO調査研究、強制労働と人身売買の増大を指摘−特に弱いのは移民労働者、女性、子ども(英語原文)
2001年5月25日(金)発表ILO/01/15
ILOが本日発行した強制労働に関する報告書「強制労働の禁止(Stopping Forced Labour)」(英文・128頁・2千円)は、特に女性と子どもを対象とした強制労働、奴隷労働、人身売買(trafficking)は全世界的に増加しており、世界中ほとんどの国が国境を越えた人身売買の送り出し国、通過国または受け入れ国のどれかに該当するとします。人身売買の被害者は国々の首都、アムステルダム、ロンドン、シドニー、ニューヨーク、東京といった大都会に送り込まれます。旧ソ連の崩壊後、欧州では人身売買が爆発的に増加し、欧州及び北米では密入国の移民労働者が関わる大規模な搾取工場が発見されています。東南アジアの国境地帯では性産業向けに子どもの売買が、バルカンや東欧では女性の売買が増えています。売買されてアメリカに連れてこられる女性と子どもの数は毎年5万人におよぶと推定され、性産業、家事労働、清掃業等が主な需要因となっています。
明らかな奴隷労働は近代になってほとんど消滅しましたが、まだリベリア、スーダンといった戦災国では誘拐した子どもを強制的に兵士にするなどの最悪の形態の児童労働の例が見られます。アフリカや中南米では、ピグミー等の原住民が農園労働者や家事労働者として奴隷のような状況でこき使われています。
強制労働は国際ギャング団が関与する場合が多く、ますます摘発が難しくなっています。規制を受けていない工業労働、農業、都市インフォーマル・セクターの成長が労働力移動と搾取を惹起する社会経済力に寄与しています。
強制労働とは本質的に「処罰の脅威のもとで遂行を強制させられる労働」をさすことについては世界的に合意が見られますが、ベトナム等アジア諸国や一部アフリカ諸国に見られる経済開発の過程における公共事業への市民の強制参加、労働を通じた社会復帰を処罰の一部とする中国の例や米国等の民間刑務所における囚人労働のように論議の的となっているものもいくつかあります。
強制労働の問題は大きいものの、これに光を当て解決を支援する国際監視機関やILOの各種計画は多くの成功をあげています。強制労働を許す複雑な社会的経済的状況は一国だけで取り組むには余りにも大きな課題です。そこで、第一歩は、国内外における問題の性格と各種の側面を各国が理解するのを支援することです。貧困対策、労働市場規制措置等も求められます。報告書では、子どもの人身売買に対するILOの取り組みなども紹介されます。
報告書は1998年に採択された「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」のフォローアップの一環としてまとめられたものです。今年6月5〜21日にジュネーブで開催されるILO総会に提出され、討議されます。
2001年4月発表分
ILO労災による死傷者追悼国際デー式典開催(英語原文)
2001年4月24日(火)発表ILO/01/14
4月27日は労働災害による死傷者を追悼する国際デーですが、ILOはその日、ジュネーブの本部で世界的な労災の損害に注意を喚起する式典を開催します。式典では、ILOによる労働者の安全衛生啓発キャンペーン用の新しいシンボルとして、国際的な安全色である黒と黄色を用いたリボンが発表され、ソマビアILO事務局長を初めとした複数のスピーカーが労働安全衛生に関するスピーチを行います。
ILOは、労働関連災害や職業性疾病による死亡者数は世界全体で、戦死者の2倍近い年間130万人(1日平均3,300人)超と推計します。
ホテル、外食、観光業の雇用は全世界的に拡大しつつあるが、グローバル化は多くの中小企業を置き去りに(英語原文)
2001年4月2日(月)発表ILO/01/13
4月2〜6日の日程でジュネーブで開催されている「ホテル、外食、観光業の人的資源開発、雇用、グローバル化に関する三者構成会議」に提出された討議資料は、これらの産業は、ほとんどの国で生産高がGDPの3〜4%を占め、就業人口は世界の総労働力の3%近くに達するにもかかわらず、平均賃金が他の産業より少なくとも2割は低いと指摘します。これは未熟練労働者や外国人労働者の割合が高いことが一因で、産業従事者全体の約半数が25歳未満、7割が女性であるとします。
性産業などに従事する子どもの存在、転職率の高さ、不規則な労働時間、組合組織率の低さ(平均10%未満)、人的資源及び環境資源に対するプレッシャーの高まりなどが産業の問題点として指摘されています。会議では、グローバル化や技術の変化に取り残される中小企業・途上国の問題、賃金格差克服に向けた人材開発などについて世界25カ国の政府代表及び労使団体代表各25名による話し合いが行われています。
2001年3月発表分
第280回ILO理事会閉会、労働基準、ミャンマー、エイズ/HIV等について検討(英語原文)
2001年3月30日(金)発表ILO/01/12
3月8〜30日の日程でジュネーブで開かれた第280回ILO理事会の主な決定事項は以下の通りです。
- @基準適用
- 強制労働が問題になっているミャンマーについては、昨年6月のILO総会で採択された決議に基づき、各国政府、労使団体、国際機関より、それぞれの同国との関わりとその関係が強制労働を推進しないことを確保するために取られた措置に関する報告書が提出されました。報告書は、今後の展開があった場合にはその情報と合わせ、今年6月に開催されるILO総会に提出されます。ソマビアILO事務局長は、ミャンマー外務次官との最近の会談によって、ミャンマー当局が強制労働をなくすためとして発表した措置の実行とその現実的な影響を客観的に評価する方向に向かう可能性があるとの報告を行いました。
組合活動家に対する暴力行為が問題となっているコロンビアに関しては、アルブルケルケ事務局長特別代表の2回目の進展報告が提出され、6月の総会までに同国の対策が進展しない場合、次期理事会で審査委員会の設置を検討することとなりました。
イスラエル占領地の労働者の状況に関しては、6月の総会に事務局長報告を数年ぶりに提出し、特別会合を開いて検討することになりました。
- Aグローバル化の社会的側面作業部会
- リクペロUNCTAD(国連貿易開発会議)事務局長、ルバース国連難民高等弁務官が招かれて演説を行いました。リクペロUNCTAD事務局長は、今年6月に開催される国連後発開発途上国会議に、ILOが雇用、企業開発、人材開発の分野で協力することを要請しました。ルバース国連難民高等弁務官は政府及び労使団体の協力によって革新的な難民定住手段を探求できる可能性を示唆しました。
貧困緩和に向けたILOのディーセント・ワーク・アプローチが細かく検討され、ILOの諸活動を結集し、途上国の貧困緩和戦略に対する協力を拡大する計画が承認されました。この部会のフォーラムとしての存在意義を高める方法に関し、6月に開かれる次期会合に事務局長が討議資料を提出することとなりました。
- B2002/03年度事業計画・予算案
- 今年6月の総会に対し、総額4億7,248万8,505ドル(暫定)の2002/03年度事業計画・予算案を提示することが決まりました。大筋は現行事業計画と変わりませんが、ディーセント・ワーク(権利が保護され、十分な収入を生む、適切な社会的保護が供与された生産的な仕事)、開発、貧困緩和が新たに中心目標に加わりました。「ディーセント・ワーク・チーム」の新設、地域に配置される児童労働専門家の増員、エイズ/HIV(エイズウイルス)対策活動や労働の基本的権利・原則宣言の実施に関わる活動の強化なども含まれます。
- Cその他
- エイズ/HIVについては、5月に、エイズ/HIVと労働の世界に関する実施規準の採択を検討する専門家会合をジュネーブで開くことが決まりました。また、2003年の総会で、労働安全衛生に関する一般討議が行われることとなりました。労働の基本的権利・原則宣言のフォローアップ報告も提出され、宣言の促進的な性格を考慮に入れながら、具体的な事例を取り扱う方法に関する方向性が示されました。
ILO、若者の雇用問題解決策の探求をめざした新刊発表(英語原文)
2001年3月30日(金)発表ILO/01/11
現在、世界全体で約7千万人の若者が無職の状態にあります。若者が長期失業状態にあることは、訓練不足や就業経験不足に加え、若いうちに確立された行動パターンが、その後の雇用や収入を得る潜在力に影響を与える可能性があります。
昨年の国連ミレニアム総会で、アナン国連事務総長は「世界中の若者に人並みの生産的な就業の機会を提供する戦略の開発と実行」を呼びかけ、今年後半、若者の雇用に関する高レベル政策ネットワークの招集を予定していますが、これに対するILOの協力の一環として、若者の雇用問題に関する書籍が2点発表されました。
「若者の雇用における課題の満足に向けて−使用者ガイド(Meeting the youth employment challenge: A Guide for Employers・英文・無料)」は世界各地の経験をもとに、使用者及び使用者団体に対し、若者の就業促進に向けた実際的な行動を提案します。「若者の失業と雇用政策に関する国際展望(Youth unemployment and employment policy: A global perspective・英文・2,750円)」は世界各国の若年者の失業問題の現状とそれに対する政策対応を分析します。また、7月の高レベル会合に先立ち、労働組合向けに若者の組織化に関する書籍が発表される予定です。
第280回ILO理事会開催:事業計画・予算、労働基準、ミャンマー、HIV/エイズなどについて審議(英語原文)
2001年3月12日(月)発表ILO/01/10
3月8〜30日の日程でジュネーブで開催されている第280回ILO理事会の主な審議事項には以下のようなものがあります。
- @2002/03年度事業計画・予算案
- ILOの予算は2暦年制になっています。本理事会では、今年6月の総会に提出される2002/03年度の事業計画・予算案が審議されます。提案されている予算総額は、実質ゼロ成長の4億7,452万9,465ドル。大筋は現行事業計画と変わらず、雇用創出、労働における基本的権利の推進、社会的保護、社会対話の推進が中心的な活動となります。新しいものとしては、事務局長が21世紀のILOの追求すべき目標として提案するディーセント・ワーク(権利が保護され、十分な収入を生む、適切な社会的保護が供与された生産的な仕事)の実現に向けた活動を強化する「ディーセント・ワーク・チーム」の新設、地域に配置される児童労働専門家や労働の基本的権利・原則宣言の実施に携わる専門家数の増大、エイズ/HIV(エイズウイルス)対策活動の強化などが上げられます。
- AILO宣言フォローアップ
- 1998年に採択された「労働の基本的原則・権利宣言」のフォローアップ活動の一環として、結社の自由と団体交渉権、強制労働、児童労働、雇用・職業上の差別に関するILOの中核的条約未批准国より寄せられた報告書をもとに専門家がまとめた資料が提出され、これに基づく討議が行われます。債務奴隷労働の廃絶に向けてめざましい進展が見られたネパールや児童労働に関する問題意識の世界的な高まりなど好ましい展開もありますが、民間刑務所における囚人労働の増大など懸念すべき事態も指摘されています。
- B基準適用
- 強制労働が問題になっているミャンマーについては、昨年11月30日に、同国との関係見直し等を呼びかける決議が発効していますが、今回はそれに基づき、国際社会で取られた措置等に関する報告書が提出されます。
組合活動家に対する暴力行為が問題となっているコロンビアに関しては、事務局長特別代表の進展報告が提出されます。
また、今年6月の総会でイスラエル占領地の労働者の状況に関する事務局長報告を数年ぶりに討議するかどうかといった問題も審議されます。
- Cその他
- グローバル化の社会的側面を扱う作業部会では、国際経済における貧困緩和とディーセント・ワーク等に関するテーマで討議が行われます。
エイズ/HIVの労働者に対する影響も議題の一つであり、これに関する実施規準の採択を検討する専門家会合開催の有無が決定されます。
多国籍企業小委員会では、多国籍企業と社会政策に関する原則の三者宣言に基づき、各国から寄せられた多国籍企業の活動に関する第7次調査報告書の結果が検討されます。
ILO、スペインの電気通信大手とユニオンネットワークインターナショナルの歴史的な労働協定締結を歓迎(英語原文)
2001年3月12日(月)発表ILO/01/09
3月12日、スペインの巨大電気通信会社テレフォニカと国際労組団体ユニオンネットワークインターナショナル(UNI)は、ILOの約20の条約・勧告を基礎に、労働者の権利に関する行動規範協定を締結しました。協定は、結社の自由・団結権、強制労働・児童労働の廃絶、差別禁止、最低賃金、労働時間、労働安全衛生、就業の自由といった、ILOの労働基準の遵守を両者に求めるものです。
世界各地の通信、サービス、マスコミ関係等の組合約800、組合員1,550万人超を傘下に擁するUNIは、ILOの条約・勧告に基づく国際協定を多国籍企業と順次締結していくことを計画しており、テレフォニカとの協定はこの第1号となります。
ILO事務局長、「ガラスの天井」に標的を定め、職場の男女平等達成に向けた努力を公約(英語原文)
2001年3月8日(木)発表ILO/01/08
3月8日の国際女性デーに際し、ジュネーブのILO本部では「ガラスの天井:力と影響を持つ女性」をテーマとする会議が開催されました。会議においてソマビアILO事務局長は、組織内における地位が高くなるほどに男女格差が広がる現状を指摘するILOの報告書「ガラスの天井の突破:管理職女性(英文概要)」を紹介し、男女平等の達成に向けてILOは活動を続けることを言明しました。
報告書は、世界全体の大企業の役員に占める女性の割合はわずか1〜3%であること、男女平等が進んだ国でもパーセントにして10〜30ポイントの男女所得格差があること、依然として無償労働の大半を女性が担っていること、女性の平均労働時間は世界中ほとんどどこでも男性よりも長いことなどを示します。
事務局長は、女性管理職の割合が1996〜97年にほとんど倍増した米国の例を挙げ、「進歩を早めることは可能」と説き、「男女の就く職種の多様化、家庭責任の分担、効果が立証されている人材・予算戦略による刷新、女性の企業家精神の育成」などが有意義な変化を導くだろうとします。
女性達成者に焦点を当てた会合で国際女性デーを祝うILO(英語原文)
2001年3月2日(金)発表ILO/01/07
3月8日の国際女性デーに際し、ジュネーブのILO本部では「ガラスの天井:力と影響を持つ女性」をテーマとする会議が開催されます。ソマビアILO事務局長、ブルントラントWHO(世界保健機関)事務局長、ロビンソン国連人権高等弁務官等が出席する会議では、国際機関や企業の上部に所属する女性たちがいかにしてしばしば目に見えない障壁を突破できたかに関する話し合いが行われます。
会議では、「ガラスの天井の突破:管理職女性(英文)」と題するILO近刊の概要が配布されます。
2001年2月発表分
合併・買収(M&A)、金融業労働力に打撃−「人的要素」が合併企業の成功におけるカギ(英語原文)
2001年2月5日(月)発表ILO/01/06
ジュネーブのILO本部では2月5〜9日の日程で、銀行・金融部門の合併・買収(M&A)が雇用に与える影響を検討する政労使三者構成の会議が開催されています。
会議に提出されている討議資料は全世界的なM&Aの広がりによって、従来は雇用の安定、終身雇用を特色としていた銀行・金融業で、大量解雇による就業人口の激減が起こっていると記します。例えば、少なく見積もっても西欧の金融業界では、M&Aの影響で90年代に13万人の雇用が失われ、1999〜2002年の期間でも30万人近い雇用の喪失が予測されます。米国では1995年までの10年間で市中銀行の数が30%減り、1984〜94年の10年間で就業人口は約5%低下しました。英国でも1990〜2000年の期間に、M&Aを含む幾つかの要因によって、銀行業の就業人口が15万人減り、支店数は4分の1になりました。
日本でも大型合併の勢いが強くなっており、例えば、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の合併では大量の剰員解雇が予想され、業界全体でも就業人口の低下が見込まれます。公的資金投入の見返りとして、銀行業界が3年間で2万人の雇用削減を約束したこともその例としてあげられています。
報告書は大量の剰員解雇や事業再編にも関わらず、M&A活動の3分の2が所期の目的を達成できていないとし、この主な原因として人的要因と文化の違いの軽視をあげ、M&Aの全プロセスを通じた労使対話の重要性を強調します。M&A活動の多くが不可欠で、企業の効率、収益性のアップに寄与し、ひいては経済全体の雇用拡大に結びつく可能性を伴うことは認めながらも、M&Aがもたらす即時の雇用削減を懸念します。そして、合理化が主として女性が従事する業務に影響することからこれが女性の雇用推進に逆行する危険性、また、金融業界の寡占化が必然的にもたらす産業競争力及びサービスの低下が、雇用の主な担い手である中小企業に対する貸し渋りを招く危険性を警告します。
2001年1月発表分
国際海運産業、「ジュネーブ合意」を採択−1月26日、船主代表と船員代表は国際海運産業における労働基準の将来展開に関する歴史的な合意を採択(英語原文)
2001年1月26日(金)発表ILO/01/05
1月22〜26日の日程でジュネーブで開かれていた第29回合同海事委員会は最終日に海事産業の安全・労働条件の改善を目指したジュネーブ協定を採択して閉幕しました。また、現行435ドルである有能船員の最低賃金勧告額を2002年1月1日より450ドル、2003年1月1日より465ドルに引き上げることも決定しました。
海事産業に適用される国際労働基準としては現在、条約が30、勧告が23ありますが、委員会はこれらを統合し、新たに海事労働基準に関する一つの枠組み条約を制定することで合意に達しました。この条約は2005年に海事総会を開催して採択される予定です。
ILO、国連特別総会に対し、児童労働を強調するよう要請(英語原文)
2001年1月26日(金)発表ILO/01/04
今年9月19〜21日にニューヨークで国連子ども特別総会が開催されます。特別総会は、1990年に開催された世界子どもサミット後の進展を吟味し、将来に向けての行動を検討するものです。
1月29日〜2月2日の日程でニューヨークでは、この特別総会の準備委員会が開催されていますが、ILOはこれに対し、児童労働を特別総会の中心議題の一つとするよう強く呼びかけています。最悪の形態の児童労働に対する取り組みを規定したILOの第182号条約が1999年に全会一致で採択され、ILO歴史上最も速いスピードで批准が進んでいる事実に鑑み、ILOは特別総会を児童労働に対する取り組みにおける世界的な協力を強化する絶好の機会となると見なしています。
ILO世界雇用報告2001年版−雇用情勢は改善しつつあるものの情報格差(デジタル・デバイド)は大きな問題(英語原文・新聞発表資料仮訳)
2001年1月24日(水)発表ILO/01/03
ILOが定期的に発行している「世界雇用報告」ですが、今年は情報経済における労働事情を副題に、雇用問題全般を扱いながら、特に、情報通信技術(ICT)が労働の世界に与える影響を吟味し、その恩恵を十分に享受するために考えられる政策を提言します。
世界の雇用情勢は先進国を中心に上向き基調にあるものの、2001年現在、世界の労働力人口の3分の1に相当する約10億人が失業あるいは不完全就業状態にあり、途上国を中心に情報化時代の恩恵を享受できていない人々も多いとします。インターネット利用者の9割近くが先進国に集中する現状においても、適切な政策と機構を用いれば、ICTは途上国が従前の開発段階を一気に飛び越える手段を提供しようとします。ただし、今のところこの動きについていっている東アジア諸国などの途上国において、それが可能になった背景には高学歴の高技能労働力の存在があるとし、教育の重要性を強調しています。
また、ICTは女性の雇用を創出し、仕事と家庭のバランス改善など生活を向上させる潜在力を秘めているものの、女性はデータ入力のような低技能職に集中し、システム開発のような高技能職は圧倒的に男性職場となっており、情報経済においても依然、男女職業分離、賃金格差が存在すると指摘します。
報告書は、デジタル革命に乗り遅れた国々は、経済競争力と市場占有率、国民所得の低下を見る可能性があるとし、国内ICT産業の振興、ハイテク外国人労働者受け入れの際にも国内労働力の訓練を忘れないこと、高齢者に対する学習機会の提供と差別からの保護、ストレスやプライバシーといった新しい職場の懸念事項への対処に向けた法・慣行の改正、途上国における農業等伝統産業へのICTの応用といった政策提案を行っています。
ILO機関、新たに船員の「権利章典」を検討、有能海員の最低賃金も議題に(英語原文)
2001年1月19日(金)発表ILO/01/02
ILOは、1月22〜26日の日程で、ジュネーブで第29回合同海事委員会を開催しています。世界各国の船員と船主の代表が集い、話し合いを行う、ILOで最も歴史が古くかつ唯一の産業別常設機関である合同海事委員会の今年の討議内容には、ILOが勧告する有能海員の最低賃金の改訂(現行月額435米ドル)、既存の条約・勧告を統合し、全ての船員を対象とする新しい枠組み文書としての「権利章典」の起草、海運業の構造変化が船員の生活・労働条件に与える影響の検討といったものが含まれています。
討議資料として提出された報告書は、1992年から1999年にかけて、有能海員の平均賃金率は下落し、この傾向は特に先進国で顕著とします。例えばオーストラリアでは有能海員の平均月額賃金は65%減を、日本とドイツでは53%減を記録しています。
この他に委員会では、「海事産業における人間的な労働(ディーセント・ワーク)計画」を正式に発進させる予定です。さらに、国際船主連盟(ISF)は国際使用者団体としては初めて、「良い雇用慣行船主用ガイドライン」を発表することになっています。
現在、国際貿易に従事している船舶数は約5万隻、船上で働く船員数は約125万人を数えます。
グローバル経済におけるディーセント・ワークの将来−労働、雇用、社会的保護における将来の動向をハイレベル専門家会合で検討(英語原文)
2001年1月16日(火)発表ILO/01/01
ILOの国際労働問題研究所はフランス雇用連帯省と共催で、1月18、19の両日、アヌシ(仏)でグローバル経済における労働、雇用、社会的保護の将来を検討する国際専門家会合を開催します。ギグー仏雇用連帯相、ソマビアILO事務局長が基調講演を行い、学界、労使団体、企業、政府より約60名の専門家が出席します。会議では、欧州諸国だけに限定されず、欧州と日米の経験を比較する議論も行われる予定です。
ILOは、この会議の結論が、ダボス(スイス)で開催される世界経済フォーラムにおいて、今日、先進国が直面している経済変化の社会的側面に対処する方法に関する議論を刺激することを期待しています。
最終更新日:2002年1月4日 作成者:EU 責任者:MH